今年8月分に支給されるはずの厚生年金が支給されていなかった事が分かりました。通常なら今年も偶数月に支給されていなければならない年金が、6月を最後に支給がされず、8月分が銀行口座に振り込まれていませんでした。
これが給与の未払いなら、たちまち生活に支障を来たすので、給与支給日に給与が振り込まれていなければ、速攻で会社にクレームを入れるのですが、年金が支給されなくても当座は給与だけで食べていけるし、年金の事なぞ普段余り意識する事がないので、支給されていない事に今まで気付きませんでした。
8月に支給されていなくても、「あれ、給与はちゃんと振り込まれているのに年金はまだ振り込まれていない?ひょっとしたら来月の振り込みかな?」てな具合で、別に深く気には留めませんでした。でも、2ヶ月たっても振り込まれなければ、さすがにおかしいと気付きます。そこで、昨日の仕事帰りに、管轄の年金事務所に立ち寄って、未支給の原因について調べてもらいました。その結果、次の事実が判明しました。
私は数年前に親父と喧嘩して実家を飛び出し、一人暮らしを始めました。その為に、親父に今の住所が知られるのが嫌で、今も住民票は実家に置いたままにしています。そして、実家を出た後も、西成区のホテル住まいから近くの賃貸へ、そこからまた住之江区の今の賃貸というように、何度か転居を繰り返しています。
その中で、私も満65歳になり、基礎年金に加え老齢年金も支給されるようになりました。しかし、実際に年金を受け取れるようになるには、自宅に届いた年金請求書に、年金繰り下げの有無を記入して、年金機構に返送しなければなりません。「年金繰り下げ」とは、年金の支給開始年齢を後にずらす事です。満75歳までずらす事が出来ます。その反対に、年金支給年齢を満60歳まで前倒しするのが「年金繰り上げ」です。(上の画像がその年金請求書のサンプルです)
ところが私は、住民票を実家に置いたままにしているので、転居するたびに、住所変更届を年金事務所に出さなければなりません。私も最初はそうしていたみたいです。ところが、転居を繰り返すうちに、住所変更届の事はすっかり忘れてしまっていました。会社に出す住所変更届の方は、通勤手当支給の関係もあるので、こまめに出していましたが、年金なんて普段は余り意識しない為に、住所変更届の提出を忘れてしまっていたのです。
今の住所に移り住む前に住んでいたのは西成のあいりん地区です。あそこは人の出入りも激しい地域で、宛先不明の郵便物が届いても、きちんと郵便局に届け出る人ばかりではありません。西成に届いた年金請求書も、新しい住民によって、そのままゴミ箱に捨てられてしまったのでしょう。年金請求書の「繰下げを希望しない」欄にチェックを入れてを選んで返送しなければ、「繰り下げ待ち」扱いにされ、以後の年金支給がストップしてしまう仕組みになっていたのです。
確かに、これは私のミスです。しかし私にも言い分があります。年金を受け取るのは「お恵み」でも何でもありません。正当な権利です。その為に、今まで厚生年金保険料も払ってきたのです。だったら、受け取る権利がある人全員に、何もしなくても自動的に受け取れるようにするのが筋でしょう。そうであるにも関わらず、何故、自分の方から改めて請求しなければ受け取れないような仕組みに、わざわざしたのか?そんな面倒な事したら、私のように、請求手続きするのを忘れてしまう人たちが他にも大勢出てしまいます。
しかも、大多数の人が希望するはずの「自動継続」ではなく、例外措置に過ぎない「繰上げ」や「繰下げ」を基準にして、それも国にとって都合の良い「繰下げ」を基準にして、「繰下げを希望しない」を選んで返送しなければ支給を停止してしまうなんて。それでなくても、年金事務は煩雑で、「消えた年金」問題で過去あれだけ大騒ぎしたのに、わざわざ、それに輪をかけるような事してどうするのか?そこまでしてまで年金を支給したくないのか。国民の生活を保障するのが国の仕事なのに。
それでも、年金支給が停止されていた事が早めに分かったので、まだ良かったです。私は年金事務所で住所変更届を提出したので、未支給の年金も後日に支給される様になりました。但し、次の10月支給にはもう間に合わないので、2回後の12月に、8月・10月・12月の3回分をまとめて受け取る事になります。(上の画像が、その時に年金事務所からもらった受付控え)
私の場合はそれに加えて、昔1年間だけ私立高校で社会科の講師をやっていた事があるので、厚生年金以外に、私学共済の年金も受給しています。しかし、こちらも8月から支給されなくなっていました。たった1年間の講師生活の共済年金なので、わずか数千円の支給額ですが、それでも年間に換算すると数万円になります。
こちらは、私の方から今朝、私学振興事業団の共済業務課に電話して、転居届と年金請求書を現住所に送ってもらう事になりました。これらの書類が届き次第、今の住所への変更届と、「繰下げを希望しない」を選択した請求書を先方に返送して、手続きが済み次第、未支給の年金が振り込まれる事になります。
年金制度がややこしいのは、これだけではありません。実は介護保険料の支払い方法も、満65歳を境に変わります。それまでは健康保険料などの他の社会保険料と同様に、給与から自動的に引き落としされていたのが、以後は住民票の住所地の役場(私の場合で言えば実家のある市町村の役場)に、わざわざ自分の方から払いに行かなければならないのです。数年後には年金から自動的に引き落とされるようになるそうですが、今はまだその準備が整っていないので、市町村から数ヶ月おきに送られて来る「介護保険料支払い督促状」を添えて、コンビニの窓口で支払う事になります。(上の画像が、その時に市役所から届いた介護保険料支払い督促状)
それでもまだ、年金支給の遅れについては、住所変更届を出し忘れた自分のミスもあるので、まだ一定「仕方ないな」と思う面はあります。でも、介護保険料まで督促状で支払わなければならない事については、絶対に納得できません。国や役所の都合で、勝手に支払い方法を変更しておきながら、何故、一方的に「滞納者」扱いされなければならないのか?しかも、通常なら介護保険料の支払いだけで済むのに、督促状だとその分の「督促」手数料や「延滞」利息まで払わなければならない。それに反発して支払いをボイコットしようものなら、介護保険サービスも受けられなくなり、最悪、財産まで差し押さえられてしまう。これではまるで「犯罪者」扱いではないか。
この年金支給や介護保険料支払いのトラブルから透けて見える事があります。それは、国民の権利が一応は法律で保障されているような体裁を取りながら、いざ権利を行使しようとしたら、自分からわざわざ申請しなければいけなかったり、その申請手続きがことのほか煩雑で、申請方法も勝手にコロコロ変えたり、申請できる人たちの範囲を狭めたりして、権利保障を単なる「お飾り」や「絵に描いた餅」に留めようとする国や行政の姿勢です。
それは何も年金や介護だけに限った話ではありません。生活保護がその「お飾り」の最たる例です。憲法や法律には「誰でも健康で文化的な最低限度の生活を送る権利がある」と謳いながら、いざ生活保護を受けようと役所の窓口に行くと、「まだ働けるだろう」とか「親に養ってもらえ」と言って追い返される。いわゆる「水際(みずぎわ)作戦」で、生活保護の申請をさせないようにしている。それを潜り抜けて、ようやく保護費を受給できたとしても、役所と裏で結託した貧困ビジネスの家主によって、生活保護費の大半を巻き上げられ、そこから抜け出せないようになっている。こんな事例が横行しています。
「働き方改革」の問題でもそうです。「流通業界で働く労働者の長時間労働を是正する」と言いながら、大スーパー正社員の休日だけ増やして、その分の負担は全て下請けの社員やバイトにしわ寄せ。労働組合に加入する大スーパー正社員の声だけ聞くふり。大多数の下請け労働者は、たとえ同じ物流センターで働いていても、所属会社も勤務場所も、勤務時間も仕事内容も、時給も身分も千差万別。こんな状態では労働者の団結なんて到底無理です。それを分かった上で、「組合も作らず、声を上げない奴らが悪い」と知らんふり。
私も、今の年金制度のままで良いとは思っていません。どうあがいても、今後日本は、少子高齢化で人口が減少していくのだから、現役世代の保険料で高齢者の年金生活を支える今の仕組みのままでは、早晩行き詰ってしまうのは目に見えています。しかし、だからと言って、こんな人の無知や錯誤(勘違い)に付け込んだり、自分達で勝手に制度をいじくりながら、それに対応できない人を一方的に「滞納者」「犯罪者」扱いするようなやり方が、通用して良いはずはありません。
本当は、こんなプライベートな事なぞブログに書きたくありませんでした。自分の年齢が分かってしまうのでw。でも、黙っていたら、いつまでもこんな道理のない事がまかり通るようになってしまいます。いずれも、実際にその場で当事者にならないと分からなかった事ばかりです。そこで、恥を忍んで、敢えてブログに公開する事にしました。
記事読ませてもらいました。
ほんま、申請主義っていろいろと不便ですよね…
>その中で、私も満65歳になり、基礎年金に加え老齢年金も支給されるようになりました。
>本当は、こんなプライベートな事なぞブログに書きたくありませんでした。自分の年齢が分かってしまうのでw。
お互い、年を取りましたね…当たり前のことですが。
私もいよいよ五十路になろうとしています。
今、NHK大阪「かんさい熱視線」の物流2024問題を視聴しています。
https://www.nhk.jp/p/osaka-nessisen/ts/X4X48GXNX2/episode/te/183Z193JV5/
そういえばプレカリアートさんが所属しているのも物流会社でしたね。御社の2024年問題も気になるところです。
それではお元気で。