【社説②・10.21】:G7国防相会合 防衛協力を深化させる時だ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・10.21】:G7国防相会合 防衛協力を深化させる時だ
ウクライナ戦争の長期化で欧米諸国に「支援疲れ」も見える中、自由主義国の国防相が結束を確認した意義は大きい。
日本は、欧米諸国との安全保障協力を強化すると同時に、紛争の解決に貢献していくことが重要だ。
中谷防衛相が、今年の先進7か国(G7)の議長国であるイタリアが開いた初の国防相会合に出席し、ロシアが侵略するウクライナへの支援の継続で一致した。
ウクライナの戦況は 膠着 し、欧米諸国では、領土の一部をロシアに占領されたままの停戦を主張する論調も出ているという。
ウクライナのゼレンスキー大統領は今月、英仏伊独を歴訪し、「勝利計画」への賛同を求めたが、協議継続の確認にとどまった。
こうした中で、G7の国防トップが情勢認識をすり合わせ、連携して対処する方針をひとまず確認したことは評価できる。
ウクライナに戦車や戦闘機などを供与し続けている欧米諸国は、自国内の武器・弾薬の不足が深刻になりつつあるという。
日本は昨年末、防衛装備移転3原則と運用指針を改め、装備品の部品については輸出を幅広く認めた。一方、完成品の輸出は、今も原則として救難・輸送・警戒・監視・掃海の5類型に限定しており、制約がある。
政府は、可能な範囲で部品の輸出に踏み切るべきだ。そうした取り組みを続け、欧米諸国によるウクライナ支援を下支えすることが欠かせない。
一方、イタリア訪問に先立ち、中谷氏はベルギーでウクライナのウメロフ国防相と会談し、トラックなどの自衛隊車両を提供することを表明した。
ウクライナのニーズを把握し、日本ならではの支援を重ねていく必要がある。
中谷氏はベルギーで、北大西洋条約機構(NATO)の国防相会合にも出席した。日韓、豪州、ニュージーランドの4か国が「インド太平洋パートナー」という立場で初めて招かれた。
この会合では、東・南シナ海で覇権的な活動を強めている中国を警戒する声が相次いだという。
近年、NATO諸国の中には、東南アジアの成長を取り込もうとこの地域での貿易を拡大させている国が多い。アジアの海上交通路の安全確保は、NATOにとっても重い課題となっている。
欧州がアジアの安全保障に関心を寄せている現状は、協力関係を深化させる好機と言えよう。
元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年10月21日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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