たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

ルーヴル美術館展より‐「鹿に変身させられたアクタイオン」

2024年11月26日 00時20分14秒 | 美術館めぐり

(公式カタログより)

フランチェスコ・アルバーニ

1578‐1660

《鹿に変身させられたアクタイオン》

1640年頃

油彩、カンヴァス

77 × 99 ㎝

 

(公式カタログより)

「魅力的な裸体の女性たちを見せるための口実となったこの絵画の主題は、「鹿に変身させられたアクタイオン」である。17世紀前半のエミリア派の古典主義を代表する画家であるアルバーニによって描かれた本作品は、きわめて豊かな図像学的内容をもっている。

 本作品は神話主題ではあるが、その構図は風景を巧みに利用することで成り立っている。洞窟にはきれいな水が湧き出て、狩猟と貞潔の女神であるディアナの付き添いの女性たちの乳白色の身体をさわやかに包んでいる。また、岩の向こうには穏やかな森が広がっている。風景は、神話主題であることから異教の神々の威厳ある姿が見られる一方で、森の雰囲気も湛えている。ここに描かれている女性の裸体像は、ごく自然なものというわけではない。アルバーニを関連づけるべきカラッチのアカデミーの素描を学ぶ授業の中では、女性モデルがポーズをとることはなかった。ディアナやお供の女性たちは大まかに言って再構成であり、彼女たちは両性具有で、いずれにせよ、頭部が小さく、広い腰、異様なまでに引き伸ばされた背骨など慣習的な決まった形態が採用された。オウィディウスの『変身物語』から採られた主題は、狩人アクタイオンについての物語である。偶然にディアナが水浴するところを目撃したアクタイオンはその罰として鹿に姿を変えられ、彼自身の狩猟犬によってむさぼり食われてしまう。これは意図しない罪とその罰についての主題である。アルバーニは女神が罪人を指し示し、最後のさばきを申し伝える瞬間を描いている。アクタイオンには、すでに角が伸び始めている。ディアナの顔にはどのような怒りの表情も見られず、喜びだろうと怒りだろうと神々は顔をしかめることのない古典主義的な美の理想に一致している。侵犯、そして呪い、この主題は、人間世界への超自然の侵入を表している。「黄金の世紀」、すなわち、キリスト教的奇跡を描く絵画が盛んだったその時期に、アルバーニは古代の奇跡を描いた。カトリック文化と神話の目録は「聖人の世紀」に共存していたのである。」

 


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