今回の記事は新聞記事等の紹介・引用が中心なので、またもや長文になってしまいました。その為に、職場のバイト読者向けに要約版を作りましたので、時間がない方は上記の要約版だけでも読んで下さい。
安倍政権による政治私物化疑惑は、森友学園や加計学園(第2の森友学園)だけではありません。私もつい最近まで知らなかったのですが、他にも分かっているだけで4事例あります。「国際医療福祉大学」「もったいない学会」「AO義塾」「吉備国際大学」の4つです。もう底なしの様相です。
まずは【第3の森友学園】疑惑。栃木県に本拠を置く国際医療福祉大学が、千葉県成田市に医学部を開設する際に、成田市からタダで用地を取得し、官僚OB6名を天下りとして受け入れてようとしている…という事例。
天下り官僚が暗躍か 私立医大“特区”認可にデキレース疑惑(2016年3月19日 日刊ゲンダイ)
大学の医学部の認可を巡り、官庁の不可解な動きが浮かび上がった。17日の参院予算委で俎上に載ったのは、全国に4つの病院を展開する私立「国際医療福祉大学」(栃木・大田原市)が新たに来年4月に開校する千葉・成田市の医学部だ。
事の発端は、内閣府と文科省、厚労省が2015年7月31日に示した「国家戦略特別区域における医学部新設に関する方針」だった。国家戦略特区に世界最高水準の国際医療拠点をつくることが目的で、同年11月12日に事業主の公募が行われた。
ところが、公募に手を挙げたのは福祉大1校だけ。そのうえ、福祉大の幹部役員に文科省や厚労省のOBがゴロゴロ“天下って”いたのだ。17日の予算委でこの問題を追及した民主党の桜井充参院議員が入手した資料を見ると、元文部省事務次官や元厚生省保健医療局長、元厚生省健康政策局長など、官僚OB6人が大学の副理事長や学長などを務めていたことが分かる。
文科省担当者は予算委で、「大学に再就職した中央省庁の勤務経験を有する者は、文科省からの2名と厚労省から2名、財務省から1名と警察庁から1名」と認めていた。福祉大の認可について、“見えざる手”が動いていたのかと疑いたくもなってくる。
桜井議員はこう言う。
「公募までのプロセスが、福祉大ありきの流れになっているように見える。元文部省事務次官など、官僚OBが認可に際し、裏で暗躍していたとの話もある。これが事実なら、トンデモナイことです。国家権力を使って公募をデキレースにしたのなら、許されることではありません」(後略)
成田市の国際医療福祉大医学部誘致 用地取得「不当に高額」 市内男性が提訴(2016年12月7日 東京新聞)
成田市が京成公津の杜(もり)駅前に誘致した国際医療福祉大学医学部(来年四月開学予定)を巡り、市は不当に高い価格で用地を取得するなどしており、違法だとして六日、市内の事務職男性(45)が、京成電鉄と市の鑑定評価額の差額の約三億九千万円などの損害賠償を求める住民訴訟を、千葉地裁に起こした。
訴状によると、市は昨年九月、医学部校舎等の用地を京成電鉄から約二十二億七千六百万円で購入。購入額は、京成側の鑑定評価額と、それよりも安かった市の鑑定評価額の中間値として決定。原告側は、市の評価額の方が適正で、市は京成側の鑑定評価書を吟味せず、購入額を決定しており、違法だと指摘している。
また、用地の無償貸与についても、市の規則で定められた、市有地の譲渡や貸し付けの際に有識者らでつくる審議会に諮問する手続きを経ずに決定したことから、契約は違法だと指摘。賃料分の損害賠償や大学側に賃料を支払うよう要請することも求めた。
医学部予定地の隣接地には今年四月、同大看護学部と保健医療学部が開学。男性は昨年二月にも、市が両学部誘致に総額約五十億円の費用負担をしたことは違法だとして、住民訴訟を起こしている。(後略)
次いで【第4の森友学園】疑惑。「もったいない学会」というNPO法人が、ケニアのエコトイレ普及活動に外務省からなかなか補助金が下りないので、安倍首相夫人の昭恵に直談判したら、すぐに8千万円の予算がついた…という事例。
昭恵夫人から安倍首相への口利き疑惑に新たな証言!「夫人に頼んだら首相から連絡が入って8000万円の予算が...」(2017年3月24日更新 リテラ)
これがもし事実なら、明らかに昭恵夫人の首相への口利きではないか。
この発言が飛び出したのは、今年2月11日に京大でおこなわれた「もったいない学会」と「縮小社会研究会」の合同シンポジウムでのこと。このセリフを話しているとみられるのは、公益社団法人「日本国際民間協力会」で理事をつとめる京大名誉教授だ。
この日、この公益社団法人理事は「アフリカにおける勿体ない実践成功例」というテーマで、ケニアに「エコサントイレ」という環境にいいトイレを広める事業について語っていたのだが、このエコサントイレの活動を外務省は理解してくれず、補助金かなにかの協力をなかなか得られなかったらしい。それで思い切って、首相夫人である昭恵夫人に会いに行き話をしたところ、その晩に首相に話をしてくれて、すぐに首相から連絡が入り、最終的に8000万円の予算がついた、といっているのだ。外務省と交渉してもNGだったものが、昭恵夫人に話したら、一晩で8000万円の予算がついたというのである。
日本国際民間協力会のホームページで公開されている、2013年度から2015年度までの決算報告書、2016年の事業計画・予算には、この「外務省からの8000万円」に当たるものは確認できないが、今年2月に「今年、予算がつきました」と話しているので、現段階ではこうした書類に反映されていないということなのだろうか。
仮に8000万円もの予算が、昭恵夫人の鶴の一声で決まってしまったのだとしたら、民主主義国家としてあり得ないことだろう。(後略)
まだまだある。【第5の森友学園】疑惑。安倍首相の親戚で、「AO義塾」というAO入試(学力試験ではなく書類選考・面接が中心)対策塾を経営する大学院生が、首相の親戚である事をウリに、イベントで高校生を勧誘しまくっているが、その塾には他塾からのノウハウ・パクリ疑惑が絶えない…という事例。
「安倍総理」親族が経営の塾を文科省が後援 “AO義塾”代表のペテン(週刊新潮 2017年6月22日号)
(前略)今年3月23日から25日の3日間、「全国高校生未来会議」というイベントが、衆院第1議員会館、および最終日は首相公邸という大層な会場で開催された。選挙権年齢が18歳に引き下げられるのを受け、全国から選抜された中3から高3の約120人が、地域興しプランを競ったり、自民党の谷垣禎一幹事長や民主党の岡田克也代表(ともに当時)ら、各政党幹部の演説を聞いての模擬投票を行ったりしたのだ。
文科省と総務省が後援し、優秀者には総務大臣賞や地方創生担当大臣賞、さらには内閣総理大臣賞まで贈られるなど、いわば国を挙げてバックアップしたこのイベントを主催したのは、斎木陽平という24歳の若者が代表を務める「リビジョン」なる一般社団法人だった。イベントが開催されるまでの経緯を、文科省幹部が声を潜めて語る。
「未来会議の後援については2013年秋に初めて打診があって、当初は検討に値しないとされました。高校生のイベントは数多いのに、ひとつだけ後援するのはまずいからです。ところが昨年9月16日、当時の下村博文大臣から全国高校生未来会議を首相直下の事業としてやってほしいという指示が下った。主催はリビジョンでとの話でした。安保法案ですったもんだの時期に、急に高校生の活力やAO入試の育成と言いだして、省内ではみななにが起きたんだと思いました」
そのとき情報がもたらされたという。
「リビジョンの斎木代表は安倍総理の親族だ、と聞かされ、みな仰天したんです。文科省はいろんなイベントに公平であるべきだし、リビジョンという法人に活動実績がほぼないことなどから、文科大臣賞の設定だけは拒んだものの、“安倍総理の親族だから仕方ない”という言葉の下、後援を余儀なくされたのです」(同)
(中略)
ところで斎木氏には塾経営者としての顔もある。10年、慶應大学法学部にFIT入試、つまりAO入試で入学すると、その年末にはAO入試対策が専門の「AO義塾」を立ち上げ、今に至る。その指導内容は後述するとして、件の未来会議では、参加者をAO義塾に勧誘するビラが配られていたのだ。〈未来会議参加者の君へ〉と題され、こんなふうに書かれていた。
〈君たちは選抜を勝ち抜き今日ここへやってきた/しかしそんな君たちに問いたい/国会に来ただけでいいのか?/(中略)さぁ、多くの同志たちと志をもって/AO入試という名の旅に出かけてみませんか〉
そして〈未来会議参加者3つの特典〉として、〈入塾金3万円が無料に!〉などと記されていたのだ。
このことの意味を、教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏が説くには、
「文科省の後援を受け、クラウドファンディングでお金を集め、首相までが駆けつけた全国高校生未来会議で、こんな勧誘のチラシを配るのは悪質です」
そのうえAO入試は未来会議への参加といった活動点があると合格しやすい。なんのことはない、文科省が安倍総理に遠慮し、昭恵夫人が強く後押しして実現した全国高校生未来会議とは、AO義塾の広告塔だったのである。(後略)
しかも、そのAO義塾の実態は、以下のような酷いものだったようです。以下、前述の週刊新潮の記事より引用します。
「斎木氏はAO入試の素晴らしさを広めたいと言っていますが、実際は逆にAO入試の精神を歪めている」
「AO義塾の2期生に、高校時代からNPOを作って活動し、おそらくそれが評価されて慶應に受かった生徒がいた。斎木さんはそこに目をつけ、リビジョンを作ったんです。その証拠に、リビジョンの設立趣旨から、当初はHPの文言まで、そのNPOとそっくりでした。そしてAO義塾の生徒をリビジョンで活動させ、その実績をAO入試の志望理由書に書かせる。しかしAO入試は本来、自らの意志でなにか活動をした人を求めているのだから、斎木さんの指導はAO入試の精神に反します。実際、そういう子は大学入学後、まったく活動に参加しません」
「今、高3の息子は慶應法学部が第1志望で、AO義塾に通わせましたが、出願ギリギリに講師からこれ、前に合格した人の志望理由書を少し変えてるから、安心して出願してと言われ、情けないながら出願した結果、不合格でした」
「私たちが塾で教えていた命より大切な指導ノウハウも、AO義塾に真似されてしまった。また、ほかの塾に通っていて1回おいでよと誘われ、志望理由書にちょっとコメントされただけの生徒が、合格実績に入っていたりするのです」(引用終了)
更にダメ押し。【第6の森友学園】疑惑。加計学園系列の「順正学園」経営の「吉備国際大学」が、淡路島での新キャンパス開設にあたり、廃校になった公立高校を30億円近くも無償で譲り受け、淡路島に移住した学生に対しても1人30万円も補助金が…という事例。
順正学園と安倍首相が吉備国際大学でも癒着か!約30億円がタダに!?【週刊現代】(Light and Shade 2017.03.14)
森本(ママ)学園への国有地売却問題で苦戦中の安倍首相ですが、週刊現代などのスクープにより新たに加計学園グループとの癒着も取り沙汰されています。
加計学園の理事長と安倍首相が癒着か!腹心の友へ36億の土地を無償提供
さらに3月13日発売の週刊現代では、加計学園グループの一つである加計氏の姉・美也子氏が理事長を務める、学校法人順正学園が経営する吉備国際大学に関する疑惑が報じられていました。
見ると2012年に土地・建物あわせて約30億円近くが市からタダで提供されていた可能性があるとのことです。詳細を見てみましょう。
【週刊現代】順正学園の吉備国際大学と安倍首相の癒着疑惑
今週の週刊現代が報じていたのは、加計学園グループの一つである順正学園が経営する吉備国際大学を巡る安倍首相との癒着疑惑です。
地元紙である神戸新聞が次のように報じたというのです。
<南あわじ・志知高跡地の大学誘致 吉備国際大学を候補に>
順正学園は補助金をもらいまくっていた!?
週刊現代にはある市政関係者が匿名を条件に明かした話が掲載されていました。
「順正学園に土地をタダで使わせ、建物と設備を無償譲渡して、市が共同で校舎を整備する、という計画書が市長からいきなり出てきた。
しかも費用20億円のうち、13億円強を市が負担することになっているうえ、学生が南あわじ市に住民票を移せば、一人あたり30万円まで補助金を出すと。至れり尽くせりですよ。」 (後略)
これらの疑惑の中で、第4の「もったいない学会」と第5の「AO義塾」は、エコトイレとか高校生の大学受験塾など、文科系の「安倍昭恵」好みのネタで釣ろうとしているように見えます。利権の額も、8千万円とか入塾金3万円が無料とか、後述する他の疑惑と比べると、まだ「しょぼい」金額に収まっています。そういう意味では、どちらかというと森友学園に近いような感じをうけます。
それに対し、第3の「国際医療福祉大学」と第6の「吉備国際大学」は、加計学園と全く同じ構図です。安倍のお友達の経営者が、医学部系の学部を新設する際に、安倍政権の口利きで地元自治体からタダ同然の値段で土地を譲り受け、その見返りに、これまた安倍のお友達の政治家を、名誉教授や客員教授に天下りさせる…という流れです。特に最後の吉備国際大(順正学園)に至っては、もう加計学園そのものではないですか。こちらは夫人の昭恵ではなく、総理の安倍晋三自身が、国家戦略特区諮問会議の議長として、ダイレクトにかかわっています。医学部系なので利権の額もハンパじゃありません。数十億単位の金が動いています。森友学園なんかよりも、むしろ、こちらの疑惑の方が「本命」ではないでしょうか。
これに対し、安倍は昨日の記者会見でも、「獣医や医師は今でも不足している。岩盤規制を打ち破り、新学部の創設や新規参入を促さなければならない」と言い訳していましたが、それなら「日頃から、もうちょっとマシな教育をしろよ」と思いませんか?政治家や官僚の天下り先に、偏差値40以下のFラン(低学力)大学ばかり作って。学生や保護者を食い物にしているだけじゃないですか。国民の税金を湯水のように垂れ流して、ロクに医療も出来ない「名ばかり医師」を乱造するつもりか。何が「岩盤規制改革」か?これでは「縁故政治」そのものじゃないか!その事にまだ多くの国民が気づいていないという意味では、韓国パククネ前政権の国政私物化よりも、更にタチが悪いと思います。