【社説・12.11】:政治資金規正法再改正 企業献金禁止議論尽くせ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.11】:政治資金規正法再改正 企業献金禁止議論尽くせ
自民党派閥裏金事件を受けた各党の政治改革法案が出そろい、「政治とカネ」問題の国会論戦が本格化する。特に企業・団体献金を巡る与野党の溝は大きく、臨時国会の21日までの会期で決着するのは困難だろう。そもそも、裏金事件の全容が解明されていない。通常国会へ継続審議とし、国民が納得するまで熟議を徹底すべきだ。
一番の論点は、政治資金パーティー券購入を含む企業・団体献金の禁止である。自民はあくまでも阻止する構えだ。
リクルート事件などを受けた1994年の政治資金規正法改正で、政治家個人への献金を禁じ、代わりに税金を原資とする政党交付金制度が導入された。企業・団体の政党への献金は5年後に見直すことになっていた。献金は見返りを求めるものであり、政策がゆがめられるからだ。しかし、99年の改正では、自民の意向をくむ形で、政治家が代表を務める党支部や党本部への献金が温存され、政党交付金と献金の「二重取り」状態が続いている。
国会議員が関係する政党支部の政治資金収支報告書の2023年分集計で企業・団体献金は総額18億9513万円で、そのうち自民が17億8437万円と突出していた。これとは別に自民党本部は、党の献金の受け皿となっている「国民政治協会」から23億2500万円の寄付を受けており、これは党本部収入の約10%を占めている。献金への依存度が飛び抜けて高い。
自民党は1970年の「憲法上、公共の福祉に反しない限り、会社といえども政治資金の寄付の自由を有する」という最高裁判決を持ち出し、献金を正当化するが、曲解と言うべきだ。この判決では、弊害を防ぐ対策を「立法政策を待つべきだ」と政治に責任を負わせた。この判決の後にリクルート事件などが続発し、94年、99年の法改正がなされた経緯がある。50年前に最高裁が突き付けているのは、今回の裏金事件を受けての「立法政策」なのである。
今国会では派閥裏金事件に関係する政治倫理審査会(政倫審)が開かれる見通しだ。多くが非公開を希望している。非公開では議事録も非公開となり、国民への説明にはならない。
ただ、衆院選前の政倫審でも、裏金が始まった経緯など、核心部分は全く明らかにならなかった。首相は再調査も否定している。公開で政倫審を行うのは当然で、さらに党として事実解明をしなければ国民は納得しない。
この国会中も、自民党から政治資金収支報告書の記載漏れなどが次々と発覚している。「政治とカネ」を争点にした衆院選で惨敗したのに、反省がうかがえない。一方の野党も足並みがそろっていない。30年来の「政治とカネ」問題を解決する機会である。与野党ともに責任を果たし、来夏の参院選で国民の審判を受けてほしい。
元稿:琉球新報社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月11日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます