ひでえ話だな。大学入試に英語の民間試験を導入するのに、英会話スクールに通えない地方や貧しい家庭の受験生はどうしたら良いのか聞いたら、「身の丈に合わせて受験すれば良い」と文科相の萩生田が言い放ったと言う。後で〈発言だけは〉撤回したそうだが。
じゃあ、身の丈に合わせてどう勉強すれば良いのか?英会話スクールランキングトップのAEONを例に調べてみた。そうしたら、東京なら山手線内だけでも17校もあるのに、北海道には札幌に5校ある他は旭川に1校だけと、想像以上に悲惨な結果に。
英会話スクールの料金も半端ない。大手15社の料金を調べたら、入会金や教材費まで含めたら、グループレッスンでも最低2.5万、マンツーマンなら5万もの月謝が必要な事が分かった。奨学金がなければ高校卒業も出来ない家庭も少なくないのに、一体どうすれば良いのやら。
しかし、そこまでしてまで、英会話スクールに通わせて大学に合格させても、英会話が身に付く可能性はゼロに等しい。今の学校の受験英語をそのままにして、付け焼き刃で受験前の数ヶ月だけ英会話スクールに通わせて、ビジネス英語を習得させても、使い道がないからだ。
そもそも何故、外国語習得が必要なのか?他国の言語や文化、歴史を知る事で、日本の文化や歴史も初めて客観的に見れる様になるからだろう。ところが萩生田の様に、最初から勝ち組優遇、国威発揚しか頭にない連中が、幾ら上辺だけ国際通ぶってバイリンガル装っても、外国人から足元見透かされるだけだ。
以前、外国人労働者の活躍の場を広げようと法律改正された事があっただろう。仕事を頑張る真面目な外国人には家族を日本に呼び寄せる事も認めようと。ところが実際は、家族を呼び寄せるには高いハードルがあり、安い賃金で酷使できる外国人をもっと増やして人手不足の穴埋めにする為のものだった。
今回の大学入試への英語民間試験導入も、そんなよこしまな動機によるものだ。そんな物に期待する位なら、一層の事、あいりん地区でホテルのバイトしないか?ここなら外国人も一杯来るので、嫌でも言葉を喋れる様になる。語学なんて習うより慣れろだ。
あいりん地区のフロントマン求人例。新今宮駅前のホテルで時給は最賃ギリギリの964円。シフト制の7時間労働。7〜14時、9〜16時のシフトなら仕事終われば受験勉強に専念できる。語学力は全く必要ない。来客は英語圏の観光客とは限らないから。それでも敢えて言うなら中学レベルの英会話が出来れば十分。
確かにホテルマンの賃金は安い。でも、高い月謝払って英会話スクール通う位なら、ホテルやコンビニでバイトして、外国人とコミュニケーション取りながら、西成の安いホテルに泊まりながら受験勉強した方が、はるかに自分の人生の糧になると思う。西成なら物価も安い。
西成に来る外国人は白人ばかりではない。中国人やアラブ人も一杯来る。寧ろそちらの方が遥かに多い。通りにはベトナムのサンドイッチ屋が軒を連ね、ホテルのロビーではイスラム教徒がメッカの方を向いてお祈りしていた。彼らから香港のデモやシリア難民の話も聞けるかも知れない。それが本当の勉強だ。
私の勤務先もご多分に漏れずブラック企業だ。最賃スレスレの時給なので募集かけてもベトナム人しか来ない。なら逆に、そこでバイトして西成の安ホテルに泊まり外国人と交流しながら受験勉強した方が、高い月謝払って語学スクール通うより遥かに潰しが利く。ベトナム語喋れる人なんて殆どいないのだから。