くら寿司「不適切動画」で謝罪 ごみ箱の魚をまな板へ
くら寿司のバイトが悪ふざけで、ゴミ箱に捨てた食材を再びまな板でさばき、それを動画に上げた。幸い客には出されなかった様だが、下手すれば食中毒にもなりかねない悪ふざけだ。政府・右翼・マスコミは、それをさも針小棒大に取り上げ、道徳教育復活の口実にしようとしている。
でも、おかしくないか?政府やマスコミにそんな事を言う資格が果たしてあるのか?森友・加計問題や統計偽装で今まで散々ウソ・デタラメやり放題やって来た政府や、それに遠慮して何も言えなくなったマスコミに、バイトの悪ふざけを非難する資格が果たしてあるだろうか?
それは企業も同じだ。くら寿司を始めとした外食産業は今まで散々、労基法違反の不当労働行為を繰り替えして来た。すき家のワンオペ、ワタミの過労死然りで。そのモラルハザードがバイトにも伝染し、バイトテロとなって現れたに過ぎない。
低賃金のブラック企業でこそバイトテロも頻発する。中国産餃子やアクリフーズの農薬混入事件然り。バイトが日頃の鬱憤を商品にぶちまけただけだ。バイトテロは勿論許せないが、それをバイト個人だけの所為にして、鬱憤の元にあるブラック企業搾取に言及しないのは、もう「木を見て森を見ず」と言う他ない。
ブラック企業搾取は別に酷使だけとは限らない。放任も酷使と紙一重のモラルハザードに他ならない。碌に教育も受けてないバイト店長に人の指導なぞ出来る訳がないだろう。企業はマニュアルでバイトを教育したつもりでいるが、あんなもの人をモノとしか見ずロボット扱いしているだけではないか。
バイトの悪ふざけを個人の問題にのみ矮小化し、バイトテロと呼ぶ輩は、多分ライン作業の経験も無いのだろう。ラインの殺人的なスピードの中でノルマだ何だと抑え付けられ、見様見真似だけで肝心な事は何も教えてくれない。酷使と放任が交互に繰り返される。そんな環境の中では発狂する人間も出て来る。
悪ふざけどころか暴力沙汰も日常茶飯事だ。社員・バイト間の諍(いさか)いだけではなくバイト同士の諍いも随所で起こっている。同じ場所で同じ仕事をしていても派遣会社も時給も違う。その格差が対立を生む。しかし企業は事なかれ主義で見て見ぬ振り。問題が表面化してもバイト個人にだけ罪を擦り付けて知らん顔。
その背景には低賃金がある。「金持ち喧嘩せず」の喩え通りだ。お互い貧しく、仕事も過酷で、全然未来に希望を見出せない中で、些細な事でも爆発の発火点になる。それが会社に向かうか、バイト同士の諍いになるか、商品に向かうかの違いだけだ。それでもまだバイト個人の問題だと言うのか?
バイトが悪ふざけできない様に、アマゾンみたいに監視カメラでガチガチに管理すれば良いのか?ヤマトでもクール便を常温配送していた事があった。いちいちクールに積み替えている暇がないから常温配送で済ませていた。問題解決は過密労働の是正しかないのに、監視強化に問題をすり替えるのか?
うちの会社のお偉いさんは、先日の誤配事故もバイト個人だけの所為にして、ラインのレイアウト変更だけでお茶を濁した。そして、言葉も通じない偽装留学生の外国人バイトを、人手不足の穴埋めに雇おうとしている。人手不足を招いた自らの低賃金の罪には頰被りしながら。
過去には私の労災事故も闇から闇に揉み消そうとした。これは労働者に対する企業テロではないのか?そのブラック企業テロを容認しながら、バイトの悪ふざけだけを労働者攻撃に利用しようとする輩に対しては、今後も徹底的に闘うつもりだ。
以下、「バイトテロ」は訴えても抑止できない、3つの理由(スピン経済の歩き方)より引用。
基本的にコンビニや外食は、若者を「使い捨ての労働力」として使ってきた。ある日、突然辞めてしまう無責任な人間を想定して、応募がきたら即採用、辞めたら補給というサイクルで回してきた。こういうところで働く若者は自分のことをどう思うか。
「代わりはいくらでもいる使い捨ての労働力」だと思うだろう。
「使い捨て」なので、仕事に対する責任感も誇りも生まれない。だから、教室の悪ふざけのノリで、バカ動画を撮ってしまうのだ。
では、どうすれば彼らに「使い捨て」ではないと分からせるのかというと、彼らがバイトに求めているものしかない。そう、シフトを優遇したり時給を上げたりするのだ。
「いや、働くことは金だけじゃない。大切なのはやりがいやコミュニケーションだ」とか言う人がいるが、賃金や待遇を改善しないで、労働者に精神論を押し付けて不満を封じ込める職場を、世間では「ブラック企業」と呼ぶ。
ちなみに、今回の問題があったと言われる「くら寿司」の店舗のバイト募集を、Webサイトで確認したら「時給936円以上」だった。大阪府の最低賃金は936円なので、ここから技能や経験でグングン時給アップするのだろうが、学生の感覚からすれば、決して「高額バイト」ではなかったはずだ。
これまで日本企業の多くは「賃金は低く、労働者の質は高く」を合言葉に右肩上がりの成長を遂げてきた。そのビジネスモデルが限界にきて、あちこちで崩壊しているのだ。
この日本を支える「低賃金労働者」がたちゆかなくなっているのは、明らかに深刻な人権問題を引き起こす外国人労働者という移民政策へとゴリ押しでかじを切ったことからも明白だ。
「バイトテロ」は許されることではない。徹底的に断罪すべきだ。そう訴える企業側の気持ちもよく分かるが、法的措置の前に、なぜこのような「テロ」が一部の業界で続発しているのかという原因も、考えるべきではないのか。