エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

下手な批判は、ルターを生かす

2013-12-12 03:44:14 | エリクソンの発達臨床心理

 

 伝記記者が意外にも、気持ちに深く切り込んで記述してくれる場合があることが分かりました。司馬遼太郎なども似たところがありますよね。

 

 

 

 

 

 ルターのことを最も口汚く非難した1人、ヤーコプ・ブルクハルトは、ニーチェに対して「ルターはドイツの騒々しい百姓で、結局はルネッサンスの教養人のマーチを待ち伏せするような人物だ」と見るように教えた人ですが、次のように記しています。「私どもはいったい何なのか? ルターに対して、『あんたは「僕らの」プログラムを実行すべきだ』などとお願いするのだとしたら。こんなことをしたら、他でもない、ルターに具体的なイメージを与えることになる。つまり、ルターが、そのありのままでいることを当然と考えるべきだ、ということになっちゃう。」

 

 

 

 

 ちょっとわかりづらいところです。ルターを下手に批判すれば、逆にルターの生き生きした生き方を肯定することになってしまう、ということだろうと考えます。

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アンパンマンの、自分が損する覚悟

2013-12-12 03:13:08 | フーコーのパレーシア

 

 パレーシアが本当のことを話す勇気は、信頼に値するものでしょう。最近亡くなられたネルソン・マンデラさんが、尊敬すべき理由の大きな理由の一つは、パレーシアであったと私は確信しています。その一端は、彼の愛唱した詩、英国の詩人ウィリアム・アーネスト・ヘンリーのINVICTUS - William Ernest Henleyの一説

Beyond this place of wrath and tears

Looms but the Horror of the shade,

And yet the menace of the years

Finds, and shall find, me unafraid.

 

It matters not how strait the gate,

How charged with punishments the scroll.

I am the master of my fate:

I am the captain of my soul.

にハッキリ表れている、と言えます。

 

 

 

 

 

3.パレーシアと、自分が損をするかもしれない危険

 「パレーシア」という言葉を使い、1人の「パレーシアステス」として考えるに値すると言われるのは、本当のことを話す時に、男でも女でも自分が損をしたり、不利になったりする危険がある時だけです。たとえば、古代ギリシャ人の眼からみれば、小学校の先生は自分が教えている子どもたちに本当のことを教えるかもしれませんし、実際に、自分が教えていることが本当のことだということに、一片の疑いも持たないかもしれません。しかし、信じていることと本当のことが、このようにたまたま一致するとしても、その先生が「パレーシアステス」なわけではありません。ところが、1人の哲学者が、1人の王様、しかも、エバリ散らすような王様、に話しかけて、その王様に向かって、「あなたの様にエバリ散らすやり方は、人に迷惑なだけではないばかりか、不愉快ですね。なぜって、エバリ散らすやり方は正義に悖りますから」とハッキリと話し言葉にすれば、その哲学者は本当のことを話し言葉にしていますし、本当のことを話していると信じているばかりか、自分が損をする危険を自ら引き受けています(そのエバリ散らす王様は怒るかもしれませんし、その哲学者に罰を与えるかもしれません。あるいは、その哲学者を追放したり、あるいは、殺したりする場合だってあるでしょう)。これこそがまさに、プラトンがシュラクサイのディオニュシオスと共にした事情です。これに関連して、プラトンの「第7書簡」とプルタークの『ディオンの生活』の中に非常に興味深い参考にすべき箇所があります。後ほど、これらのテキストに学びましょう。

 

 

 

 

 

 パレーシアと損をする覚悟について語られます。マンデラがその覚悟の上に、自由と正義の民主主義を推し進めたように、いまここで、私どもが自由と正義の人間らしい暮らしを手に入れるためには、自分が損する覚悟で行かなければなりません。その点、私どもには、やなせたかしさんとアンパンマンがついていますね。

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