路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【兵庫県政大混乱】:「本物かどうかわからない」自死した元県幹部の“私的情報”を巡り斎藤知事は及び腰…“本物”は県保有「すぐに確認できる」の声も

2024-12-07 11:05:30 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【兵庫県政大混乱】:「本物かどうかわからない」自死した元県幹部の“私的情報”を巡り斎藤知事は及び腰…“本物”は県保有「すぐに確認できる」の声も

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【兵庫県政大混乱】:「本物かどうかわからない」自死した元県幹部の“私的情報”を巡り斎藤知事は及び腰…“本物”は県保有「すぐに確認できる」の声も

 兵庫県・斎藤元彦知事の疑惑を告発した元県幹部の個人情報の可能性があるものを、知事選で斎藤氏を「応援する」と公言したNHK党の立花孝志党首がSNS上でさらし始めた。いっぽう、PR会社社長が公職選挙法上の買収にあたる「報酬を得てのSNS選挙広報」を斎藤陣営に任されたと読めるnoteを公開した問題では、専門家が斎藤氏と社長を刑事告発した。斎藤氏を巡る問題は拡大の一途をたどっている。 

 ◆告発状では斎藤氏が買収罪の適用対象で折田氏は被買収罪にあたる

 PR会社「merchu」の代表取締役・折田楓氏が、選挙で斎藤陣営のSNSの公式アカウントの管理・監修を含む広報の「運用戦略立案」を仕事として手掛けた、とnoteに書いたことが公選法の違反に当たるのではないかと指摘されている。

 公選法ではネットの選挙運動を有償で依頼すれば買収となり、候補者の当選が無効になる場合もある。

 これに対し、斎藤氏の代理人・奥見司弁護士は11月27日、斎藤陣営が「ポスターデザイン制作」などの名目で計71万5000円をmerchuに支払ったと認めながら、折田氏はSNS広報をボランティアで行ない、主体的な関与もないと主張し、違法性を否定した。

折田氏はこの選挙活動の「映画化」を望んでいた(折田氏のnoteより)
折田氏はこの選挙活動の「映画化」を望んでいた(折田氏のnoteより)
  この経緯を見て告発したのが自民党の裏金問題を暴いた神戸学院大の上脇博之教授と元検事の郷原信郎弁護士だ。

 12月1日に兵庫県警と神戸地検に送った告発状では斎藤氏が買収罪の適用対象で、折田氏は被買収罪にあたるとしている。

 2日に開いたオンライン記者会見で郷原氏は、選挙前に斎藤氏本人が折田氏から「SNSの利用」を「選挙で協力しうること」として説明を受けていたことを挙げ、「merchuはSNS広報戦略を業とする会社です。(選挙でのSNS広報の提案を斎藤氏が)聞いたが受け入れなかったところ、ボランティアでやってもらった、という。そんな会社があるのか」と指摘。

 支払われたのはSNSを含む選挙運動への報酬で買収にあたると説明した。

 上脇氏も「noteを見て、どう考えても(merchuが)主体的なPR活動を行なっていたことは明らか」と述べ、奥見氏が報酬支払いを認めたことで犯罪の構成要件がそろったと判断できたため告発状送付に踏み切ったと話した。

オンラインで会見した神戸学院大の上脇博之教授
オンラインで会見した神戸学院大の上脇博之教授

 2日、斎藤氏は登庁時に普段の入り口を使わず報道陣を避けた。午後に取材に応じた斎藤氏は告発に対し「公職選挙法などに違反することはないと認識してます」と、これまでと同じ言葉を口にした。

 だが、斎藤氏がメディアを避け始めたより大きな理由は、今年3月にパワハラや公金不正支出などの疑惑をメディアなどに告発した当時の西播磨県民局長・Aさん(60)が作成し県の公用パソコンに入れていた私的な個人情報とみられるものを、立花孝志氏が前週の金曜日、11月29日の深夜からSNSで拡散させ始めたためだと思われる。

 立花氏の主張通りこれがAさんの私的文書だった場合、データの押収や管理に携わった県中枢の人物しかアクセスできないものが漏洩したことになり、個人情報保護法や県情報公開条例に抵触する疑いが出ることに加え、斎藤氏の監督責任も免れない。

 ◆「これから大逆転するからな」「大逆転や!」

 Aさんの私的文書は、斎藤氏を巡る問題でたびたび取りざたされてきた。

 Aさんは今年3月12日、メディアなど10か所に、斎藤氏や片山安孝副知事(7月に辞職)ら「4人組」と呼ばれた側近の疑惑を書いた匿名告発文書を送付。 

 斎藤氏の指示で公益通報者保護法違反の疑いがある発信者探しを始めた片山氏は、3月25日にAさんを問い質して文書作成を認めさせ、県貸与の公用パソコンをAさんから取り上げた。

 2日後の3月27日、斎藤氏は記者会見でAさんを「嘘八百」「公務員として失格」と罵倒し、Aさんはその後停職3か月の懲戒処分を受ける。

 「ところが4人組の一人、原田剛治・産業労働部長が企業からコーヒーメーカーの提供を受けていたと読売新聞が4月に特報します。この行為に関連することが告発文書に書かれていたことに加え、丸尾牧県議が独自に行なった県職員アンケートで知事のパワハラなどに関する証言が複数出たことで告発文書には信ぴょう性があるとの見方が強まり、県議会が調査特別委員会(百条委)を設置しました」(地元記者)

 これに抵抗した知事周辺が“武器”として活用したのが、Aさんのパソコンの中にあった私的な個人情報とみられるもののデータだ。

9月6日、兵庫県議会百条委で証人尋問を受ける片山安孝元知事(撮影/集英社オンライン)
9月6日、兵庫県議会百条委で証人尋問を受ける片山安孝元知事(撮影/集英社オンライン)

 まず、データを印刷した数百枚の紙のファイルを、4人組の一人、井ノ本知明総務部長(当時)が県議や県関係者に見せて回っていた。

 「文書は違法行為を示すものではありませんが、Aさんにとっては人に知られたくない内容だったようです。それを井ノ本氏はあちこちで見せながら『こんなことを書く人間が行なった告発を信じるんですか』と、Aさんと告発の信用性を貶めていました。百条委の設置阻止が目的だったとみられます」と県関係者は話す。

 これについて井ノ本氏は10月の百条委でファイルを「所持しました」と認める一方、持ち歩いたのか、との質問に「証言が手掛かりとなって守秘義務違反の嫌疑を受ける可能性が生じるので、証言は控える」と答弁を拒否した。

 さらに、別の県関係者が今回新たに証言した。

 「井ノ本氏が言いふらしていた時期に、片山氏も方々で『これから大逆転するからな』『大逆転や!』と大見得を切っていたんです。Aさんの私的文書を出して告発追及を抑え込む、との意味と受け取られていました。パソコンから私的文書を見つけた時から、彼らは告発つぶしに使えると考え、実際に活用したのだと思います」(県関係者)

兵庫県庁(撮影/集英社オンライン)
兵庫県庁(撮影/集英社オンライン)

  だが結局、片山氏らは百条委の設置妨害に失敗する。

 「片山氏は最後には県政与党の自民党幹部に、自分が辞めるから百条委だけはやめてくれと泣きつきましたがこれも聞き入れられませんでした。その後、片山氏は7月に辞職しました」(地元記者)

 ところが今度は百条委の中でこの私的文書の公開を迫る声が出る。

 「7月8日の百条委理事会で、維新の増山誠県議が『(Aさんがこの文書を)プライベートだから公開してほしくないとは、あまりにも都合のよい身勝手な論理』だとして文書を提出するよう求めたのに続き、同じく維新で副委員長の岸口実議員が『タイトルぐらいは教えてもらわないと』と加勢しました。結局、百条委の調査目的の範囲外の資料だということで要求は受け入れられませんでした。告発内容の真偽とAさんの私生活には関係がないからです」(県消息筋)

 ◆「本物」は県が保有しており真偽の確認はすぐにできるはずだが…

 そしてこの理事会の前日、Aさんは自死している。「彼は文書の内容が出回っていることに苦しみ、百条委の動きを見ていました。文書の提出が認められない見通しを彼が持てていたら、別の選択をしていたかもしれません」と知人は話す。

 その後、百条委が疑惑の真偽に結論を出す前に、斎藤氏がAさんの告発に適切に対処せず県政を混乱させた、という別の理由で9月に県議会に不信任決議案が可決され、失職しての出直し選挙での再出馬を選択した斎藤氏は再選され今に至る。 

 Aさんの私的文書はこの選挙でまた蒸し返された。

 「自分は当選を目指さず斎藤氏を応援する、と言って立候補した立花孝志氏が、斎藤氏の街頭演説の直前や直後に同じ場所で演説を繰り返し、Aさんの私的文書の“内容”というものを公言しました。その延長で今回、SNSで“文書の中身”だとみられるものの公開を始めたのです」(在阪記者)

兵庫県知事選ポスターの掲示板。左下が立花孝志候補のポスター(撮影/集英社オンライン)
兵庫県知事選ポスターの掲示板。左下が立花孝志候補のポスター(撮影/集英社オンライン)

 斎藤氏は9月に知事を失職する前、私的文書の内容についてある程度報告を受けたことを示唆する発言をしている。

 「このため斎藤氏は立花氏の主張に事実でないことが含まれることを認識していた可能性があります。しかし、今に至っても立花氏の言動を問題視する発言はしていません」(同前)

 一方副知事を辞めた片山氏は10月に百条委で証人として尋問を受けた際、Aさんの私的文書の内容を聞かれてもいないのに話し始め、奥谷謙一委員長に制止された。

 その後、片山氏は代理人を通じ、文書の「調査が必要」とする要望書を県議会議長に提出したと、維新の増山県議がSNSで明らかにした。

 今回、集英社オンラインは片山氏に「大逆転や!」との発言の真意を問う質問状を送ったが、期限までに回答はなかった。

11月18日、兵庫県議会百条委員会に出席した増山誠県議(左)と岸口実県議 (撮影/集英社オンライン)
11月18日、兵庫県議会百条委員会に出席した増山誠県議(左)と岸口実県議 (撮影/集英社オンライン)
 文書の公開にこだわる片山氏と維新。そしてそれらしいものをさらし始めた立花氏。斎藤氏は2日、今回の事態について「(立花氏が公開したものが)私自身は本物かどうか承知していません。県としては事実関係も含めて確認をしていくために、第三者機関の設置も含めて検討していきたい」とだけ話した。

 だが「本物」は県が保有しており真偽の確認はすぐにできるはずだ。

 「Aさんや周辺の人々の尊厳が蹂躙された状態が続いている」(フリージャーナリスト)との指摘が出る中、なぜ斎藤知事はこの事態をすぐ是正しようとしないのか。

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メールアドレス:shueisha.online.news@gmail.com
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 ■取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

 ■この記事のまとめ

 元稿:集英社 主要出版物 集英社オンライン 社会 【話題・選挙・兵庫県知事選・公選法に抵触疑義】  2024年12月03日  09:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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