奇跡 ―ミラクル―、と書いて、お気づきの方もあるでしょう。長田弘さんの詩集のタイトル。
「奇跡」と言ったら、「めったにない稀有な出来事」と思いますよね。ですからそういう出来事に遭遇したら、「ラッキー」だと誰でも思うことでしょう。ですから、「奇跡」は「ラッキー」と結びついています。聖書で「奇跡」といえば、「神癒」、「医者も治せないような病気が、一瞬にして治りました」という物語を思い出すのかもわかりません。でも、長田弘さんによれば、「奇跡」というのはそんな特別な出来事じゃぁない。
長田弘さんにとって「詩を書く」とはどういうことなのだろうかな?
それはね。
「じぶんを呼び止める声を書き留めて、言葉にする」こと。
あれあれっ、どこかで聞いたことあるかな?
そう、五嶋みどりさんが言ってましたっけ。
「自分の中から聴こえる音を」「素直に出す」っとね。
「声」や「音」が聴こえてくるんですね。
では、「奇跡」って何でしたっけ?
たとえば、赤ちゃんの「小さな微笑み」が「奇跡」。
「小さな微笑み」を見れば、どなたでも「あたたかみ」を感じるでしょ。
「奇跡」。それはそういう感じ方を「促す心の働きの端緒、いとぐちのなるもの」
ですから、「奇跡」とは
「ささやかな日常の光景の中」にあるものに「何か」を感じ取る感性、…。