【天風録・11.15】:千歳飴と2050年
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・11.15】:千歳飴と2050年
きょうは七五三。子どもたちの健やかな成長を祝う日である。神社や写真館には晴れ着姿の親子連れが見られるに違いない。小さな手には千歳飴(ちとせあめ)の袋が握られているはず。粘り強く、細く長くと、子どもの長寿を願う縁起物だ
▲医療の進歩や健康意識の高まりもあり、人生100年時代とされる。では子どもたちが大人になる頃、日本は一体どんな社会だろうか。さまざまな政策や技術が進み、誰もが安心して暮らせる世の中が望ましいのだが
▲26年後の2050年、1人暮らし世帯は27都道府県で40%を超える―。広島・山口・岡山の中国地方3県も。社会保障や人口問題を調査する国の研究所がはじき出した推計だ。きょう七五三を祝った子どもたちが働き盛りを迎えた頃の日本である
▲親を田舎に残し、若者は都会へという傾向は変わらぬようだ。単身世帯が54%に上る東京は未婚の現役世代が多そう。一方、人口が流出した地方は、配偶者との死別などで1人暮らしをする高齢者の割合が高いという
▲1人が幸せな人もいるに違いないが、孤独や貧困に悩む人も多いのではないか。単身世帯を支える体制を急がねば。そんな社会でないと、千歳飴を誰も喜ぶまい。
元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】 2024年11月15日 07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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