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外国人労働の建前と本音

2015年09月09日 20時24分45秒 | 職場人権レポートVol.3



 前回記事「職場の外国人労働問題」に対して、「あるみさん」という読者の方からコメントをいただきました。「外国人の人たちとも、同じ労働者として、ともに団結できたら好いですね」という賛同のコメントでしたが、「あるみさん」はその中で、外国人労働者の事を「実習生」と捉えられていたので、私は「実習生ではなく、あくまでも労働者ではないでしょうか。給料も、別にピンハネされている訳ではなく、ちゃんと我々と同じ時給で支給されているようですよ」と返したら、「外国人雇用.com」というサイトの記述を紹介されました。

 そのサイトによれば、外国人が日本で働く場合は、「入管法」(出入国管理及び難民認定法)という法律に基づいて、在留資格に沿った就労ビザを取得しなければなりません。就労可能な職種や期間も個別に細かく決められています。その多くは、大学教授やエンジニア、企業経営者などの専門職や、俳優などの芸能人です。技能職も、外国料理店のコックなどの専門職に限られています。
 その中で、単純労働でも就労可能な唯一の職種が「技能実習生」です。しかし、この職種は、元々、外国に進出を予定している日本企業が、現地の工場で働く従業員や幹部を育成する為に、国内の工場で実習業務に就かせる為のものです。あくまでも、相手国に対する技術指導や育成が目的です。

 同じ事は、厚生労働省のサイトにも書かれています。厚労省のサイトによると、技能実習生制度は「技術移転を通した開発途上国への国際協力」として導入されたもので、技能の習得を目的としたもの(技能実習1号)と、習得した技能をさらに身に付ける(習熟)為のもの(同2号)の二種類があります。 
 ところが現実には、そのような技術移転や技能の習得・習熟を目的とせず、ただ単に日本国内で安くこき使ったり、人材不足の穴埋めとして使うためだけに、誰でも出来る単純労働を、日本語も満足に喋れない外国人にさせる事が横行しています。これは「技能実習生」の制度を悪用したピンハネ労働に他なりません。
 もちろん、来日外国人が、入国後の状況の変化によって、新たに就労の必要に迫られ、それが認められる場合はありますが、これはあくまでも、留学生のアルバイト等の例外的な場合だけです。少なくとも、技能実習生が、ろくに必要な実習も受けないまま、それとは何の関係もない単純労働に就かされる理由にはなりません。

  

 外国人を安く採用しようとする企業の立場に立って書かれたサイトには、もっと明け透けな本音が述べられています。そこには、「駅から歩いて30分もかかるような交通不便な所にある勤務地でも、外国人はより好みしない」「日本人の高齢者が25%しか発揮できない能力も、外国人なら80%発揮できる」「月曜から日曜までいつでも働かせる事ができる」「外国人留学生なら従業員の雇用保険も負担しなくても良い」等々の「企業側の本音」や、「ベトナム人取扱説明書」等の人をバカにしたような言葉が書かれています。

 これではまるで「モノ扱い」です。昨今、経済の国際化、グローバル化が叫ばれ、医療や介護などの人手不足の職場に、東南アジア系の外国人を看護士や介護士として投入しようとする動きが、政治の場で議論されていますが、これも、当の外国人や相手国の事なぞどうでも良くて、完全に自国本位の、「経営者の身勝手」ともいえるものでしかありません。本当に人手不足を解消したいのなら、看護士や介護士の低賃金や劣悪な労働環境こそ改善すべきなのに、その最も根本的な原因には手をつけず。これでは、職場の矛盾を外国人にしわ寄せしているだけではないですか。こんなものは「国際協力」でも何でもない。ただ単に、相手の貧しさに付け込んで搾取しているだけだ。

 そのくせ、警察庁や法務省、入国管理局のサイトでは、「ストップ・ザ・不法就労」だとか「ルールを守って国際化」だとか言って、まるで外国人だけが悪者であるかのような宣伝を行っています。しかし、そのルールを「見せかけ」だけのものにしているのは一体誰なのか。当の日本の企業や日本社会こそが、「不法就労」に目をつむり、その上にあぐらをかいてきたのではなかったか。そうして、何か問題が起こった時だけ、外国人を悪者にして。本当は自分たちも加害者であるのに、あたかも被害者であるかのように装いながら。

 私、外国人のピンハネ労働と聞くと、最低賃金以下の安い給料で、一日十何時間も働かせるような、そんな超悪質なケースだけを想定していました。ところが実際は、そんな超悪質なケースばかりでなく、たとえ最低賃金法や労働基準法の基準をクリアしていたとしても、「技能実習生」を技術移転の目的もなく単純労働に従事させる事自体が、法律の制度を悪用したピンハネ行為、脱法行為だったのです。
 これは何も外国人労働者だけに限った問題ではありません。今の日本の派遣労働も、本来は臨時的・一時的な働き方であるはずの派遣労働を、正社員などの常勤雇用の代わりに、いつでもクビにできる「使い捨て」の労働力として使っている現実があります。外国人労働の問題も、正にその延長線上にあるのではないでしょうか。

 我々、日本人のバイトは、ともすれば、日本語もろくに喋れず、後片付けも満足に出来ない外国人のバイトを、「お荷物」「やっかい者」扱いしがちでした。でも、いくらそうやって、彼らに八つ当たりしても、何の解決にもなりません。いくらこちらが拒んでも、「経済の国際化」や「社会の少子高齢化」に伴って、外国人労働者は今後もどんどんやって来るのですから。彼らといつまでもいがみ合っていても仕方ないでしょう。
 むしろ、彼らも我々と同じ貧しい労働者に変わりはないのですから、貧しい者同士がいがみ合うのではなく、ともに団結・協力して、少しでもより良い職場にして行く道を探るべきではないでしょうか。それがどれだけ難しい事であるかは、作業指示もカタコトの日本語しか通じす意思疎通に四苦八苦している私たちバイトが一番よく知っています。それに、私たちも外国人も、いくら会社がブラック企業と言えども、とりあえずは食っていかなければならない。そう簡単に団結なんて出来る訳が無い。でも、同じ職場で働く仲間なのだから、少なくとも「八つ当たり」だけはしないように心がけようと思います。
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