朝夕涼しくなってきたので、もう二か月近くもサボっている廣徳寺の作務にそろそろ出向かねばならぬナァ、と考えました。
ところが、家にいる間はなんでもなかったのですが、買い物をしようと外に出て歩き出すと、頭がどんよりと曇った感じがするのです。
脚も重いし、微熱もあるようで、酒も呑んでいないのに、顔が火照っています。本土寺の参道まで出ぬうちに外出は取りやめることにして家に戻りました。
五月、六月ごろ、頭の中に蜘蛛の巣が張っているような感覚に悩まされていました。そこまで濃くはないけれども、薄い巣が張っている感じが戻ってきたみたいです。
体調が上向いてきたと思って、調子に乗って遠出をしたり、歩き過ぎたりしたツケが出たのではないかと思いましたが、家に帰ってしばらくすると洟水が出るようになりました。
鼻風邪のようです。持病の警戒警報は解除になったわけではないので、体調が芳しくないのは風邪のせい、とわかればホッとします。
昨日十九日の朝のうちは庭に出て穴を掘っておりました。細葉榕(ガジュマル)を植え替えようと思ったのです。高さが30センチもある鉢に植えておりましたから、小さなスコップでそれだけの深さの穴を掘るのは結構手間取ります。
夢中でやっている間に、悠に一時間は経過していました。
直射日光はまだまだ強い。汗びっしょりになって、そういえば今日十九日は先考の月命日であったと思い出し、焼香する前に髪と身体を洗いました。そうして風呂場から出るとき、ヒヤッと感じたのを思い出しました。
のらりくらりと小一時間過ごし、北小金駅のマツモトキヨシまで風邪薬を買いに行くことにしました。今度は加えて軽い偏頭痛と胸焼けのような息苦しさがあります。
北小金駅南口にあるマツモトキヨシまでは歩いて十分ほどです。
歩いたせいか、ほんの少しだけ身体に潤滑油が廻ったようです。薬を買ったあと、東漸寺へ足を延ばしました。
まだ四時前でしたが、陽射しの遮られた林の中はすでに夕暮れの雰囲気です。参拝客の姿はありません。
境内にある自販機でミネラルウォーターを買い、山門の敷石に腰を下ろして薬を服みました。
観音堂の扉が開いていました。
この観音堂は元禄十四年(1701年)、東漸寺十七世・通譽岸了上人が現在の場所よりもっと手前にある中門脇に建立したのが始まりです。風雪に晒されて補修を加えたものの及ばず、平成八年、現在の本堂左手前に新しく建立されました。
画像の左手が墓域の入口になっています。グルッと巡って戻ってきたら、扉は閉められてしまっていました。
ものの数分でいつもどおりの観音堂。
旧小金宿本陣跡の前を通って市立図書館の分館へ行きました。小さな図書館なので、借りたいと思うような本には出会えませんでした。
家に帰ったあと、朝のうちに掘っておいたところに細葉榕を移し替えました。
鉢植えだったので、一定以上に根を大きくすることができず、枝も伸びると切らざるを得なかったので、高さは30センチほどしかありません。
しかし、私の手許にきてからすでに十九年になります。きたときは両手で包めるほどの大きさでした。
東京・新宿の中落合から目白駅に近い下落合に引っ越した当夜、近くにあった花屋さんで買ってきたのでした。
あろうことか、引っ越し先を決めていないという引っ越しで、しばらくはウィークリーマンションを借りて過ごし、荷物は運送屋に預かってもらっていたので、いざ引っ越し先が見つかったときには、家具その他は何もないといういい加減さでした。部屋の中に何もないという状態が寂しく物悲しく、適当な気持ちで手に入れた鉢植えでした。
考えてみると、こうして思い出さない限り当人は忘れてしまっていますが、振り返ってみれば、昔から付け焼き刃式のドタバタ人生を送っています。
細葉榕は沖縄ではキジムナー(キジムン)という妖怪が宿る樹だと考えられています。妖怪といっても、おどろおどろしいのではなく、ユーモラスな存在です。
人間と同じように男女の性別があり、結婚もすれば、子どもも生むのだそうです。家族連れで現われて、仕事を手伝ってくれたり、食事時には竈の火を借りにくることもあるらしい。
人間と敵対するようなことはほとんどありませんが、住みかである樹を伐ったりすると、家畜を全滅させたり、窒息死させたりすることもあるそうです。
こうしてキジムナーに嫌われた家は滅び、逆に気に入られた家は栄える、という言い伝えがあるそうです。
家の盛衰などを思い悩むような家柄ではないので、それはどうでもいいことですが、知らず知らず枯らせてしまって、仕返しに窒息死させられるのだけは困るので、ひときわ丁寧に植え替えを済ませました。
これからは独特の気根を縦横無尽に伸ばして大きくなり、やがて沖縄からキジムナーが遠征してくるほどの樹になるかもしれません。
沖縄テレビ放送ではキジムナーをマスコットキャラクターにしています。名前は「ゆ~たん」。
伸び上がったときの眼はちょっと不気味です。仕返しに窒息死させにくるようなときはこんな眼をするのでしょうか。
水木しげるさんの「ゲゲゲの鬼太郎」にも登場していて、こちらは鳥取県境港市にあるキジムナーのモニュメント。
米子と境港を結ぶJR境線の駅には「ゲゲゲの鬼太郎」に登場する妖怪の名が愛称としてつけられています。キジムナー駅は終点・境港の一つ前の馬場先町駅。
境線には十六の駅しかありません。目玉親父やぬらりひょんを押しのけて選ばれたのですから、結構メジャーな妖怪だといっていいでしょう。
ちなみに鬼太郎駅は境港駅、米子駅はねずみ男駅。
※キジムナーの画像は沖縄テレビ放送ホームページとウィキペディアから拝借しました。
四日前の雨の日に買ってきた桔梗殿が次々と花を咲かせました。左下隅で開花寸前を迎えている蕾(一つだけ)は四月にダイエーで買った桔梗殿です。
キジムナーの樹はこの画像では右上にあることになります。
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がじゅさんも、シークヮーさんも長生きですなあ。
今日なんか、まだ暑いので
ご自愛下さいまし…。