【社説・12.28】:沖縄予算4年連続減 国会で「なぜ」の検証を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.28】:沖縄予算4年連続減 国会で「なぜ」の検証を
政府は2025年度予算案を閣議決定した。内閣府の沖縄関係予算案は2642億円で、24年度当初から36億円減。県が強く求めていた3千億円台を4年連続で割り込んだ。
石破茂首相は先の臨時国会の所信表明演説で次のように語った。
「沖縄振興の経済効果を十分に域内に波及させ、実感していただけるよう、沖縄経済の強化に向けて支援を継続する」
県が併せて要望していた一括交付金も721億円で12年度の創設から最低となる中、「沖縄経済の強化」を実感することは難しい。
本年度は補正予算額が大きかったこともあるが、来年度の一般会計が115兆円と過去最大を更新したのとは対照的といえる。
コロナ禍からの経済回復を確実なものとし、地域の持続的成長につなげる予算となるのか。
産業振興など自立型経済の構築に向けた個々の事業を否定するものではない。とりわけ子どもの貧困対策の充実、新たに盛り込まれた子どものウェルビーイング(心身の健康や幸福)実現に向けた調査などに注目している。
しかし、新基地建設を巡る県と政府の対立が、それとは関係のない予算に影を落とし続ける問題は見過ごしにできない。
沖縄予算の減額が目立つようになったのは、新基地に反対する翁長雄志知事誕生以降の15年度からだ。
新基地を「踏み絵」にした対応と同時にあからさまなのが、県内部の分断である。
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沖縄関係予算の中でも、国が市町村に直接交付する特定事業推進費は10億円増の95億円を計上し、過去最高となった。
特定事業費が突如導入されたのは19年度。政府は「一括交付金を補完するもの」と説明したが、一括交付金を減額し特定事業費に置き換えているように映る。
見え隠れするのは市町村に対しコントロールを強めたい政府のやり方だ。地域分断の狙いも透ける。
ただ特定事業費は制度導入からの5年間で、執行率が一度も6割にも達していない。使い残した不用額の合計は62億円余りに上る。
政治的思惑が漂う予算であるが故、見積もりや査定に甘さが生じているのではないか。
一括交付金が減額された時、不用額や繰越額の多さが指摘されたが、特定事業費はどうなのか。
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政府は年明けの通常国会に予算案を提出する。これまでと違い少数与党下の国会では、野党の協力を得なければ予算は成立しない。
立憲民主党など野党からは予算の増額や、特定事業推進費の見直しなどを求める声が上がっている。
基地との関連性や国の裁量が高まる沖縄予算についてきちんとした検証が必要だ。
沖縄予算は県民のための予算であり、沖縄発展のための予算である。
振興のあるべき姿について踏み込んだ議論を求めたい。
元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月28日 04:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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