エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

心の病の源

2016-03-28 08:03:39 | アイデンティティの根源

 

 

 
シングルマザーと安倍政権
  シングルマザーのおかれている状況も、いま私たちがどんな社会で暮らしているのか、考える時に重要です。 私たちはどんな社会で暮らしているのでしょうか? こ...
 


 反抗の話題は、人気がありませんが、今どき大事な視点です。

 今日は、Young Man Luther 『青年ルター』、第Ⅷ章 終章(エピローグ)のp.262の、下から3行目途中から。

 

 

 

 

 

 霊的指導者は、謙遜の極みにおいて「自分の口は、キリストの口です」というものだ、とルターは言いました。霊的指導者の神経は、いまだ簒奪者の神経です。ですからしばらくは、世界は、良くなるというヴィジョンがありながらも、だんだん悪くなるのかもしれませんね。一番古い禅の詩から、一番最近の心理学の定式まで、「善悪の葛藤こそが、心の病」というのは、ハッキリしています。

 

 

 

 

 

 そして、善悪の葛藤を起こす元が、自罰的であると同時に、他罰的でもある、「悪い良心」です。ですから、「善悪の葛藤こそが、心の病」という定式は、「悪い良心こそ、心の病の源」という定式に、言い換えることが出来ます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

真の叡智とヴィジョン

2016-03-28 07:33:19 | エリクソンの発達臨床心理

 

 

 
魂の炎
  こういう北の浜を持っていたいものですね。  The Sense of Wonder 『不思議を感じる心』から p106の4行目途中から。 ...
 

 

 年寄り不遇の時代です。

 The lie cycle completed 『人生の巡り合わせ、完成版』の、p.116の、第3パラグラフ、8行目途中から。

 

 

 

 

 

 己を知ることが真の叡智であり、自覚的であることでもある、と知ったことを思い起こして下さい。己を知るだけで、死の扉までの長旅に十分準備をしたことになるでしょうか? 私どもの社会は、最後の人生の巡り合わせの舞台が移り変わるのを手助けしたり、年寄りたちが存在することに見合ったことをしているでしょうか? すべての人が、年を取るのです。かつてないほど人が、80の峠を超えるようになり、薬のおかげで、寿命が大幅に伸びました。しかしながら、年寄りたちを、私どもの社会と生きる場に包み込む方法に対する見通しは、そのヴィジョンも計画も、いまだ全くないのです。

 

 

 

 

 

 大きく社会が変化する時に、人間らしさを守るためには、それなりのヴィジョンが必ず必要です。つまり、真の叡智は、ヴィジョンと言う形を取らなければならない、ということです。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

表現するだけで、発達トラウマは解消するか? 言葉にする必要もあるのか?

2016-03-28 02:15:30 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 

 

 
ルターとドイツ神秘主義
  自分を確かにするには、進取の気質が必要だったり、積極的であったりする必要があると考えがちです。しかし、実際は真逆です。完全に受け身な方が、はるかに自分を確かに...
 

 トラウマには、芸術療法の効果が「絶大」です。

 ヴァン・デ・コーク教授のThe body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』の第14章 Languare : Miracle and Tyranny「言葉 :奇跡も残虐も(、もたらすもの)」p.245から。

 

 

 

 

 

 

 恐怖が伴う、話しができない状態を避けることができる力が、美術、音楽、ダンスにはあることが、世界中のいろんな文化圏で、芸術(表現)療法がトラウマ治療に使われている1つの理由かもしれませんね。言葉に由らない芸術表現セラピーを、書くセラピーと比較した数少ない体系的な研究の1つは、ジェームズ・ペネベーカーと、サンフランシスコのダンス・運動セラピストのアンネ・クランツによって、行われました。64人の学生たちの集団の3分の1が、三日連続で、1日最低10分間、身体表現運動で、自分のトラウマ経験を表現し、10分間でトラウマ経験について書くように言われました。第2グループは、トラウマ経験を表現するダンスはするけれども、それについて書くことはありませんでした。第3グルーブは、いつもやる運動プログラムをやりました。3か月間たってから、すべてのグループのメンバーが、前よりもハッピーで、身も心も魂までも健全になったのかを報告しました。しかし、トラウマをダンスで表現し、また文字にしたグルーブだけが、改善した客観的な証拠を示しました。すなわち、身体の健康が増し、平均成績も上がりました。(この研究では、特定にPTSDの症状は評価していません)ペネベーカーとクランツの結論は、「トラウマを表現しただけでは不十分で、身も心も魂までも健全になるためには、経験を言葉にしなくちゃなりません」というものでした。

 

 

 

 

 

 発達トラウマも、言葉にすることはもちろん大事です。しかし、私の心理臨床の経験から申し上げれば、箱庭やコラージュなどで表現するだけで、言葉にしなかったケースの方が、言葉に出来たケースに比べて、むしろ、キレイサッパリ、発達トラウマから解放されていますね。≪話し言葉≫を大事にしている私の理論的な枠組みからは外れてんですけれども、それが現実です。また、それが不思議です。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

長時間労働が、発達トラウマを作り出す

2016-03-28 01:15:05 | ブルース・ペリー教授の『犬』

 

 
シングルマザーと安倍政権
  シングルマザーのおかれている状況も、いま私たちがどんな社会で暮らしているのか、考える時に重要です。 私たちはどんな社会で暮らしているのでしょうか? こ...
 

 アメリカでは、おおよそ40%の子どもたちが、大人になる前にす、トラウマになりかねない出来事に、少なくとも一回は出くわします、と言います。日本では、もっと多い感じです。日本は、長時間労働、長時間通勤が基本ですから、とにかく、ネグレクトが一番多いケースです。積極的に暴力をふるってる訳ではないので、ネグレクトの親の方も「病識」がないのが普通です。

 ブルース・ペリー教授の The boy who was raised as a dog の第11章、「癒しのやり取り」に入りますp.233、真ん中あたりから。

 

 

 

 

 

核家族の崩壊は強調し過ぎですけれども、大きな家族、すなわち、人の社会的繋がりという根源的な生き物としての絆は、その解体についてはあまり論じられることがないけれども、少なくとも、核家族と同じくらい大切なことです。レオンの物語を思い出すかもしれませんが、身も心も魂までも健全な子どもになんとか育てることが出来る若い夫婦と、1人の親、もしくは、両親ともに、何物かに心奪われ、子どもの相手に真面にならない、ネグレクトの場合では、事情は全く違うのは当然です。 

 

 

 

 

 日本でこれだけ発達トラウマが多い最大の原因は、日本の労働政策があまりにも貧困である結果の、長時間労働です。

 日本では、長時間労働が発達トラウマを作り出しているのです。

 長時間労働が解消しただけで、貧困問題、保育の問題、介護の問題など、かなりの社会的課題が解消するはずです。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする