路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【余禄】:寄席で開場時に聞こえてくる一番太鼓は…

2022-04-26 02:04:30 | 【学術・哲学・文化・文芸・芸術・芸能・小説・文化の担い手である著作権】

【余禄】:寄席で開場時に聞こえてくる一番太鼓は…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【余禄】:寄席で開場時に聞こえてくる一番太鼓は…

 寄席で開場時に聞こえてくる一番太鼓は「どんどん、どんとこい」、開演前の二番太鼓は「おたふく、こいこい」、終演時のハネ太鼓は「でてけ、でてけ」。言われてみると、ちゃんとそう聞こえてくるから、人間の耳とは不思議なものだ

 ▲一番太鼓は、最後に2本の長バチで「入」の字を作る。これも縁起をかついでのものだ。太鼓をたたくのは前座と呼ばれる若手。幽霊が出る怪談噺(ばなし)では「ドロドロ」という効果音をたたく。観客をゾクゾクッとさせるには腕が必要だ

 ▲太鼓や鼓、鉦(かね)といった「鳴物(なりもの)」は、歌舞伎の舞台でも天候や情景を表す重要な役割を果たしている。大太鼓で表現する打ち寄せる波音や、戸を揺らす風音、しんしんと降る気配を感じさせる雪音が、演出効果を高める

 ▲アナログな効果音が、現代人にも十分通用するというのは、長年培われてきた伝統の力なのだろう。歌舞伎では専業の鳴物演奏者が担い、たいていは舞台の下手側にある黒御簾(くろみす)の中で演奏される

 ▲「鳴物」の若手演奏者が不足しているという。日本芸術文化振興会は伝統芸能の保存振興のため養成事業を行っているが、今年度の研修生への応募がゼロだった。修了者は演奏者の4割近くを占める。28日まで再募集中だ

 ▲鳴物に限らず、邦楽全体の継承が危ぶまれている。国は昨年度から支援事業を始めた。劇場も寄席も、コロナ禍で遠のいた客足がまだ戻らないという。お客さんも研修生も「どんどん、どんとこい」で、芸をつないでいけないものか。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】  2022年04月25日  02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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