思いつくままに書いています

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御用とお急ぎでない方は、ごゆっくりどうぞ。

宝塚月組公演 月組公演 『舞音-MANON-』『GOLDEN JAZZ』 満足の舞台でした

2015年12月07日 | 宝塚

11月26日に、月組公演『舞音』―MANON―(植田景子脚本、演出)&『GOLDEN JAZZ』(稲葉大地作、演出)を観てきました。
芝居もショーもいい出来で、見ごたえ十分でした。今回の観劇で一番の目玉はショーでの愛希れいか以下選抜メンバーの超ダイナミックなダンスと、珠城りょうの二番手確定の大きな羽根(笑)。とくに珠城りょうが、フィナーレで大きなピンクの二番手羽根を背負って階段を下りてきた姿にはビックリ。

ではまず『舞音』の感想から。といってもいつもの独断と偏見に満ちた感想なのでご了解ください。男トップ大絶賛ではないので、贔屓にされている方はスルーが吉です。例によって敬称略です。

脚本ですが、やはり宝塚で今一番安定した力量のある植田景子だけあって、よくできたストーリーでした。登場人物のキャラクタにも生徒の持ち味が十二分に生かされていました。
ところで最初、『舞音』と聞いて「マノン・レスコー」を思い出しましたが、今回の作品もそれをベースにしているものの、舞台は1929年の仏領インドシナのベトナムに移し、さらにオリジナルな話としてベトナムの民族独立運動を絡ませた作品になっています。

ただし、貴族のエリート青年将校が、奔放な女性の魅力に振り回されて進むべき道を誤るという話は『マノン・レスコー』だけでなく『激情』にも通じる感じで、初めはけっこうデジャブ感がありました。中盤には「もう結末が読めてきたな」と思っていたら、後半、民族独立運動が主題になってくるとそんな予測は大外れ。(笑)
そして最後の舟の場面ではついホロリとな。演出家の術中にハマってしまいました。(笑)

植田景子は作品のために装置の松井るみとともに取材で現地に出向いたとのことですが、ベトナムの歴史にも十分気を配っていていい脚本でした。

話の冒頭、1929年夏のサイゴンの港で、白の軍装の青年がせり上がってきて、当然龍真咲かと思ったら、実はシャルル2(笑)の美弥るりか。その後、同じ格好の龍真咲扮するシャルルが登場するあたりはけっこう凝った導入でした。
でも凝ったプロローグの割にはその後の美弥・シャルル2の意味がよく伝わらず(プログラムでは愛と官能の象徴だとか)、もったいない存在でした。台詞も最後の場面だけという設定のはかわいそう。「風‥」のスカーレットみたいに対話させたらとか、モノローグを被せて登場させたらとか思いましたが、それではベタ過ぎか。(笑)

パッション』で超ドッキリさせられたベッドの場面がこの「マノン」でも出てきましたが、前者の衝撃度と比較したら今回はかわいいものです。まあ宝塚の限度でしょうね。(笑)
そんな熱愛の二人ですが、すぐマノンの兄クオン(珠城りょう)に見つけられて引き離され、さらにマノンが娼婦で、パトロンの元に戻ったことが分かってシャルルはあきらめるが、偶然サイゴンで再会して二人の愛は再燃し、マノンの歓心を買うためシャルルは悪に手を染めて転落の一途に‥。というところまではよくある話ですが、後半、インドシナ独立運動が発展して、フランス政府の弾圧も激化、その嵐に2人が巻き込まれていくところから新たな展開となります。ここで運動を取り締まる警察長官のギョーム(星条海斗)がカッコいい。颯爽とした悪役で(殴)、スーツ姿がバッチリ決まっていました。

という雑感はこのくらいでまずシャルルの龍真咲から。


やはりこの人は我が道を行く演技。(笑) 
マノンに誑かされて(殴)身を持ち崩し、退廃と苦悩の日々でも表情はあまり苦悩していなくて、いつものカッコよさを意識したゴーイングマイウェイな演技。宝塚のトップともなればそれは当たり前なのでしょうが、あまり相手の演技とキャッチボールをしないような感じですね。そんなブレないところがファンには魅力なのでしょうが。
でも、私には苦悩や喜び、怒り、嘆きといった表情の変化がよくわからなかったので、ちょっと感情移入しにくい主人公でした。



マノン役の愛希れいかは良かった。

飛び切りの美貌というわけではないのに(殴)、魅力的なヒロインになり切っていて、シャルルが一目で虜になるのも無理ないというマノンでした。舞音じゃなくて「魔音」のほうがいいと思ったくらいです。(笑) この人は『1789』を観てから私の印象が一変しました。
でもマノンが、シャルルに大金を浪費させていく場面では、ただの悪女で嫌な感じでしたが(笑)、スパイ容疑で捕まって有罪決定で流刑地に向かうあたりから一変して、悲愴な囚人姿が胸を打ちました。でもマノンが、シャルルを単なる金づる扱いしていたところからいつ真の愛の対象とするようになったのか、その心理の変化の描写がちょっと少ない感じがしました。プログラムではシャルルの手紙が決め手となっていますが、それではちょっと遅すぎな感じです。(笑)
まあこのあたりの心理描写の少なさは、一本物ではない時間的な制約があるでしょうね。
それでもなお、流刑地への船着き場から始まって、シャルルが負傷したマノンとともに霧のハロン湾に船出する最後のシーンにかけては、涙・涙の名場面となっていました。まんまとしてやられました。(笑)

マノンの兄クオン役の珠城りょうは、妹のヒモ的存在です。でも、存在感があるのに役的にはあまり話に絡まないのが残念。私はクオンはただのヤクザな男ではなく実は革命運動の重鎮だったりとか期待していましたが、やっぱりただのヤクザな男で(笑)最後もあっけなくて、ちょっと残念。でも華奢な男役が多い月組ではこの人の存在感は新鮮です。(笑)




親友クリストフ役の凪七瑠海は、『舞音』への手紙の橋渡し役など果たしてくれて、シャルルのいい友人です。でも話に大きく絡むわけではない印象の薄い役です。最近の彼女はこういう役が多くて、ちょっと気の毒ですね。


もっと残念なのがシャルル2の美弥るりか

1789』では悪役シャルル・アルトワ役でインパクトのあるいい演技を見せてくれたのに、今回は最初から最後までずっと無言で踊るだけ。セリフはラストの一言のみとあんまりな仕打ち(殴)。シャルル2効果もあまり感じられなかったです。
余談ですが、今後この二人の処遇が気になりますね。

専科から古巣への出演となった警察長官ギョームの星条海斗ですが、一目でわかるスーツの粋な着こなしで鈍い私でもすぐ分かりました。目深にかぶった帽子もカッコいい。これからも専科で活躍してほしいですね。秘かに応援しています。こんなところに書いていたら秘かでもないか(殴)。

民族独立運動のメンバーはマダム・チャンの憧花ゆりのをはじめ、みんな後半に活躍しますが、中でもホマの海乃美月が宝石泥棒とか冤罪証言とかインパクトのある役で印象に残りました。

この作品は演出家の好みを反映した外部の女性スタッフが活躍しています。
作曲のジョイ・ソン、装置の松井るみ、衣装の前田文子、振り付けの大石裕香と多彩・多才な顔ぶれです。音楽と衣装はよかったですが、松井るみの舞台装置は前作の『アンドレア・シェニエ』とは打って変わった抽象的で象徴的なデザインでした。
私としてはバウホールの舞台みたいな感じで、ちょっと寂しかったですが、ヨメさんは激賞していました。(笑) ただラストのハロン湾の舟の場面はよかったです。観ていて「王家‥」のボートの場面を思い出しました。
振付は特徴があまり感じられなくて、印象が薄かった。^^;

しかしベトナムが最終的に民族解放を成し遂げるのは、舞台の時代設定から実に40年も後のことになりますね。

ショーの『GOLDEN JAZZ』は、最近大活躍の稲葉大地のジャズをテーマとした華やかな作品でした。
出だしから手拍子が起きて、好評販売中のミニタンバリンも加わって観客もノリノリ。曲も馴染みやすい選曲でいい構成でした。客席降りでは通路側のヨメさんが3度もハイタッチしてもらって大喜び。
ショーでは「rhythm」が今回の最大の見どころでした。昨年の星組のショーで「カポネイラ」が大好評だった森陽子がまた振付を担当し、今回も圧巻のダンスシーンを展開していました。
とくに愛希を中心にしたアフリカンテイストのダンス場面では、こちらが心配するほど体を酷使する激しいダンスが続き、圧倒されました。珠城りょうなど男役陣を従えてメーンで踊る愛希の切れのいいダンスが素晴らしかったです。身体能力の高さは現娘トップの中では群を抜いています。

すごかったです。

フィナーレのエトワールは星条海斗でした。そして美弥・凪七に続いて、珠城りょうが二番手の大きな羽根を背負ってパレード。びっくりしましたが、これまでぼかされてきた月組二番が確定したわけで、歌劇団の方針がようやく明確となってよかったです。

というわけで、芝居もショーも観て悔いのない良作で満足でした。ここまでご覧いただきありがとうございました。
これで私たちの今年のタカラヅカ観劇はおしまいです。本当に1年が早いです。(笑)
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宝塚 花組公演 『新源氏物語』&『Melodia-熱く美しき旋律-』を観て 遅すぎの感想です^^;

2015年11月09日 | 宝塚
新源氏物語を観てきました。といっても観たのが10月22日なので遅すぎですが、芝居のほうがどうもあわないというか、あまり面白くなかったので、感想を書く意欲がわきませんでした。

以下、感想です。いつものように敬称略。画像はスカステのナウオンステージの画面撮り(モアレ多発です^^;)とプログラムから。
この新源氏物語、ご存知の通り一口に言えば女性遍歴の話です。和製ドン・ファン、またの名をドン・ジョバンニ。
まあ絢爛豪華な平安の王朝絵巻といっても、話の芯を取り出したら、義母から始まって、次々にいろんな女性と浮名を流し、果てはまだ幼い少女を拉致監禁して自分好みの女性に仕立て上げるという、今なら即逮捕確実な話です。(殴)

光源氏の守備範囲の広さには感心しますが(笑)、そんな主人公でも、女性遍歴に至る心理描写が掘り下げていたらまだしも、どうなるかと場面に見入っていても、まるで紙芝居のように次々にコーラスとともに場面が変わるのでちょっと興醒め。話としても結局ただの女たらしにしか見えず(殴)、期待がはぐらかされて途中からちょっと気分も白けてきました。(笑)

ただし、その場面転換のコーラスはみんな美声ぞろいで、しかも寺田メロディ全開で聴きごたえは十分。さらに筋書きはともかく(笑)、舞台は絢爛豪華で、ひな壇のような階段の使い方も面白いし、衣装も豪華で見ごたえあり。

トップコンビを先頭に、花組メンバーの頑張りもよく伝わってきましたが、なにせ日本物にありがちなスローな展開な上に、元が長編小説なので、登場人物は多いもののキャラクタは描き切れず、芝居としてはダイジェスト版になったのが残念でした。
でも、後日他の人の感想を聞いたら、「よかったですぅ~♪」だったので、受け取り方はさまざまですね。

でもショーの方は良かったです。

中村一徳作・演出ですが、スペインをメインにラテンカラーの強い舞台でした。最近ラテンもののショーが続いていたので、最初はまたかと思いましたが、構成がよく練られていて、場面展開が新鮮でした。それと、やはり歌ウマの生徒が多いので聞きごたえもタップリ。
柚香光とデュエットダンスを踊るスペインの女Aの鳳月杏も魅力的でした。


個人的に今回の公演は鳳月杏の活躍が印象に残りました。パレードのエトワールは乙羽映見のピンチヒッターで仙名彩世が安定した伸びのある美声を聞かせてくれました。

というわけで、これで感想はお終い。
というのもアレなので、薄いですが、以下主なメンバーの芝居とショーの感想です。

まず光源氏の明日海りおです。

本当にこんな主人公だったら何でもアリが許されるのかもと思ってしまうほど説得力のある美男子。加えて歌も上々と来たら、最強の光源氏ですね。
花乃まりあとの相性もいいです。

ショーの方もダイナミックなダンスや、しっとりとしたデュエットもあってよかったです。








藤壺の女御の花乃まりあも大人の女性をうまく演じていました。とくに面白かったのが桐壷帝の汝鳥伶が光源氏の子供を抱きながら、光源氏と藤壺の女御を前にネチネチと(笑)二人の仲を責めるところ。

自分の犯した罪にさいなまれる様子がリアルで、まさに針の筵そのものでした。
最近花乃まりあはちょっとやせ過ぎで、頬もこけているのが気になりますが、この場面では逆にそれが効果的だったりして。(殴)

それと、汝鳥伶がまるでギリシャ悲劇の登場人物のようで、その内面の苦悩がよく伝わってくるいい演技でした。


ショーの花乃まりあです。




今回の公演で一番インパクトがあったのは六条御息所と柏木の二役に起用された柚香光ですね。六条御息所が登場したときは思わずオペラグラスをとって注視しましたが、かなり怖かった。(殴) 二度とアップでは観ませんでしたが。(笑)

嫉妬の炎を燃やす役なので当然ですが、どことなくぎこちない感じもあって、やはり柏木のほうが観ていて安心でした。芝居でもショーでも歌が格段によくなっていたのも好印象でした。


惟光役の芹香斗亜は、すっかり二番手が定着した役どころで、堂々とした歌唱力とさわやか演技で目立っていました。

各所で笑いもとっていて、光源氏の随身として芹香斗亜にぴったりのおいしい役どころでした。ショーでも活躍、フィナーレのパレードでは大きな羽根を背負っていました。








源氏の親友・頭中将の瀬戸かずやも明日海に寄り添うもうけ役でした。


ショーでも活躍。




ファントムの新人公演以来秘かに応援している(笑)鳳真由も、芝居では出番が少なかったものの、ショーでは随所で美声をタップリ聞かせてくれました。




でも、娘役のほうは、役の数は多くても登場時間が短くて人物が描き切れていないので、あまり印象に残らず。結局花乃の藤壺以外はよくわからない役ばかりでした。葵の上の花野じゅりあも出番が少なくてガッカリ。仙名彩世の朧月夜とか、朝月希和の女三ノ宮もしどころのない役でもったいなかったですね。

ということで、帰途の車中でヨメさんと感想を交換。

今回の公演は、明日海りおの圧倒的な美男子ぶりには見惚れるし、他のメンバーも全員頑張っていたし、先のとおり花組の歌ウマぞろいにも感心したものの、リピートは出来ないなという結論に至りました。(笑)
でも芝居はともかく、ショーはよかったので一度は観てください。(説得力ないか^^;)

パンフレットです↓





今回もここまでご覧いただきありがとうございました。次はこれも遅すぎ^^;のミュージカル版「CHESS THE MUSICAL」の感想です。

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星組公演『ガイズ&ドールズ』再び-ますます面白くなっていました

2015年09月14日 | 宝塚
8月27日に観てから、とにかく楽しい舞台だったので、帰途の車中で再観劇の合意に達しました。(殴)

そして、ヨメさんとチケット仲介サイトを探索、まもなくリーズナブルな価格のチケットを見つけてポチッとな。
9月13日に観てきました。
私たちの観た11時公演は貸し切り公演で、スポンサーはセディナ。
でも前日までセディナとは何ぞや?でしたが、三井住友グループのクレジットカード事業会社なんですね。ちっとも知らなかった。(^^;

当日の道中は往復とも稀に見る交通量の少なさで、1時間きっかりで大劇場に到着。劇場はまだ閑散としていて、弁当を買うにも販売開始時間になっていませんでした。で、ロビーを見わたすと、セディナさんのブース?があって、チケットの席番号の抽選で当たる賞品などが置いてありました。


結構賞品がよくて、次回星組公演(コウモリですね)のSS席最前列中央にペアでご招待とか、豪華です。


幕間に抽選発表があると書いてありました。「何か当たるといいね」と私がいうと、ヨメさんは「そんなんあたらへんわ」。
二人の性格の違いがよくわかるでしょう? でも最下段の、列関係なし席番号だけの抽選なら当たるかもと、未練な私はひそかに期待していました。(笑)

前回は上手側端の席でしたが、今回は下手側の端。車椅子利用には下手側のほうがいいのですが、先行予約で当たるのは上手側ばかり。久しぶりの下手側でした。幕の見え方も違うし、

レンガ塀も新鮮でした。




で、ようやく感想です。いつにもましてとりとめのない話ですが、よろしければお付き合いください。以下敬称略です。

まず最初は北翔海莉のスカイです。やはり公演の回を重ねて自信がついてきたのか、余裕たっぷりの歌でした。迫力のある歌声にさらに磨きがかかって、聞きごたえ十分でした。

それに加えて、貸し切り公演ならではアドリブでも楽しませてくれました。最初のタクシーの場面では「支払いはセディナカードで!」。
そして(前回私が勘違いしていましたが、実際はサラではなくてアデレイドとの同席場面での)ホットボックスでの支払いでも「支払いはセディナカードで!」。ウケていました。(笑)
一番面白かったのは、舞台の後半、北翔海莉が、十輝いりすのテディベアを取り上げて客席に投げるような仕草をしたところ。一瞬まわりが驚いて、それを見た北翔海莉が自分で吹いてしまって、しばらく笑いが収まらず、後ろに下がって帽子で笑顔を隠していました。それを見た客席も大笑い。
その後すぐ立ち直って、真顔で演技していましたが、私は百戦錬磨な彼女でもこんなことがあるのかと、素の彼女を垣間見た感じでちょっと得した気分でした。
演技もメリハリがはっきりしてきて、ますますよくなっていました。

サラ・ブラウンの妃海風はやっぱり初演のキャストよりもいいですね。ハバナ行を巡って、スカイへの想いとか自分の気持ちの変化がよく表現できていて、ヨメさんもすっかり気に入った様子で「妃海風は良かったね」と褒めていました。学年差はあってもいいカップルで一安心。(笑)

ただ、前回はほめすぎだったのが歌で、アデレイドと一緒に歌う場面だとまだ発展途上な感じがしました。今後に期待しましょう。

ネイサン・デトロイトの紅ゆずるは今回観て、やはりハマリ役だと思いました。裏町を仕切るバクチうちの頂点にいても、実は小心者で軽くて頼りなくて、どこか憎めなくて優しいところもあるネイサン。

初演のウタコもよかったですが、今回の紅ネイサンもアリだと思いました。

結婚しても礼アデレイドの尻に敷かれて幸せな生活を送れそうです。(笑)

そのアデレイドの礼真琴です。私はリピートで一番楽しみにしていた役ですが、本当にうまいもんですね~♪
演技に過不足なくて、こういう役にありがちなやり過ぎ感が全くなくて、歌も恐ろしくうまい。
「ミンクを持って帰る男(TAKE BACK YOUR MINK)」などの曲は、何度聞いてもすごいです。
男役で、短時間の稽古でよくこんなに完ぺきに女役をできるもんだと感心しながら観ていました。それとダンスも見ごたえがあります。私的にはアデレイドが一番おいしい役だと思っています。大したものです。
男役をやっているといい意味で演技に強さが出て、今回のような役でも臆せず存分に弾けまくれるのでしょうね。演出も適切で、いい感じでした。
ショーの紅とのデュエットも期待通りで、ダンス巧者の本領発揮でした。


で、幕間になって、ヨメさんに付き添って障がい者トイレに行く途中、プレゼントの抽選結果のアナウンスがありました。歩くのに必死なヨメさんを見守りながらなのでよく聞こえなかったものの、どうやら私の席番号7が当たったように聞こえました。
その後、席に戻って昼食を済ませてから、「礼真琴だといいね」と言いながらチケットを持ってロビーに確認に行きました。やはり当たっていて、礼真琴のサイン入り色紙でした。(笑)

これで~す♪↓

帰宅後座席表で数えてみると、大劇場の7番は40席ありますね。直筆ということですから、40枚書いたのでしょうか。
ただ、何と書いてあるのか文字がちょっとわかりません。(笑)

今回の観劇でもう一人印象に残ったのがナイスリーの美城れんです。やっぱり絵になる!それと歌も味がある!
ベニーとラスティを従えて、舞台を歩き回る姿はまさに「余人をもって代えがたい」。(笑)

この役を2002年に大空祐飛がやったというのはちよっと想像できませんね。

前回あまり触れなかったですが、今回観て壱城あずさのハリーも結構目立っていました。サングラスがよく似合って、ちょっと強面のワルのギャンブラーです。 アーヴァイトの天寿光希の善人そのものの役と好対照でした。

十輝いりすのビッグ・ジュールは、前回かなり台詞が軽く感じましたが、今回は強くなっている印象でした。ただ彼女は、声が体に似合わず(殴)やさしいですね。これがもっと押し殺したような低い声で「クラップやろうぜ」と言ってくれたらさらに迫力が出ると思いますが。

初演の旺なつきがかなりインパクトがあったので、つい比較してしまいます。

あと前回記していなかったことでは、クラップ集団のアンサンブルの見事なこと。大したものです。この公演、本当にどの歌も聞き応え十分でした。それと、使われている曲がまた耳に残るいい曲ばかり。

ただ、2回観た後で、ヨメさんが残念がっていたのは二幕目からのダンスの振付です。これは初演のほうがよかったとしきりに言っていました。あのバスティーユのKAORIaliveだったらどんな振付になっていただろうかとも。でも私は初演を観たことさえ忘れていたので(殴)、このあたりの違いは分りませんが。(笑) 確かにKAORIaliveならまた別の見せ場を作ってくれたとは思います。

話は前後しますが、この日は貸し切り公演なのに立ち見も出ていて、30人ぐらいが観劇されていました。リピートのお客さんも増えているのでしょうね。

ということで、観終わって二人とも大満足。
前回見落としていたディテールもじっくり観ることができて、楽しいアドリブとラッキーなプレゼントで値打ちのある観劇でした。
古い作品でも、「ミーマイ」などと違ってあまり題材に古さを感じないのもよかったです。シリアスな文芸大作ももちろんいいですが、こういうハッピーな気分にしてくれる楽しい作品も宝塚には欠かせないですね。
芸達者揃いな現星組ならではの面白い出来で、久しぶりに幸せな気分で帰途につきました。

これに続いて、次作品もいい出来になることを願いたいですね。(チト題材が不安ですが(笑))

ここまでご覧いただきありがとうございました。
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宝塚星組公演 『ガイズ&ドールズ』、面白い舞台に即リピート決定!です

2015年09月09日 | 宝塚
宝塚星組公演「ガイズ&ドールズ」、面白かったです

8月27日、新・星トップ北翔海莉の大劇場初舞台に期待しながらムラに向かいました。
途中少し渋滞がありましたが、なんとか予定時間内に大劇場駐車場へ。ただし障害者駐車スペースが満杯。でもかろうじて入り口近くが空いていたのでなんとか駐車できました。この日は確かに車椅子の方が多かったです。
劇場内はもう多くの方でにぎわっていて、ホールも活気がありました。公演の人気を表しているようです。これが不人気な公演だと、どこか虚ろな雰囲気が漂っていたりしますね。

さて今回は北翔海莉のトップ就任初の大劇場公演ですが、これまで長く彼女のトップ就任を期待していた私たちにとって、感無量・万感胸に迫る(はちと大げさかな)な観劇でした。

もう10年ぐらい前になりますが、職場でヅカファンな同僚女性と話していて「北翔海莉もトップになる実力があると思うけどね」と言ったら、「昭和の香りプンプンですね」と軽くいなされました。それまで感想などでは一致することも多かったのでちょっと意外でしたが、「あーそんな見方もあるのか」とも思ったり。ただその後、長く二番手ポジションだったのが、だんだんその保持が怪しくなってきて、とうとう専科入り決定となってからはこちらも吹っ切れました。(笑)
ところがその後、よもやのトップ就任発表というドンデン返し。100周年記念のどんなイベントもかすんでしまう大ビックリ。世の中、何が起こるか本当にわからないですね。
でも彼女も現在研18。あと何回公演できるかなと他人事ながら心配になります。(^^;

余談ですが、開演前トイレに行くと、携帯で大きな声で通話中の男性がいました。
ええ、今回は招待ということでセットしています」とか「本人も本当によくやってきたと思います。まったく縁もカネもないところで、ひとりで長い間頑張ってきて、ようやくここまで来られましたので‥」とか話していました。ひょっとしてご家族とか?

それはさておき、当日は立ち見とまではいかなかったものの、ほぼ満席でした。私たちの席は7列上手端に近い席。

舞台の両袖の通路には、1950年代のニューヨーク・ブロードウェーの街頭が再現されていて、凝った作りの公衆電話ボックスのセットや、

レンガ塀に貼られたリアルなテレビや車の宣伝ポスターと落書きなどがあって、雰囲気たっぷりでした。見ているだけで期待感が高まってきます。

さて、感想です。いつものとおり敬称略。(画像はプログラムの部分スキャンとスカステ・ナウオンステージのキャプチャーです。)

幕が上がってちょっと古めかしいなと思ったのはオープニングが長くてスローテンポなこと。でもセットや舞台を往来する人物の多彩さ、いい出来栄えの舞台装置で、'50年代のニューヨーク・ブロードウェーの雰囲気たっぷりです。行きかう人々を観ているだけでも楽しい。

話は単純で、ニューヨーク・ブロードウェーの裏町に生きるギャンブラーや小悪党たちの世界と、そこでの二組のカップルの恋愛関係を描いたミュージカルコメディですが、やはりアメリカの良き時代を反映してみんな人情味のある人物ばかりです。


で、まず主役スカイ・マスターソンの北翔海莉から。


冒頭の場面でいきなり登場した北翔の歌は、期待どおりの伸びやかな美声で気持ちよく聞けました。これだけでもう作品の出来が予測できます。(笑)
(ただ彼女、前から気になっているのが会話の声ですね。やや鼻にかかった、軽い風邪気味な声(殴)が今回も気になりました。ただそれが歌になるとまったくクリアになるのが不思議です。)


オペラで見ると、ちょっとお疲れか眼の下のクマがちょっと目立っていました。やはりいろいろ心労もあるのでしょうね。(殴)
それと、たまに彼女の演技はどこか頭で作っているように思えて、心ここにあらずな印象を受ける時がありました。でもそれも束の間、舞台は娘トップの妃海風との絶妙の掛け合いが楽しくて、また細かい感情の駆け引きも自然で、安心して観ていられました。

二人とも相手を思う気持ちとその変化がよく表現されていて、見ごたえがありました。
ハバナに連れ出すのに成功したスカイです↓サラは酔っぱらっています。





歌声の組み合わせもよくて、息の合ったいいコンビぶりです。やはりトップの第一条件は歌ですね。


フィナーレも魅力たっふりで、歌も堪能しました。耳福なひと時でした。


その救世軍のお堅い女軍曹サラ・ブラウン妃海風ですが、外見に似合わない(殴)度胸の演技にびっくりしました。ナウオンステージとかで見ていると、上級生から突っ込まれたらすぐ顔を真っ赤にしているのに、舞台では堂々の演技。

大したものです。それに歌もよかったのでバランスのいいコンビになっていました。



最初はギャンブラーなんかとんでもない!だったのが、だんだんスカイに傾いていくところが面白いです。わざとらしくなくしかもしっかりした演技で、黒木瞳よりこちらのほうがはるかに好みです。観劇前は苦手なタイプと思いこんでいましたが、今回の好演で一変して好感度急上昇。(殴)

つぎはネイサン・デトロイトの紅ゆずる
最近(といっても去年です)スカステで「風と‥」全国公演のニュースを見て、あんまりなレット・バトラーぶりだったので、かなり我が家では評価が低下していたのですが、今回彼女がナウオンで「風はガチガチの型芝居でやりようがなかったが、今回はいろいろ自分で演技ができてよかった」みたいなことを言っているのを聞いて一安心。そのとおり今回はのびのびと演じていてよかったです。
歌劇団ももういい加減に古色蒼然とした型芝居の「風‥」とか「ベルバラ」は打ち止めにしないとダメです。賞味期限がとっくに切れています。

今回のネイサンは、彼女の持ち味がよく出ていて、安心して観られる出来で本当によかったです。歌もよかったし。
ここにきて彼女も再評価の機運です。

ただ、最初はちょっと横山やすし風なところもあったりしましたが(殴)、話が進むにつれそんな気配もなくなって、アデレイドとの呼吸もピッタリ。
二人の絶妙な掛け合いはこの作品の大きな見どころの一つです。






でも今回最大のびっくり&収穫は、そのアデレイド役の礼真琴でした。




リピートを決めたのも、私的には礼真琴の絶品演技なアデレイドをもう一度観たいというのが最大要因。(殴)
まあとにかく脱帽の演技。昔映画でモンローがよく演じていたような、かわいらしくていじらしくてセクシーな役どころを完璧に演じていて、完全に周りの女役を食っていました。(笑)
台詞ももちろんのこと、早口言葉みたいな難しい歌を、男役と全く違う高い女声で完ぺきに歌っているのには本当に驚きました。大した力量です。男役では少し小柄だし、ビジュアルが少し地味目な印象(殴)だったのですが、もともとダンスも歌も演技力も高水準な人ですから、今回のアデレイドではまさに水を得た魚。弾けまくっていました。
彼女はプログラム中でも役作りについていろいろ書いていましたが、その通りの演技になっていて感心しました。興味のある方はぜひプログラムを買って読んでみてください。(笑)
歌が男役時とはガラリと違う声で、伸びもあって感心しました。もう彼女が出てくると勝手に目がロックオン状態自動追尾モードに入っていました。(殴)
フィナーレのショーでも紅ゆずるとのダンスが絶品。最初上手通路から登場しますが、これがまたすごいスタイルです。初め誰かわからなかったほど。
脚色・演出の酒井澄夫から「清く正しくセクシーに」とか「素を出さず色気を出せ」といわれたとか。難しい注文ですが、彼女の演技はその通りの出来で、セクシーでも下品でないのはさすが。(笑) 下品なのも嫌いでないですが。(殴)







その他の出演者もみんな生き生きと演じていました。中でもやはりナイスリー・ナイスリー・ジョンソンの美城れんがよかった。

美城れんは歌も絶品、演技も余裕、もうタカラヅカにはなくてはならない存在になっていますね。マンホールに窮屈そうに出入りする姿も笑いを誘っていました。
ベニー・サウスストリートの七海ひろきと、ラスティー・チャーリー役の麻央侑希を引き連れた凸凹トリオがウケていました。


七海ひろきはちょっと出番が少なくて物足りない役です。


 

そしてビッグ・ジュールの十輝いりすです。

文字通り大きいです。周りの出演者を睥睨しています。(笑)

ところで、余談ですが、この「ガイズ‥」、私は未見の作品とばかり思い込んでいました。
でも途中で十輝いりすが「クラップやろうぜ」と言うのを聞いて一挙に記憶が戻ってきました。実は大地真央と黒木瞳バージョンを観ていました。(殴)
そのときのビッグ・ジュールは旺なつきでしたが、これがインパクトがあって、当時観終えてからも「クラップやろうぜ」がしばらく耳について離れませんでした。その印象からすると、今回の十輝いりすの「クラップやろうぜ」はちょっとおとなしめで物足りない。体に合わせて(殴)もう少しドスを利かせてほしい。(笑)
でも強面なのにテディベアを離さないとか、人情味があちこち垣間見えて、台詞は極少でも面白い人物です。
あと結構目立っていたのがブラニガン警部の美稀千種です。

ただ初めのほうで台詞が滑ったり、ちょっと聞き取りにくかったりしてプチ残念。リピートではよくなっていることを期待します。この役、夢乃聖夏がやったらまさにハマリ役だったでしょうね。

組長さんもよかったです。出番は少なくても存在感があり、ピッタリの役と演技でした。


少ない出番というとアーヴァイド・アバーナシーの天寿光希ももったいないし、

壱城あずさも食い足りない役でかわいそうでした。

そうそう、ちょっとツボだったのが、スカイがレストランでの食事のあと、代金をテーブルに置いて立ち去るところ。その紙幣をウェイター(名前は分かりません)が数えて、ニヤリと笑いながらポケットに入れる場面。この作品では、各場面でみんなそれぞれ楽しい小芝居をしています。

というわけで、やや古さはあっても文句なしに楽しい脚本で、出演者のバランスもよくて、私的には一番いい「ガイズ‥」になっていました。みんな歌ウマぞろいなのも気に入りました。そんな幸福な余韻に浸りながら、帰途につきました。
このあたり、雪組公演の後味の悪さとは対照的。現金なもので、帰宅後さっそくチケット仲介サイトを物色。(笑) 数日後、リーズナブルな価格の良席を発見、リピートが確定しました。

みっちゃんの大劇場デビューとして、まずは上々の出だしでよかったです。おすすめです。観ないと損します。(笑)

今回も拙い感想を最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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今頃になって「星逢一夜」&「ラ・エスメラルダ」の感想ですが‥

2015年08月17日 | 宝塚
雪組公演『星逢一夜』・『La Esmeralda』を観てきました。
といってもとっくの昔、7月23日の観劇なので、遅すぎ。(殴)
少し弁解させてもらうと、その週に身内の不幸があり、相前後して別のところからある原稿の依頼が入って、つい後回しになっていました。(^^;

とはいえ、この公演は期待の新人脚本家・上田久美子さんの大劇場初作品ということで、チケットをゲットした段階から期待値が上がりまくっていました。何せあの佳作「翼ある人々」の後ですからね。期待せずにはいられません。
ということで、渋滞の中を大劇場に向かいました。「王家‥」からそれほど期間があいていないのに、大劇場は結構久しぶり感が強かったです。

客席の入りはほぼ満席で、車いす用補助席も満席でした。

で、突然ですが、感想となります。(笑) 
でもこれが、絶賛モードとは程遠いかな~りなネガティブ感想だったりするので、今なお観劇後の心地良い余韻に浸られている方や、これから観劇を予定されている方は絶対スルーが吉です。
いつものとおり敬称略です。

(プログラム表紙です 今回は時間がなく、画像はすべてプログラムから部分スキャンしたものだけです)


結論的にはかなりガッカリでした。(^^;
ヨメさんと幕間で「今にどんでん返しがあるかと思いながら見ていたけど、なかったねぇ」と残念な感想を共有。(笑)
「翼ある人々」のときはチケットさえあればもう一度観たいと思いましたが、今回はリピートはないです。

でもはじめのうちは、いい感じで話が進んで、展開が楽しみでした。
どこか藤沢修平の作品を思わせるテイストも感じられて、とくに子ども時代の演出がよくできていて、さすがは上田久美子と感心しながら観始めました。

余談ですが、宝塚の強みは子役が自然なことですね。このあたりはオール女性劇団の特色が発揮できていると思います。もし普通の劇団で、男優がそのままの配役で子どもを演じたら、それはそれで話題にはなるかもしれませんが。(笑)

咲妃みゆはもちろんですが、早霧せいなも望海風斗も子ども姿が違和感まったくなし。子供時代の場面で脚本家らしくて笑ったのが、隣村の子どもとけんかして紀之介が負けるところ。ブラームスが酒場でボコボコにされるのを思い出しました。このあたり、いつも今に相手をやっつけるだろうと期待して常に裏切られています。

でも、今回の最大のガッカリは、主人公の生き方や考えにまったく共感できなかったことです。
私はてっきり、子供時代の天文学への興味から、やがて科学全般に探求心が広がり、その知識を実生活の多方面に適用して、窮迫した農民の生活を大きく改善するとか、破たんした藩の財政を立て直すとかという劇的な展開になるのではと期待しながら見ていました。ヨメさんもまったく同じだったとのこと。
ところがあろうことか、吉宗に気に入られて異例の大抜擢で要職に就いた晴興は、そのまま一直線に圧政を推し進める辣腕の老中となって、最後は源太まで殺してしまう! これにはさすがに大ガッカリ。
さらにいくらフィクションとはいえ、老中と百姓が一騎打ちとかちょっとついていけないシチュエーションがあったり。それと、源太も百姓、泉も百姓の娘なのに、次男でやがて隠居の身となるとはいえ藩主の息子が、子供時代の偶然の邂逅はともかく、その後まで三角関係を継続するわけないだろうとか、いろいろ考えてしまいました。
このあたり、似たような話で、宝塚バージョン「若き日の唄は忘れじ」も大好評だった藤沢修平の「蝉しぐれ」とは大違いな設定の無理を感じました。

でも、そんな感想を持ったのは私たちぐらいで、舞台が終わりに近づくにつれ、客席ではあちこちでハンカチで眼をぬぐう女性客の姿が。まあ今回は全体のトーンがそういう泣かせる雰囲気によく作りこまれていて、私もついその術中にはまりそうになったり。(^^;
ただ、私たちのような辛口感想を持ったのは少数派なようで、市中の評判は上々とのことです。

という全体の印象はこれくらいにして、配役ごとに感想です。

まず、天野晴興(紀之介)役の早霧せいな。少年時代の紀之介ですが、はじめは別の配役かと思ったら本人でびっくり。喧嘩が弱くて星ばかり見ている少年が、やがて吉宗の強力なバックアップで老中にまで上りつめ、それにつれて立ち居振る舞いも洗練されていく姿をうまく演じていました。しかし、本来民百姓の味方で、彼らに寄り添っていたはずなのに、いつから過酷な重税を課すまでに変わってしまったのか、その内心の変化がよくわかりませんね。
ただこれは脚本・演出の話です。
早霧せいなはひたすら内心を押し殺してその務めを果たす姿をよく演じていましたが、私たちはいつ晴興が本心を表して、善政を敷くようになるのだろうかと儚い期待を抱きながら観続けていました。(まだ言うか)


次は相手役の咲妃みゆ。童顔で少女役はうってつけですが、妻となり母となった姿もその年月がよくわかる安定した演技でした。うまく老けていました。最初のころに紀之介が、泉の父を獄門にかけた藩主の息子と知って激しく反発するところもリアルでよかったです。

今回の芝居で一番自然に感情移入できる役だったのが(笑)、源太望海風斗。でも優しく思いやりのある源太が、藩の圧政に耐えられず、ついに父と同じように義民として立ち上がり、最後は晴興の刀によって倒されるというのはあんまりな話です。ただ望海風斗にとったら、客席の同情を一身に集める儲け役でしたね。舞台では芝居もショーも存在感大で、彼女の移籍で雪組もさらに厚みが出ました。

あとは、将軍吉宗役の英真なおきが出色の出来でした。最近見た彼女の役では一番の当たり役といえ、「第二章」の軽妙な役からは想像もできない貫禄十分の吉宗でした。演技のダイナミックレンジが広いです。
紀之介の養育係・鈴虫香稜しずるや、村の百姓の子供たちのちょび康役の彩風咲奈、幕府天文方筆頭の猪飼秋定役の彩凪翔がいい仕事していました。
そして晴興と結婚することになる吉宗の姪・貴姫役の大湖せしるは言うまでもないインパクトのある存在でしたが、晴興との感情のやり取りがほとんどなくて、ちょっともったいなかったですね。

ということで、みんな頑張って演じていましたが、やっぱり残念感のほうが強い感想になってしまいました。

そしてショーですが、これはもう始めから終わりまで全編お祭り騒ぎで、観ていて疲れました。
年のせいか(笑)、こういう一本調子の騒がしいショーはついていけないです。やはりしっとりとしたダンスの場面とか、聞かせる歌の場面などメリハリのきいた変化のあるショーのほうがしっくりきます。

ショーの最後では、今回の作品で退団する透水さらさがデュエットダンスからパレードのエトワールまで出番をもらっていました。結構勝手に応援していた歌姫・透水さらさの退団は残念ですが、今後の活躍に期待しましょう。

というわけで、私の独断と偏見に満ちた感想は終わりです。でもまだ上田久美子さんには期待していますので、次作を楽しみにして待つことにします。

ここまでご覧いただいたみなさん、本当にありがとうございました。m(__)m

さて次は兵庫芸文センターで観てきた「トロイラスとクレシダ」の感想です。アップ頑張ります。(笑)


コメント (4)
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宝塚宙組公演 『王家に捧ぐ歌』 観てきました

2015年07月13日 | 宝塚
6月25日に、宙組公演『王家に捧ぐ歌』を観てきました。更新遅いです。(殴)

ちなみに最近の宝塚観劇はいつも木曜日。ヨメさんのデイケアサービス行きの予定がないのと、平日のほうがチケットがとりやすいというのがその理由。で、今回は先行予約をがんばったので、端ですが上手側7列。観やすかったです。
開演前に客席がざわつきだしたので見たら、花組トップコンビの観劇でした。^^;

さて、感想です。例によって敬称略。(画像はいずれもスカステ番組のキャブチュアと、プログラムからです)

さて今回の観劇、チケットをゲットした時からかなり複雑な気持ちでした。

なにせ『王家に捧ぐ歌』です。私のようにヅカファンとは程遠い人間でも、3回も観てしまったという名作。そのうち1回は、急な仕事で行けなくなったヨメさんに代わって一人で東京まで観に行ったりしたほど。

で、一番気がかりだったのは、ラダメス
武闘派ラダメスには体育会系(笑)の湖月わたるがぴったりでした。なので、見るからに繊細な(笑)朝夏まなとに出来るのか?が最大の不安要因でした。「翼ある人々」で、酒場でチンピラにからまれてボコボコにされる弱いブラームスが脳裏から離れないし。(笑)
でも、朝夏まなとのほうが断然有利な点もあります。それは歌!歌さえあれば大丈夫とも思えたり。
あとはアイーダで、男役の安蘭けいだからこそ、野性味と強さが出たと思うので、娘役の実咲凜音では無理かなと。
ただこれは、スカステで見た限りですが、彼女はかなり男勝り鼻っ柱が強そうなので大丈夫かなとも思えたり。(殴)


ただ伶美うららのアムネリスはOKでした。(笑)
王女にぴったりできれいだし、歌も檀れいに引けを取らない?し。(殴)


ところで今回の再演は、歌劇団サイトでも相当意識していましたね。盛り上げに頑張っていました。
公演発表です↓


さらに前夜祭を開いたり、







キムシン自ら、集合日に生徒を前に発破をかけているのもビックリです。

今回は星組公演の再演ですが、初演のほうがいいねと言われたらみなさんどうですか?悔しいと思いませんか?
まあなんとも露骨なプレッシャー。(笑)

朝夏まなと自身、研2のときに初演を観ていたので、再演の話があった時は
湖月さんのイメージが強かったし、すごく骨太で男らしい役で自信がなかった。でも練習しているうちに自分の中にラダメスが入ってきて、やれるかなと思えるようになってきた」と同番組で話していました。まあ大変なプレッシャーだったと思いますね。

ということで、期待と不安相半ばでの観劇でした。

そして当日、幕が上がっても、初めのうちは「ここは汐美真帆のほうがよかったな」とかちょっと突き放して、初演と比較しながら観ていました。
でもそれもわずかな間。話が進むにつれ、いつのまにか舞台に引き込まれていって、終わってみたら、初演に劣らないというか、星バージョンとはまた違った見ごたえのある舞台に大満足。
とくに二人で地下牢に幽閉されていくところでは、ついホロリとな。(笑)
これ、初演では一度もなかった経験でした。チケットがあればまた見たいと思ったくらい。

今回の「王家‥」の成功は、なにより朝夏まなとの演技と歌唱力に負うところが大ですね。初演での最大の弱点が湖月の歌だと今も思っていますが、今回は完璧。なので、感情移入がしやすかった(笑)。初演時はせっかくのいい場面でも、わたるが歌いだすとつい正気に返ってしまったり。(殴)
そしてアイーダの実咲凜音も、初演に勝るとも劣らない歌だったので、二人の歌う場面は見応え聴きごたえ十分。やはり歌劇は歌が命。(笑)

それと、初演で残念だった凱旋パレードのグルグル回るショボイ振り付け(マイヤ・プリセツカヤの起用が疑問でした)がガラッと変わって俄然よくなっていたこと。ちなみに今回の振り付け担当スタッフに、当時星組で80期生(霧矢大夢とか彩吹真央が同期ですね)として出演していた百花沙里羽山紀代美の推薦で加わっています。

その百花沙里はステージドアで、
「まーちゃんは88期生で、初舞台生だった彼女のロケットでは私がお姉さんでしたが、その初舞台生だった彼女が今大きな羽を背負ってと、なにか縁みたいなものも感じて胸が熱くなりました」と語っています。ちょっといい話です。

面白いのは、今回パレードの隊列を増やすために、初演時は8人で担いでいた神輿を大幅に軽量化して、4人仕様に変更したこと。



軽量化しても強度は十分とのことです。
剣も朝夏まなとに合わせて新造するなど小道具さんも頑張っています。また大道具も今回舞台セットをすべて新造していることなど、コストがかかっています。


でもなんといってもこの作品、全編に使われている音楽が寄与している点が大ですね。どれもいい曲で、それとキムシンの繰り返し多用の歌詞とあいまって、一度聴いたら忘れない。(笑)
今回の再演で改めて作編曲担当の甲斐正人の素晴らしさに感心しました。やはりミュージカルは使われている楽曲の出来がよくないとだめです。
その甲斐正人が朝夏まなとについて、

朝夏さんはどちらかというと踊りが上手な方だったと思うんですけど、今回は歌の力が抜群になったと思うんですよ。線も太くなりましたし、素晴らしい男役トップ誕生だと思います」と語っています。

フィナーレもまたよかったですね。
この振り付けは羽山紀代美。フィナーレはふたりが地下牢から蘇るというテーマで始めるようにしたとか。ボレロから次第に明るい曲に変わって宙組らしさを出すようにしたとも言っています。
初演のフィナーレは覚えていませんが(殴)、随所に見ごたえのある場面があって、おトク感満載でした。同じタカラヅカでも「風と共に‥」などと比べたら満足感は大違い。
観終えてもう満腹という感じで(笑)、この日も多くの修学旅行生が観劇していましたが、いい公演に出会えて彼らはラッキーでしたね。

ということで、以下、配役ごとに感想です。

まず朝夏まなと







よかったです!! わたるの武闘派ラダメスに対して、こちらは理知的な文人派ラダメスで、国と愛の板挟みで懊悩する姿がよく演じられていました。でも雄叫びの場面では、わたるに負けないド迫力でした。(笑) ほんとうに頑張っています。

上記の番組で朝夏まなとは、
ラダメスはすごく骨太で男らしい役で私にできるかなと思ったが、練習を重ねるうちにラダメスが入ってきて、やれそうだと思えてきた」「星組の初演と同じものを目指してもできないので、私たち宙組の個性だったり雰囲気だったりで独自のものを作り上げたい」と言っています。
繰り返しになりますが、大ヒットの初演を受けて大変なプレッシャーな中での再演だったと思いますが、また別の魅力を持った舞台を作り上げていました。だからどの場面でも二番煎じな印象は全くなし。ラダメスがまったく異なるキャラクタなのが逆によかったのでしょうね。
キムシンは、朝夏まなとのラダメスについて
役柄のとらえ方が真っ直ぐなんですね。ラダメスという役をあーだこーだと触るのではなくて、ラダメスという役をドンと捉えて真っ直ぐに演じてくれているんですよ」と激賞。本当にそう思いました。


また朝夏まなとは脚本の弱点についてもよく考えていて、
二人の出会いの場面がないので、お互いの気持ちを表現できないと最後の場面が軽くなるので、実咲凜音と相談しながら二人の関係がわかるようにやっている」と言っています。
その成果で、最後は感動の結末となって、観ている私もついウルっとなり、あわてて周りを見渡すと、あちこちで目頭を押さえる女性客の姿が。(笑)


フィナーレでも、脱水機並みの高速回転のリフトを披露してくれました。(笑) 頑張りすぎが心配になるほど。

今回のフィナーレ、この二人のデュエットもなかなかの見所。


次は実咲凜音です。


ようやく男トップと文字通り相思相愛な役がまわってきましたね。(笑)

前トップとの間に漂っていた微妙~な雰囲気がなくなって、対談番組でも安心して見られます。(殴)
で、今回のアイーダ、歌はもちろん演技でもよくやってました。初演と比べてもまったく遜色なし。でも逆に、男役の安蘭けいがアイーダの高い音程の歌をよく歌っていたものだと改めて感心しましたが。

実咲凜音は結構自信もあったようで、「安蘭さんのアイーダは男役なので強いイメージだが、私は娘役として女役を演じるけれど自分自身強いイメージがあるので、頑張ってやっていきたい」と言っています。








負けん気の強そうな彼女のキャラクタをよく生かした演出で、アイーダは適役でした。伸びのある声が耳に残ります。

で、アムネリスの伶美うらら
今の宝塚でこれ以上の適役はないと思って楽しみでしたが、ちょっとガッカリなところも。
もちろん気品のある容姿はぴったり。檀れいとはまた別の美しい王女です。

でも強く演じようとしすぎたのか、あるいはそれが演出家の意図なのか、キンキンした感じが前に出てきて、ちょっと期待外れ。嫉妬に狂う高慢な王女という感じが強すぎて残念でした。かなりコワい顔です。(殴)


初演の檀れいは容姿も立居振る舞いも気品にあふれたアムネリスで、ラダメスをひそかに慕う女心もよく表現していて、観劇しながらちょっとアムネリスがかわいそうと思ったりしましたが、今回はそんな同情が入る余地がなかったですね。そして歌も、同じく歌が不得手だった檀れいの頑張りには届かなかった感じです。
「翼‥」で一気に贔屓モードだった私たちはちょっと残念でした。

ウバルドの真風涼帆は、初演の汐美真帆を髣髴とさせる演技で、ピッタリ。

冒頭の亡霊?のシーンはちょっと違うかなと思ったものの、進行につれてしっくり違和感がなくなりました。
ダンスと歌は文句なしでした。宙組に来てさっそくの大作で、しかも途中からの稽古参加でしたが、よくこなしていて感心しました。

ただこの人、根が善い人のようで、ウバルドにはちょっと黒さが足りない感じなので、エリザのルッキーニみたいな狂気が入ったほうがいいかなと思ったり。

出番の少ない役ですが、今回なにかと目についたのがラダメスの戦友ケペルの愛月ひかる

初演では立樹遥が好演していましたが、今回のケペルも誠実そうな人柄の同僚役を、さわやかに演じていました。同じような大柄で頼もしそうです。応援したいです。そういえば「翼ある人びと」のリストもよかったですね。

専科のベテラン一樹千尋のアモナスロと、






箙かおるのファラオ。いずれもますますの円熟味でよかったです。


一樹千尋は初演でも老獪で狂気を装いながら陰謀をめぐらして、同時に娘思いの囚われの王を絶品の演技力で演じていましたが、今回もより味わい深いアモナスロを見せてくれました。まさに余人をもって代えがたいとはこのことですね。

箙かおるも初演以上に頑張っていました。今回は初演と違い、オリジナルの高い音階の楽譜に挑戦するなど、今なお新しいことに挑戦しようとする姿勢には頭が下がります。最近あまり姿を見ないので、もう枯れてしまったのでは(殴)と心配してましたが、初演以上の頑張りが見られて本当によかったです。

役が少ないので気の毒だったのが純矢ちとせ。アイーダをいびる場面ではパシっとひっぱたいていました。(笑)

でもパレードではエトワールだったので納得&満足。

あともうひとり歌ウマが印象的だったのが美風舞良。エチオピアを想う歌の場面で思わずヨメさんに「あれだれ?」と小声で聞いたほど。これまで知らなかったのが恥ずかしい歌でした。エチオピアの歌、初演で聞いてからずっと心に残っていましたが、本当にいい曲ですね。

あ、あと一人(殴)、組長さんもよかったです。嫌なネセルがぴったりでした。いえ、褒めてます。(笑)


というわけで、空前の大ヒット作品の再演ということで、期待と不安の入り混じった観劇でしたが、観て本当に良かったですね。トップコンビ以下の宙組メンバーと、専科のベテラン勢の力で、作品に新たな魅力が加わって、初演とは違ったいい舞台になっていました。
チケットさえあれば絶対リピートしたのにと、残念でした。

初演をご覧になった方も、初めての観劇の方も文句なしに楽しめるいい作品です。お勧めです。

↓オマケです。





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宝塚月組公演 『1789 -バスティーユの恋人たち-』を観て 感想その2

2015年06月11日 | 宝塚
5月30日に2度目の「1789 バスティーユ‥」観劇してきました。

今回も大した渋滞はなく、約1時間10分で駐車場に到着。大劇場に行くと、意外にも人影が少ない感じ。あれ?売れてないのかなと思いましたが、チケット売り場でチェックすると完売・立ち見のみとなっていました。まあ千秋楽間近なので当然ですが。

今回の席は前回より後方の16列です。でも通路側でセンター寄りと見やすい席で、舞台全体をよく見渡せました。途中の客席降りも楽しめてヨメさんも大満足。どういうわけか結構男客も多かったですね。

以下、感想です。もう話の筋はわかっているので、前回観られなかったディテールに眼を向ける余裕がありました。
いつものように敬称略です。

全体としては、やはり大作ですねぇ

ナポレオンがかなり期待はずれだったので、小池氏久々のヒットという感じです。やはり、全くのオリジナル作品というのは難しいということですね。
それと前回でも書いたように、ロミジュリと比べるとかなりフレンチミュージカルに寄っている演出でした。ダンスの振り付けがダイナミックで、音楽も生演奏とコンピュータ音源とのミックスで実にパワフル。

二度目の観劇でも印象的だったのがなんといっても愛希れいか
歌はもちろんのこと、演技もすっかり女役が板について、貫録さえ感じられる佇まいに感心しました。
画像はすべてナウオンステージから切り出したものです。


でも、例のルーレットでは思わず笑いました。あのベルばらの白馬車を見たときの、わけもなく笑いたくなる感じに似ています。
いったい何メートルくらいの直径になるのか、ドでかいルーレットです。

その軸になっているアントワネットが、通常のボールではなく直接チップを投げているところがヅカ風。細かいところまで手が込んでいて「ようやるわ」と思いながら見ていました。

本当に凝っていて、ルーレットが割れてアントワネットが別の衣装になって出てくるなど、意表を突く演出です。

小池一流のおもてなし精神全開でした。

ちなみに、この公演のナウオンステージで、専科に移籍する星条海斗がその心境を語っているのを横で聞いていた愛希が、ついホロリとする姿もよかったですね。さらに好感度アップです。(笑)

星条海斗が移籍について語っていると、

思わず涙ぐむ愛希↓


その星条海斗の立ち姿、ド迫力でした。専科にとどまってくれてよかったです。




今回注目していたのは役代わりのオランプ。今回は観たかった早乙女わかばでしたが、「第二章」で観て期待しすぎだったのか、よくやってたものの、それほど海乃美月との差は感じられず、逆に海乃の健闘ぶりがわかった感じでした。
出番が多くておいしい役ですが、脚本としてはロナンに対する愛が物足りないですね。

なんといっても大抜擢がフェルゼンの暁千星
童顔ですが、歌も聴かせるし、立ち姿など堂々としていて大したものです。


脇役ながら味のある演技で好感が持てたのが、国務大臣ジャック・ネッケル役の光月るう。当時の新興ブルジョワジーを代表する銀行家として、国王の圧政を諌める姿を好演していて印象に残りました。過不足なく演じていて、その程の良さでかえって目立っていました。

国王ルイ16世の美城れんが、ギロチンのミニチュアを見て悦に入っているところは何度見てもかわいらしいです。↓

今回に限らず、この人が出てくるとなぜかホッとしたり。(笑)

ロベスピエールの珠城りょうは、華奢な男役の多い月組では、押し出しの良さで目立ちますね。




そして小柄ですが、美弥るりかがどこまでも腹黒い悪人で、しかも一際目立つ毒のある美貌とのコントラストが魅力的です。この人も女役になったらすごいことになるかも。


逆に目立たなかったのが沙央くらま。初回の観劇ではなかなか存在に気付かず、しばらく探してやっとわかったほど。今回もよくチェックしましたが、役柄も大きくないのでやっぱり地味でした。


地味といえばカミーユ・デムーランの凪七瑠海も歌で頑張っていましたが、やはりあまりし甲斐のない役でした。


最後にロナンの龍真咲です。(最後かい!)

今回の主役は、ストーリー的には引っ張る役ではなく、革命をめぐる群像の一人という位置づけ。あくまでも、主題である、貴族でも庶民でもひとつの命の価値は同じというテーマに沿った存在になっています。
だからオランプともそれほどの熱愛とはならず、最後は先頭に立って銃弾に倒れるというはかない役です。父の無念も晴らせなかったし。

ただ今回二回目を観て、やはりこの人の台詞や歌は苦手でしたね。
どの台詞でも言葉に感情が乗ってなくて「心ここに非ず」みたいな感じ(あくまで個人の感想です)。さらにいつも気になるのが息継ぎ。歌も頑張っていますが、発声が好みではないので、ちょっとなあと思いました。でも今回、プログラムは買いました。(笑)

というわけで、最後が少々ネガティブな感想になりましたが、作品としては久々の大作で、曲も良く、見ごたえ・聞きごたえ大アリで、お得感満載でした。二度観て正解でした。

さて次は「王家‥」です。期待していますが、何度もリピートした初演を超える出来になっているか、楽しみです。
あ、その前に6月6日に観た「海の夫人」を早く書かないと! ^^;

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宝塚月組公演 『1789 -バスティーユの恋人たち-』を観て 感想その1

2015年05月27日 | 宝塚
かなり遅くなりましたが、1789観てきました。

出かけたのは木曜日。予定通り順調に走って駐車場へは9時50分に到着。
今回の席はPCで確保した10列下手側の席。かなり端に近かったのですが、まあ良席です。でも私の前に座ったのはかなり大きな男性客。それでちょうど舞台中央部が頭でブロックされてしまったので、こちらは首を絶えず動かさないといけないのが残念。(笑)

その感想ですが、よくできていました!見ごたえ大有り!
とにかく面白い。フランス革命についての視点がベルバラと全く違う民衆史観なのがまず気に入りました。

オリジナルはご存じ2011年にパリで初演されたフレンチ・ミュージカル。これを小池修一郎がほとんど別作品といえるぐらいに再構成しています。
梅芸で観たフランス版ロミジュリがそうだったのですが、フレンチ・ミュージカルは芝居としての構成は最小限で、ひたすら歌とダンスでぐいぐいと展開するドライな作りです。私はそれが新鮮ですっかりハマったのですが、その分話の筋が理解しにくいきらいがあります。

それでヅカ版ロミジュリでは小池先生が丁寧に作り直して、だれでもわかる話に仕上げられていました。歌詞も話が分かるように工夫したとか。
今回も、公式ホームページの制作発表会レポートにあるように、ロナンを軸に大幅に話が作りこまれています。ほとんど書き下ろしに近いほどで、小池流のサービス精神旺盛です。

あとで触れますが、舞台装置も重厚で豪華。衣装も、どこまでも華美な宝塚衣装としてはかなり汚しを入れてリアル(とくにシトワイアンの衣装。タイシルクだそうです)。さらに化粧もふだんの宝塚化粧としては異例の、立体感のあるリアルなもの(いずれも小池氏@ステージ・ドア談 以下関係者のコメント引用元は同じ)。

でも、観劇しながら、同じ小池演出のロミジュリと違って、かな~~り元のフレンチミュージカル寄りになっていると思いました。
その一端が音楽。ロック調の曲が多くて迫力があります。ただ音域の広い曲が多くて、歌うのは大変そうです。
音楽担当の太田健さんは、

「今回はコンピュータ(の音楽)を流しながら生演奏をミックスしているので、使える音や楽器が飛躍的に広がった。大人数で演奏していると感じてもらえるのではないか。またクィーンとかローリングストーンズ、マイケルジャクソンのようなリズムの曲があって楽しい」と語っています。確かにこれまでの公演とは違う音楽と、ド迫力な演奏にすぐ気づかされます。さらに西野淳の音楽指揮も情熱的でユニークです。


ダンスも大胆で新鮮な振り付けでインパクトがあり。とくに軍隊に対峙する民集の群舞のボディパーカッションが強烈でした。










その振り付けはこの人が担当しました↓。



関西発の表現系ジャズダンスチーム「Memorable Moment」のリーダー・KAORIaliveさんです。近作の「No war」を観た小池氏がぜひにと依頼したそうです。
最初は全員アザだらけだったとか。でも二回目の練習ではもう生徒たちがある程度こなしてきたと感心していました。
小池氏は「これまでもステージを見て面白かったので、何度か依頼したがスケジュールが合わなくて実現しなかった。今回は本当にドンピシャと思って依頼した」と言っていますが、選んだ彼も頼まれた彼女もいい仕事していますね。見どころの一つです。

それ以外のダンスシーンは、スカピン以来、宝塚版ロミジュリをはじめ多くの小池作品の振り付けを担当した桜木涼介さん。↓

前回はフランス版に影響されたので、今回はフランス版は見ずに全くオリジナルなものにするよう努めたとのこと。確かに新鮮なダンスシーンが目につきました。

そしてフィナーレショーのダンスはTETSUHARUさんが振り付け。↓

タカラヅカではロケットに代表されるように揃ってナンボの印象があるが、今回は個の集合としてのエネルギーを引き出したいと思ったとか。ただ、大階段を使うのは初めてなので、寸法を聞いたり、一番いい立ち位置を聞いたりして参考にしたとも。従来のタカラヅカにないバラバラな立ち位置の大階段がユニークでした。
それと、芝居ではからむことがなかったトップコンビのデュエットにも工夫したとか。

練習の様子です↓








そして本番↓

ということで、ダンスひとつとっても見所満載でした。本当に登用した小池センセイの意図が大当たりでしたね。アンテナ広い!

ストーリーは小池修一郎のベルバラというか、同じ人物が登場していますが、主人公に代表されるように民衆の視線からフランス革命を見ていて面白かったです。といっても、主人公を中心に話が進むというより、革命を軸とした群像劇という感じ。

観終わって、それまでの月組メンバーについての印象が大幅に塗り替わる結果となりました。
とくにアントワネットが上々の出来で、驚きの歌唱力でした。
さらに帰宅してから、スカステ「ステージ・ドア」を見て、「これはもう一度観ないわけにはいかないね」ということになって、某チケット仲介サイトでリーズナブルなチケットをゲット。(ということは売れていない?)
観劇前には思いもしなかったリピート決定となりました。

ということで、以下、とりあえず1回目の感想です。「ステージ・ドア」の話を引用しながら書いてみます。いつものとおり敬称略で、画像は「ステージ・ドア」から。

まずロナン役の龍真咲

でその前に少し。
単に好みの問題ですが、私はこの人がかなり苦手。なので、トップ就任以来月はあまり観劇してきませんでした。とはいえ、前回の「パック」は懐かしの作品なので観ましたが、幸い役が妖精なのでそんなに苦にならず(殴)観られました。
そして今回はなんといっても今年一番の大作ということで観劇決定となりました。

101期生の初舞台生口上が終わり、いったん降りた幕が上がると、いきなりロナンがバスティーユ要塞襲撃の一番乗りとなる場面になります。そのあと、すぐに回想する形で展開していくます。
どんな役かなと思いながら観ていたのですが、そんなに濃い役ではなく(笑)、どちらかというと存在感が薄いです。
父を殺されて、復讐の鬼となって仇敵を追い詰めて復讐する展開かと思ったら、それは初めのうちだけ。




途中からは、革命の巨大なうねりに飲み込まれる群像の一人という立ち位置になっていきます。なので今回も苦手を意識せず、普通に観ることができました。(殴)

ちょっと歌の発声が昔の男性アイドル歌手っぽくて気になったりしましたが、基本的にド安定な歌唱力だし、役作りも、極貧の農民の息子が、見知らぬ街で戸惑いながらも革命に合流していく素朴な姿がよく出ていました。この人は抑え気味の演技のほうがいい感じです。

次はマリー・アントワネットの愛希れいか


まあこんなに歌える人だったのかとびっくりでした。先に書いたように今回は音域がかなり広くて歌いにくそうな曲が多かったのですが、よく歌いこなしていました。

以前のロミジュリでは歌についての記憶がなかったので、本当に別人のような印象でした。大したものです。
歌の自信がもたらしているのか、演技も余裕の出来。






王妃の貫録さえあって、これまで娘役オンリーな印象があったのですが、今回は女役をうまく演じていてよかったです。

小池修一郎は、

「今回はこれまでのベルバラのそれとは違ったアントワネットで、大きな存在になっていて、愛希でないと背負えない」とか「愛希の歌唱力はふつうの娘役の群を抜いている」と大絶賛しているのが印象的です。

今回、愛希とならんで私的に再発見だったのが、ルイ16世の弟アルトワ役の美弥るりか

一番黒くて濃い役でした。もう悪意と野心と謀略の化身です。それを毒々しいまでにインパクトのある美貌(あくまで私個人の感想です)で演じているので、もともとプチ気になる存在でしたが、これで一挙にお気に入りに追加。(笑)

これまではあまり印象的な役がなかったと思いますが、今回は登場シーンも多く、得な役でしたね。代表作といえるでしょうね。これであともう少し大きかったら‥。次作も期待の人です。

反対に残念だったのが、ペイロール伯爵を演じる星条海斗

この人については、月組ベルバラの衛兵隊のアラン役の好演でプチひいきになったのが発端。
その後、月組『THE MERRY WIDOW』を報じるスカステ・ニュースで、ミルコ・ツェータ男爵を演じた彼女が、主演の北翔海莉への謝意を、真情に溢れた言葉で表していたのを見て、完全にトドメを刺されました。あんなに率直に、人目もはばからず(笑)身も世もなく感謝されたら、みっちゃんもついホロリとしたのも当然ですね。
この姿を見てから夫婦で勝手に注目してきたのですが、今回は主人公の父を銃殺する敵役ながら出番が少ない!!
残念でした。でもみっちゃんと入れ替わりの専科入りで、これから各組で活躍する姿を見られるので、まあいいとするか。

同じ専科ではルイ16世役の美城れんがさすがの出来でした。ただし、ちょっと可愛らしすぎるかな(殴)。自分がのちにそれにかけられるとも知らずに模型のギロチンを愛玩している姿で運命の皮肉を表したいのでしょうが、ちょっと演出がしつこいですね。でも存在感のある余裕の演技でした。

今回の作品で実質的なヒロインとなる、ロナンの恋人オランプを演じたのは海乃美月

早乙女わかばとのダブルキャストですが、出番も多くておいしい役ですね。ロナンともよく合っていい役です。二度目の観劇は早乙女オランプなので、比較できるのが楽しみです。

あと、移籍してきた珠城りょうのマクシミリアン・ロべスピエールに期待していたのですが、歌はよかったものの、セリフがちょっと聞こえにくいのが残念。でも今後の期待の星です。

専科からの沙央くらま(弁護士ジョルジュ・ジャック・ダントン役)と、カミーユ・デムーラン役の凪七瑠海も頑張っていますが、

どうも三人トリオというのはどの公演でも一山いくらな扱いになるので、個々の印象は薄いですね。

逆にフェルゼン役の暁千星が目立っていました。これまであまり知らなかった人ですが、劇団の大抜擢にこたえて、歌も立ち姿も初々しさを見せながらもよくやっています。目立つ存在でした。それと最近の歌劇団の入れ込み方も目立ちます。(笑)

以上、とりあえずの簡単すぎる感想ですが、続きはまたリピート観劇後に書くことにして、あと印象に残ったのは舞台装置。

小池作品につきものの手の込んだセットがまず目を引きました。
担当した大橋泰弘は、

「今回のセットも小池先生独特のセンスで、とにかく原作とは違う独自のものを作ってくれということで、フランス版では映像中心で作っている小さな舞台なので、一からセットを作った」とのこと。
セットのリアルさは客席についてすぐ気が付きました。建物の石造りの質感が半端じゃないです。もう石そのもの。







場面転換も手慣れたものですが、もうひとつ、映像の使い方もそれとはすぐ気づかないほど巧みでした。ステンドグラスなど、初めは映像とは思わなかったです。
担当した奥秀太郎

「フランス版を見て多用していたので、宝塚でもチャレンジしてみようと思いました。あれ?ひょっとして映像?みたいに思っていただけるようにミックスした」といっています。




というわけで、いつものとおりの超薄味な感想となりましたが、ステージ・ドアをみて作品への興味が倍増したので、初見で見落としていたことも含めて、もう一度この力作をよく観てこようと思います。

またご覧いただければ幸いです。ありがとうございました。



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宝塚花組公演『カリスタの海に抱かれて』 『宝塚幻想曲(タカラヅカ ファンタジア)』 観劇 その2

2015年04月13日 | 宝塚
カリスタ、2回目観劇の感想です。
前回は予期しないラッキーチャンスが舞い込んでの観劇でしたが、今回はオンラインチケットの一般前売りで購入したもの。20列とかなり後ろの席でした。

4月初めのこの日は絶好の花見日和。渋滞が懸念されたので8時30分に出ましたが、所要時間1時間10分と、ほぼ順調に到着しました。やはり平日だったのが幸いでした。

着いてみると、花の道も桜が満開、通行の花見客も多く、結構な賑わいになっていました。

桜の下に植えられた雪柳やローズマリーも咲いていてきれいでした。
時間があったので私たちも花の道で桜見物。




写真などを撮ってから劇場ロビーに向かうと、当日券を求める長蛇の列。「小学生は1,500円割引」とあって、列には子供連れも目立ちました。
これは人気があるのかないのか?
長蛇の列なので観たい人が多いというわけですが、一方で当日券がそんなにあるというのは売れていないということか?よくわかりませんね。(笑)
一階の客席はほぼ満席。さすがに立ち見までは出ていませんでしたが、平日でもよく入っていました。

さて前置きはこのぐらいで、感想です。いつものとおり敬称略。

さすがに2回目となると、初回みたいに話を追うのに必死みたいな感じはなく、余裕で舞台上の小芝居などもチェックできました。(笑) 

今回の観劇で私の一番ツボだったのは、冒頭のスッポンの場面。
軍服姿も凛々しく明日海りおが後ろ向きに登場します。
こんな表情でした。


島に足を踏み入れてあたりを見回すその表情が清々しい。ほほ笑みを浮かべて、懐旧の情と、新しい任務への気概にもあふれているようです。
しか~し!!、そんなはずはないですね。

カルロとその両親はその昔、石もて追われるごとく、カリスタを後にしています。
なにしろ父は札付きの裏切り者、そして息子カルロは、親友ロベルトと血の約束を交わしながら、それを破っての離島。普通なら不安と緊張でいっぱいのはずですね。そもそも士官学校出たての新米士官が自分からそんないわく因縁のある任地を希望しないだろうし。

でもね。それは素人の浅はかさというもの。(殴)

カルロには大きな計画がありました。(キッパリ)
父の汚名返上と、島民の悲願であるフランスからの独立。それを実現できるカギは、ちょうど彼が士官学校を卒業する時期に始まった偉大なフランス革命。
この革命の歴史的意義に強い共感と確信を持つ中で、彼は故郷カリスタの解放への展望をも見出したのです。
それが、冒頭の、自信に満ちた表情に現れたというわけです。しかも無用の流血を避けるため、革命政府に現地のフランス軍の無血撤退を保証させる手筈さえ整えていました。
士官学校出の新米士官(それにしては大尉とは出世が早すぎ?)にしては大した度量です。
というのはあくまで私の妄想(笑)。
でもそう考えれば、本来二の足を踏むはずの上陸時の表情があんなにスッキリ晴れ晴れなのが腑に落ちます。(笑)

それともうひとつ、気になっていたのが前回の観劇で感じた滑舌の悪さですが、今回はかな~り良くなっていました。ほぼ気にならない感じ。でも一回だけ台詞を噛んでしまったのが残念ですが、これも回を重ねれば解消されるでしょう。

演技自体は自然で表情もリアル、そして歌は安定した歌唱力で聞かせてくれます。
カルロが相手に強く語りかけるとき、いつも人差し指を振っているのが面白いです。

アリシアの花乃まりあも、やりすぎたら蓮っ葉なジャジャ馬娘になりそうな役柄ですが、そうならずにひたむきにカルロを思う純粋でいじらしい乙女心をよく体現していました。


カルロを助ける場面です。

こういう人物像がはっきりしている役はやりやすそうで、実は結構難しい役ですね。
総督府に入りこんで動向を探る大胆さを持ちながら、きれいな服に憧れたりする娘心をうまく演じていました。

いいコンビになりそうです。いやもうなっているか。(笑)


それとやはり印象的だったのがロベルトの芹香斗亜。繰り返しになりますが、びっくりの成長ぶりでした。以前の頼りなげな(殴)印象は雲散霧消、大きく見えます。


裏切り者の息子カルロが信用できるのか迷いながら、賭けてみようとするロベルト。いい演技でした。


最後は新天地アメリカに向かうカルロとアリシアを、アニータとともに丘の上から見送ります。


で、このシーンを観ながら私は、これ続編も作ればいいのにと思ったり。
というのは、ナポレオンが最後のほうで、「いずれカリスタは私の庭になる」みたいなことを言っています。
それからすると、続編は革命の反動期、王となったナポレオンがカリスタを占領、またフランスの圧政下におかれるカリスタと、それに抵抗するロベルトが話の前段で、その窮状を知ったカルロは妻とともにアメリカで得た資金でカリスタにノルマンディばりの逆上陸、ナポレオンの軍隊を島から追い出す、みたいな話に出来ると思うのですが、石田さん、書きませんか?(殴)

まあ妄想はこれぐらいにして(笑)、今回、二度目の観劇でも、改めていい芝居だと思いました。台詞も筋書きも、流れがよくて、安心して感情移入して観られました。

ショーのほうは、今年8月8日~8月16日の第二回台湾公演に合わせて、和のテイストたっぷりな作りになっています。
で、こういうショーは、ともすればダサダサで野暮ったくなったりしますが、『宝塚幻想曲(タカラヅカファンタジア)』は巧みに和と洋を織り交ぜた洒落たアレンジで、いいショーになっていました。
稲葉太地、このところ大活躍ですね。


明日海りおは豪華な衣装で登場、やはりきれいです。

途中で花魁からタキシードに早変わりするお約束の場面もあって楽しいです。

ショーでも息の合ったふたりです。




タンポポです。


そしてやっぱり目を引いたのが芹香斗亜。すっかり大人びて、変われば変わるもの。(笑)


やはりシュートが気になりました。(笑)


そして最後のパレード。一度見ているのに、大きさではトップコンビと同格の羽根が気になりました。最近ではあまり見ない二番手登用で、改めていろいろ考えましたね。

ここから蛇足。
しかし、ナウオンなどを見ていて思いますが、明日海りおは本当に控えめというか、自分の主張を押し付けないやさしいトップさんですね。よく、自説を開陳することに懸命なアグレッシブなトップもいて違和感を感じたりしますが、逆に控えめすぎなのももどかしくて、もうちょっとリーダーシップを発揮してもいいのではと思ったり。
でもどちらかといえば、私は後者のほうが好みですが。(笑)

というところで、カリスタの感想は終わりです。

さて、お次は土曜日に観てきた「十二夜」です。最近とみに物忘れがひどいので、記憶の消えないうちに(笑)、感想を書かなくてはと焦っています。
久しぶりの音月桂さんでしたが、これがとてもよかったです。いつアップできるかわかりませんが(殴)、また機会があったらご覧いただければ幸いです。

どうもありがとうございました。




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宝塚花組公演『カリスタの海に抱かれて』 『宝塚幻想曲(タカラヅカ ファンタジア)』 観てきました その1

2015年03月25日 | 宝塚
それは一本の電話から始まった。

もともと私たちは花組公演のチケットは4月初めだったので、3月の観劇予定はなし。

で、3月初めに電話がかかってきたときは、まったくのサプライズ。
呼び出し音に、どうせよくある、年寄りをだまそうという何かの勧誘かと思ったのですが、なんと2月に応募したチケットプレゼントに当たったとの連絡でした。
はじめはブスッとした感じで応対をしていた私も、タダでチケットをもらえると聞いて、コロッと態度を豹変。(笑)
自分でも呆れる現金な変わりようで、応対しながらつい笑みもこぼれてきました。横で聞き耳を立てていたヨメさんも、いつにない私のニコニコ顔に興味津々。宝塚のチケットの話とわかって大喜びでした。
でもなんのプレゼントに当たったのかは、いろいろ差し障りがあるので秘密です。(笑)

私も思いがけず2度観られることになってうれしかったのですが、舞台の出来に期待と不安相半ばだったので、出来の悪い作品だと2度観るのはシンドイなあ(殴)とか、バチ当たりなことをいってみたり。

そんなこんなで当日出かけましたが、ちょうど春分の日の休日で、彼岸の墓参とも重なって、道路情報をチェックしたらあちこちで渋滞しまくり。慌てていつもより30分早く出発しましたが、やはり中国道・宝塚インター周辺の一般道で渋滞。
結局、いつもの倍近くかかってしまい、駐車場についたのは10時40分。大慌てで劇場に向かいました。

大劇場のロビーを見ると、どういうわけか観客の男率が高かったですね。で、客席に着いて振り返ったら、結構立ち見もあって、盛況の様子でした。

というどうでもいい話はこれくらいにして、以下感想です。少々ネタバレアリで、敬称略です。
画像はスカステ・花組ナウオンステージ↓のデジカメ撮りと、

当日購入のプログラムから。


で、まず芝居のほうの全体の感想です。


面白かった!!

はじめのうちは、「ああ常道の三角関係ものか」と分かったつもりで観ていましたが、話が進むにつれてそんな浅はかな予測をはるかに超える展開となり、いつのまにかドップリ舞台に引き込まれていました。

私たちにとって明日海りおのトップ公演は、空前のチケット難でエリザを見逃したので、これが初めて。さらに相手役の花乃まりあもこれまであまり注目していなかったので、つくづく観るのは今回が初めてでした。

なので新鮮な観劇でしたが、トップ二人のコンビネーションもよく、いい脚本(大石静)+手慣れた演出(石田昌也)の相乗効果で上々の出来栄え。話も久々の熱愛ものなので見ごたえがありました。


話は、フランス革命の前夜に、架空の島カリスタを舞台に、島を支配するフランス総督府の圧政と、それに抵抗する島民たちの闘いを軸に、その中で繰り広げられるトップコンビと芹香斗亜の三角関係の物語です。
宝塚お得意のフランス革命モノで、ナポレオンも登場したり。(笑) でもパリ民衆の蜂起の場面はなかなかの迫力です。
恋愛と友情の板挟みに苦悩する主人公シャルルと、彼に一途な愛を募らせるアリシア、親友で恋敵のロベルトの駆け引きがみものでした。

宝塚での大石静の脚本は二作目ですが、最初の作品は観ていません。その時の評判も覚えていないので、これが初見でしたが、宝塚の場面転換のツボを押さえたいい脚本でした。
最後がちょっとご都合主義かな?とも思いましたが、話の盛り上げ方がうまく、最後のプチ・ドンデン返しにもちゃんと伏線が張ってあったり、劇中の台詞も自然で聞きやすかったりで、グッドジョブ!!でした。2本物でもここまでよく練られた脚本になるかと感心しまくりでした。

そしてショーのほうもビックリの完成度。稲葉太地のセンスが光る仕上がりに感心しました。大体私はショーのことはあまりわからず、まあ添え物(殴)的に観ていますが、今回は別。まず衣装の色がいい。それと和洋のミックスの仕方もいいセンスしています。よくあるラスベガスの安物ショーみたいになりがちな「さくら変奏曲」も、稲葉太地はスタイリッシュな演出で魅せてくれました。

ということで個別の感想です。
まずシャルル・ヴィルヌーブ・ドゥ・リベルタ(長い!^^;)の明日海りお

いきなり上手側からせりあがってきた姿は端麗です。歌も安定していて聞かせます。

人物設定はなかなか複雑で、裏切り者の汚名を着せられた父の子として島を追われ、フランスに渡って士官学校を卒業後、故郷カリスタの司令官として着任するという設定からして波乱含み。(笑)




総督の娘イザベラからダンスを誘われて戸惑います。


島の娘アリシアと出会います。


赴任したカリスタ島は小さな島とはいえ、フランス革命という歴史の激動は否応なく島民たちにも影響を与えはじめ、独立の運動も高揚してきます。明日海りおは歌も演技も立ち姿も申し分なし。
若いながらもフランスとカリスタとの無益な流血の衝突を回避するため心を砕く司令官をよく体現していました。


花乃まりあともよく似合っています。




いいコンビですね。

ただ、この日の明日海りおはどうしたことか滑舌が悪く、二回ぐらい台詞をかんだりしたのが気がかりでした。ヨメさんも気づいて途中で顔を見合わせたり。疲れから来る一時的なものなのか、次の観劇で要チェックです。
それと細すぎ。痛々しささえ感じるほどで、ちょっと心配ですね。

対する恋人アリシア・グランディー役の花乃まりあ

飛び切りの美人とはいいませんが(殴)、演技は大したものですね。一途にシャルルに恋する素朴なアリシアをリアルに好演していて好感度大です。
勝気さと、きれいな服に憧れる可憐さが等身大にストレートに表現されていて、いい娘トップぶり。




アニータからロベルトと一緒になれといわれても納得できません。


本当に今後が楽しみなトップコンビですね。

今回最も衝撃的だったのがロベルト・ゴルジ役の芹香斗亜です

観劇前にスカステニュースでチラッと見ただけでも、歌が別人かと思うほどの出来にビックリ。

そして実際に舞台に出てきた芹香斗亜はニュース映像以上の存在感でした。

あの頼りなげなライナス・コールドウェルはどこに行ったのでしょう。童顔に似合わない堂々とした立ち姿で、取っ組み合いしたらシャルルなど軽くノックアウトされそうです。(笑)









血気にはやる島民たちを説得します。


歌も立派に成長していて、演技も明日海りおにひけを取らず、恋敵を力演。変われば変わるものですねぇ。
堂々の二番手ぶりに脱帽です。

目立っていたといえばアニータ・ロッカの美穂圭子も圧倒的な歌唱力でした。片目をフランス軍に奪われてから心を閉ざしている孤独な島の女であるとともに、物語全体の狂言回し役でもあります。この人の存在感が、舞台を厚くしていました。ただ、ショーと合わせるとちょっと出すぎな感じも。(笑)
でも歌はやはり素晴らしいです。観ていてちょっと矢代鴻を思い出したり。

憎まれ役がセルジオ・グランディーの瀬戸かずや

アリシアの兄で、復讐の血に飢えた男です。すぐ銃をぶっ放したがる危ない男です。

妻のベラ・花野じゅりあが残念な使われ方でした。もったいない!!


出番は一度きりですが、島の伝説的な英雄アルド・アルフォンソの高翔みず希もいい味出していました。火あぶりの場面の炎の演出が秀逸。石田昌也の演出の妙でしょうか。


もったいないといえば、クラウディオ・カレーラの鳳真由ももっと使ってほしかったですね。


逆に目立っていたのが、若きナポレオン役の柚香光


こんなシャープなナポレオンもアリかなと思わせるほどのカッコよさ。




シャルルの要請を快諾するなど、もうけ役でしたね。


次はショーの感想ですが、とにかくきれいな舞台でした。

組にちなんで花をモチーフにした構成です。
衣裳の色合いがバッチリ好みでした。どぎつい原色の補色対比なカラーデザインが多い宝塚のショーは好みに合わないのですが、その違和感のあるショーがとにかく多い。(笑)
でも今回はシックな衣装でまず納得でした。場面の展開も新鮮でオリジナリティ充分、和を巧みに取り入れた音楽の構成も素晴らしい。
久々に見ごたえのあるショーで大満足でした。途中のダンクシュートな場面ではかなり焦らされましたが。(笑)

タンポポでもこんなきれいな黄色が使われていたり、


花乃まりあも頑張っていました。ダンスもなかなかのものでした。




お約束の黒燕尾もユニーク。


柚香光もかっこいい。ただ歌が‥。^^; 一層の精進を期待します。


そして最後のパレードで仰天のトドメ。芹香斗亜の羽根の大きいこと! これでもかの二番手宣言でした。(笑)

という感じで羽根のショックでショーの感想はいつにもまして簡単になりましたが(笑)、次回の観劇ではもっとじっくりと観て続きを書くつもりです。でも決して期待はしないでください。(殴)

以上で感想その1となりますが、事前の予想と違って芝居もショーも上々の出来で、お得感満載でした。しかもタダだったし。(殴)

当日は立ち見も出ていましたが、帰宅後チェックしたチケット仲介サイトでは、どうしたことか大量に良席がサバかれていたりしていて、かなりショック。思わずあのドン・カルロスを思い出してしまうほど。

でも本当にいい公演になっていますので、上記のサイトを利用するなりして(笑)、ぜひご覧になってください。絶対後悔しないと思いますよ。

ここからボヤキですが^^;、なによりショックなのは、先行販売で苦労してゲットした4月の同日のチケットよりいい席が定価かそれ以下で売られていること。二人でパソコンを動員して頑張ったのがなんだったのか、本当に悔しい。

あ、でも1回はタダで観られたのでいいか。(殴)

ということで、ここまでいつもと変わらぬ薄~い感想をご覧いただき、ありがとうございました。

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宝塚星組公演 『黒豹の如く』・『Dear DIAMOND!!』を観て

2015年03月03日 | 宝塚
『黒豹の如く』と『Dear DIAMOND!!』を観てきました。
6年トップだった星組・柚希礼音と夢咲ねねの退団公演。しかも多くの名作を生んだ柴田侑宏の久々のオリジナル書き下ろしの脚本、加えてその演出は『黒い瞳』や『激情』、『凱旋門』など柴田作品を多く手掛けてきた謝珠恵とあって、大いに期待して出かけました。
木曜日なのに劇場は立ち見の出る盛況ぶりで、人気トップコンビの最後を飾る公演への期待の高さを物語っていました。


でその結果は…。

大ゴケ(泣)。
ショーはそうでもないのですが、芝居のほうはまあ最近お目にかかったことがないような凡作でした。脚本がダメ。

ということで、以下、ネタバレありでかなりの酷評になっていますので、未見の方はスルーが吉です。
いつものように敬称略。画像は当日買ったプログラムのスキャン画像とスカステ番組のキャブチャです。後者はボケボケですが、雰囲気だけでもどうぞ。


で芝居ですが、出だしはいい感じでした。

オットセイの玉乗りみたいな(殴)海の精のダンスから始まって、パイレーツな格好の柚希礼音が、船上でダイナミックで精悍なダンスを見せてくれて、導入は上々の出来でした。船をシンボライズしたセットもシンプルだが迫力があっていい感じです。
そのあと、第一次世界大戦終戦2年目の1920年11月11日のパーティー場面に変わり、英真なおき扮するアントニオの叔父バンデラス侯爵(名前のネタはアントニオ・バンデラスですか^^;)が狂言回しでストーリーの背景や人物設定を説明した後、柚希礼音のアントニオが登場。そして夢咲ねね扮するカテリーナと3年ぶりに再会というところから話が始まります。
ここまでは本当に上々でした。


わくわくしながら観ていた私は、「ひょっとして名作かも」と予感しながら、そのあとの展開を楽しみにしていたのですが‥。
盛り上がったのはここまで (泣) 。

話の核心になる3年前の二人のそもそもの関係が舞台上で展開されないまま、ナレーションや説明台詞に頼りながら話を進めていくので、急速にテンションが下がってきました。話が全然進まない。^^;

同じようなシーンの連続なので、まぶたが急速に重くなってきました。(笑)
最近にないことです。
でも横のヨメさんに気取られないように、必死になって抵抗しても、つい睡魔に負けて何度かコックリとな。
まあ後半は少し展開があったので、どうやら睡魔との戦いは終わりましたが、代わりに途中から結末の予測が出来てきたりして、かなり白けてきました。
残念でした。『激情』とか『琥珀色の雨にぬれて』とか数々の名作を生んだ柴田侑宏はどこに行ったのでしょうか。

大体、この話、本当に『黒豹』だったのは先祖で、本人も同じく黒豹といわれたといっても、舞台では大半が参謀部勤務。

時代設定も疑問で、そもそも1920年代のスペインは、のちのフランコ総統の軍事独裁政権の前身となる勢力が軍隊内に台頭しつつある時期。
そこで立身出世する主人公というのはいかがなものか。(笑)

まあ敵役のスペイン随一の大富豪アラルコン(紅ゆずる)が勧めるナチス軍への転身は拒否していますが、それを断られた報復としてアラルコンがカテリーナ(夢咲ねね)を誘惑するというのもリアリティゼロで、説得力ナシですね。

大体、将来を嘱望された気鋭の高級将校を、侯爵とはいえ一民間人が「恋人がどうなってもいいのか」と脅迫して翻意させようとするのはどうみても無理筋。(笑)
それと、話に薬味を効かせたつもりの「毒殺説」が最後までちゃんと説明されず、効果なし。
アントニオやカテリーナ、アラルコン以外の役はほとんどしどころがなく、周辺の人間関係がきちんと書込まれていないため、みんな苦労しています。
そのあたりは、Now On Stageでリアルに語られていて面白いです。「役作りしようにもつじつまが合わないので悩んだ」とか言っていたのが率直で可笑しかったです。これ↓、必見の番組です。(笑)


では個々の人物について。

まず柚希礼音のアントニオ。海賊姿からシルバーグレイの軍服姿まで精悍な風貌で舞台映えがしました。

↓元祖『黒豹』です こちらで話を作ってほしかった!




二代目↓はどこが『黒豹』なのか劇中で展開されないので、よくわからない人物でした。


でも人物描写が乏しいのに、柚希礼音はよく頑張っていましたが、先に書いたように肝心のカテリーナとの過去の恋愛の経過が描かれていないので、二人の関係がイメージできませんね。

サヨナラ公演だし大恋愛ものだろうと期待していくと大外れです。
でもこんな場面では息の合ったコンビぶりです。


それと、ナチスに協力しないというアントニオでしたが、結局激動のスペインでどういう立場だったのか、最後まで不明でした。
この舞台の背景となる時期のスペインは、ミゲル・プリモ・デ・リベラ将軍率いる愛国同盟による軍事独裁政権(1923年 - 1930年)の時代です。
この時代にアントニオが参謀長まで立身出世し、最後はモロッコに向かうということは、スペイン領モロッコで始まった植民地支配に抵抗する第3次リーフ戦争の鎮圧に参加するためということですね。ちなみにこの戦争で功をあげたのが、その後のスペイン戦争を経て長期にわたる軍事独裁政権を率いたフランシスコ・フランコで、スペイン軍はこのリーフ戦争では毒ガスまで使用しています。
ということで、その経過から見ればアントニオもなんともダーティな役割を担ったことになってしまい、同じ脚本家の『誰がために鐘は鳴る』とは真逆の歴史観の作品になりますね。
まあ何でもアリーナなタカラヅカなので、固い話はヤボかもしれませんが。

カテリーナの夢咲ねねも、今回の舞台では不完全燃焼な役でした。6年間の娘トップの舞台経験の成果で、大人の女性として、かつての恋人と再会して揺れ動く未亡人役を好演していましたが、この作品が最後かとおもうと残念感大アリでした。やはり回想シーンでもいいので、二人のなれ初めの場面が欲しかったですね。




そして最後が離れ離れ。これでは観ているこちらも肩すかしされた気分で不完全燃焼。主人公たちに感情移入できないまま幕が下りてしまいました。

敵役のビクトル・デ・アラルコンの紅ゆずるです。




権謀術数に長けたスペインの大富豪というにはちょっと貫禄不足な紅ですが、スカステでみた『風とともに‥』のレットバトラーよりははるかにいいと思いました。貫禄という点では十輝いりすのほうが役に合っていたかも。
この人の歌はけっこう出来不出来がはっきり分かれる感じですね。あくまで私の感想にすぎませんが。
悪役としてもっと迫力のある憎々しさや嫌な奴ぶりが出たらと惜しまれました。
どこかサラッとしたところが抜け切れないですね。プライドが傷つけられたというだけで悪事を企むというのでは、本気になれないのかも知れませんが。(笑)

セバスチャン・デ・ディアスの十輝いりすもかわいそうな役です。





舞台では貫禄もあり堂々とした押し出しで目立ちますが、人物設定が省略されすぎで気の毒です。最後のどんでん返しもセリフで説明されるだけでは全く効果なし。もっと説得力のある伏線がちゃんと敷かれていたら納得でしたが。

もっとしどころのない役がアントニオの部下ラファエル・デ・ビスタシオの真風涼帆




これで組替えだと思うと残念でした。
壱城あずさ・天寿光希・礼真琴の3人組も英真なおきとともにナレーション役を務めていますが、まあそれだけでしかない、一山幾ら(殴)な役です。
その英真なおき。この人を見るたびに私は『王家‥』での組長挨拶が心に残っていますが、今回も彼女ならではの、味のある演技で印象に残りました。今では少なくなった組生え抜きのトップ・柚希礼音の退団は、彼女にとっても感慨深いものがあるでしょうね。

あと男役では、麻央侑希がアラルコンの子分役で、格好の良さで目立っていました。でも、まあそばにいるだけの役。まあスタイルの良さはショーでも一際目立っていましたが。

女役では、ダンサーでアラルコンの愛人アルヴィラ役の妃海風が濃いキャラクタでもうけ役でした。でも個人的にはこの公演で退団する音花ゆりにこの役をやって欲しかったですね。彼女の美声がもう聞けないかと思うと、本当に残念な退団です。
舞台装置も不満でした。最初に書いたように船のセットみたいなのはよかったのですが、あとはだんだんしょぼくなってきて、最後のほうはLED丸見えのチープな台だけ。全く盛り上がらず。

これが『激情』みたいに濃密でよく練られた脚本だったら、少々セットが簡素でも気になりませんが、今回のように薄い芝居だと余計手抜きに見えてしまいますね。ナポレオンとまではいかなくても、せめてアンドレア・シェニエぐらいの装置が欲しかったです。

ショーの方は、101年ということで柚希を101カラットの宝石に見立てたショー。




いきなり柚希礼音が銀橋から登場。ダンスは見ごたえありでした。


こんなフラフープみたいな場面もあり




途中以前の『ノバ・ボサノバ』公演でドアボーイを演じた柚希礼音が同じ場面を再現したりして楽しませます。衣装の色は柚希礼音のこだわりで以前の色を再現したとか。


夢咲ねねです


ブランコで登場




紅の妖艶なダンスや、礼真琴の歌も聞きどころです。


続くラインダンスでは麻央侑希がひときわ目立つスタイルの良さでセンターに立っていました。
その後柚希礼音が二階席に登場するサービスもあって客席は盛り上がりました。

こんな場面もあったり


でも途中までは、最近では珍しくサヨナラ公演らしさが感じられなかったのですが、舞台に神輿が登場してから一気にサヨナラショーモード全開。私の横の女性は思わず声をあげて拍手。




ただ、やはり全体として壮一帆稀凰かなめのときのように柚希礼音がソロで歌う場面が少なくて残念でした。
そうそう、音花ゆり、シャウトしたりして頑張っていました。専科に残ってくれたらと本当に残念です。
ということで、興行的には退団フィーバーで大成功でしょうが、いろいろ思うところも多い今回の観劇でした。

芝居の残念感・多大だったので、贔屓コンビの退団公演なのに帰りの車中でもガッカリであまり話題にはならず、次期トップの話題に切り替えて帰宅しました。(笑)
その次期トップ、これまた200%ありえないと思っていた仰天人事(100周年記念のどんな公演もイベントもかすむほどの青天の霹靂!!)ですが(笑)、基本的に長くみっちゃん贔屓だった私たちですので、今はいいトップぶりを披露してほしいと願うばかりです(笑)。

↓おまけです。
Now on Stage恒例の花束贈呈です。この二人、6年間本当に楽しませてくれました。






お疲れ様でした。そして新しいステージでの活躍を期待しています。
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雪組公演『ルパン三世-王妃の首飾りを追え!-』と『ファンシー・ガイ!』を観て

2015年02月03日 | 宝塚
宝塚大劇場で、雪組公演ミュージカル『ルパン三世 ―王妃の首飾りを追え!―』とショー『ファンシー・ガイ!』を観てきました。
といってももう先月の話で、大劇場は終わっていますが(笑)、ついアップが遅れていました。^^;

平日なので阪神高速の渋滞が心配でしたが、出発前に報じられていた事故渋滞も通過時には解消していて、順調に大劇場に着きました。前回宙組観劇時と同様、今回も高校生?らしい団体の観劇があり、そのせいか立ち見の盛況ぶり。


という前置きはこのぐらいにして、いつもの薄味・塩分控えめの感想です。少々ネタバレアリです。

例によって敬称は略です。
今回はネット予約で何とか確保した8列目・上手側端での観劇。やはり前は快適ですね。でも下手側を観るにはオペラも必須。

開演前に客席がにわかにざわめいたので、見れば龍真咲と轟悠両人のご観劇でした。

で唐突ですが、いきなり結論です。

面白かった! 

芝居は新トップコンビのお披露目公演+101年目の正月公演にふさわしい内容で(ハッピーエンドがなにより!)、ショーのほうも奇をてらわず正統派の構成で観応えがありました。トップも仲が良さそうで一安心。(殴)

幕が上がってしばらくは、観ていてなんだかドタバタ続きで、これは安手のギャグ連発のスラプスティック・コメディかとちょっと引きそうになりましたが、18世紀にタイムスリップ後は俄然面白くなってきて、一睡もせずに(殴)最後まで舞台に見入ってしまいました。この芝居は、お気楽モードで観ないとダメですな。演じるほうはかなりアニメを意識してやっているので、そう思ってみないと入りこめないということがわかって、早急にモードを切り替えました。(笑)

荒唐無稽な話ですが、それを細かい伏線をちりばめて無理なく展開、なにより今の雪組メンバーに宛書したような配役の妙で、最後はうまくハッピーエンドが用意されていて、コメディ巧者な小柳奈穂子脚本・演出ならではのさすがの出来でした!
現代のヴェルサイユ宮殿から一気に18世紀にタイムスリップして、タカラヅカお得意のロココ調の時代へと土俵を移すあたり、演出家の話づくりのうまさが冴えていました。
過去を変えてしまって、劇中でもチラッと話が出てきたタイムパラドックスの危惧はどうなったの?と言いたくなりますが、それは野暮というもの。肩の力を抜いて楽しんで観ることがこの公演では必須です。

出演者では、まずルパンの早霧せいながよかった。心配していた歌も十分許容範囲内。身を固くして歌の終わるのを待つ(殴)などということにはならず、普通に聞けました。それよりもこの公演がトップ就任初とは思えない軽妙で自由な演技で、タカラヅカ版ルパンとしてまったく違和感なく、頑張っていました。
画像は当日購入したプログラムの画像から部分スキャンしたものと、スカステのナウオンステージの動画をキャプチャしたものです。なので後者はピンボケ満載です。




それと、脚本が下級生にまで台詞を与えていること、組子の個性をよく引き出す配役が効果的で、以前の地味な印象だった雪組を見直しました。
壮一帆から組の雰囲気が明るくなったと思っていましたが、今回の観劇でいっそうその感を強くしました。

ショーのほうも変化に富んだ展開で飽きさせず。私たちの世代にはなじみの名曲のメドレーといううれしい構成で、いい作品に仕上がっていました。前回の雪組『My Dream TAKARAZUKA』以来久しぶりに楽しめたショーでした。

ただ、ショーは場面が次々に流れていくので、私には作者の意図などたった一度の観劇で把握するのはとうてい無理です。(笑)
どうしてもそのあたりの予備知識が欲しいという方は、ぜひスカステのナウオンステージを事前にチェックしておくことをお勧めします。私たちは観劇後にそれを見たので、「ああそういうことだったのか」と事後納得。(笑)
でも当然ながら、見ていなくても十分楽しめます。客席降りもあって大サービスです。

以下、芝居のほうから、出演者別の感想です。

早霧せいなのルパン三世。


この人は私はこれまでほとんど注目することはなかったです。最近観た舞台奥村助右衛門役でしたが、なにかというと寂しく笛ばかり吹いていて(笑)、最後は裏切るという陰気な役(殴)であまりインパクトがなくいい印象なし。その前のダンスの教師役もちょっと感情移入できない役だったので、正直言うとトップ就任は大丈夫かなと思っていました。

でも、今回は余計な心配が軽く吹き飛ぶ楽しいルパンで、ちょっと前田慶次のときは聞き取りにくかったセリフもスッキリ明瞭。舞台狭しと駆け回る姿が新鮮でしたね。コメディセンスが光っています。見直しました。

漫画やアニメそっくりなほど足細いです。↓ 衣装もセオリーどおり、赤いジャケットに黄色いネクタイ。









余裕のアドリブで、随所で笑いをとっていました。これでもう少し歌が強くなればいうことなし。今のままでも充分私の許容範囲内ですが。

続いてマリー・アントワネットの咲妃みゆ


この人の舞台は、スカステで報じられていた『THE MERRY WIDOW』の千秋楽の様子を見て、初観劇を期待していましたが、それに違わず、いい娘トップでした。
インタビューやナウオンなどでは、か細い声で今時ありえないほどブリっ子な感じ(笑)ですが、話の内容自体は極めてしっかりしていて、よく考えながら演技していることが伝わってきます。
相当な年の差カップルですが(殴)、よく息があっていました。


そして一たび舞台に上がれば、童顔に似合わず、歌も演技も台詞も実力充分というギャップが面白いです。





ただ、ショーもそうですが、もっと歌を聞きたかったですね。

そして銭形警部の夢乃聖夏


若いと思っていたのにもう退団とは‥。
改めて歳月の移り変わりの速さに驚きます。もっと活躍する姿が見たかったのに、本当に惜しいです。

最初に彼女を見たのは、スカイ・フェアリーズに選ばれてスカステに登場した時です。(そういえば早霧せいなも沙央くらまも同時期に選ばれていましたね。)
正直言ってその時はファニーフェイスだな程度の印象でしたが、いつのまにか安定した中堅どころになっていて、とくに眼の力のある演技で、最近では往年の鳳蘭を髣髴とさせるパワフルな舞台姿で私たちも注目していました。
なのにもう退団。惜しいです。今は退団後の活躍を期待したいですね。

で、今回は銭形警部ですが、もう弾けまくっていました。出てくるだけで笑いを呼ぶ演技。パワフルでキレのあるエネルギッシュな身のこなしで注目の的でした。






おまけですが、ナウオンステージの最後では、恒例となった花束贈呈がありましたが、周囲の表情が温かいです。






次は新メンバーになった望海風斗のカリオストロ伯爵。

彼女のルッキーニが歴代の同役でも出色の出来だったので、これまた期待しての観劇でした。そして予想通りの堂々とした詐欺師・ペテン師ぶりで(これ、褒めています^^;)、安定感と迫力がありました。歌も演技もすでに老成した感すらあって、いうことなしです。

カリオストロ伯爵は実在した人物だそうで、もちろん原作の漫画でも登場しますが、漫画では精巧なニセ札づくりとして登場しています。まあ錬金術師も現代ではニセ札づくりということか。






続いては峰不二子役の大湖せしる

彼女も他の生徒同様に事前にアニメなどで研究したといっていましたが、ナイスなバディを生かしてまあなんとも色っぽい不二子です。ただ、ちょっとクネクネし過ぎな演出で、まるでプログラムの壊れたアンドロイドみたいで(笑)ちょっと過剰な気が‥。








男役経験を生かして立ち回りもド迫力。ルパンより強そうだったりして(笑)


でも最近の彼女を見ていると、どの公演でもいい役続きで、転向が奏功して本当によかったですね。
そういえば他の組でも、男→女の転向組はみんな成功しているような気がします。逆パターンはありませんが、あっても面白いかも。(笑)


ルパン一味では石川五エ門役の彩凪翔と次元大介役の彩風咲奈も面白く演じていました。どうでもいいですがこの二人、彩凪彩風で字面のよく似た芸名ですね。

石川五エ門役の彩凪翔です。









私は他の芝居でも、刀を鞘に戻す場面に出くわすと、ちゃんと入るかなとつい見入ってしまいますが、今回ももちろん注目。(笑)
で結果は、早いとは言えませんが、うまく納めていましたね。ナウオンでは、本人も毎回気にしているとのことでした。

次元大介役の彩風咲奈です。素顔では女顔&童顔なのに、舞台では男っぽい次元大介になっていました。タカラヅカ化粧は怖いです。(笑)







ショーでのイリュージョンもびっくりでした。

歌で目立っていたのがマリー・ルゲイ(一座の主演女優)の舞咲りん。怪演ぶりもうまく、面白さでは一番のツボでした。
こういう場面を入れるところがコメディ巧者な小柳奈穂子の本領発揮です。


あと芝居では画像がなくて残念ですが、ジャンヌ・ド・ラ・モット伯爵夫人の透水さらさもいい感じでした。歌では舞咲りんとともにショーでも大活躍でよかったです。


ルパンを漫画を読んだのははるかな昔で、アニメはほとんど見ていませんが、そんな私でも面白かったので、舞台作品としての完成度は大したものです。いつものことですが、原作を読まないとわからないような作品ではいけませんね。
破天荒ですがその展開には無理がなく、配役も多彩で、下級生までセリフが配分されているのは民主的です。(笑)

続いてショーのほうです。
でも、細かいストーリー設定とかは覚えていません(殴)。というか、わからなかった。(笑)
なにせ次々に変わっていく場面を眺めて、歌とダンスに浸るだけですから。
でも、プロローグの機関車のようなフリの場面の衣装の色だけはちょっと抵抗があったものの、全体として好みにあった佳作になっていました。

使われている曲の選択も名曲ばかりでいいし、しっとりとしながらも爽快感があって、新トップのお披露目と101周年の幕開きにふさわしい作品でした。

以下、ショーの様子です






いいメンバーなのでもう一度↓^^;


プレスリーが繁殖していました




ピンクスポットを浴びて登場








トップのデュエット場面もピッタリ息が合って麗しく、














最後のパレードは夢乃聖夏のエトワールで


いつもの締めくくりとなります





以上で感想は終わりです。ここまで忍耐強くご覧いただき、ありがとうございました。

感想のアップをさぼっていたらもう大劇場は星組公演。
こちらはファイナル公演ですね。有終の美となることを期待したいですが。

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宙組公演『白夜の誓い ―グスタフIII世、誇り高き王の戦い―』 を観て

2014年12月01日 | 宝塚
11月13日(木)に大劇場で宙組公演『白夜の誓い ―グスタフIII世、誇り高き王の戦い―』『PHOENIX 宝塚!! ―蘇る愛―』を観てきました。


PUCK以来で久しぶりの宝塚でしたが、大劇場の門まで車いすを押して行ったら、劇場の正面玄関横は高校生の大軍団。これまでも修学旅行らしい高校生の団体が観劇しているのに出くわしたことがありますが、今回はその人数が半端ではありません。劇場内でも二階席だけではなく一階まで座っていて、そのあおりで平日なのに立ち見が出るほど。
まあ将来のヅカファンを育成するために、高校生の団体観劇は劇団にとっても重要ですね。
そのほか一般の団体客も多く、盛況でした。

最近私たちの宙組への期待度は大幅に低下していて、「まあトップの退団公演だし、観ておこうか」程度の低いテンションでの観劇でした。ですが、観終えてみればこれが予期しなかった(殴)良作。
キャパ(これはスカステで放映されたものを観ただけですが)やモンテクリスト伯と同じかそれ以上のいい作品でした。

同じく退団公演の出来といえば、雪組の「『一夢庵風流記 前田慶次』も同様にいい作品でしたが、今回の作品も芝居の面白さを満喫できました。
基本的に厳しい鍛錬を経て生徒の伎倆レベルが高いタカラヅカでは、脚本の出来が公演の良否を左右する最大の要素ですが、今回の作品は完成度が高く、久しぶりに「リピートしてもいいね」と二人で話したほど。(チケ難でとても無理ですが‥)
原田センセイの脚本、大したものです。やはり宝塚(に限らず舞台全般ですが)は脚本の出来がすべてですね。

ということでまず全体の感想です。いつものとおり敬称略。なお画像は当日購入した公演プログラムのスキャン画像と、スカステで放映されたNow on Stageから切り出したものです。

出だしはよくある回想シーンと思ったら、そうではなくて幼少期の主人公グスタフとその幼馴染ヤコブのエピソードで、これが二人の未来の関係を暗示しています。この二人の関係がストーリー全体の縦糸となっています。

パリでの生活と、伯爵夫人(伶美うららがきれいです)との関係、パリで当時湧き起っていた自由主義思想に影響されたり、絶対王制に対する疑問を抱いたりしたあと、前王の死と急きょ即位する過程、そこでの王権を巡る暗闘と即位後の政略結婚、そして大国ロシアとの海戦での勝利。
まあこういう筋書きで結構ハイテンポで話が進んで、結局それでめでたしめでたしかと思ったら、それはあくまで話の前半。そこから話のトーンは暗転し、最後はグスタフの非業の死。こういう構成は映画「アラビアのロレンス」みたいです。

まあとても二本物とは思えない話の展開で、大海戦で勝利して大国ロシアとの和解で終わるとばかり思っていた私が浅はかでしたね。でもまあ短時間なのによく話を詰め込んだものだと感心しました。
ただ、やはり時間の関係で話が端折られた個所もいくつかあったので、本来ならじっくり一本物として造り上げてほしかったところですね。このあたり、『一夢庵風流記 前田慶次』でも感じたことですが、サヨナラ公演なので仕方がないか。

しかしショーのほうはちょっといただけない出来でした。
雪組の退団公演同様、今回のショーもサヨナラショーになっていましたが、フェニックスにこだわりすぎてどの場面も同じような印象になって単調・平板。藤井大介の作品としてはガッカリな結果となりました。

それでは芝居のほうから、個別の感想です。

まずグスタフIII世の凰稀かなめ
プログラム表紙です↓

実際のグスタフIII世はなかなか全体像を捉えるのが難しい複雑な人物ですね。

パリに遊学して当時の自由主義思想に触れたかと思うと、即位後は絶対王政を復活させたり、軍事的冒険主義の傾向があって戦争をよく仕掛けています。ただ、王制を強化したものの農民や市民から強い支持があったりと、複雑な時代に生きたユニークな人物のようです。まあいわゆる啓蒙君主の一人ですね。

こういう多面的な才能を持ち、単純には括れない複雑な人物は凰稀かなめによくあっていると思います。実際演出家は宛書したと言っていますね。
憂いのある表情が生きています。


歌のほうも、今回は以前のスカステのベルバラ公演関連ニュースで聞いてしまった破壊的な歌(殴)ではなく、ちゃんとした歌として聞くことが出来ました。(笑)
ベルバラとか「風と共に‥」が彼女に合っていなかったということですね。
演技は思うところが多く、深謀遠慮、懐の深い人物らしい演技で、本当にキャパやモンテクリスト以来久しぶりに見るいい出来でした。退団公演がいい作品になってよかったです。


でも私の記憶では凰稀かなめのトップ作品には娘トップとの大恋愛ものというのがなかったと思いますが、今回も微妙な感じの夫婦(笑)でした。そもそもが絵に描いたような政略結婚なので、お互いに不本意極まりない気持ちで結婚。
グスタフの心はココにありみたいな感じで↓

私は観ながら「これは実際のトップコンビの関係を宛書したのかな」などと思ったりしましたが(殴)、もちろんそんなことはなくて(と思いたい)、ソフィア・マグダレーナ・ア・ダンマルク(デンマーク王女)の実咲凜音はひそかに礼拝堂で夫の戦勝祈願したりしています。

でも、この観劇後スカステでNow on Stageを観ましたが、やはりなんともいえない微妙なトップコンビでしたね。
凰稀かなめは実咲凜音が話しているときは視線をそらしてほとんど笑顔を見せないし、実咲凜音も凰稀かなめを慕うようなそぶりをあまり見せずに自分の意見を語るという感じです。(笑)
そんな凰稀かなめを慮って、同席した出演者も微妙な距離を保って実咲凜音の話を聞いていたり。
他の組の同様の番組での様子と比べて、かな~り冷めた感じがそこはかとなく漂ってきます。
ええ、これはあくまで私たち夫婦の感想ですが。
史実ではこのグスタフグスタフIII世、女性関係では淡泊だったということです。それも原田センセイが題材に取り上げた理由だったりして。(殴)

それはさておき(それだけ言ってさておく?)、そのソフィア・マグダレーナ・ア・ダンマルクの実咲凜音です。



今回の公演ではショーもですが、歌ウマぶりをいかんなく発揮する場面がとりわけ多く、目立っていました。

もともと細かったのにさらに体を絞っていて、ウエストのあまりの細さにビックリしました。ただほおがこけて見えるので、痛々しくあまりいい感じはしないですが。大体痩せた女性は好みではないし。(殴)

先に言ったように主人公と感情が交差する場面が少ない、しどころのない役で気の毒ですが、それでもいい夫婦に見えるように(笑)頑張っていました。

今回の芝居でのキーパーソンは、同じく退団する緒月遠麻の貴族ヤコブ・ヨハン・アンカーストレムです。 おいしい役で、特に後半に見せる暗い表情が異様に目立ちました。迫力があります。戦勝に沸き立つ国中で一人沈む彼の姿に目が離せなかったですね。

ただ、やはり時間が足りず、彼の苦悩と離反の理由がもひとつ説明不足。幼馴染の関係から次第に離反していく心境の変化が描かれていたらもっと厚みのある舞台になっていたと思います。




それにしても、安定した陰影豊かな演技でこれまでいろいろな役をこなしてきた緒月遠麻。
退団がもったいないですね。専科入りしてでも残ってほしかったですね。ヨメさんもしきりに同じことを言っています。
もう残念の一言。

そしてカール・ポンタス・リリホルン(スウェーデン近衛士官長)を演じるのが次期トップ朝夏まなとです。
退団する二人が絡む芝居なのでワリを喰って軽めの役ですが、初めは敵対する陣営に組してその手先となりながら、やがてグスタフの赦しを得て本来の職務で忠誠を尽くすというわかりやすい役柄(笑)で、なにより歌唱力が文句なしで、登場するたびにホッと安心したり。






その、グスタフに敵対する貴族の元締めなのが大臣・クランツ役の寿つかさ。憎々しい根性の曲がった悪役です。面従腹背、利権を守るために手段を選ばない悪人ぶりがリアル。軽妙な役でもいい味を出していましたが、今回の敵役もなかなか。


おいしい役といえば農民出の山賊稼業のニルスが七海ひろき



宮殿に忍び込んで農民たちの窮状を直訴したり、のちに軍人に取り立ててもらったりといい役回りです。あともう少し歌に進歩がほしいですね。

冒頭の子どもたちの撫育官テッシンが専科の汝鳥伶。定番の包容力のある温かな人柄がよく出ていました。


先に書いたグスタフの初恋の人・エグモント伯爵夫人(イザベル)の伶美うららは透明感のある上品な美貌が目を引きます。
同じような絵ばかりですが↓



この人ももっと歌唱力で伸びてくれれば無敵の娘役だと思いますね。

そして最後に、今回一番印象に残ったのがエカテリーナ女王の純矢ちとせでした。
画像がないのが残念ですが、貫録十分でしかも気品も威厳もあり、最初は「あれ、誰かな、もしかして専科?」と思ったほどの堂々とした演技。大したものです。

というわけで、芝居のほうは時間の制約で話が十分展開しきれていないきらいはあるものの、よく組み立てられた構成で、退団公演にふさわしい秀作になっていました。原田センセイ、今後がますます期待できます。

で、ショーのほうですが、凰稀かなめの「鳳」からフェニックスとなって、不死鳥伝説がテーマになっています。
でも肝心の場面の展開が変化に乏しくて(あくまで私の感想です)、つい睡魔が襲ってきてコックリとな。(殴)それをヨメさんに目ざとく見つけられたりして。
まるで星組の『ジャポニズム 序破急‥』のときのようでした。
ちょっと期待はずれでしたね。同じサヨナラショー的な作り方でも先の雪組のほうがいい出来だと思いました。

でも凰稀かなめは驚きの超長大なマントをまとってがんばっていました。平板な構成とはいえ、各場面では持ち前の大人のトップスターの魅力がひときわ輝くショーでした。
「伝説の宝鳥」では怪盗カナメールが七変化以上の化け方で見せてくれます。











緒月遠麻も当然見せ場がたくさんで、




刑事キタロールが笑わせてくれます。



でもなんとしても惜しい!!

途中若手も出てきて揃い踏み


朝夏まなとはサラマンダーの場面ではダンスを頑張っていました。




そしてめでたく新旧バトンタッチ↓


最後はお約束の黒燕尾軍団です


そしてデュエットダンス


フィナーレのパレードは意表を突くダブルエトワール!でした。まあ歌ウマをそろえて、次期トップお披露目も兼ねていて、納得でしたが。

というわけで、今回も長々と書いてきましたが、ここまで辛抱強くご覧いただき(笑)、ありがとうございました。

私たちの今年のタカラヅカ観劇はこれで終了です。来年はルパンから。果たしてどうなりますやら。

そして一般の観劇も、昨日11/30の兵庫芸文センター中ホールでの『familia -4月25日誕生の日-』(主演:大空祐飛)が最後でした。久しぶり~な大空祐飛でしたが、その感想はまた後日アップします。

興味がおありでしたらまたみてください。



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宝塚月組『PUCK(パック)』『CRYSTAL TAKARAZUKA-イメージの結晶-』の感想など

2014年10月17日 | 宝塚
本当に久しぶりの宝塚です。なにしろ前回の観劇は星組公演なので2か月もの空白。これが100周年かと思うほど足が遠のいています。(笑)

ということで久々の大劇場なので、観劇日が近づくにつれて(ひいきの組ではなくても)だんだん期待が高まってきました。

観劇当日、朝食をとりながら、いつものとおり高速道路の渋滞情報をチェック。そして画面を見て大ビックリでした。阪神高速の2か所で渋滞が発生! それもかなり長い区間です。まあとにかく少しでも早く出かけようと、あわてて車に乗り込みました。

これが悪夢の始まりでした。

高速に乗る前の25号線でもすでにいつもより車が多く、焦りながら阪神高速へ。
阪神高速松原線に入ってしばらくすると、車が増えてきて、まもなく電光表示板に「池田まで120分」の表示。別々の原因の2か所の渋滞がつながってしまって、渋滞区間がさらに長くなっています。大阪市内に入っていない段階ですでにノロノロ運転になっていたので、表示を見た時点で9時45分をまわっていました。
普段でも宝塚へは阪神高速池田線・終点からさらに15分ぐらいかかりますから、大劇場到着は開演時間を1時間も過ぎた12時になってしまいます。

それで、このまま高速道路を行ってもどうしようもないので、直近の「文の里」出口で降りて、一般道で大劇場を目指すことにしました。
といっても、文の里は大阪市の南東部ですから、最低淀川を渡るまでひたすら一般道を走らなくてはなりません。
高速を降りても、大阪市内はいつもどおりの交通量で混んでいました。でも動いているだけマシ。ナビを頼りに、祈るような気持ちでプリウスを走らせました。もう二人ともものすごいストレスです。口数も減ってきていました。

なんとか新御堂筋を経由して淀川を渡り、そこでナビで「高速優先」でルートを再検索。
池田線の豊中入口に行けとのナビの指示に従ってしばらく走ると、見慣れた豊中入口につきました。高速に入るとウソのような車の少なさ。そして中国自動車道も渋滞なしで、なんとか屋内駐車場に滑り込んだのが10時56分
場内でトイレを済ませて、大劇場に向け車いすをフルスピードで押して、劇場入り口到着が11時3分。もちろんもう始まっていました。とてもじゃないけど本来の席(8列上手側)には行けないので、スタッフに頼んでドア横の車いす席へ。幸い二人分空いていたので、なんとか観劇できることになりました。本当にヤレヤレでした。

舞台はちょうどパックの誕生場面が終わろうとするところでした。

ということで、観劇での遅刻経験でいえば(笑)、ほぼ『イーハトーボの劇列車』と同タイミングでした。途中の車内での、焦りと絶望感(笑)も同じでした。

ということで、ようやくの感想になります。(殴) 少々ネタバレありなので、未見の方はスルーしてください。
いつものとおり画像はタカラヅカスカイステージの「Now on Stage」の録画を再生したものをデジカメで撮影したものなので画質は悪いです。(^_^;) そして敬称略です。

パックの初演はもう二昔以上も前のことですが、なんといっても涼風真世麻乃佳世のコンビが絶品で、今でもその印象は鮮やかに残っています。(といっても、細部はほとんど覚えていなかったことが今回判明(^_^;)
で、大体いい作品は初演を超えられないというセオリーを信じる私としては、それほど出来については期待していなかったのですが、これがなかなかの佳作になっていました。リピートとまではいかないし、プログラムも買っていませんが、一度は観るべき作品としておすすめできる芝居になっていました。(説得力ないなあ。^_^;)

でまずパックの龍真咲から。



これまでどうも私には合わない人なので、トップ就任では二作目の観劇ですが(ただ第一作のベルバラはみりお目当てでした(殴))、今回の芝居はよかったです。
芝居もこれまでと違って自然で、セリフも気にならず、歌がこれまでのドヤ歌風ではなく(殴)、細やかな感情のこもった歌い方で、「へぇー、こんな歌い方もできるんや」と見直しました。役柄からかなり無言を強いられる場面が長いのですが、妖精らしくみせようと健闘していました。耳がかなり目立ちますが、涼風の時もあんなに長かったのかな。






愛希れいかのハーミアもよかったです。がんばってセカンドサイトを持つピュアな少女になっていました。


この人も男役トップと同様に、私にはあまり合わないなと思っていたのですが、今回は素朴で純粋な感性を持った役柄をうまく演じていて、好感度大幅アップ。


貴族のグレイビル家ですが、没落していって衣装も普通になっていきます。結局家屋敷はナショナルトラストの管理下になっていくのでしょうね。(笑)


でも基本的に控えめな印象の役なので、どうしてもヘレン(沙央くらま)のほうが目立っていました。

両手に花?ですね。

もともときれいな顔ですが、出てきたときはしばらく誰かわからなかったですね。女役がぴったりで、これなら早く女役に性転換したほうがいいかもと思ったり。(殴)
大体男役から変わった娘役はみんな個性がはっきりしていて成功していますからね。

今回一番目立っていたのはホテル王の息子ダニー役の美弥るりか。大体いやな奴というのはインパクトがあっておいしい役ですが、今回の芝居でも儲け役でしたね。



くっきりはっきりな顔立ちなので、演技に説得力が増します。歌がもう少し伸びれば言うことなしです。
貴族が没落し、替わって大資本が支配するようになった世相をよく表しています。

逆に同じく貴族の御曹司・ラリー役の凪七瑠海はちょっとものたりない役。典型的な脇役で(最近のタカラヅカでは劇中で楽器を弾く役というのは軽い役まわりみたいな傾向が‥(笑))、あまりしどころのない役です。昔と違って貴族といっても称号だけなので実生活は普通です。

まあ美人のヘレンと一緒になったので、最後はそれほど可哀そうでもないかも。


ダニーと同様に目立ったのが、森番の息子・ボビーの珠城りょう。おいしい役でした。ショーでもいい出番をもらっていて、トクしていましたね。





観ていて、劇団がかなり売り込んでいるなあという感じが強かったです。そして珠城りょうもパワフルな演技でそれにこたえていました。

芝居の設定とはべつに、個人的に気に入ったのが妖精の王オベロン役の星条海斗です。まったく余談ですが、以前に「メリー・ウィドウ」の千秋楽のスカステのニュースで見た彼女の挨拶が強烈な印象で、それ以来ずっと気になる存在です。(笑)あ、その前のベルバラの衛兵隊長の好演の印象もありますね。
とにかくその挨拶、北翔海莉に対する感謝の言葉が尋常ではなく、それにつられて北翔海莉もホロリとするほど。こんなストレートに感情を出した挨拶は初めて見ました。それで大幅に好感度アップした状態で観た今回の芝居なので、ずっとオペラで追っていました。(笑)
なんとも貫禄十分な王様です。



今回の「パック」、全体の感想としては、やはりうまい展開で脚本・演出とも間延びのしたところもなくてさすがですが、テーマの一つである環境問題が今となっては少し鮮度が落ちているのは、時代の変化で仕方がないですね。
初演の後、同じ演出家の「ルナ」とか、他にも熱帯雨林の乱開発だとか、同じようなリゾート開発を題材とした「ステラマリス」とかがあっていささか陳腐化した題材ですが、22年前にその先鞭をつけたという点では演出家の意図は大したものです。

それと、初演では演出家がその時のトップコンビに宛書して脚本を作るので、ベストな出来になってしまい、それを超えるのは難題ですね。

あと、運動会ネタのアドリブも入って、笑いを誘っていました。

今回の観劇ではショーのほうが楽しめました。
構成はタカラヅカ定番のものですが、衣装やセットのセンスが光っていて(レーザー光線で(殴))、構成もメリハリがあってよかったです。「イメージの結晶」というコンセプトで、舞台に据えられた大きな水晶のセットが目を引きました。

ショーでは自動人形の場面と、『しずくの結晶』が印象に残りました。

ショーでも沙央くらまが目立っていて、きれいです。


それと人形役の愛希れいかが頑張っていました。大健闘! ダンスの力量を再認識しました。





最後に人形が人間になるかと思っていたらそうならずプチ残念。(笑)

「しずく‥」では星条海斗のソロがよかったです。その前の場面でいなかったのでどうしたのかなと思っていたら期待通り登場。安心しました。(笑)




目立ったといえば芝居同様に珠城りょう。凪七と美弥がセット販売されるのが多いのに(殴)、珠城りょうは単品販売(笑)。一人で歌うおいしい場面が多くてトクしていました。ただちょっともう貫禄ありすぎかな。






あとはラテンのデュエットダンスがよかったです。二人のダンスも見ごたえありで、衣装もいい出来でした。
途中の客席降りでは通路側に座ったヨメさんが何度も生徒さんにタッチしてもらって大喜び。

というわけで、恐怖の往路のトラウマも、ショーを観終わったらすっかり解消して、売店でお土産の菓子などを買う余裕もでてきました。現金なものです。(笑)

帰途はスイスイで、快調に戻れました。

久しぶりの宝塚観劇でしたが、やはりいいですね。


今月は怒涛の観劇月間で(笑)、パックの2日後には兵庫芸文センターでこまつ座『きらめく星座』を観て(よかったですよ!)、明日(10月18日)は『炎 アンサンディ』と続き、ただでさえ枯渇気味の脳内リソースがさらに底をつきそうです。でもなんとか感想をアップしたいです。

期待せず(してないしてない)、お待ち下さい。

今回も最後までご覧いただきありがとうございました。m(__)m














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宝塚星組公演『The Lost Glory ―美しき幻影―』『パッショネイト宝塚!』 観てきました

2014年08月02日 | 宝塚
ナポレオン以来久々の星組。期待して出かけました。
途中の阪神高速松原線で渋滞との道路情報で少々心配しましたが、渋滞区間はわずかで、着いて見たらいつもと同じ時間。10時前には劇場に向かって車椅子を押していました。

大劇場はもうけっこうな賑わいで、当日券は完売。木曜日なのに立ち見まで出る盛況ぶりでした。

先日来、花組エリザのチケット確保に悪戦苦闘の挙句、結局入手できなかったことといい(泣)、この人気はやはり100周年効果でしょうか。それにしてもエリザのチケット難は異常です。全く無いのではなくて、あちこちで大っぴらに定価の三倍近くで売られていたり。組織的にダフ屋が入ってきているのかと思いたくなるほどです。

愚痴はさておき、今回も、暑さしのぎにジェラートショップ「ボヌール」で三色の「バラエティ」を食べてから劇場へ。


席は8列の下手側。端っことはいえオペラ要らずの良席でした。

開演前、急に客席がザワつきだしたので見ると、花トップコンビの観劇でした。終演後も、二人が出て行くのを見送りましたが、思った以上に明日海りおの肩が薄く、ちょっと痛々しい感じ。体力勝負のトップなのに今から痩せていて大丈夫かなと思ったり。

前置きはこれくらいで、少々ネタバレありのいつもの薄い感想ですが、よろしければお付き合いください。以下、敬称はすべて略しています。


『The Lost Glory―美しき幻影―』はシェイクスピアの「オセロ」をベースに植田景子脚本・演出でミュージカル化したものです。彼女自身がイメージモチーフといっているように、結末など大幅に変わっているので実質は別の話ですね。

ショーの方は稲葉大地 作・演出の「パッショネイト宝塚!」。楽しいラテンショーで観どころ満載でした。

で早速ですが、芝居のほうの感想です。
よかったです。少なくとも破綻していない。いやこれかなりの賛辞ですが。(笑)

でも、もしチケットがあったとしても、リピートはないですね。(やっぱりホメてないか。(殴))
でもショーの方は、ショー音痴な私でも絶対リピートしたいと思ったいい出来でした。

芝居は前半がちょっと単調な感じで退屈でした。
あまり変化のない、同じような場面が続いて、説明台詞も多かったし。それで、アレ、このまま最後まで同じ調子かなと、不吉な予感がしてきました。もちろん話はそれなりに展開されていきますが、話の「山」と「谷」の差が小さく、ちよっと期待が空振りという感じでした。
もともと今回は、星組公演ということもありますが、あの『アンドレア・シェニエ』の植田景子脚本・演出なので、これは何をおいても観なくてはと期待していたので。

でも、そんな不安も、株の大暴落あたりから俄然面白くなって解消。やはりなんでも順調というより悪くなる方が面白い。(殴)

話の時代背景は、第一次世界大戦後、空前の好景気に沸く1929年のニューヨーク。舞台に林立する摩天楼のセットが、ペットボトルの集合体なのも、その後の大量消費時代の幕開け&バブル経済を象徴していますね。ちなみに舞台装置は「アンドレア‥」以来おなじみの松井るみですが、今回はちょっと期待外れでした。

主人公はギリシャ移民から身を起こし、アメリカで実業家として成功をおさめた建築王のオットー(原作ではオセロですね)。扮するは久々の星組特出の轟悠

私は「第二章」でも書いたように、轟悠は大の苦手でした。(笑)
でも「第二章」で見なおしましたが、あれはドラマシティ公演。今回のような特出で主役降臨の公演はかなり抵抗がありました。ただ今回も、「第二章」同様に、台詞や歌が以前のような(たとえば『長崎しぐれ坂』みたいな)無理に声を押し殺したような発声の勿体ぶった印象は消えていて、丁寧で役のツボを押さえたいい演技でした。
ただ体の絞りすぎなのか、年なのか(殴)ちょっとやつれて見えるのが辛いですね。もう少しふっくらしてほしいです。

でもそのおかげで若い妻への疑心暗鬼・猜疑心に苛まれる苦悩のシーンや、↓



信頼していた部下に裏切られて衝撃を受ける場面ではリアリティが出ていたともいえるし、黒くパワフルな野心にあふれたイヴァ―ノ(原作ではイヤーゴ)役の柚希礼音との対比も際立っていますが。

そして久しぶりに観る黒い役の柚希礼音は期待通りの出来。
柚希礼音のイヴァ―ノは、オットーの信頼が厚いものの、イタリア系移民の父親の妾の子という出生のコンプレックスから逃れられず、さらに後進のカーチス真風涼帆)に昇進を出し抜かれて、一気にワル役全開となります。その契機となったカーチスの昇進発表時の彼の表情が凄いです。(笑)





以前ドラマシティで観た『永遠の祈り革命に消えたルイ17世-』での悪役が強烈でした。主演の湖月わたるを喰ってしまう存在感で、これが最初の衝撃でした。そしてスカピンのショーブランが圧巻悪漢(笑)。どちらも眼のチカラが強かった。
最近見たスカステのNow on Stageで、柚希が今回の役作りについて話していましたが、イヴァーノについて「初めはいい人だったが、だんだん悪くなっていく人物にしようか」とか迷っていたが、演出家から「最初から悪役全開で」といわれて変えたとか。

ちなみに、これから観劇される方はこのNow on Stageをご覧いただくといいと思います。いろいろ苦労話が語られているので観どころが増えて舞台がさらに深く楽しめると思います。私は先に見ていなかったので後悔の日々。

さて柚希イヴァーノは、演出家期待通りの渾身の黒さで、早々にオットーに宣戦布告しています。


そしてオットーを陥れるために次々に策略をめぐらし始めます。

ただ、この芝居、やはり二人トップな舞台なので、焦点がはっきりしない話になってしまったのが残念。もういいかげんに「トップ降臨」はやめてほしいですね。
それと、イヴァーノの「裏切り」を際立たせるためには、二人が相互に信頼し合っていた頃や、そもそも二人が出会った馴れ初めなどのエピソードがもっとあったほうがいいと思いました。

大富豪キャンベル一族の令嬢で、オットーと結婚するディアナが夢咲ねねですが、歌がもうビックリの大進歩でした。まあうまくなるものですねぇ。こんなに伸び代があったとは。
今までは、そつなく歌えているものの、どこかで声が裏返ったりかすれたりするのではと(笑)、ハラハラ感がつきまとっていましたが、今回の歌はどれも素晴らしい。安心していられました。
たいしたものです。こんなに歌えるのかとヨメさんと顔を見合わせていました。

演技は「第二章」でも確認済みですが、今回も余裕のディアナでした。

細かい表情の変化に感心しました。
一方的に愛を打ち明けせれて戸惑う場面とか

基本は育ちのいい令嬢ですが、後半、オットーの妄想を表現したコケティッシュなタンゴダンスシーンではガラッと変わった大人の女性の一面を見せていました。

↓そのセクシーなダンスです。あくまでオットーの妄想ですが‥







スカステの対談番組では絵描きでもある役ということでしたが、それは最後の場面でわかりました。そこでのねねの台詞、轟悠の実生活での趣味とひっかけてあって、思わず笑ってしまいました。

イヴァーノの策謀でディアナの不倫相手に仕立てられるカーチス真風涼帆
女たらしで派手な立ち居振る舞いで陽性の目立つ役です。








それと対照的なのが、紅ゆずる扮するディアナの初恋の相手ロナルド。歌も演技もひ弱そうで内気で陰気で臆病な(笑)若者でした。

紅は、家庭教師のころから一方的にディアナを想い続けています。それを利用したイヴァーノにいいように操られていきます。



そんな一途にディアナに恋焦がれる小心者の役をよく演じていました。あまりこれまで観たことが無い頼りなさそうな紅が新鮮です。(笑)

でもそれが二番手?な紅の適役かというと、微妙ですね。(笑)大体出番も少ないし。
派手な人物設定のカーチス役のほうがまだやりようもあったと思いますが。

今回意外な収穫だったのがウォルター・ライマン役の十輝いりす。貫禄の富豪ぶりでした。

そして歌も今まで観た中で一番の出来だと思いました。

こんな恰幅のいい、貫禄十分な人物に「株は大丈夫」と断言されたら、誰でも信用してしまいそうです。


そして歌唱力ではなんといってもパット・ボローニャ役の礼真琴ですね。

役としてはほとんど筋に絡まない小さなものでしたが、歌では一番目立つ存在でした。礼音の歌も聞かせますが、声質では礼真琴の方がきれいで、正統派の歌唱力を再認識しましたね。




今回の舞台で一番期待外れな役だったのがサム役の美城れん
台詞も少なく歌はなし。オットーとの生活の描写もなしで、せいぜい「花を渡してくれ」と頼まれるぐらいの役ではしどころなし。
せっかくの演技も歌も生かせていない。勿体ない話です。



衣装はアルマーニが全面協力したそうですが、かなり普段のタカラヅカ衣装とは違いますね。

さてショーの『パッショネイト宝塚!』は、ラテンもの。


このショー、ラテン物が苦手な私でもつい見入ってしまうほどテンポのいい展開で、見せ場も多く印象に残る作品でした。ダンサー柚希を先頭に、星組メンバーのチームワークの良さが稲葉大地によって十二分に引き出されていてGood Job!!

プロローグからいきなりダイナミックなダンスが始ります。

以下、順不同でショーの場面から






ねねとわからないほどの黒塗りです(笑)












ショーで使われている曲は、前回の雪組同様に耳によくなじむ「マシュケナダ」や「黒いオルフェ」「キサス・キサス・キサス」などおなじみのナンバーが続くのがうれしいです。懐かしのメロディです。(笑)
↓キサス・キサス・キサスがいい感じでした


トップコンビのダンスも見ものです。








しかしなんといっても凄かったのが、中詰めのあと柚希礼真琴を中心に踊るダイナミックなアフロブラジリアンダンスのカポエイラ
この場面は本当に圧巻。森陽子の振り付けが斬新で、タカラヅカでもこんなことが出来るんか(殴)と感心しました。ヨメさんもモロに感激していました。









息があった二人のダンスでした。



というわけで私の感想では異例なことですが、ショーの方が高得点という結果になりました。でも芝居もよくできています。(説得力無いかな(笑))

ぜひみなさんも劇場まで足をお運びください。おすすめです。



さて、次は昨日観てきたレディ・ベス。いろいろ感じることの多い舞台でした。

最近物忘れが激しいので、早く書かないと‥。^^; でもいつになるかな。(殴)



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