子どもたちの脳は、養育環境の影響を直接受けてしまいます。虐待やネグレクトを続けたら、親自身も、それが当たり前になってしまうのが、また、怖ろしいことですね。
ブルース・ペリー教授の The boy who was raised as a dog の第11章、「癒しのやり取り」のp.241の ブランクから。
さらに、人間が進化したのは、協力することが生き残るために欠かせない状況下でした。私どもはいつでも平和的であったわけではありませんが、暴力的になりがちな傾向をなだめるように、子育てをしたり、紛争を解決してきた社会もありますよね。かたや、暴力的になりがちな傾向に拍車をかけるように活動してきた社会もありますよ。進化論者が向かい合わざるを得ない一番困難な課題は、いかにしたら協力することが進化するのか? ということです。というのも、進化における「勝者」は一番上手に繁殖する動物ですし、一番自己中心的な行動をする方が、生き残るチャンスや繁殖するチャンスになる訳でしょ。進化論者が長年強調してきたのは、「自然は、歯や爪が血で赤く染まるもの(弱肉強食)」ということでしたけれども、生き残るために一番ぴったりと来る競争に着目する視点が見失っていることは、人類と他の少数の種の、最も魅力的で大切な特質です。すなわち、自分が損をしても、他を助ける、利他主義の傾向です。
人間には、暴力的になりがちな傾向があると同時に、自分が損をしても、他を助けるという傾向も同時にあります。
やはり、ブルース・ペリー教授も本物ですね。
仏教では、それを「一切衆生悉仏性(いっさいしゅじょう しつぶっしょう)」というそうですね。
キリスト教では、「イエス・キリストにある信仰のゆえにあなた方は皆神の子です」(『新約聖書』「ガラテャ人への手紙」第3章26節 前田護郎訳)と言います。
ヒューマニズムでは、「人間皆兄弟」となります。
ここに希望がありますね。