エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

一番知られているルター

2015-11-08 11:34:49 | アイデンティティの根源

 

 ルターは、言ってたこととやったことが、大きくずれたので、多面的にも見えるし、半端にも見えるようですね。

 Young Man Luther 『青年ルター』p.239の第2パラグラフから。

 

 

 

 

 

 これは、世間が一番知っているルターですし、マックス・ウェーバ―からエーリッヒ・フロムまで、社会学のいろんな論文にも一番引用されてるルターでもあります。こういったいろんな論文は、ルターの人生を大雑把な伝記風に描いてから、宗教改革一般を、駆け足で描きます。それは、カルヴァンやノックスを典型として描き出し、様々なプロテスタントの宗派に制度化されたとします。R.H.トーニーがルターとカルヴァンを鋭く対比していますけれども、カルヴァンは、ルターの著作から若き日に衝撃を受けていたからか、プロテスタンティズムの真の立法者になるべきしてなりましたね。

 

 

 

 エリクソンの筆遣いは、ウェーバーでさえ、不十分と言いたげです。エリクソンの視点がそれだけ「深い」からだと私は見ます。

 

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やり取りがあると当時に、イキイキ・ピチピチ生きる現実

2015-11-08 10:17:05 | エリクソンの発達臨床心理

 

 

 
セルゲイ・ナルイシキン さん
  セルゲイ・ナルイシキン さん 。ご存じですか? 私は知りませんでしたね。 昨日の「クローズアップ現代」で、国谷裕子キャスターがインタヴューしていました。笑...
 

 

 

 私どもは、世界の中心にいたいと同時に、≪私たち≫と呼べる「私たち」とも一緒にいたい私たちなのです。ちょっとわかりずらい?

 The lie cycle completed 『人生の巡り合わせ、完成版』の第4章、「自我と人品 : 結びの覚書」p89の、下から9行目途中から。

 

 

 

 

 

自我が外側の現実に適応することだけを話題にするまでは十分ではないのには、人間関係を心理的に見た時、その理由がいくつもあるからです。というのも、あらゆる人間の適応には、葛藤がゴマンと付いてくることになっているように、自我が適応を切り盛りするものと言える時までも、すでに、適応するいろんな経験を吸収したり、強力に自分を支えものを内面化しているからなんですね。実際にフロイトは、現実のドイツ語のひな形である、Wirklichkeit ヴィルクリッヒカイト (「うまくいく」ことと関係します)は、幅広い領域で、イキイキ・ピチピチ生きていることであると同時に、やり取りして生きている意味ですから、普通は、actuality  アクチャリティ「やり取りのある現実」と訳すべきですし、「お互いには働きかけ合うこと」という風に理解すべきです。

 

 

 

 

 

 とっても大事なところですね。短いところですが、非常に大事たところです。

 「現実」と言うと、客観的な事実くらいにしか、考えていないことが多いんじゃないですか? ですが、それは大間違いです。現実には、やり取りのある現実が、同時に、イキイキ・ピチピチ生きる現実でもある、そういう現実もあるからです。あまり知られていないことですが、フロイトの現実原則とは、そういうやりとりがあって、しかも、イキイキ・ピチピチ生きる現実に適応するという意味であることを、エリクソンはハッキリ示してくれています。

 この現実は、エリクソンのエピジャネシスのライフサイクルを理解する上でも、とても大事な視点です。

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宮沢りえさんのマインドフルネス

2015-11-08 03:36:18 | エリクソンの発達臨床心理

 

 

 
市場取引 誰も損をしないようで、みんなが損する?
  資本主義社会では、「してもらった分をして差し上げる」、ギブ・アンド・テイク、「公平の原理」が物を言う、といいます。そのお話の続き。 p120冒頭から。...
 

 マインドフルネス。ヴァン・デ・コーク教授のThe body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』の第13章 Healing from trauma : Owing your self 「トラウマから癒されること :本当の自分を生きること」の翻訳で、このブログでも、ここ何日かはマインドフルネスがテーマでしたね。そのマインドフルネスと、女優の宮沢りえさんの組み合わせです。

 何のことかしら?

 マインドフルネスは、サンスクリット語でサティ、「意識していること」、「気付き」の意味だとされます。漢字だと「念」になります。すなわち、「今の心」ですね。マインドフルネス、いまに気付くために、息や歩きに意識を集中させていきますね。

 宮沢りえさん、2度ほどこのブログで取り上げたことがあります(最高の悦び ♡ +最高に正しい横領は、神様に似ている?!)。それは「自由」、「壁を乗り越えて自由になる悦び」についてでしたね。その背景に、今回、宮沢りえさんは、特別マインドフルネスを学んだとは思いませんけれども、マインドアルネスの実際を実践していることを知ったので、それを皆さんとシェアしたいと考えたんですね。

 宮沢りえさんのお母さん、宮沢光子さんがなくなったのは、去年の9月のことだそうですね。その時、宮沢りえさんは、舞台の最中だったとか。俳優の宿命でしょうか。最後には会えなかったらしい。ガンて臥せっていたらしいお母さんの病状はよく分かっていたことでしょう。舞台にいても、心ここにあらずになったとしても、非難できないのではないでしょうか?

 でも、その時、宮沢りえさんは違ったそうですね。どう違ったのか?

 「自分の母親が今にも死ぬ、という時の舞台に立つ経験は、一生に一度しかないから、それをやり切りたい」

と考えて、それを誰にも話さずに、≪いまここ≫をやり切ったと言います(A STUDIO、9.11, 2015から)。

 これって、マインドフルネスそのものでしょ。

 ですから、あの宮沢りえさんは、「紙の月」や「海辺のカフカ」で、「壁を超える自由の悦び」を表現できるんだと、強烈に感じた次第ですよ。

 

 

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仕事や研究で親がいない >>震災・空爆

2015-11-08 01:58:34 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 

 

 

 
セルゲイ・ナルイシキン さん
  セルゲイ・ナルイシキン さん 。ご存じですか? 私は知りませんでしたね。 昨日の「クローズアップ現代」で、国谷裕子キャスターがインタヴューしていました。笑...
 

 

 

 発達トラウマのある、愛着障害の子どもは、大人を試す天才です。その手に乗って、まんまと怒ったり、否定的な言葉を言ってしまったら、「あぁ、この人も、お母さんと一緒だ」となって、安心と安全は、「この人もくれないんだぁ」となってしまって、落第・不合格…。

 ヴァン・デ・コーク教授のThe body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』の第13章 Healing from trauma : Owing your self 「トラウマから癒されること :本当の自分を生きること」p.212の第3パラグラフから。

 

 

 

 

 

 

 急性期のトラウマ、たとえば、レイプされたり、事件の巻き込まれたり、自然災害にあったり、した後、親しい人、親しみのある顔、馴染んだ声が必要でしょ。タッチ、食べ物、避難所、安全地帯と睡眠時間が必要です。近くにいようと、遠くにいようと、大好きな人とやり取りのある話をすること、あるいは、安全だと感じる場所で家族や友達とできるだけすぐに再会することが、とっても大事。私どもの愛着の絆は、怖れに対して一番の守りでしょ。たとえば、トラウマになった出来事の後で両親から引き離された子どもたちは、長期間、非常に深刻な影響が残りがち。第二次世界大戦の間、イギリスで行われた研究によれば、ドイツ軍の大空襲の時にロンドンに暮らしていた子ども等で、ドイツ軍の不意の空爆から逃れるために田舎に疎開した子ども等は、そのまま両親とともに留まり、夜毎に防空壕で耐え忍び、建物が壊され、人々が殺されること想像して怯えていた子ども等よりも、遥かにまずいことになっちゃたくらい。

 

 

 

 

 

 両親から引き離されることが、空爆に夜ごと怯えていることよりも、子どもにとって悪影響があったとする研究があることは、よく分かります。東日本大震災の地震と津波よりも、仕事や研究で両親から引き離されたことの方が、遥かに深刻な愛着障害になるケースだらけだからです。

 

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