【天風録】:FFという芽
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録】:FFという芽
4年ぶりのパレードに平和大通りに連なるステージ。多彩なプログラムもさることながら肌で感じたのが沿道の人いきれだ。「人を見に来たようなもの」と行事の混雑をよくぼやくが、きのうは人の多さが何よりうれしかった
▲ひろしまフラワーフェスティバル(FF)が開幕した。広島の街がコロナ禍を何とか乗り越えた証しだ。習い事や部活動を制限されてきた子どもたちも、待ち焦がれていたに違いない。躍動する高校のダンス部員たち、顔を真っ赤にして音を響かせるマーチングバンドのメンバー
▲そんな姿に沿道も笑顔をほころばせた。スペシャルゲストとして伸びやかな歌声を響かせた島谷ひとみさんの言葉にうなずく。「当たり前の日常に感謝」
▲FFが始まった1977年、開催に寄せた対談で、民俗学者の宮本常一がこう語っている。「地域社会をよみがえらせるには、地域の人が地域をどうするかを考える芽を育てなければ」。新たな祭りはそのためだ、と
▲この4年の間に、その芽が失われることは決してなかった。雌伏を経た分だけ育った時に、これまでにない大輪になると信じたい。市民が育てた祭りは、きょうもさまざまなイベントの花が咲く。
元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】 2023年06月11日 07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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