【政界地獄耳・12.12】:「6時間戒厳事態」の今後 韓国政治に見る民主主義の基礎
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・12.12】:「6時間戒厳事態」の今後 韓国政治に見る民主主義の基礎
★4日午前4時30分ごろ、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が非常戒厳解除を議決して「6時間戒厳事態」は幕を下ろしたが、今後はこの6時間を巡り、途方もない時間が費やされることになる。韓国の国会、司法当局、軍はそれぞれ独自の検証を始めるとともに現職の大統領の国外出国禁止、身柄を拘束されていた前国防相は内乱罪で逮捕された。非常戒厳は大統領の独断なら憲法違反も含む有効性が問われ大統領の責任、閣議決定があったなら閣僚の責任も問われる。国会に問わずに執行した場合も場合によっては問題が生じる。無論、軍や警察も命令下での行動であっても、指揮を執った責任も問われるだろう。
国会前で韓国の尹錫悦大統領の弾劾などを訴える人たち=8日、ソウル(共同)
★それほど幾重にも安全装置が法的に施されていても、これだけ大きな謎が生まれる。韓国には戒厳法があり、緊急事態の場合の手順も細かくある。それでも大統領の暴走は起きたと考えれば、憲法は権力者を縛るものだが、いかようにも抜け道があることになる。我が国の緊急事態法制定の動きと重ねるだけでなく、政治的窮地に追い込まれていた大統領が思わず発したものではなく、軍と緊密に連携していたことが露見すれば韓国政界は大揺れだ。その意味では与党「国民の力」は10日、「秩序ある退陣」と銘打ち2月か3月に大統領が辞任し、4月か5月に大統領選を実施する案を明らかにした。国会では野党が14日に2回目の弾劾訴追案の採決を行う腹だが、野党の言うまま弾劾するのではなく、大統領には政治に関わらせず検察の捜査を優先させ、粛々と退陣させ、または逮捕させ大統領選挙を準備するのは冷静で見事だ。
★一方、最大野党・共に民主党代表・李在明(イ・ジェミョン)は「このような重大な犯罪者をそれまで大統領の座にとどめておく」という考えを国民が受け入れるかどうかわからないとし、こちらも的を射る発言だ。軍隊があることで権力はより抑止的な運用が求められる。国民も安心する。韓国の民主主義の定着が発揮された形だ。(K)※敬称略
◆政界地獄耳
政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】 2024年12月12日 07:30:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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