思いつくままに書いています

間口は広くても、極めて浅い趣味の世界です。
御用とお急ぎでない方は、ごゆっくりどうぞ。

宝塚雪組公演 『一夢庵風流記 前田慶次』&『My Dream TAKARAZUKA』 いい舞台でした !!

2014年07月09日 | 宝塚
7月3日(木)に宝塚大劇場で、雪組公演『一夢庵風流記 前田慶次』&『My Dream TAKARAZUKA』を観てきました。

大劇場は5月3日以来ちょうど2カ月ぶり。5月も同じくらいの間隔での観劇だったので、今年は100周年なのに観劇の回数が少ないです。

しかし、2か月もブランクがあると、大劇場も新鮮な感じで、ちょっと懐かしささえ感じたほど。(笑)
ヨメさんも同感だったようで、あいにくの雨にもかかわらず、大劇場の前で記念写真を撮ろうと言い出したり。(笑)

とくに先月から兵庫芸文センターやドラマシティでの観劇が続いていたので、久しぶりに劇場の売店でフィナンシェを買ったり、公演関連のパンフレットやスカステの番組紹介誌をもらったりしながら、どことなく暖かなこの宝塚の雰囲気もいいもんだなと思いました。

そして、とくに贔屓の組でもないので、余り期待せずに観たこの舞台でしたが、これが望外の出来でした!
チケットさえあればまた観たいと思った宝塚は本当に久しぶり。
さらに、芝居はよくてもショーになるとよく寝てしまったりする私ですが(殴)、今回はなんと一睡もせずに観てしまいました。それどころか、禁断の歌の連続で、不覚にも涙腺が緩みそうになることもたびたび。(笑)

舞台でも宝塚の良さを再認識の観劇となりました。

ネタバレありの感想です。相も変わらず長いだけで中身の無い感想ですが(笑)、御用とお急ぎが無ければどうぞご覧ください。(笑)
いつものとおり敬称略です。座席は残念ながら19列。でもドセンターなので舞台全体がよく見えました。

で、まず芝居のほうの感想です。
いい舞台でした! かなり込み入った話で役も多いのに破綻せず(笑)、テンポがよくグイグイ進んでいきます。
人物像も簡潔で分かりやすい。強いて難を言えば、かなり詰め込んでいるので、個々の話のディテールが若干はしょられている感じもしないではないですが、一本物ではないので仕方がないか。逆に一本物ではないのに、よくここまで話が展開できるものだと感心しながら観劇していました。密度の濃い脚本です。
劇中の歌『散らば花のごとく』と『薄墨の花片』もよかった。特に前者は耳によくなじむ旋律で、聞きながら、あれ、ひょっとして寺田メロディ?と思ったり。
あとでプログラムを見たら両曲とも作曲/高橋 城とありました。この人の曲、最近あまり聞いた覚えがなかったのですが(私が知らないだけかな)、さすがにいい曲でした。もっとこの歌の場面があればよかったのですが。

加えて舞台装置も凝っていて、とっかえひっかえの衣装も豪華。信長の衣装など、たったワンシーンだけなのがもったいなかったです。(笑)
劇の背景に描かれた洛中洛外図屏風みたいな絵も丁寧に描かれていて見ごたえありでした。またオープニングのプロジェクタの使い方と開演の挨拶の組み合わせなども洒落ていて、劇へのワクワク感を高めていました。

そして今回の目玉の一つの異例の特別客演松風も目立っていましたね。愛馬ぶりが素晴らしく、登場するたびに客席の注目を集めていました。

↓当日買ったプログラムから




私たちは原作を読んでいないままの観劇でしたが、問題なかったです。後日、本屋でチラッと立ち読みしましたが、舞台化にあたって大幅に役や筋書きが変えられて原作とはかけ離れたものになっているので、事前に読んでも余り意味がなさそうです。大体原作を読まないと理解できない脚本ではダメだし。

まあとにかく、緩急自在の話の展開と、宝塚ならではの大所帯を生かした演出・大野拓史得意の多彩な配役が今回は効果的で、最後のドンデン返しまで飽きさせないのはたいしたものでした。
楽市楽座に代表されるあの時代特有の、活気のある世相や庶民の自由な暮らしぶりが、たびたび挿入された群舞でよく表現されていました。
観終わって、何とも言えない爽快な余韻に浸れました。100周年にふさわしい、いい芝居でした。


さて主な出演者についての感想です。

まず前田慶次壮一帆





まさに宛書といっていいほどのハマリ役。
飄々として人生を達観していて自由闊達・豪放磊落・奔放不羈(←四文字熟語連発(笑))、しかも鎧の上から袈裟掛けで相手を切って捨てる剣の達人(原作より)。そんな前田慶次を壮一帆は極めて自然に演じていました。


利家を水風呂に入れる策略などでも場内を湧かせていました。利家役の奏乃はると、うまかったですね。初めは専科の誰かかと思ったほど。


乗馬も様になっていました。馬の松風もさすがにプロの仕事で、思わず見とれてしまいました。

いい役に巡り合えたものですね。退団にふさわしい良作ですが、出来たらトップ就任公演でやってもらいたかったですね。

以前ときどき感じられた「ドヤ歌」(殴)風な力みもなく、余裕の歌唱力で耳に心地よかったです。
彼女の芝居はあまり観ていなくて、記憶にあるのは10年前に観た『送られなかった手紙』での好演ぐらいですが、今回の芝居はその印象を塗り替えるいい舞台でした。

壮一帆は、歌も演技も定評のある実力を持ちながら、トップ就任が遅れて、その間思うところも多々あったでしょうが、めげずに続けてきた姿には、こちらもいろいろ感じとることが多かったですね。そしてトップ就任を自分のことのように喜んでいた蘭寿とむの姿も印象的でした。

長い宝塚生活を締めくくるいい作品に巡り合えて、本当によかったと思います。

(ただこの人、演技とは無関係ですが、スカステのインタビューやNow on Stageなどで話すとき、中小企業の社長さんが従業員や部下に訓示しているような演説口調になるのがいつも気になります。(笑))



次は利家の正妻・まつ愛加あゆ




原作では正妻の立場など全く意に介さず、自由奔放に生きる女性とか書いていましたが、この人の顔を見ているとどうしても良妻賢母とか、健康・健全・健気の3Kイメージ(またか!(殴))がつきまとって、ちょっと役の設定との違和感アリでした。でも歌も演技も全く危なげなく、娘トップの貫禄さえ感じさせる存在になっていました。
最後のほうの場面で慶次と助右衛門があっていると聞いて駆けつけるところが見せ場で、そのただならぬ様子がその後の展開を盛り上げていました。
しかし、10数年前のNHKの大河ドラマ利家とまつ』のイメージがあったので、原作に描かれていた貞操観念ゼロ(笑)という「まつ」像はびっくりでした。

↓いいコンビになっていました。


つぎは奥村助右衛門役の早霧せいなです。
この人、ひとり寂しく横笛を吹いている場面が多く(笑)、影のような存在かと思ったら、実は「腹に一物・背中に二物」な複雑な人物でしたね。「親友」であることとと「忠臣」たることが背反する苦悩を笛で紛らわせていたのか。そんな影のある演技がよかったですが、最初の慶次との会話の場面、壮一帆と違ってちょっと台詞が聞き取りにくかったです。ヨメさんも幕間で同じ感想でした。この人、もう少し濃く演技するほうがいいのではといつも思いますね。









さすがの演技と歌だったのが、謎の人物・二郎三郎役の一樹千尋
狂言回しでもあるこの二郎三郎という人物、でも存在感たっぷりなので、タダモノではないことがすぐわかります。
一樹千尋が出てくるだけで安心してしまう私たちですが、今回も貫禄充分な演技でした。


そして同じく専科から秀吉役で出演の夏美ようもよかった。


このふたり↓でどれだけ舞台に厚みが出たことか。でも夏美よう、少し枯れすぎみたいな。(笑)


あと、深草重太夫役の夢乃聖夏がいつもの得意の笑いで高得点。





ただ、もうそろそろ黒い役とか敵役での彼女の演技が見てみたいです。眼の力も強くて演技もパワーがあるので、シリアスな役で舞台に上がってほしいと思います。

黒い役といえば、雪丸役の未涼亜希と、慶次を狙う捨丸咲妃みゆです。

未涼亜希もこの公演で退団ですが、もったいないですね。他の組でも同じような中堅クラスがどんどん退団していっていますが、本当に惜しいです。
で、雪丸ですが、不気味な存在でさすがの迫力。見るからに手ごわそうです。でもちょっとかわいそうな面も。


直江兼続役の鳳翔大と。この人、余り出番がなく惜しいです。まあ最後で出られたが。


加奈(助右衛門の妹でまつの侍女・加奈大湖せしるとの絡みも見どころでした。
大湖せしるはショーでも目立つスタイルやダンスの力量が魅力的でした。出番になるとついオペラで追ってしまいます。(笑)


そして刺客の捨丸役の咲妃みゆ。これも美味しい役です。でも見ているとかわいらしさが先に立って、おおよくやっているなとつい保護者みたいな感じで見てしまいました。(笑)
Now on Stageなどでは、彼女、慣れないせいかたどたどしく話していますが↓、舞台ではそんな印象とはかけ離れたいい演技で頑張っていました。


身のこなしにもキレがあり、表情も引き締まっていて十分役になりきっていました。期待の星です。




さすがに慶次には軽くあしらわれていましたが。(笑)


しかし、まあとにかく役が多くて、とても紹介できません。だいたい一回観ただけでは到底無理。
なので、東京で観劇予定の方、ぜひリピートされることをお勧めします。

次はショーの方です。


最初に書きましたが、このショー、まるまるサヨナラショーです。(笑)
挿入された『My Dream TAKARAZUKA』と『伝説誕生』(阿木耀子作詞)の歌詞などまんま壮一帆への送辞です。
「たとえライバルだって最高の友達」なんて歌われたら、贔屓でもない私でもついホロリとしてしまったり。^^;
加えて退団者の踊る場面も多く、これでは東京公演の千秋楽が思いやられますね。(笑)

ショーも大人数での群舞の連続で(ヨメさんは多過ぎ!と不満気味(笑))、迫力がありました。
今回とくに感じたのは衣装の色が素晴らしいこと。大人っぽい粋な色彩が冴えていました。
それと、先の2曲以外でも、たとえば黒燕尾の場面で『風のささやき』が流れたり、



別の場面でもおなじみの『ケ・サラ』が歌われたりで、年寄りを泣かせるサヨナラショー全開です。ヅカ観劇が初めてらしい団体客が多いこの日の客席でしたが、これをどう感じたのか感想が気になったりしました。

以下、個人別にショーのご紹介です。

まず壮一帆から。













そして愛加あゆ。











早霧せいな。1枚だけですみません。m(__)m



未涼亜希です。渋いです。惜しいです。




エトワールも


最後はオマケで(殴)咲妃みゆ。


これもオマケで、この公演のNow on Stage収録後に退団する3人に花束贈呈の様子です。
なにかホノボノとしていて、いい光景でした。







というわけで、雪組公演、本当にいい舞台でした。

今回も忍耐強くご覧頂いて(笑)、どうもありがとうございました。




次の宝塚は今月下旬の星組ですが、理事さんのご降臨な公演なので果たしてどうなることやら。^^;


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宝塚宙組公演『ベルサイユのばら―オスカル編―』を観て

2014年05月12日 | 宝塚
「ラストタイクーン」以来二か月ぶりの宝塚です。
でも出し物は宙組『ベルサイユのばら-オスカル編-』。
実をいうと余り観たくなかったのですが、「100周年だし宙組だからやはり観ておかないと」というヨメさんの希望で観劇決定。がんばってパソコンで先行予約に応募、14列下手ブロックとまあまあの席をゲットしていました。

観劇当日の5月8日はさわやかな好天。一部渋滞があったものの、概ね快調に走って、10時前に駐車場に滑り込みました。そこから劇場までの花の道はすっかり葉桜になっていて、2月の寒々とした様子とは一転していました。
劇場周辺はもう多くの観客が次々に来ていて活気がありました。劇場内の土産物売り場やロビーも賑わっています。
いつものとおり「天下もち」と「宝塚フィナンシェ(売り場が変わっていました)」を確保してから、昼食用のサンドイッチと寿司を買うべく売り場に行ったら、長い列ができていました。初めて見る光景にびっくり。土日ならまだしも(でも土日でもみたことがありませんね)、平日の木曜日にこんなことになるとは、やはり100周年と「ベルばら」人気なのでしょうか。しかも私たちの番になって「すみません、サンドイッチ売り切れました」。
でもすぐ作ってきてくれたのでよかったですが。
そして開場前に劇場入り口に行くと長蛇の立ち見の列。木曜、平日の観劇でこんなに立ち見が出るとはこれまた驚きでした。
↓立ち見のお客さんが案内されて行きました。


というどうでもいい前置きはこのくらいにして、本題の感想です。(以下、いつものとおり敬称略です)
今回の座席は、ネット先行予約で頑張って何とか確保した14列の下手側の席。久し振りの前寄りの席で、やはり見やすかったです。


私たちが観たのはこの配役でした。↓
オスカル………………凰稀かなめ
ロザリー………………実咲凜音
アンドレ………………朝夏まなと
ジェローデル…………七海ひろき
アラン…………………緒月遠麻
ジャルジェ将軍………汝鳥伶
マロングラッセ………一原けい
ブイエ将軍……………寿つかさ
ジャルジェ夫人………鈴奈沙也
カトリーヌ……………美風舞良
ジョアンナ……………大海亜呼
ベルナール……………蓮水ゆうや
オルタンス……………純矢ちとせ
イザベル………………愛花ちさき
マリーズ………………花音舞
画家……………………風羽玲亜
平民議員………………天風いぶき
シモーヌ………………花里まな
平民議員………………天玲美音
ロベスピエール………澄輝さやと
スザンヌ………………綾瀬あきな
ルルー…………………すみれ乃麗
ダグー大佐……………凛城きら
フィリップ………………松風輝
アルマン………………愛月ひかる
オスカル(幼少時代)…星吹 彩翔
三女……………………瀬音リサ
四女……………………愛白もあ
ヴェール………………蒼羽りく
イレーヌ………………結乃かなり
ジルベルト……………夢涼りあん
シャロン………………風馬翔
ロセロワ………………美月悠
ジャン…………………桜木みなと
ロード…………………実羚淳
五女……………………彩花まり
次女……………………伶美うらら
小公女…………………真みや涼子
小公子ランロス………和希そら
小公女…………………瀬戸花まり
セルジェ………………留依蒔世

で、いきなり結論ですが、この公演、一度観たら十分、まずリピートはありえないです。
でも観て後悔はしていませんね。(笑)

やはり、同じフランス革命をとりあげた秀作「アンドレア・シェニェ」とかを観てしまったあとなのでどうしても比べてしまいますが、この「ベルばら」、一本物なのに劇としての密度は本当に低いですね。
やはり良くも悪くも、「ベルばら」は古い宝塚そのものです。
全編ベタなセリフで、それらが大仰でやたらに説明調なのは某理事の十八番ですね。でも上記作品や「翼ある人々…」などの出来のいい芝居を観たあとでは、それが終始気になりました。

収穫の第一はやはり凰稀かなめのオスカルのきれいなこと。演技も説得力がありました。
昨年の雪組の「ベルばら」でみせた麗しい凰稀かなめのオスカル(といってもニュースで見ただけですが(殴))を再び直に観られただけでも価値があります。容姿は(だけは?(殴))思った通りで(でも往年の涼風オスカル並みとまではいきませんが)、いい眼の保養になりました。

それと、実咲凜音の歌もよかった。ヨメさんも「今の娘トップの中では一番うまいね」としきりに感心していました。我が家で再評価の声が高まっています。(笑)
それと、なんといってもあの「翼ある人々…」以来の朝夏まなとや緒月遠麻、伶美うらら(きれいでした!でも出番もしどころもない!)に再会できたのがうれしかったです。まだ間がないのにすでに懐かしささえ感じるほど。(笑)

今回のオスカル編ではかなり変更点がありました。

オープニングも変わっていますが、その後にオスカル誕生と、男として育てられることになった経緯を説明する場面が入っています。父親ジャルジェ将軍に扮する汝鳥伶が説明するのですが、長台詞をがんばっているものの、中途半端な狂言回しで、冗漫・蛇足な感じでした。

純矢ちとせなど姉妹たちも元気に舞い踊っていますが、もっと別の出し方もあるだろうと思ってしまいました。もったいないです。
<以下画像はすべて初日のスカステニュースから>




それと、三部会が閉鎖になる場面も付け加えられていました。

ここでオスカルが民衆の側に立つ契機を説明したかったのでしょうが、革命の大義として「自由・平等・友愛」を繰り返していたのは違うと思いますね。革命の原動力は、やはり腐敗した絶対王制のもとで困窮した民衆の怒りでないと。
その点では、以前のように、オスカルがベルナールに案内されて民衆の窮状を間近に見て目覚めるという設定のほうが自然です。
まあ目先を変えようとしたのでしょうが、そんな小手先の改変ではだめですね。
せっかくの題材なので、「風と共に…」同様、100周年を機に、制約を一切付けずに若手の演出家に思う存分ブラッシュアップさせたら面白いと思うのですが。
「アンドレア・シェニェ」の植田景子の手になったらどうなるかとつい妄想してしまいますね。

まあ愚痴はそのくらいで、良かった点を配役ごとに。

まずは主役オスカルの凰稀かなめ。文句なしに綺麗です。
オープニングの「ごらんなさい」のあと、舞台中央の巨大なオスカルの絵の前で朝夏アンドレと男役たちが歌い踊り、


それが終わると、真っ赤な軍服に白いマントのオスカル登場です。

ちょっと老けたオスカルな感じがしないでもないですが(殴)、さすがのマントさばきでこれもまた絵になっています。




衛兵隊の場面です↓「そんなに女・女というな」といいながら笑うところ




毒入りワインの場面↓




ただただ残念なのが歌…。(^_^;) 容姿と演技の素晴らしさで余計そう思ってしまいました。最近彼女の歌はあまり気にならなくなっていたのですが、今回はどこか麻路さきを連想してしまって(殴)、ちょっとひっかかりました。
「わが名はオスカル」という歌の音域が弱点を増幅しているように感じました。

今回の公演で客席(タカラヅカ初見の人も多かったようです)をどよめかせたのが一幕終わりのペガサスに乗って登場する場面。
本人がNow on Stageで語っていたところでは5階ぐらいの高さがあるとか。確かに高かったです。

今回のペガサスはバージョンアップされていて、形もリアルで翼も頭も動き、クレーンの動きもギクシャクせず滑らかでした。ただし、話題作り優先でいささか唐突に登場させるところが某理事らしいですね。(笑)

勘弁してくださいよと思ったのはフィナーレのこれ↓



なんかニューハーフのショー(殴)みたいな性別不明感があって、いいとは思えなかったですね。


実咲凜音のロザリーですが、役としてはなんともかわいそうです。

出番も少なく、あまりしがいもない今回の芝居ですが、せめてもの演出家の配慮なのか、プロローグとフィナーレの二度のエトワール!で、さすがの美声を存分に聞かせてくれました。


歌は本当にうまいです。安心して聞き惚れるという点では朝夏まなとと双璧。





その朝夏まなとのアンドレですが、久しぶりに見る朝夏まなと、「翼ある人々」で印象一新した私たちの期待に違わず、アンドレを好演していました。





そして歌!

彼女が歌いだすと本当にほっとしますね。最後の凰稀・朝夏・実咲のトリコロールダンスでも実咲凜音とともに美声を聞かせてくれています。


ただ、橋の上でしつこく狙撃される例の場面の演出はもう食傷です。10数発で絶命って、防弾チョッキでも着ているのか?と突っ込みたくなります。普通、最初の一発で欄干に隠れてその後の被弾は避けるだろっ!といいたいですが、いつ観てもクドイ演出です。弾数もますます増え続けている気がします。(笑)
アンドレの死といえば、アンドレが天国からオスカルを迎えにこないのもいいとは思えなかったです。「花のいのち」という新曲を歌ってオスカルが一人で昇天するのはかわいそうです。

緒月遠麻のアランは、これまでの歴代のアランとちがって、かなり老けた役作りです。(笑)

たたき上げの剛腕の下士官というより、影のある老練な隊士という面が強く出ているのが新しくユニークなところです。

オスカルに敗れたところ↓

これもNow on Stageで語っていたところですが、意識的に緒月遠麻はその線を出したとのことです。このあたり、役代わりの七海ひろきがどう演じるのか、興味あるところですね。
↓フィナーレで新曲を歌っていました


そしてそのジェローデルの七海ひろき。これまであまり私は彼女について注目してこなかったのですが、今回のジェローデルを観てよさを再発見しました。
なによりマントを着て登場しただけで、爽やかなたたずまいの良さに感心しました。





役に合ったキャラクタ作りに苦心の跡を感じました。今回観て好感度アップでした。この人ももっと歌に精進してほしいです。

今回で退団してしまうベルナール役の蓮水ゆうや。演出の変更で出番が少なくなっていますが、そんな中でも好演していました。革命への熱意がよく伝わってきていい演技でした。

退団が惜しいです。組のメンバーの彼女に対する惜別の思いがNow on Stageでも本当によく出ていました。それを見るだけでも価値があります。

気になったのは今回挿入されたオスカルの少年時代(星吹彩翔)の場面。いらないですね、これ。あまり似てないし。まあ少しでも出番を増やそうとしたのでしょうが。


衛兵隊で目を引いたのが蒼羽りく(ですよね)のヴェール。強烈な存在感があって、はじめはこちらをアランと思ってしまったり。


娘役はオルタンス役の純矢ちとせをはじめ、伶美うらら(きれいです!)やすみれ乃麗など、期待していたのにほとんど見せ場がなくがっくりでした。本当にもったいない。




フィナーレのショーはこれまでになく長く、バラのタンゴがウリのようですが、私は上に書いたように「ご勘弁を」な場面でした。(笑)
新味を出そうといろいろ見せ場を作っていましたが、やはり最後の実咲凜音が堂々のエトワールで満足しました。

ということで、いろいろ感じることの多かった観劇でしたが、一度は見ておくべき公演だと思いますよ。(手遅れかな(笑))
それと、スカステに加入している方はぜひ事前にNow on Stageをご覧ください。生徒たちの真剣な役作りがよくわかります。それと先に書いた蓮水ゆうやの退団にまつわる話も心温まります。

今回も偏見と妄想だらけになった拙い感想になりましたが、ここまでご覧いただきありがとうございました。

(2014-05-12)

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宝塚花組公演『ラスト・タイクーン ―ハリウッドの帝王、不滅の愛― 』 を観て

2014年02月26日 | 宝塚
今回の体調不良、風邪or花粉症なのか不明ですが、咳が止まらず目はショボショボ、鼻はグズる悲惨な状態で、食欲もなくなり久しぶりに寝込む始末。なんとか一昨日ぐらいから回復してきたので感想をまとめ始めましたが、肝心の公演が、どちらも少々期待はずれ。さっぱり感想を書こうというテンションが上がらない状態になっていました。
なのでいつにもまして薄い感想ですが、よろしければどうぞご笑覧ください。m(__)m

今回のタカラヅカ観劇、新人脚本/演出家の大劇場デビューとあって、かなり期待していました。
当日も楽しみにしながら劇場に向かったのですが、トップの退団公演なのに劇場内の土産物売り場とかホールとか見てもそれほどのにぎわいもなく、あまり活気が感じられなかったのは意外でした。これが人気の舞台だったらもっと勢いが感じられるのですが、平日ということを考えても少々さびしい感じ。

開場時間となって席に着きました。見渡せば1階席はほぼ満席だったので一安心。

で芝居の感想ですが、私としてはかなり不満な出来。
でもヨメさんの感想は「まあまあやったね」。えっ、よかった?と私が聞き返すと「とりあえず話は破綻してないから」。
まあ「破綻していない」というのは彼女の評価ランクでは「ギリギリ合格点」という意味ですが。

でも私としてはとても合格点は無理でした。
出かける前に見た公式ホームページの[解説]では、「大物プロデューサーの栄光と挫折」とか、「亡き先妻と瓜二つの未亡人とのロマンスを描いた」とか書いてますが、そのどれも描かれていなかったですね。大体始まってすぐにいきなり結婚というのも唐突すぎ。

でもそれよりなにより結末が不満。強引でもワンマンでもいい映画ができたのならそれで納得ですが、完成する前に死んでしまうとは。何のために社長と張り合ったり映画スタッフとすったもんだしたりのか意味ないですね。

原作がどこまで書かれていたのか知りませんが、どうせ未完の原作なんだし、結末は自由に作ったらよかったのにと残念。
例えばモンロー・スターと映画スタッフの組合連中が苦労して機材と資金を集めて、会社の妨害をはねのけて自主上映したら一挙に人気沸騰、映画会社を見返して、その勢いで次の映画製作に奔走するさなかに事故で死ぬとかやったらまだ意味があるけどね。
どんな映画を作ったのか作ろうとしてきたのか、肝心の栄光と挫折が描かれていないのが致命的。
ただの手が早く傲慢で、横暴で身勝手な男でしかなかったのが残念。「不滅の愛」っていわれても、そもそも愛らしい愛がどこにもなかったと思います。

蘭寿とむは頑張っていたけど、脚本の人物描写が弱いから持ち味が出せずかわいそうでした。

スーツ姿はやはりよく似合っていたけど、どんな役にも誠実さが付きまとう彼女のキャラクターなのに、今回は脚本がその味を引き出せないまま、類型的な「やり手」で終わっていたのが気の毒でした。





「真面目キャラ」でもオーシャンズ11ではまた星組とは違った別の味を出していたから、やはり脚本の不出来がすべてでしょうね。

明日海りおのヒゲは意外に違和感なかったですね。(笑)ただきれいな容貌なので老けるのは難しい。

若々しさがどうしても出てしまって、とても大学生の娘がいるとは思えない。(笑)スーツはちゃんと着こなしていましたが、年齢相応の落ち着きとか貫禄というのはなかなか出せないものですね。
そして彼女もどんな人物か、モンロー・スターと目指す映画観の違いなどで対立するとかが描かれていたらまた話に説得力があったと思いますが。ただ会社を守りたいだけに見えました。
歌はよかったです。モンロー・スターが歌いだすと反射的に身構えてしまったりしましたが、それが明日海りおと望海風斗の歌が弛緩させてくれました。

その望海風斗、あまりいい役ではないけど(笑)、骨太の演技で存在感がありました。

リーダーシップがあります。


ただ、今回の配役は、明日海りおと望海風斗の役を入れ替えたほうが良かったと思いますね。
望海風斗はオーシャンズ11でも濃いあくの強い演技ができるから、社長にぴったりだったと思う。逆に明日海りおはモンロー・スターといろいろ衝突するが、最後には意気投合して映画スタッフとして一緒に映画を作って、スターの死後もその映画作りの情熱を受け継いでいくとかにした方がつながったのではないかと妄想したり。

鳳真由は出番が少なくてもやはりうまかった。華形ひかるの小説家で脚本担当もまだ書き込まれていていい役のほうで、他の生徒たちは役名はあってもあまりしどころがなくかわいそうでした。


キャサリン・ムーア/ミナ・デービスの二役・蘭乃はなですが、大体話がラブロマンスというより「カリスマプロデューサー」に色を添えるだけの存在なのでしどころがない役。


でも何度も言いますが、そのカリスマ性が話の中で浮き彫りにならないのが致命的でした。

あと場面転換とかがんばっていましたが、こちらが話に入り込めないままなので、いくら盆を回したり、セリを多用しても効果は感じられなかったですね。このあたりは『アンドレア‥』の場面転換のうまさとは大違い。セットは大道具さんががんばって良くできていたとは思いますが。

ということで、脚本/演出家が大劇場デビューするのはやはり格段のパワーがいるということがよくわかりました。それと歌でつなぐのは限界があるので、しっかりとしたセリフを丁寧に積み重ねて話を深めていってほしかったと思いました。

つぎにショーのほう。
「夢眩」と無限のマークを重ねたカーテンを見てちょっと期待しましたが、騒がしい場面が多くてがっかり。
これも公式ホームページでは「洒落たセンスを織り込んだ」とか、「新たな形式を提示する意欲的なステージ」とか書かれていますが、全体にどこかで見たような場面とか振付で、なにが「夢眩」なんやろと二人で疑問。
私はショーで使われていたVACATIONに拒否反応で、ああいう古いポピュラーソングを使ったら逆に新鮮で面白いだろうみたいな古臭い発想が陳腐すぎてガックリ。

星組の「ジャポニスム序破急」でサクラサクラをボレロで踊らせる発想の底の浅さと似ていて情けなかったです。

ここでも蘭トムは頑張っていました。






蘭乃はな↓


明日海りおです

中盤のスパニッシュになってやっとなんとか観られる感じになってきましたが、やはり全体に古臭いです。



でもスパニッシュももっとしっとり見せられると思いますね。雪組公演の『Shining Rhythm!』のスパニッシュがわすれられないです。

最後はお約束の黒燕尾。
この人はこれでキマリですね。




観終わればトップ退団公演というにはいささかさびしい出来で、『アンドレア‥』がサヨナラ公演だったらとか思ってしまいました。
なかなかうまくいかないものです。

さて、演出家にはこれにめげず、次を期待したいですね。

ここまでご覧いただきありがとうございました。

余談ですが、お隣の男性はトップのファンなのか爆竹のような拍手を連発されていました。なので今回の公演も観る人が観ればよかったのかもと思ったりしました。

(2014.3.8)


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宝塚宙組公演「翼ある人びと-ブラームスとクララ・シューマン-」を観て

2014年02月19日 | 宝塚
観劇前日に、大阪では近年にないほどの降雪があり、当日でも融けず、車に乗り込むために雪かきが必要でした。劇場への経路も途中通行止め等があって、いつもと違うコースで向かいました。でも逆に都心部はいつもより車が少なくて快調に走り、予定時間に劇場地下の駐車場へ。
障害者の指定場所に停車してエレベーターを待っていたら、二人の女性がやってきました。一人はかなりの長身でファッショナブルです。まもなくエレベーター(かなり狭いです)が来たので乗り込み、ふとその女性たちを見たら何と仰天のハプニング!
ええ、驚きましたよ。誰あろう、みーちゃん、春風弥里さんでした!

車椅子のヨメさんもすぐわかって、「がんばってください、応援しています」とか「辞められたのですね」とか、不躾なのも顧みず話しかけていました。ても春風さんは全く気取らずに「ありがとうございます。そうなんです」と微笑みながら答えてくれました。

「これから観られるのですか」とヨメさんの立て続けの質問に私はハラハラでしたが、春風さんは「ええ、観たあとはトークショーにも出ます」と答えてくれました。やさしいですねぇ。普通春風さんのような立場になると、見ず知らずのものにこういう対応をしない方が多いのですが、全く自然に応じてくれました。そうこうしている間にエレベーターのドアが開きました。

でもほんの短時間でも温かい春風さんの人柄に接することができ、本当にラッキーでした。
彼女は「キャパ」や(これはスカステで観たのですが)



アンドレア・シェニェ」でもいい歌と演技を見せてくれましたが、



私たちにとってはミュージックパレットにゲスト出演した際↓の見事な歌声が強く印象に残っています。

あとになってその感想も伝えればよかったねとか話しながら、つかの間の至福のときを惜しみました。彼女の退団は本当に残念でしたが、今後の活躍に期待しましょう。

というハプニングのご報告はこのくらい(でも長すぎですね)にして、いつもの塩分控えめ・超薄味の観劇感想です。以下敬称をすべて省略しています。

でいきなり結論ですが、とにかく脚本・演出が良すぎる!
担当したのは、なんと2006年入団の新進作家・上田久美子。若いです。でもいい仕事しています。

↓スカイステージ「演出家プリズム」より

(↑しかしこのカメラアングルは気の毒ですね。まるで被疑者扱いです。(殴))
こんな脚本を書かれてしまったら、並み居るベテラン座付センセーたち顔色なしですね。まったく何をやっているんだといいたくなります。

というわけで、まだ2月ですが、今年の宝塚新人脚本・演出家賞はこれで決まりですね。何の賞かって?もちろん「思いつくまま演劇大賞」(殴)。

大筋の話としては、2008年の映画「クララ・シューマン 愛の協奏曲」などとダブるところもなくはないですが、大体史実を踏まえたら同じような話になるのは当然で、そう考えてもはるかに今回の舞台の方がいいですね。

とにかく当時の音楽界とそれぞれの音楽家に対する演出家の深い造詣が投影された脚本になっていました。
19世紀のドイツロマン派の作曲家ロベルト・シューマンが、場末の酒場のピアノ弾きだったブラームスの才能を見込んで、自宅に住み込ませて才能を育てていく過程、そしてロベルトが精神疾患で入院し、困窮したシューマン家を、ブラームスが献身的に支えるという話です。
それをロベルトとブラームスの固い師弟の絆と、ブラームスとクララの許されない恋という二つの話を軸に、複雑に絡み合った当時の音楽界の人間関係を鮮やかに描き出しています。

生き生きとした人物描写、話の展開に全く無理がなく、極めて自然に話に引き込まれていきました。台詞がいいですね。宝塚らしくない(笑)自然な台詞のやり取りがリアル。殆どストレートプレイといっていい。

この芝居のモチーフとなったのは、冒頭に流れる交響曲第3番 第3楽章でしょうね。この曲があってこの脚本になったのだろうと思わせるぐらい、よくマッチしていました。舞台はその旋律を通奏低音に、ブラームスも、クララも、ロベルトも、リストも、ヴェラも、ルイーゼも、伯爵夫人も、ヘルマン博士も、ワーグナーも、そして書ききれないそれ以外の役みんな(笑)も、それぞれの人生を生きていました。それらすべてに、華やかであってもどこか悲しい影が終始付きまとっています。うまいです。

あっという間の観劇タイム。観終わったあとは文豪の名作小説を読み切ったような余韻のある充実感。本当に大したものです。この人の作品をもっと観たいと思いました。今後が楽しみです。

当日の場内放送ではリピーターチケットがあるとかのアナウンスがありましたが、日程的にリピートできなかったのが本当に残念でした。もっと前に観劇していればと悔やまれました。

~配役です~
ヨハネス・ブラームス‥‥‥‥‥‥‥‥朝夏まなと
ロベルト・シューマン‥‥‥‥‥‥‥‥緒月遠麻
クララ・シューマン‥‥‥‥‥‥‥‥‥伶美うらら
イーダ・フォン・ホーエンタール‥‥‥‥純矢ちとせ【音楽界の御意見番。通称「伯爵夫人」】
ヴェラ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥花音舞【ハンブルクの酒場の女将】
ヘルマン博士‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥風羽玲亜【ロベルトの主治医】
カタリーナ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 花里まな【晩年のブラームスの家政婦】
ヨーゼフ・ヨアヒム‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 澄輝さやと【名ヴァイオリニスト。シューマン家の友人】
ルイーゼ・ヤーファ‥‥‥‥‥‥‥‥‥すみれ乃麗【実在の女性に名を借りた架空の人物。クララのピアノの生徒】
ベートーヴェン?‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥凛城きら【ベートーヴェン?】
オットー・ヴェーゼンドンク‥‥‥‥‥‥ 松風輝【ジュネーブの銀行家。音楽の有力なパトロン】
フランツ・リスト‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥愛月ひかる【ロマン派のピアニスト、作曲家。「ピアノの魔術師」の異名をもつ】
レオノーラ・ゼンフ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥結乃かなり 【ライプツィヒの音楽出版社の社長夫人】
マティルデ・ヴェーゼンドンク‥‥‥‥‥夢涼りあん 【ジュネーブの銀行家夫人】
ユリウス・グリム‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 美月悠【作曲家志望の青年。シューマン家の友人】
リヒャルト・ワーグナ‥‥‥‥‥‥‥‥ 春瀬央季【ロマン派オペラの頂点に立つ作曲家。「楽劇王」と呼ばれる】
カロリーネ・フォン・ヴィトゲンシュタイン‥真みや涼子【ヴィトゲンシュタイン侯爵夫人。リストの愛人】
エミール・シューマン‥‥‥‥‥‥‥‥ 秋音光【シューマン家の長男】
フェリックス・シューマン‥‥‥‥‥‥‥ 花菱りず 【シューマン家の次男】
ユリー・シューマン‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 遥羽らら【シューマン家の長女】

で、それぞれの配役ごとに。

まずブラームスの朝夏まなと。もういうことなしの演技と歌でしたね。

最近観た「銀河宇宙伝説」とか「モンテクリスト」とか、あの恐怖の化石脚本/演出(笑)の「風と共に‥」で受けた印象とはまったく別人のような今回の演技、脱帽でした。
演技の隅々に細やかな心理描写が込められていて、抑制のきいた演技でしたが、光っていました。もうしょっぱなから感情移入しまくりです。







クララと本当はどうだったんだとかの下司の勘繰り(笑)が入る余地のないほど、芸術にひたむきな朝夏ブラームスです。
この人については、これまでの舞台印象は完全にリセット。ブラームスが夫妻の子供たちと遊ぶ姿など、本当に子供好きだろうなと思うほど。繊細で多感で芸術に賭ける純粋な魂を持った青年ぶりが見事でした。
説得力のある演技と歌、そして容貌、それらすべてが完璧にブラームスしていました。

対するクララ役の伶美 うらら

この人もぴったりの役どころ。もう「肖像画にあるクララのイメージそのもの」(プログラム・上田久美子「翼ある人々」より)でした。クラシックな髪型に細面がよくマッチしていて、しかも豪華だが上品で趣味のいい色合いの衣装。しっとりとした中に情熱を秘めた演技。ハマリ役でした。キャパで見た演技よりもこちらのほうが数段よかったです。




ロベルトを支え、自らも芸術に対して期するところがありながら、一家の中心として生活のやりくりに追われる気丈な人妻を演じて見事でした。今のタカラヅカでクララ役はこの人以外には考えられないと思いました。台詞も立ち居振る舞いも言うことなし。
ただ惜しむらくは歌。さらに精進してほしいですね。

そしてロベルト・シューマン緒月遠麻です。

人格者で、懐の深い、誠実そのものなロベルト。ぴったりでした。
ただ彼の内面はというと、創造力の衰えを自覚し始めていて、新たな才能の台頭に焦りながら、自身どう進むべきかを模索しつつ、音楽界のさまざまな抗争や葛藤に巻き込まれて苦悩しています。さらに妻に言えない持病にも苦しめられています。その姿には、こちらのほうも辛くなりますね。
彼女は最近こういう陰影のある役が多い感じですが、今回も複雑な人間像を味のある演技でこなしていてさすがでした。
Good Job!です。




儲け役といえるのがヨーゼフ・ヨアヒム澄輝さやと。おいしい役ですね。いち早くブラームスの才能を見抜き、シューマン家に紹介する役です。晩年にも登場するなど、出番も多かったです。
名ヴァイオリニストとのことですが、なかなか演奏ぶりも板についています。(笑)



遊び人でもクララに師事している令嬢ルイーゼ(すみれ乃麗)にはぞっこんなのが面白いですね。

力まず自然な演技でブラームスやシューマン一家に気を配るところなど、良かったですね。

もう一人シューマン家にからむ役がルイーゼ・ヤーファ役のすみれ乃麗。実在の女性に名を借りた架空の人物だそうですが、芝居ではクララのピアノの生徒でブラームスに恋心を抱く令嬢です。この人もヨーゼフと一緒に最後にも登場します。ブラームスを慕う乙女心をよく演じていました。衣装も令嬢らしく豪華で典雅。老け役もぴったり決まってよかったです。再評価です。




何度も言いますが、今回の舞台衣装は演出家の趣味でしょうが、色あいが素晴らしい。「風と共に‥」などとくらべたら月とスッポンの出来です。ただ、子供たちの服だけは最後まで着たきり雀でかわいそうですが。^^;

ブラームスとは対極に位置しているのが愛月ひかるフランツ・リスト
キザで奇を衒ったアクロバティックな演奏ぶり、自信満々で鼻持ちならないスノッブ。そんな嫌なヤツですが、話が進むにつれて結構影があったり、やさしいところも垣間見られたりで、存在感のある演技が光っていました。濃い役が似合っていました。
画像がなくてすみません。m(__)m

今回の舞台で一番のツボだったのが、リヒャルト・ワーグナー春瀬央季。(余談ですが、今のタカラヅカの芸名、「央」とか「愛」とか「舞」とか「羽」などの漢字や、「ラ」行の平仮名が多いですねぇ。)
さておき、ワーグナーが登場したとき、長身と目立つ容貌にびっくり。おおっという感じで目立っていました。
口数が少なく(セリフが少ないからですが^^;)出番もあまりありませんが、舞台に出てきただけでそのインパクトはすごいです。黙って立っているだけでも雄弁。今後の舞台、要チェックですね。


笑いを誘っていたのは「ベートーヴェン?」の凛城きら。「偽作曲家」が話題になっている時だけに、なかなか微妙なタイミングですね。今回の狂言回しともいえる役ですが、なかなかの楽聖ぶり(笑)で、楽しませてくれました。
当時の音楽家たちが直面していたポスト・ベートーヴェンという課題を体現していていい演出だと思いました。

あと、さすがの歌と演技だったのが音楽界の御意見番で通称「伯爵夫人」のイーダ・フォン・ホーエンタール役の純矢ちとせ
貫禄ありまくりの存在で、さもありなんというところです。歌も言うまでもない出来ですが、もっと歌ってほしかったですね。
そういえば今回の舞台は歌が少なかったですが、その分セリフで話が掘り下げられていたのでよしとしましょう。

これ↓はスカイステージの突撃レポートの司会の画像です


その他の役もみんな頑張っていましたが、中でもヨメさんは晩年の家政婦カタリーナ役の花里まなを誉めていましたね。若いのによくやっていると感心しきり。この人も要チェックだそうです。

フィナーレのダンスシーンも落ち着いたいい雰囲気で、この舞台の締めくくりにふさわしいものでした。


本当に今回は、登場人物の造型が的確で見事です。それぞれの人となりがリアルによく伝わってきました。加えてセリフがよく練り上げられていて無駄がなく、幕が上がってすぐに話に引き込まれていきました。こういう舞台はなかなかありませんね。

とても新人演出家のデビュー作と思えないほどの完成度で、素晴らしい出来でした。私たちの予想をはるかに超えるいい舞台で、満足の一日となりました。絶対お勧めです!






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『眠らない男-ナポレオン』は『愛あれば命は永遠に』の進化形?

2014年01月31日 | 宝塚

某日、台所で夕食の後片付けを終えて、食器を食洗機にセットしたりしていたら、ヨメさんが見ている居間のテレビからなんとも懐かしい歌声が。で、「ひょっとしたら高汐巴?」と聞いたら「そう」との返事。なにかなとテレビを見に行くと、なんとこれがナポレオンもの。
ナポレオンは当時花組トップの高汐巴が演じていて、ジョセフィーヌは若葉ひろみ。ジョセフィーヌの愛人シャルル大尉には大浦みずきが演じていました。それで私もそのあとも家事をしながら(故あって主夫してます^^;)チラ見していましたが、話のあらすじがかなり今回の星組公演と重なっているので、手すきになったときにスカステのホームページで番組の説明を覗いてみました。

それによるとこれは『愛あれば命は永遠に』という'85年花組の公演で、正式の題名は『愛あれば命は永遠に-ナポレオンとジョセフィーヌ』というものでした。「稀代の英傑ナポレオンと奔放に生きる社交界の名花ジョセフィーヌとの波瀾の恋を描いたロマン大作」だそうです。

まあ見たところ、脚本・演出担当の某理事お得意の説明台詞多用のお芝居。どこかで見たような場面も多いです。そして今となってみれば衣装や舞台装置もなんともほほえましく、時代を感じさせます。
でもあらすじを見ると、今回の小池作品に大きく影響を与えたことがよくわかりますね。

以下Wikipediaからの引用です↓
1795年暮。パリ・オペラ座に政府軍総司令官バラス将軍をはじめとする社交界の名士が顔をそろえていた。そこには若き軍人ナポレオンの姿もあった。ナポレオンは、社交界の花とうたわれるジョゼフィーヌの虜となる。バラスをパトロンとしていたジョゼフィーヌには、年下の無骨な軍人ナポレオンの愛は重荷なだけ。だが、その一途さにやがて心を打たれる。バラスのとりなしもあり、2人は1796年に結婚する。だが結婚直後からナポレオンは遠征に明け暮れ、パリに残ったジョゼフィーヌはシャルル大尉と浮名を流す。ナポレオンは愛と憎しみにさいなまれる……。

ところでご存知の方も多いと思いますが、高汐巴の歌とかセリフ、きわめて個性的でしたね。歌はうまい下手を超越した(笑)独特の味があって、誰でも一度聴いたら忘れられないと思います。
まあ息が少し漏れているというか(殴)、独特の発声で、でもそれがそこはかとなく哀愁とか憂いとかを感じさせて個性になっていました。
とはいえ私は彼女の舞台については『琥珀色の雨に濡れて』しか観ていませんが、これが絶品。今でもこの演目は高汐巴バージョンが一番だと思います。歌唱力でいえばのちの春野寿美礼などのほうがはるかにいいのですが、でもその歌がきれいすぎて、この芝居の主題に合った味には合わなかつたのが難点です。

ただ、高汐巴もナポレオンとなるといささか無理がありました。特に今回の柚希ナポレオンを観た後では、精悍さとか成り上がっていくギラギラした野心とか、戦上手らしさなどがまるで感じられない、やさしそうな高汐ナポレオンでした。(笑)

逆にジョセフィーヌのほうは若葉ひろみがピッタリで、持ち味の姉御風なキャラクタがよく似合っていて、いかにもという感じでした。

この放送を見て、はじめて100周年にあたってナポレオンを取り上げた理由がわかったような気がしました。小池修一郎は今回の公演にあたって、いくつかの題材を用意したと語っていますが、その中からナポレオンが選定されたのは植田理事サンの意向がかなり強く働いていたのでしょうね。そう思って見たら、昨年から今年の公演ラインナップに占める「化石芝居」の量で感じた違和感も納得でした。
まだまだ植田理事サンの天下が続きそうです。

今回の「眠らない男‥」と「愛あれば‥」を比べたら、完成度の違いは明らかです。なんといっても前者には、ナポレオンの時代を俯瞰する脚本家の歴史観が全編に貫かれていて、それを最も体現しているのがタレーランですね。
それと狂言回しのマルモンとがあいまって、ナポレオンにより沿いながらも、彼を客観的に描こうとする意図がよく表れていました。小池先生の手にかかれば同じテーマでもいかに変わるかという見本になっていました。
(ついでに「風‥」とか「ベルばら」も存分に料理してほしいものですが)
もっとも後者については、放送ネタが昔の関西テレビから提供されたものらしく、当時の放送時間の制約からダイジェスト版になっていて、オリジナルそのものではないので正確に出来不出来を語れません。ですが、それでも今回のナポレオンと比べたら密度の低い脚本であることは明らかです。

本当に今回の放送を見る前は、「眠らない男‥」のベース作品があるとは全く知りませんでした。番組ガイドによれば1月に3回も放映されていたとのことで、観劇の前に見ていたらまた違った楽しみ方もできたかもしれません。
せっかくスカステに加入していながら事前に見られなかったのが少々残念でした。

今回のナポレオン以外にも、例えば「スカーレットピンパーネル」と1979年の「紅はこべ」など、同じ題材でも違った形で舞台化されている例がけっこうありますね。
そう思って宝塚100年の公演史を見てみるといろいろ発見があるかもしれませんね。

スカステさん、もう一度よく見たいので、また「愛あれば‥」を放送してくれませんか?








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宝塚星組公演「眠らない男-ナポレオン」を観て その2

2014年01月22日 | 宝塚

約十日ぶりのナポレオンとの再会。
木曜日なのに立ち見の出るびっくりの盛況ぶり。幸先良いスタートでご同慶の至りです。

で、再度観劇した感想ですが、やはり二度観ると、新たに見えてくるものがありますね。記念すべき年の年頭を飾るにふさわしいいい出来栄えでした。宝塚ならではの豪華な舞台装置と衣装は何度見ても圧倒されますが、それよりなにより、オリジナル脚本としてよくできていたと思いました。
それと、この観劇後にスカステのNow on Stageを見ましたが、そこでもトップコンビをはじめ出演者全員の苦心と頑張りがよく伝わってきました。
以下の画像は全てスカステNow on Stageより

前回はかなり醒めた感想だったヨメさんも、今回観劇して評価を大幅にアップしていました。

以下、今回の観劇とスカステの上記番組を見て、それに出演しているメンバーを中心とした感想です。

やはり最初の印象どおり、この芝居に出てくる人物のキャラクターとしては、ジョセフィーヌが一番勝っていますね。
ねねは役作りに際して小池御大から「オカミさんを入れて」と言われたそうで、そのとおりこれまで演じてこなかった、したたかなバイタリティと奔放さを持った強いジョセフィーヌをうまく演じていました。
自分が女王になれるという予言を信じつつ社交界で浮名を流し、そこで有望株のナポレオンに目を付けてまんまと結婚した後も、臆面もなく愛人を連れて歩くなど奔放さは治まりません。一方で姑や小姑などとの葛藤もあり、最後には落魄したナポレオンの配流先についてロシアの将軍に嘆願するなど、人間的なエピソードも豊富です。


それに比べると、主人公のナポレオンはいささか影が薄いです。(笑)というか、ジョセフィーヌ以外はみんな役を際立たせるエピソードが少ないので、それぞれ役作りに苦労しています。

ナポレオンの基本的な性格としては、即断即決・直情径行なのはわかりますが、彼が波乱の人生をどういう思いを持ちながら駆け抜けていったのか、一介の軍人から究極の栄誉を得たのちの敗北と挫折、そこでの葛藤とか苦悩については余り描かれていません。このあたり、叙事詩的・年代記的に描こうとした脚本家の意図からくるものかもしれませんが、もう少しナポレオンの人間像がわかる材料などがあれば、観客ももっと感情移入しやすかっただろうと思いました。
でもそんなナポレオンを、柚希礼音はさらにがんばって演じていました。今の宝塚のトップでは最も安定した力量がある存在だといえると思います。

↓冒頭の空飛ぶ勉強机。結構揺れていて、まるでダンプの運転席(殴)。

精悍な風貌で迫力があります




他の出演者の感想ですが、今回とくに印象的だったのは真風涼帆でした。

役そのものはそれほど目立つものではないのですが、それでも光る演技と歌で印象に残りました。特に声の質が歌にしても台詞にしても耳に気持ちよく響いてきて、思わずオペラで確認したことが何回かありました。

北翔海莉のタレーランも、革命後の無政府状態の中で、王党派を抑えながら同時に民衆の蜂起も押さえ込むために巧みにナポレオンを利用し、果ては退位を迫るという新興ブルジョア階級の時代と利害を象徴する存在として、出色の演技でした。これまで見た彼女の演技のなかでは一番印象に残りました。

ちなみに髪型は演出家の注文だそうです。


フィナーレではなんとエトワールまで


余談ですが、彼女の専科への移籍を聞いたとき、私たちはかなり落胆したものですが、その後の活躍を見ていると「これでいいのかも」と思えてきたりしました。さらに先日、スカステ・ニュースで『THE MERRY WIDOW』の千秋楽での星条海斗の北翔への感謝にあふれた挨拶と、それに対する北翔海莉の飾らない感謝の様子を見てからは、これがベストなのだと思いましたね。そして今回の公演での歌劇団の配慮ぶり。いいポジションに落ち着いたと思います。

真風と対比すると、紅ゆずるは歌が少々物足りなく思いました。今の組でのポジションに見あうように、かなり精進してもらう必要があると思いました。Now on Stageでは歌や役作りについて努力していることがわかりますが、今はまだそれが結実していないように思えました。今後に期待したいですね。




十輝いりすのジョセフは今回の公演では兄弟姉妹の諍い以外はあまりしどころのない役で気の毒でした。なので、民間人のはずなのにあちこち顔を出しています。前半はただそこにいるだけみたいな感じが多いですが。^^;





つぎに音楽について。
二度目の観劇なので、ストーリーを追うのに余念がなかった前回と違って、今回は曲を楽しむ余裕がありました。
で、まずオープニングのコーラスがよかった。すぐ口ずさめるほどではないですが、いい曲でした。
今回一番耳に残ったのは「嵐のように生きた男」です。これはROM化できました。(笑)
その他の曲も、みんな歌いなれてきたのか耳によくなじんできました。ただ、さすがにプレスギュルヴイック!と絶賛するまでには至らなかったですが。

歌といえばウジェーヌ役の礼真琴の歌もよかったですね。新公ではナポレオンをやるとのことで、小柄なので適役かと思いますが、他の役になるとその点がちょっと難しいのが残念ですね。
それに対してアレクサンドルI世の麻央侑希は長身を生かしてなかなか見ごたえのある姿でよかったです。最後しか出てこないのが気の毒ですが。逆に彼女の場合は、ルックスは申し分ないので、もっと歌や芝居で伸びてくれればと思いますが、なかなかうまくいかないですね。

レティツィアの美穂圭子や、テレーズの音花ゆりの歌はさすがの出来。安心して浸れます。前後しますが、夢咲ねねの歌も本人比さらにうまくなっていて、前回みたいに思わず体を固くして緊張しながら聞く(笑)といったことがなかったのは良かったです。セリフの声もよく通って耳になじみました。

さて、二回の観劇を終えて、今回の公演について振り返ってみると、なんといっても今の星組全体の充実した力量を感じました。
レオンとねねを先頭に頑張っています。それに加えて専科のみなさんの文句なしの好演で、重厚なナポレオン年代記になっていました。

ただ、劇化しているタイムスパンが長いので登場人物も増え、さらに楽曲が多いのでその分台詞が減って、結果的には話の掘り下げが足りなくなった感じです。もう少し場面を整理して、とくにナポレオンの人物像を描くことに注力したほうがよかったのではないかと思いました。
革命後の混乱と無政府状態のなかで、王党派の台頭を封じながら「革命の守護神」として登場(まさにボナパったわけですね)しながら、だんだん軸足を「民衆」からブルジョア階級に移していく変節の過程、そしてロシア遠征の敗北後タレーランから退位を迫られていく落魄の末期まで、彼がどう感じて生きてきたのか、その折々の内面の葛藤、そして歴史における彼の役割などについて触れるストーリー展開があればさらによくなったと思います。

ともあれ、今回の観劇で、久しく考えたことのなかったナポレオンとその時代について、あれこれ私なりに考えることができてよかったです。王と皇帝の違いなども面白かったです。

宝塚らしい豪華な作品なので、ぜひ皆さんもご覧になってください。
↓プログラムより


今回も拙い感想をご覧いただいたき、大変ありがとうございました。


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宝塚星組公演 『眠らない男・ナポレオン ―愛と栄光の涯(はて)に― 』を観て その1

2014年01月13日 | 宝塚


今回はいつもと違い、久々の家族4人での観劇。ですが、チケット難のため二手に分かれて、いずれも座席は1階席後方でした。でも豪華な舞台装置の全体が見られたので、これもアリかなとも思ったり。

劇場までの道は順調で、予定時刻前に到着。工事中だった正門は完成していました。スペイン風というか、アーチがアクセントのなかなかの出来です。


13時公演なのでまずは腹ごしらえ。正月で食べ過ぎ気味だったので、↓の親子丼で済ませました。

でもこの丼、コスパ抜群、おいしかったです。

あと、時間つぶしに見て回ったら、劇場内はいろいろ配置換えがあったりで、いつものフイナンシェの売り場も移動していました。

例によってフィナンシェと天下もちをゲット。(笑)

新たに売り場が設置されたジェラートが高価でも納得の美味でした。



というわけで退屈な前フリはこのぐらいにして、観劇の感想です。いつものとおり敬称は略させていただきます。


でいきなり結論ですが、私は良くできていると思いました。小池修一郎の歴史観にも同意できました。
ナポレオンが文字通りボナパって行く過程がよく描かれていました。革命で打倒したはずの王政を民衆が再び熱狂的に支持する歴史のアイロニーがよくわかります。

ただし、同行のうち二人はそういう感想ではなくて、一人は「ええことないわ」、一人(ヨメさんです)は「まあ及第かな」という辛口の評価。でも詳しいことは聞いていません。

それはさておき、私の全体としての印象では、まず一番感じたのが100周年の年頭にふさわしい超デラックスな舞台であること。
舞台装置も衣装も超豪華。相当手間暇かけて作っているのがよくわかります。ただ、あとで書きますが使い方がもったいない。
それとトップ二人をはじめ、星組全員の頑張りと、専科の四人の演技も好印象です。中でも美穂圭子と北翔海莉の歌が光っていました。もちろん一樹千尋と英真なおきも安定した演技で芝居に厚みを与えていました。

芝居としては、華麗なラブロマンス!・大恋愛劇ではなくて(笑)、「ナポレオン年代記」あるいは「ナポレオン伝」、そして演出家自身が言うように叙事詩といった仕上がりになっています。このため史実にも忠実で、不学な私にはこの芝居を観て初めてわかったこととかたくさんあって、なにやら井上ひさし風な味わいも感じたりしました。初歩的なことですが、ジョセフィーヌがバツイチで、先夫との間に二人の子供がいて、ナポレオンより年上だったとか、初めて知りました。
総じてオリジナルの脚本として、ナポレオンの生涯をよく劇化していると思いました。

ただ、年代記として描くためにタイムスパンが長くなって、よく言えばスピード感のある展開ですが、その分ナポレオンとジョセフィーヌの恋愛感情のディテールや、本当に二人がお互いの関係をどう考えていたのかといった部分の描写は弱かったと思いますね。
ナポレオンはもちろんですが、ジョセフィーヌもかなり上昇志向の強い野心家だったようで、ナポレオンに接近したのも単なる恋愛感情にとどまらない打算や手練手管が見えてきたり。簡単に調べてみても、この二人の関係はなかなか複雑ですね。
で結果的に脚本が長くなって、舞台進行に無理が出たのか、場面のカット割に疑問を感じたところも何箇所かあり。

それと最大のガッカリだったのが劇中の楽曲。
今回の公演でのウリの一つが、「ロミジュリ」のジェラール・プレスギュルヴィックが作曲するということですね。私もそれを期待しての観劇でしたが、観終えて帰宅する途中にメロディを口ずさめるような歌、例えば「ヴェローナ」みたいな曲はなかったです。これはかなり痛かったです。やはりミュージカルはまず歌ですから。
歌劇団も大枚はたいたであろうに、当てが外れてガッカリしているだろうと思います。でもまあもう一度観るので、そこで耳に残る歌が見つけられることを期待したいですが。

これらのことについては、公演プログラムで小池修一郎みずから語っていることがすべてですね。
詳しくはプログラムを読んでいただければいいのですが、要するに「50曲になんなんとする楽曲に台詞を嵌め込みつつ稽古も、舞台の制作も進めねばならな」かったこと、「上演時間オーバーでの度重なるカットや、歌詞の変更に」よって生徒たちに多大の負担をかけたと率直に語っているところが印象的です。
結果的には座付作曲家のみなさんを起用するほうが、すべてにわたって良かったのではと思ってしまいますね。

さて、今回は主な配役限定の感想です。もうすぐ2回目の観劇なので続編を書く予定ですが、時期はあまり期待しないでください。(笑)

オープニングはロミジュリとかエリザみたいな感じです。

まずは柚希礼音。頑張っていました。やはり眼にチカラがあり、地方の貧乏貴族から這い上がろうとするギラギラした野心が全身からあふれ出ています。本人が目標としていたロミオとの違いがはっきり体現出来ていて、いつものことですが演技力のダイナミックレンジの広さではピカイチですね。
個人的にはこの人はショーブラン役が一番のアタリ役で強烈なインパクトがありましたが、今回はそれに次ぐ出来だと感じました。
以下画像はすべてスカイステージの初日映像から




ジョセフィーヌに出会って




そしてパリの役所で婚姻届にサイン


ただ、このシーン、思わず↓を思い出してしまいました。こういう演出がお好みのようで(笑)


圧巻だったのが戴冠式。これが今回のクライマックスで衣装も舞台装置も圧倒的な豪華さ。




ところが、この場面が拍子抜けするほど短い!えっ、もう終わり?と誰もが思ったと思います。ローマ法王を呼びつけながら、ナポレオンが自らの手で式を行うところなどでもう少し展開があるかと思ったのですが、なにもなし。ちょっともったいない使い方でした。
そうそう、舞台装置といえば最初のクレーンを使った登場が面白いです。ただ、油圧コントロール?がぎこちなく、アームの動きがカクカク気味だったのはご愛嬌。(笑)

しかし柚希礼音の演技と歌は本当に大したものです。100周年という節目を飾るのにふさわしい存在だと思いました。

次はジョセフィーヌ夢咲ねね
彼女もジュリエットの超ブリブリとは好対照の、海千山千の大人の女になりきっていました。台詞も低い地声が新鮮な印象です。
歌も本人比長足の進歩が見られました。けっこう音域の広い歌を何曲もがんばって歌っていました。
ただ、今回の話はジョセフィーヌのほうがナポレオンより何枚も上手のしたたかさで、なかなか2人の関係を純愛風に描くのは説得力がなく難しいですね。もっと二人の性格などを強調したほうがいいと思いました。


どう見てもジョセフィーヌがたぶらかしているとしか見えない(殴)


夢咲ねねも芸のダイナミックレンジが広いです。ロミジュリや第二章、そして今回のジョセフィーヌ、どれが彼女の地に近いのか私にはわかりませんね。(笑)

マルモン紅ゆずるは晩年を英真なおきにバトンタッチしていて、この芝居の狂言回しでもありますが、この老若の組み合わせはかなり無理筋です。(笑)
老けたらこうなるといわれても、なかなか同意しがたいですね。
マルモンはナポレオンとは士官学校で同期とかで、ずっと一緒に各地を転戦していきますが、最後は袂を分かちます。
青年将校らしいさわやかさが印象的ですが、老いたらあの変わりようとは‥。(まだ言うか)





紅の歌は今回は歌い込みの時間が足りなかったのか、やや消化不良の感がありました。これは回を重ねることで解消されるでしょう。
次回が楽しみです。

歌で私が注目させられたのがミュラの真風涼帆。ますますよくなっていて、目立つ存在でした。

これは↓フィナーレ。


歌といえばなんといってもナポレオンの母レティツィア役の専科・美穂圭子ですね。今回最も印象に残った歌でした。今回は楽曲があまり耳に残らないといいましたが、彼女は別格。すごい感情表現で客席を鷲掴みにしていました。


今回随一のおいしい役回りだったのが北翔海莉。もちろん歌は定評があるところで、今回も美穂圭子と共に目立っていました。それと私が見直したのは演技の方。腹黒い黒幕で、ナポレオンを利用しつくして、最後には退位を迫るという役を抑えた演技(いつもはやり過ぎ感が強いですが)で好演していました。以前のカサブランカでの演技もよかったですが、私的には今回が一番いい演技だと思いました。
なにしろ稽古に途中参加ですから、よく入り込めたものだと思います。これも人柄でしょうか。それにしても歌劇団の配慮もかなりのものですね。




専科ではあとのお二人、バラスフランツI世一樹千尋と老マルモン役の英真なおきも星組公演にはなくてはならない芸達者で、今回も存在感はさすがでした。専科ここにありといった感のある芝居でしたね。
存在感ではメッテルニヒシェイエス美城れんも眼が行きました。

あと、歌で忘れてはいけないのがテレーズ音花ゆりです。この人が歌いだすと場が締まりますね。画像がないのが残念。

ちょっと書ききれないのでその他の出演者の感想は次回観劇の感想にまわしますが、群衆シーンも迫力があってよかったです。

フィナーレは割とあっさり目でした。芝居本編の方で時間がとられて配分できなくなったのでしょうね。






トップのデュエットは黒を基調とした衣装で落ち着いた印象でした。






最後のパレードでは、北翔海莉のエトワールがよかったです。なにせ贔屓なもので(笑)。

以上簡単な感想です。いろいろ書きましたが、リピートの価値は大アリな大作でした。お勧めです。

次回はもう少し前の席になりますので、もっと出演者の表情なども見られると思います。今回の舞台は日々かなり変化し続けているとのことですから、楽しみにしています。

去年同様のつたない感想をここまでお読みいただいき、ありがとうございました。

今年もどうぞよろしくお願いします。


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宝塚雪組公演 『Shall we ダンス?』『CONGRATULATIONS 宝塚!!』を観て

2013年11月30日 | 宝塚

前回の兵庫芸文センターでのイーハトーボ観劇は、途中予期せぬ渋滞に巻き込まれてハラハラの連続だったので、今回はゆとりを持って大劇場へ。やはり途中少し渋滞したものの、10時には駐車場に到着。
冷たい風の中を車椅子を押して大劇場に向かいました。

前々回の観劇からずっと工事中だった旧チケット売り場の跡は、なんと新しい入り口に変わっていました。




それに伴い従来の門は囲いで覆われて工事中。劇場の建物も、スロープ側は従来のままですが、通常の階段入り口のドアは閉ざされていました。まだ改修工事は続くようです。

劇場内は修学旅行の女子高生軍団で活気があり、大挙して土産物売り場で買い物していました。この日ばかりはレジもフル稼働、混雑していました。私たちも宝塚フィナンシェ天下もちを買って劇場内へ。

席は先行予約でゲットした9列の下手よりの良席でした。見やすい席でした。

というわけで、ようやく観劇の感想になります。

で、いきなり全体の感想から。(笑)

芝居は、脚本・演出ともに良くできていました。担当は小柳奈穂子でまだ若手ですが、要領よくまとめていてGood Job
でも、それはバウホールでやればの話です。大劇場でフルメンバーでやるのは厳しいですね。
なにせ原作の映画からして登場人物が少なく、役の振りようがないので、とてもじゃないけど大劇場向きとはいえません。なので通行人にたくさんの生徒を動員している場面など観たときは、ちらっと正塚作品を連想してしまいましたね。(殴)
話自体も、平凡なサラリーマンがふとしたはずみ(かな~り不純な動機ですが(笑))でダンスを始めたことから起きた騒動程度なので盛り上がりに欠けますね。

それでも演出では気の利いた場面転換や、効果的なプロジェクタ利用、舞台もダンスの練習風景とかエキシビジョン、競技会などの見せ場では頑張って華やかに盛り上げていましたが。
というわけで、芝居を観終えての感想は、二人とも「なんとも小さい世界やねぇ」で一致しました。(笑)
まあアンドレア・シェニェを観てしまった後なので、比べられる演出家も気の毒ですが。

ちなみに当日買ったプログラムによれば、今回の芝居の話は歌劇団が小柳奈穂子に担当するよう命じたそうで、演出家の発案ではないとのこと。歌劇団としては、映画が日米で大ヒットした作品なのでその人気を当て込んだのかもしれませんが、どちらかといえば渋めの話。それを99年の締めくくり・100年の幕開けとなる節目の公演に選定した意図は私などの理解を超えるものがあります。

プログラムの表紙です


そんなわけで、演出家の努力は評価できるし、壮一帆を先頭に雪組メンバーも頑張っていて、それなりに楽しめたのですが、とてもリピートとはいきませんね。でもオリジナル作品だし、一度は観ておくべきとは思いますよ(ちと説得力ないかな)。

以下、主な出演者別の感想です。

まずは壮一帆から。

この人、いい意味で肩すかしでしたね。(笑)
実は最近のスカステなどを見ていてちよっと壮一帆は敬遠気味でした。なにがというと、とにかくこの人、口を開くと饒舌多弁アグレッシブ、すぐ演説調になるのが少々辛いので。(笑) サービス精神から来るのか、話に分厚い衣を付け過ぎで、聞いていてこちらが息苦しくなるのがプチ残念。
「Now on Stage」などで普通にみんなと話しているときは自然で話も面白いのですが。

以下、画像はスカイステージの「Now on Stage」の画面撮りです。モアレで汚いです。^^;


なので、演技もきっとやりすぎでコテコテになるのではと、ちょっと期待薄でした。でも芝居を観始めたら、これがなんとよく抑えたいい演技でした! 予想外で驚きました。考えてみたら、私たちにとっては今回の公演が彼女の雪トップ就任後初の観劇でしたね。
本当に、リチャード・ギアや役所広司のヘイリー・ハーツと比べても、「平凡」「普通」なサラリーマン度では負けていないほど(ちょっとホメすぎかな)抑制のきいた落ち着いた演技ですっかり見直しました。


ただ、いくら平凡とかフツーといわれてもね、働いているオフィスから見える高層ビル群とか、社内の様子、部下に付き合って残業しながら居眠りしている安楽なポジション、郊外とはいえ家も新築したなど、今のご時世では到底平凡とかフツーとは思えないのがやや難。原作の役所広司の会社がボタン会社(地味です)だったのに比べると全体にハイソ(死語!)ですね。

それと、マジメ一筋の彼がダンスを始めようと思い至った心境の変化などがやや説明不足。まあこれは彼女の演技の問題ではないですが。
とにかく壮一帆は、演技だけでなく歌でも、これまでの「ドヤ歌」(笑)はなくなり、芝居でもショーでも感情がこめられたいい歌になっていたのも好感度大。こんな風に芝居も歌もできるんや!と認識を改めました。
最初はこんなふうに両手に花となればと思っていたのでしょうか。↓

夢は限りなく、でも現実は厳しいです。^^;

次は妻ジョセリン役の愛加あゆです。
3Kな娘トップですね。「健康」で「健全」で「健気」な雰囲気が全身から発散されているから3K。(殴)
ふっくらしていて安心です。役ももう見るからに良妻賢母。着ている服はかなり若いですが。(笑)


でもこれまで疑ったことがなかった夫の行状に疑心暗鬼となり、探偵社に素行調査を依頼します。




芝居では自然な演技が光っていました。
ちなみに私はいつも彼女を見て、実の姉よりも彩乃かなみのほうが似ていると思って仕方がないですね。すぐ太る体質とか(殴)、歌のうまいところとか。

次はダンス教師・エラ役の早霧せいな



ヘイリーのスケベ心を見透かすように「私を目当てにダンスに来るのは迷惑です!」とバシっと冷水を浴びせる役が似合っています。

ヘイリーもいっぺんに目が覚めたでしょうね。
早霧せいなは大人の女として全く違和感なく、声も聴きやすく自然でした。心に傷を負った影のある元トップダンサーの女性というエラをよく体現していました。硬質なキャラクターが印象的です。
ただ、少しヤセ過ぎ感があり、ちょっと痛々しい感じさえしますね。雪2番手のポジションは間違いないでしょうが、今からこんなに痩せていたら先が心配になります。

エラとは逆に、地味な今回の芝居で一番元気だったのがヘイリーの会社同僚ドニー・カーティス役の夢乃聖夏


カクカク・クネクネと歩くだけで笑いを取っていました。

ただ、カツラを落としても頭が禿げていないのが残念(笑)。やはりここは丸禿げでないと衝撃度は少ないですね(笑)。
出番も多くて目立つ役で今回一番おいしい役でした。ただ仕事では大失敗するし、絵にかいたようなダメ社員ですがちょっとやり過ぎていてリアリティが希薄な感じが残念。

続いて目立っていたのはヘイリーの会社の同僚でドニーを目の敵にしているキャシー役の透水さらさと、ダンス教室の生徒でド派手な女性・バーバラ役の大湖せしる。どちらも美人で、ついオペラで追ってしまったり。(笑) ともにキャラクターがはっきりした役です。大湖せしるはネイティブな女役(笑)といってもいいほどきれいで、しかも大柄で目立っていましたね。夢乃聖夏と並んで今回はトクな役をもらっていました。
スカイステージの「Now on Stage」の画面撮りから


いつも自信満々なバーバラと対照的なヘイリー


誰に対しても強気です


でもこの後悲劇(いやコメディなので喜劇かな)が襲います↓


結末場面でキャシーとドニーの立場が逆転するのも、おきまりのパターンとはいえ楽しいです。

あと、探偵クリストファーの奏乃はるととその助手ポール・帆風成海(代役)がいい味出していました。普通だと探偵が悪い方に話を持っていって探偵料を稼ごうとしますが、この探偵社は良心的でおすすめです。(笑)

ジョセリンにいろいろ慰めてやったりしてやさしい探偵です。年の功でしょうか。ポールが軽く狂言回しになっています。

あとは世話好きなダンス教師シーラの梨花ますみが味のある役。そしてダンスホールの歌手ジェニファーの麻樹ゆめみも歌ウマが印象に残りました。

逆に印象の薄い役が気の毒だったのがダンス教室に通う不器用な生徒ジャンの鳳翔大
なんとも目立たない役で気の毒です。


ところで今回購入したプログラムにはこんな紙が↓。


でも休演していなくても未涼亜希が予定していたアルバート役は出番が少なかったですね。芝居では二場面ぐらいかな。
エラの相手で、競技ダンス界のトップダンサーという割には影の薄い役でした。代役の彩凪翔も少ない出番ながら頑張っていましたが。

ショー「CONGRATULATIONS 宝塚!!」は藤井大介
100周年の祝祭ショーですね。ひたすらCONGRATULATIONSの連発。自分でお祝いとはタカラヅカらしくて能天気です。(笑)


ショーのオープニングの直後はびっくりの白衣の大軍団。なかなかインパクトがあります。白いコートを翻して踊るところは大迫力です。おまけに大挙して客席降りの大サービス。今回は客席降りも多かったです。舞台が空になりそうなほど。(笑)





衣装も白衣とその下の喪服みたいな(殴)黒っぽいもの、尼僧の衣装以外は華やかです。

びっくりといえば壮一帆の女王!といいたいところですが、最近はこの手の演出が定番で少々食傷気味ですね。脚はさすがにすんなりきれいでしたが、顔はコラージュ画像みたい(殴)で‥。^^;

私が気に入ったのはまずラテンの場面。ギターの音色がすばらしく、落ち着いた曲がよかったですね。そしてビックリだったのは早霧せいなのロックシンガー「SAGIRI」の登場するところ。良かったですね。
何がというと、歌です。歌。
彼女、芝居の方では???な心もとない歌でしたが、ショーのSAGIRIはまるで別人で、これは口パク?新手のカゲソロ?(殴)と思ったほど聴かせる迫力のロックシンガーぶり。ほんとは歌ウマだったのかと印象を改めました。これだけでもモトが取れました。(笑) あと思い残すところはもっとふっくらしてほしいことだけです。(笑)




ショーでも芝居同様、夢乃聖夏が目立っていましたね。タカラヅカ化粧が似合っていて眼にチカラがあって成長が目立ちますね。
それとショーでももっと登用してほしかったのは鳳翔大。大柄で演技力もあり私たちは期待しているのですが、ちよっとガッカリ(でもドッキリ衣装があったりでまあいいか)。今後に期待することにしましょう。

パレードのエトワールはやはり愛加あゆでした。さすがの歌で、きっと姉と違うDNAが伝えられたのでしよう。(姉にももう少し入っていたら最強ですが)


というわけで、今回も中途半端で内容希薄な感想になりましたがm(__)m、最後までお読みいただきありがとうございました。

もう私たちの今年のタカラヅカ観劇は予定終了です。新年公演のナポレオン、楽しみですね。



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宝塚バウホール公演「第二章」を観て

2013年10月16日 | 宝塚

10月14日にバウホールで「第二章」を観てきました。


直前にスカイステージのニュースで初日の様子を見て面白そうなので、物は試しとココをチェックしたら、なんと結構な数のチケットが売りに出ていました。
価格も販売締め切りの前日とあって売り急がれたのか、@4,000円という良心的な設定でラッキーでした。ここの販売システムはしっかりしているので安心ですが、問題は申し込みから代金支払いまでの時間がわずか30分しかないこと。(笑)
今回は午後8時過ぎに申し込んだので、バイクで近くのコンビニに走りました。

連休最後の日でしたが、今回も道路はスイスイ。余裕で到着。まだ正門横の工事は続いていましたが、何やら建物もできつつありました。
ところで私たちのバウホール観劇は11年ぶり。2004年のヨメさんの発病後は初めてのバウホールになります。それで客席へのアクセスが心配でしたが、ちゃんと後付けのエレベーターが設置されていてOKでした。
時間が来たら鎖を外してくれました。


バウホールの席は12列の最下手の席でしたが、客席の傾斜が強く舞台が見やすいので快適でした。


今回の「第二章」はストレートプレイで、原作がニール・サイモン。脚本・演出は石田昌也。このセンセイ、最近はいい仕事していますね。

1977年には映画化されています。ヨメさんはその映画を見たことがあるといっていましたが、私は未見。どんな話か全く知らないままの観劇でした。以下、いつものとおり敬称略です。

幕が上がると、舞台は主人公の書斎。
大変な蔵書の量で、大学の図書館のように天井まで届く大きな書棚に本がぎっしり。思わずダブリンのトリニティカレッジを思い出しました。

ちなみにこの書斎の左にジェニファーのアパートのセットがあり、この2つの部屋を要領よく切り替えながら話は進行します。短期間の公演にもかかわ らずよくできたセットでした。書斎にさりげなくかかっている絵はすべて轟悠の描いた本物の絵だそうです。

その書斎に、12年連れ添った妻を亡くしたショックから立ち直れずにいる小説家、ジョージがいます。
兄思いの弟レオが悲しみを癒すためにあの手この手の励ましを試みますが功を奏さず、ジョージは折に触れ妻を思い出してはメソメソと涙に暮れる日々を送っています。


レオは傷心の兄を恋で癒そうと次々と女性を引き合わせるが、ジョージにとってそれはお節介以外の何物でもありません。


一方、6年間の結婚が破たんして、元夫との生活に時間を浪費してしまったことへの後悔と、他方、パートナーを失った寂しさを抱えつつむなしい生活を送る女優、ジェニファー。こちらも、親友のフェイが紹介する男性たちには一向に魅力を感じられずにいます。


今回の芝居は、亡き妻を忘れられないジョージと、失った時間を取り戻したいが新しい伴侶を探すのには臆病になっているジェニフアーが、一本の間違い電話をきっかけにはからずも“デートをすることになるところから展開していきます。
その後スピード結婚後に破綻の危機があって、それを再び2人が乗り越えてめでたしめでたしという結末になります。まあ、話としては予測可能でシンプルですね。
でもこの話、劇場で買ったプログラムではコメディとなっていますが、笑いの連続といった気楽な展開ではありません。
人生の「第二章」を前に、過去にとらわれてなかなか前に踏み出せないで立ちすくむジョージとジェニファーの、不器用で手探りの恋。その行方を出演4人の「言葉のボクシング(脚本家石田昌也の弁です)」で綴っていく正真正銘のストレートプレイでした。

余談ですが、俗に「妻と死別した男に後妻で入るのは難しい」といいますが、今回の芝居のストーリーでもそれがいえますね。男の脳内では亡妻は実際以上に美化された存在になっていますから、それと比較される後妻さんは大変です。でも夢咲ねねはそんな貧乏くじの役まわり(笑)を頑張って演じていました。
逆にジョージは、ダメダメ・マッチョ男の代わりなのでハードルは低く(笑)、かなり有利ですね。


以下、4名の出演者に沿って薄ーい感想を書いてみます。

まずはジョージ役の轟悠から。

プログラムより


数多くの「エリザベート」の公演を観ても、いまだに轟悠を超えるルッキーニは観たことがありませんね。彼女の演じた、狂気に満ちた鬼気迫る感のあるアナーキスト・ルッキーニは、今も目に鮮やかです。

でも、この「第二章」を観る前に、この人について「好きか嫌いか?」と聞かれたら、迷わず後者と答えたでしょうね。
というのは、ルッキーニ後の彼女の演技は、セリフの言い回しがなにか勿体ぶった感じが強くなって、喉を締め付けながら喋っているようで苦手でした。歌もうまいに違いないけど「ドヤ歌」(PAT出願中(笑))で魅力が感じられないのです。演技も固くてダイナミックレンジが狭そう。

しかし今回の観劇で大幅に好感度アップしました。まず苦手ではなくなりましたね。劇中では表情も豊かで、喜怒哀楽も自然で見直しました。ただセリフだけはやはりこもる感じが残っていて聞き取りにくいところもありましたが。
今更ながら、彼女、笑った顔などかなりきれいですね。(殴)

今回の芝居では3台の電話機が重要な役割を果たしています。2人の電話しあうシーンが多いです。




劇中、ジェニファーと初めて「試験デート」するあたりは軽妙な演技で面白かったです。

この人、まじめな性格なのか演技が固くなりがちですが、今回のような肩の力が抜けた役のほうがあっているのかも知れません。

次はジェニファーの夢咲ねね
プログラムより


もともと我が家では(といっても二人だけですが)、夢咲ねねは基本何をやってもストライク(笑)ですが、今回のようなストレートプレイでも完全に合格点。いつもの「ブリブリ演出の呪縛」がなく、のびのびとした演技がよかったです。声も自然な感じで聴いていて気持ちがよかったですね。
超ブリッコが彼女の本領ではないことがよくわかりました。(笑)

これも電話する場面






こちらはジョージを励ますジェニファー




フィナーレではあの「セ・マニフィーク」を髣髴とさせる弾けぶりで客席を魅了していました。
今回も本当に気持ちよさそうに歌って踊っていました。
彼女、低めの声の方が力があって耳に心地よい声です。完全に娘役を脱皮して女役を好演でさらに好感度アップです。

今回の公演では轟悠との対比を考えてペッタンコの靴で通していましたが、それでも手足の長い恵まれた肢体でスタイル抜群、とくにフィナーレのダンスは圧巻でした。もっと観たかった。

弟レオ役は英真なおきです。
この人も星組組長時代から我が家では好感度大でひいきの1人でした。今回も兄思いでちょっとチンピラ風で軽妙な役柄をよく演じていました。セリフはいつもの「英真なおき風」ですが、それがいい味になっていました。


この人の組長挨拶はいつ聞いても「シミジミ感」にあふれていて、組子に慕われるのも納得の気持ちのこもったいい挨拶でしたね。
フィナーレでは歌ウマぶりを思う存分披露してくれました。ただ、カーテンコールでは出遅れたのか、照れ笑いしながら登場して、一人端っこで「反省」ポーズして笑いを誘っていました。

4人目はフェイ役の早乙女わかば
まだ若いのに、そして経験もあまりないだろうに、堂々と3人を相手に頑張っていました。ヨメさんは「良くなっている!」としきりに感心していましたが、私は良くなるも何も、これまで全く知りませんでした。






でも、宝塚芝居と違って「俗世間(笑)」でも十分通用する演技で、3人に伍してよく演じていましたね。期待の娘役ですね。

ということで、コメディというよりけっこうシリアスな恋愛ものになっていましたが、心配された脚本家の十八番の「き
わどいセリフ」(笑)も許容範囲に収まっていて、なかなか完成度の高い舞台でした。ただ、「じぇじぇ」などの現代用語は満載。(笑)
こんな面白い舞台がバーゲン価格で観られて大満足でした。
そして最後のフィナーレでは、そんな地味な印象を吹っ飛ばすノリノリのショーになっていて、本当にお得感たっぷり。

これを機に、バウ公演もチェックすることにしました。今回はバウホール公演だけですが、ぜひ他の劇場でもやってほしいと思います。おすすめです。

今回も最後までご覧いただき、ありがとうございました。



おまけはフィナーレの映像です。
客席降りもたっぷり↓












幕が下がってきました


幕が下がってきても手を振ってくれています(笑)





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宝塚宙組公演 「風と共に去りぬ」を観て

2013年10月07日 | 宝塚

10月5日の午前8時45分に出発。この日は運動会のシーズンからか、交通量も少なくて順調に駐車場へ。
劇場の屋内駐車場から劇場の門までの歩道は、前回に引き続きまだ工事中でした。前のチケット売り場の跡ですが、なにやら100周年の記念施設ができるとか(ヨメさん情報)。でも歩道が通れないので、車椅子では本当に不便です。

劇場周辺は団体客が目立ちました。まずお菓子の売り場でバラのフィナンシェを親戚の土産に買って、昼食のサンドイッチと盛り合わせを買ったりして時間調整。
今回の席は、私がWeb会員先行販売にドジッて、19列の上手の席(泣)。でも私たちの前の席に座った方が座高の高くない女性客ばかりだったので見やすくラッキーでした。劇場内は団体客が多いせいか、男率も高かったですね。
一階席はほぼ満席。

まあどうでもいい話はこれくらいにして、本題に入ります。いつもの通り敬称略です。

今回の「風と共に去りぬ」で一番のビックリはなんといってもスカーレット。
当然実咲 凜音と思っていたら、あろうことか朝夏 まなと七海 ひろきの役替わりとは。さらにアシュレとスカーレットII、ルネも役替わり。でも歌劇団、いいかげんにこんな奇をてらった役替わりの濫用はやめてほしいです。生徒の負担も大変だし、役の作りこみも難しいだろうし。
なんといっても実咲 凜音がかわいそうです。

私たちの観たのはAパターンなのでスカーレットは朝夏 まなと、アシュレが悠未 ひろ、スカーレットIIが純矢 ちとせでした。
以下、配役ごとの感想です。

まず凰稀 かなめのレット・バトラー。


歌はなかなかいい出来です(ただし本人比で^^;)。でも、根本的にこの人は甘い声と整った容貌が邪魔をして、レット役には合わない感じがします。ヒゲも本人がスカイステージの「Now on Stage」で「なかなかぴったりするヒゲができなかった」と言っていたように、あまり似合っていませんね。それと、最近かなりやせてきているので、あまり貫禄がなく痛々しい感じです。ちょっと老けた感じが強いのも‥。


レットはたくましく商才があって世渡り上手のやり手の色男の半面、情におぼれるところもあるといった、スカーレットと共通したキャラクターだと思いますが、凰稀 かなめのレット・バトラーはそれが少し弱いですね。

このあたりは、どうしても私の原体験である麻実れいのレットの出来と比べてしまうので気の毒ですが。ただ、最後の名場面、傷心のまま別れを告げて立ち去るところは、やはり泣かせどころでしたね。

それとなんといっても決定的なのは出番が少なすぎること。これはひどいです。先の番組の中でも凰稀 かなめが「(舞台稽古で)出番より待っている時間の方が長かったので、みんなの芝居がよく見られた」といっていましたが、かわいそうな話です。

次はスカーレットの朝夏 まなと

スカイステージのタカラヅカニュースの映像を見ただけではよくわからなかったのですが、実際に舞台を観るとちゃんと「女」していて違和感なく、体形も表情も女そのもの!(変な話ですが)
今回の男役→女役パターンの中では一番きれいです。

でも、これまた遥 くららが私の脳内に強烈に刷り込まれているので、比べてしまって気の毒でした。
激情に駆られて相手に詰め寄ったりする場面では、どうしても素の表情が出てしまいますが、遥 くららはそんな感情的な場面でも本当にきれいでしたから。
まあスカーレットという役は、役柄がはっきりしている分、やりやすそうに思えますが、感情の起伏が激しいので本当は難しいのでしょうね。
実際、遥 くららのあと、神奈 美帆がスカーレットを演じた公演を観てそう感じました。
彼女、「三つのワルツ」でびっくりの歌唱力と演技力だったので大いに期待したのですが、とにかく張り切り過ぎて演技過剰。結果としてただの自己中なツンデレ女(笑)になってしまって落胆した記憶があります。でもそのあとの「レッドヘッド」は本当によかったですね。版権のせいなのか、なぜこれを再演しないのか不思議なほど面白い舞台でした。

今回の朝夏 まなとのスカーレットもやや頑張りすぎのきらいがありましたが、二幕目ではそれほど気になりませんでした。
ただ、今回の「風‥」では劇団側の朝夏 まなとへの肩入れぶりが半端じゃないですね。実質スカーレット編といっていいほどです。

↓これが私の原体験です^^;


そしてアシュレ・ウィルクスの悠未 ひろ
退団がもったいないほど円熟した演技で、光っていました。この人が出てきて歌いだすとホッとします。(笑)


ただやはり存在感が強く、とてもアシュレのイメージではないですね。本人も「いつもは絶対負けない強くて濃い役ですが、今回はそうではないので眼つきなどできるだけやさしく見えるように努力しています」といったことを「Now on Stage」で言っていたのが面白かったです。オペラで観ていて、そのあたりの苦心がよくわかりましたね。


またまた余談ですが、この番組で、凰稀 かなめが、「宙組に来た当初いろいろ慣れないこともあって心細かったり戸惑ったりしたが、悠未 ひろが細かいところまでよく気を配って支えてくれて、本当にうれしかった」といった意味の感謝の気持ちを披露していたのが印象的でした。いい話でした。

私的に一番印象的だったのが、ベル・ワットリングの緒月 遠麻

なんとも濃くて魅力的な娼館の女主人でした。劇中口さがない上流階級の婦人連に散々いじめられますが、彼女だったらなんなく一蹴できるのではと思えるほど強そうです(笑)。
でもこの人も出番が少なくなっていて、もったいないです。そう思っていたらフィナーレで男になって出てきたので、オペラでじっくり観察させてもらいました。(笑)


そのあとまた最後のパレードではベルの姿で出てきました。本当にこの人の女役、野性味もあって、ちょっとレナ・オリンを連想したりして、気に入りました。よかったです。

そしてようやく実咲 凜音メラニー・ハミルトンの感想です。


配役を初めて知った時、なんでこの人がメラニー?と、ヨメさんと顔を見合わせたものです。
(実咲 凜音はスカイステージの対談番組などの会話では??とKYな時もありますが)なんといっても演技力と歌唱力では今のトップ娘役では一番といえると思うのに、なんでこうなるの?と二人とも疑問でした。
そういう思いを持って観たメラニーですが、いい出来でしたね。
同じ美人娘役でもあのだんちゃんと違って(でもアムネリスは高く買っていますよ)、演技力は大したもので、メラニーは本当に絵にかいたような良い人ぶり。聖女・天女が降臨したような感じでした。

緒月 遠麻が必死で祈っていたのがよく理解できました。(笑)


実咲 凜音はなんといってもせっかくの歌の場面がないのが残念。まあフィナーレでは、意趣返しかとおもうほどの美声で文句なしのこれぞエトワールぶりでしたが。
脇役ですがピカイチの演技だったので、結果的には儲け役だったのかも。これで腐らずがんばってほしいですね。

そして私が観るのを期待していたもう一人がスカーレットIIの純矢 ちとせ
期待通りの歌と、ぴったりの違和感がまったくないスカーレットIIの演技。朝夏 まなとのスカーレットとまさに一心同体でした。余裕の歌唱力で満足でした。本当に大したものです。歌劇ですから歌ウマがなによりですが、演技も余裕でこなしていますね。


あとはミード博士の寿 つかさとか、

マミーの汝鳥 伶がさすがの存在感で場面を引き締めていましたが、

とにかく全体に役が少なすぎて行き渡らず勿体ないです。
ルネの七海 ひろきもほんの少しセリフがあるだけの影の薄い役。

それでもましな方で、ジョージの蓮水 ゆうやなどはまったく目立たず、オペラで探しまくりました。

というところでこの芝居の全体の印象に移りますが、とにかく演出が古臭い。もう完全にシーラカンス状態。ベルばらといい勝負の「塩漬け状態」です。
まず場面転換が、今時レアで陳腐な幕多用なこと。盆もセリも少なく、まるで全ツー公演です。

また、無駄に笑いを取りに行っているところも白けます。笑いあり涙ありという泥臭い演出から抜け出せない感じです。
そして説明台詞の多いこと。劇で展開すべきところをセリフで言わせてしまうのは安易すぎです。
さらに場面によってはくどく冗漫な演出(南部の文化や風土の紹介とか、アシュレとスカーレットのスキャンダルが町で評判になるところとか)があるのに、全体としては以前の公演であったはずの場面が省略されたりして話の密度が薄くなってしまっています。レットが最後に立ち去る場面の演出も以前より手抜きで悪くなっていました。
アンドレア・シェニエ」とか「モンテクリスト伯」などの、洒落た場面転換と豪華なセット、濃密なストーリーの舞台(いずれもショーとの2本ものです!)を観た後では、とても一本物とはいえないスカスカ舞台でした。
(ただ蒸気機関車だけは仰天の豪華な出来栄え!でしたが、これとて登場したのはたった一度きり。前線から傷病兵が送られてくるところとかで活用できるのにもったいないです。まるであのコードロン・シムーンと同じです)
アトランタの街並みも薄手のカーテンに絵を描いただけで、それも戦前と戦後が同じものというチープさ。

この「風‥」という話は、いろんな切り口での舞台化が可能なほど内容が豊かだと思いますが(ただ、黒人の扱い方とか、黒人の奴隷労働を前提とした農園経営とか、KKK団を肯定していたりとかの時代的限界はありますが)、いつまでも初演時の演出家の意見を墨守して上演を重ねているのは本当に疑問があります。
これはベルばらにもいえることですが、老演出家のセンセイもここはひとつ後進の演出家に道を譲って、若い才能にまかせて思う存分現代風にリアルにリニューアルさせたら、いずれも思白い舞台になると思うのですが。
誰も言い出せないのでしょうね。

で、私なりの結論としては、この公演をスカーレット編として配役し直すなら、
レット・バトラー悠未 ひろ。この人の存在感で出番の少なさは十分カバーできます。(笑)
で、スカーレットはもちろん凰稀 かなめ。この人の演技力は折り紙つきなので適役です。
アシュレは朝夏 まなとか。あとはそのままでもいいかな。これで長年の悠未 ひろの貢献に報いられるし、いいと思いますが。(笑)
ただ演出家はもちろん交代が前提。

ということで、悠未 ひろのフィナーレでの晴れ姿(顔が映っていないのはマズかったですが)とタカラヅカニュースの映像でこの妄想観劇記録を終わります。




今回もご覧いただきありがとうございました。m(__)m



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花組公演『愛と革命の詩-アンドレア・シェニエ-/Mr. Swing!』を観て

2013年09月02日 | 宝塚

もう初日から約2週間近くたってからの観劇です(以下、いつものとおり敬称略です)。

劇場までの道は途中少々渋滞があったものの基本的に順調に予定時間どおり到着。
しかし、劇場に向かう歩道が工事で通行不可能なので何かと見たら、以前チケット売り場だった建物が解体されて更地に。あとは何が出来るんでしょうか。

劇場内はまだ早いのに結構な賑わいでした。当日券を買い求める人の列も長かったです。これって人気があるのかないのか?(笑)

まず売店で例のタカラヅカフィナンシェをお土産も含め3個ゲット。切手を買ってから横で昼食用のサンドイッチと盛合せを買って劇場へ。

今月2回の観劇は、兵庫と大劇場ともに良席での観劇です♪。
この日のチケットはWeb会員で頑張って9列目を確保。上手側の右端ブロックですが、いい席でした。

今回の「アンドレア・シェニエ」(植田景子脚本、演出)はベースとしてイタリアオペラの「アンドレア・シェニェ」があり、ストーリーも最初と最後の回想シーンの挿入以外はほぼそれに忠実に作られています。
 
話としては、「ベルサイユのばら」の続編あるいは後日談というべきフランス革命にまつわる悲劇です。しかしベルばらと違ってよくできた脚本で、これを観たら改めてベルばらの化石化・陳腐さ・型芝居ぶりがよくわかりました。(笑)
歌劇団も早く老害の呪縛(殴)から脱して古くさい演目をリニューアルしないとファンから見放されてしまいますよ。

本題に戻りますが、今回の作品、ベースがあるとはいえよく宝塚化・ミュージカル化されていました。
人物の造形も細部まで丁寧で、キャスティングも現花組メンバーの持ち味がよく生かされるなど、出色の出来ばえ。
なんでも蘭寿とむが「大恋愛物をやりたい」とリクエストし続けていたのに植田センセイが応えてくれたとか。なので、今回の芝居、ほぼあてがきと言ってもいい出来でした
日程さえ合えばまた観たいと思ったほど。今年上演のオリジナル作品としては一番の出来ですね。

舞台の全体の印象としては、セリフは少ないものの群衆シーンでは下級生をよく使っていて迫力がありました。群衆場面の演出はキムシンがうまいですが、植田景子はもっと細やかな感じの演出でいい仕事でした。たまたま最近スカステで放送していた「ハプスブルクの宝剣」を観ましたが、この人は最近とみに安定した力を身につけてきていますね。

写真ではわかりにくいですが、白と黒の天使が描かれています↓


幕が上がると、フランス革命から25年後のパリの文学サロン。

望海風斗扮するパンジュ侯爵が、革命末期ジャコバン党の恐怖政治の犠牲となった詩人アンドレア・シェニエを回想するところから始まります。
ここからフランス革命直前のパリ郊外コワニー伯爵の邸宅での夜会の場面に変わります。今回の場面転換はどれもよく考えられていて洒落た感じでした。

舞台装置も斬新でした。
巨大な天使の羽根が舞台を覆うように現れたときはびっくり。その羽根に当てる照明の変化とか、表裏を場面ごとに使い分けることで変化をもたらしています。舞台装置のデザインを松井るみが担当したと知って納得でした。
 
ストーリーは観てのお楽しみということでこのくらいにして、主な出演者ごとの感想です。

まずはアンドレアの蘭寿とむ
彼女、容貌はますます痩せてきて少し痛々しいくらいですが、演技のほうは変わらずていねいで台詞も明瞭、歌も気になりません(殴)。
しかし舞台の進行とともに「復活」の主人公を思い出しました。実直で人格高潔、誠実を絵にかいたような役柄がそっくりです。「オーシャンズ11」のようないささか不似合いなチョイ悪役よりこういう役のほうがハマっています。
(以下、画像はすべてスカイステージ・「Now on Stage」から)


こういう信念に生きた詩人の詩はさぞやと思いましたが、歌詞やセリフに取り入れられていたものの劇中ではあまり紹介されていないのは物足りないところです。

マッダレーナ・ド・コワニーの蘭乃はな、まず気が付くのは歌。
ファントムではそれほどうまいと思わなかったのですが、「復活」とか「オーシャンズ」を観て歌ウマぶりを認識しました。今回は、のびのある歌にますます磨きがかかっていました。聞き心地のいい歌でした。

マッダレーナは、初めて出会った夜会ではアンドレアをからかったりして、ただのかわいいが無知な貴族の令嬢でしたが、革命勃発後の逃避生活のなかで、夜会でアンドレアに指摘された言葉を胸に秘めて生きていくうちに、たまたま目にした彼の作品を読んで次第にアンドレアを慕うようになっていきます。このあたりの苦難の生活ぶりとその下での人間としての成長ぶりをよく演じていました。


トップコンビのダンス、斬新な振り付けできれいです。


明日海りおのカルロ・ジェラールは、「スカピン」のショーヴランの延長のような役で、初めは春風弥里のジュール・モランとカブる厳しい反革命の摘発者役ですが、後半では主人公の人柄に共感して行く変化が観どころでした。



花組に来て最初の大劇場の舞台ですが、すっかり組になじんで安定した2番手ぶりでした。

ジェラールの同志である春風弥里のジュール・モランは厳格なジャコバン党員です。貧しい環境で育った彼は、反革命の摘発にひたすら没頭して片っ端からギロチンにかけています。こちらは最後まで冷酷な人物です。


望海風斗は回想シーンでの老後と劇中のリアルタイムのパンジュ侯爵を演じて安定した演技力を披露していました。この人の歌や演技は、オーシャンズを観てから強く印象づけられましたね。貫録さえ感じられました。


アンドレアの弟マリー=ジョゼフ・シェニエは華形ひかる
彼の役は、おなじ詩人でも理想主義の兄とは好対照の、世間的な利害を優先する計算高い俗物です。でもすべてが欲得ずくかというとそうではなく、心の底では金銭に無頓着にあくまで芸術至上主義を貫く兄に対する敬意があり、それゆえに最後では兄を助け出そうと奔走します。この辺の屈折した人物をよく演じていました。

はじめは何というイヤなやつだと思いましたが。

後、全体の印象として印象的だったのは(男トップは別にして^^;)花組メンバーの歌のうまいこと。みんな演技力もあって、本当に若手からベテランまで層が厚いです。
とくに教会の腐敗を告発する歌を歌ったユディットの朝月希和と、最終の場面でマッダレーナと替わるレグリエ嬢役の乙羽映見が大抜擢されただけあって大した歌唱力でした。

よくできた脚本で、下級生まで役が多かったのですが、欲を言えば上で言ったようにセリフが少ないのが残念なところ。
それと、白い天使黒い天使が善と悪を表現していますが、これは疑問でした。
あまりにも「エリザベート」や「ロミジュリ」と似すぎなので、せっかくのオリジナル作品なのにデジャブ感が強すぎ。両天使の役割もそれほどはっきりしていないので、敢えて入れるまでもないのにと思いました。

ショーのほうは歌場面が多く見応えがある作品でした。

Mr. Swingというだけあって男役が強く押し出された構成でした。最初の黒いスーツ軍団を率いる赤スーツの蘭とむが迫力のあるダンスで出だしから盛り上げます。最後もお約束の黒燕尾軍団で締めて、このショーは男役パワー全開。




フィナーレ↓


プロローグのトロピカルムードから船上ショー(短くて残念)や野球の場面、蘭とむと男役瀬戸かずや(3人の役替わり)の妖しいデュエットダンスの場面などがあったりと、いいショーになっていました。望海風斗の「マスカレード」もしっとり聞かせてくれます。
もっと見たかったセーラーの場面↓


全体的にショーのセットは、芝居の巨大な羽根に予算がとられたのか(笑)やや物足りなく感じましたが、場面ごとのセンスのある色彩の衣装となじみのある選曲で楽しめました。
何より、つまらないショーだとすぐ寝る私が一睡もしなかったのですから、間違いなくいいショーでした。(殴)

あとホッコリ気分になったのは、退団する春風弥里のために出番と歌詞の内容に暖かい配慮が見られたこと。
こういう気配りがタカラヅカらしくてうれしかったですね。




押されがちな娘役を代表して蘭はなも頑張って美声を聞かせてくれました。


そしてこの人が最後をしめくくり


花組は決してひいきな組ではなかったのですが、最近観た公演はみんな予想以上の出来でした。
今回の公演も、日程さえ許せばもう一度観たいと思ういい作品でした。

未見の方はぜひご覧ください。おすすめです。




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宝塚宙組全国ツアー「うたかたの恋」「Amour de 99!!-99年の愛-」を観て

2013年07月24日 | 宝塚

まずは、いつもの超ローカルな前置きです。(笑)
12時開演なので10時過ぎに出発。いつも以上に車の量は少なく快適に劇場に着きました。車椅子で駐車場から出る際に、居合わせたお祖母さんとお孫さんらしい二人が重いドアを開けてくれて感謝感謝でした。ここのドア、重くて大変です。
劇場横のカフェで腹ごしらえを済ませて劇場前に行きました。
(ちなみにここのカフェのお替り自由のサラダ、はじめ調理前の食材が置いてあるのかと思いました。リピート無理です)

事前に車椅子スペースをお願いしていたので、劇場前では係の男性スタッフが待っていてくれました。楽屋の前の通路を通ってエレベーターに乗って劇場に。今回は人気があるのか劇場内外は活気がありましたね。女性比率は大劇場以上に高く、男は少な目。

始まる前にプログラムを買いました。ヨメさんも期待が大きかったのか、久しぶりに買うのに同意しましたね。(笑)
プログラムの表紙、凰稀かなめの表情がなにやら微妙ですね↓


で、ようやく感想になります。(笑)
まず芝居のほうから配役に沿って。

ルドルフの凰稀かなめ


まずやはりきれいです。文句なし。

歌は微妙にビブラートもあって(笑)、モンテクリストよりさらにまた進化しているかなと思ったのですが、ヨメさんに言うと「あまり変わらん」と辛い点。
でも私はこれまでもっと酷い男トップの歌の数々を聞いて耳が鍛えられているので(殴)、それらと比べたら(比べるな!)充分及第と思いますよ。容姿と大人の雰囲気、甘い声の質がそれを補って余りあります。

ただ演技のほうは、今回はその甘いキャラが仇になって、キリッとした印象が少なくて残念な感じですね。全体としても、民主化?を進めようとする青年将校グループにシンパシーを抱いて加担しつつ(このあたり「エリザベート」参照のこと(笑))、一方でハプスブルク家の十八番・政略結婚を強いられて、満たされない愛への渇望感から、次々と女性遍歴を重ねる彼の懊悩の描写が弱く感じました。

ひたすら甘い表情と甘い声は、ファンにはたまらないのでしょうが(私も結構好きだったりして)、後半ルドルフが次第に追い詰められていく過程の心理描写などが物足りなかったですね。この点、麻実れいはよく演じていましたね。とくにいよいよ死のときが来たことをマリーに告げるシーンとか。でもこのあたりは演出家の好みから来ているのかもしれません。

まあ、今回の出し物は、30年前!に観たゴールデンコンビ・ターコ&モック初演版と比較しているので、どうしても辛い採点になってしまいます。凰稀かなめは、前回のモンテクリストの好印象のせいでとくに期待していたので、余計にプチガッカリでしたが、今の宝塚各組の中では一番適役だとは思いますね。

次はマリー・ヴェッツェラの実咲凜音
今回の観劇でつくづく思ったのですが、マリーとルドルフの関係はかなりすれ違いというか、対等の恋愛関係ではないですね。ルドルフは自分の理想としている清純で無垢な女性を追い求めていて、たまたまそれをマリーに見出したということで、マリーのほうはあこがれの皇太子に求愛されて舞い上がってしまったという感じでしょうか。
そのマリーがルドルフの言うままに心中に突き進んでいくという話で、まあ今となっては古色蒼然としたお話です。

そういう、あまりしどころのない役ですが、実咲凜音は可憐にひたむきにルドルフについていく姿をよく演じていました。
一番びっくりだったのはルドルフの手紙を読み上げながら歌う場面。

まず手紙をマリーに渡すようブラッドフィッシュ(松風輝)に言いつけるルドルフ↓


届先を見て驚愕するブラッドフィッシュ↓


そして手紙を読み上げながら歌うマリー↓


舞い上がるマリーを引き留めようとする乳母↓


こんないい場面だったのかとうれしい発見でした。うまいですね。なにしろ唯一観た初演版がモックだったもので、舞台は上の空で早く終わってくれと念じていたことだけ覚えています。(殴)
(でも、そのモックの演技力ときたら、もう歌など少々下手でも全くノープロブレムでしたが)

ただ、しいて言えば実咲凜音は高い音がちょっと弱いのかな。でもトータルでは大したものです。
最初と最後の舞踏会のシーンは本当にきれいです↓






余談ですが、観劇の後スカステで見た今回の宙組公演のNow on Stageはいろいろな点で面白かったですよ。

要約すると、
1. 凰稀かなめは場をあまり仕切らない。話し方は昔の姿月あさとに似ている。
2. 仕切らない凰稀かなめの代わりに悠未ひろがうまく話を進めていた。好感度アップ
3. そして実咲凜音は完全に浮いていたが、当人は気づいていない。ひょっとしてトップコンビは仮面の夫婦?(殴)
4. 司会者は今回が初司会とはいえ課題多し。
といった感じでした。凰稀かなめに悠未ひろ、緒月遠麻、朝夏まなとの4人はいいチームワークでした。

話を戻して(笑)、エリザベート皇后は美穂圭子
今回は芝居もショーでも本領発揮で、美声を聞かせてくれました。演技でも、孤独な宮廷生活の中で、現実逃避してきた自身の来し方と、それゆえの息子への罪悪感と後悔が良く表現されていました。立っているだけでもエリザベートでした(笑)。


その夫ヨゼフ皇帝は悠未ひろ。迫力あるヨゼフです。帝国を守るための強い意志と威厳に満ちあふれた皇帝陛下です。存在感がすごいです。今回はこの人と美穂圭子、純矢ちとせが聞かせてくれました。ラストシーンの小春乃さよとの影ソロは圧巻でした。




朝夏まなとはジャン・サルヴァドル役で、モンテクリストとは違って今回は凰稀かなめの味方ですね。(笑)
同時に芝居全体の狂言回しも務めています。すみれ乃麗と相思相愛のカップルで凰稀かなめを羨ましがらせています。


 

逆に敵役になったのがフリードリヒ役の緒月遠麻。陰謀家で悪いヤツです。ルドルフを追い落とそうと策を練ります。

贔屓な1人なので、感情移入が難しい観劇となりました。(笑) 
でもショーでは、「第五の愛-鴨川清作の愛-第17場」で女役になって、レナ・オリンみたいな美女ぶりを見せてくれたので満足。(笑)

今回の芝居で私の一番のツボはマリンカ
さすが草笛雅子!なわけなくて、今回は純矢ちとせ
ルドルフに迫る場面はなんとも妖艶で、蠱惑的でした。美脚も披露してくれています。
でもなんといっても、びっくりな歌唱力です。どこまでも伸びのある美声にハマリました。ボヘミアのダンス場面も、もっと長く聞いていたかったところです。本当に初演時の草笛雅子を彷彿とさせてくれる美声でした


ステファニー役は伶美うらら。彼女も政略結婚の犠牲者ですが、舞踏会での嫉妬の炎を燃やす表情、よくやっていました。
どこか実咲凜音に通じる顔立ちですね。でもこの役もあまりしどころがなく気の毒です。


あとはフェルディナンド公の愛月ひかるも好演していました。従僕ロシェックの寿つかさもコミカルな演技で印象に残るいい役でした。


これはショーのほうですが↓


コミカルといえば馭者ブラッドフィッシュの松風輝も、ややオーバーな演技ですが笑いを誘っていました。
もうひとりコミカルな配役の乳母ジェシカは鈴奈沙也。その歌と演技で、思わず往年の雪組組長の銀あけみを思い出しました。懐かしいです。偶然彼女が最後まで入院していた病院にたまたま通うことがあったので、感慨もひとしおでした。

さて、ショーのほうですが、今回は芝居よりもこちらのほうが印象に残りました。
もともとこれまでの宝塚のレビューの名場面をいいとこ取りしたものなので当然ですが、前回は5人のセンセイの遺影を遥拝する場面でせっかくの感動がブツ切りされてしまったのが、今回ラッキーなことに全部省略されていて、グッとまとまりが出ていました。もちろん人数も少なく、セットも簡素になり舞台も狭く、セリや盆などの装置も使えないのでかなり印象が異なりますが、基本が名場面ばかりなので楽しめました。
しかも全ツーバージョンとして客席降りがたくさんあって、普段宝塚を見られない地方のお客さん向けの大サービスがうれしいです。

まず朝夏まなとのチョンパから始まって、実咲凜音の夢のエトワールのあと凰稀かなめが登場。


美穂圭子は「愛の歌手」↓ 歌う場面をたくさんもらっていました


朝夏まなと↓


悠未ひろ↓


客席降りもたっぷり






凰稀かなめも客席降りのサービス↓


そして目玉のパイナップル!何とも言葉がありません。見とれるばかり(笑)






最後のデュエットはさすがにきれい。影ソロも絶品。


終わって組長あいさつの後は近畿出身者の紹介。全ツーならではです(笑)。






最後は凰稀かなめのご挨拶。やはり今のタカラヅカを代表するトップスターですね。あともう少し歌が‥(まだ言うか)。


観終わってつくづく宙組メンバーの充実ぶりを感じました。これでもまだバウホール組がいるわけですから大したものです。
(それに引き替え月の手薄なことと。仰天のみっちゃんの大羽根です。彼女も贔屓ですが、そんな私たちでも、いくらなんでもあの羽根はないだろうと思うし、スカステの初日のニュースでは、トップコンビとみっちゃんだけのインタビュー!どうした歌劇団!といいたくなりますね)

いろいろ書きましたが、今回の公演、無理してチケット取って正解でしたね。

耳福・眼福で、芝居では30年前の東京での観劇を思い出して、しばしノスタルジーの世界に浸れました。

チケットをゲット出来た幸運なみなさん、楽しめること請け合いです!



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宝塚星組公演「ロミオとジュリエット」を観て

2013年06月28日 | 宝塚

天候が心配でしたが、27日(木)は前日の猛烈な雨と風と打って変ったおだやかな天気でラッキーでした。
木曜の宝塚観劇は初めてですが、劇場は10時前でも結構観客が来ていました。この日は団体客が多く、宝塚が初見らしい女性の団体客が目立ちました。

いつものとおり、まず売店で数量限定の「宝塚フィナンシェ」「天下もち」を確保。

どちらもおいしくて飽きません。無事ゲットして気をよくしながらロビーの郵便局で切手を購入、7月分のスカイステージ番組表も貰って、入口で開場を待ちました。




今回のチケットは、実はWEBの先行販売を逃し、一時はチケット販売の利用も覚悟したのですが、たまたま公式HPを覗いたら運よく戻り?があって、15列下手ブロックを確保できたという次第でした。こういうこともあるので、WEBで販売状況をチェックするのもアリですね。
↓ひどいピンボケです(^_^;)

座席について考えてみたら、今回で宝塚バージョンの「ロミオとジュリエット」は4回目。最初の梅芸での星組公演ではまり、雪の役替わりジュリエットでプチがっかり、月の「みりおロミオ」に納得。結局全部を観ていたことになりますね。
そして途中本家フランス版「ロミオとジュリエット」で驚愕のイメージリセットののちの今回の星組ニューバージョン観劇ということになります。

都合5回も観てから言うのもなんですが、もともと私は「ロミオとジュリエット」のような悲劇は好きではありません。(殴)
根が単純な性格なので、大枚はたいて観て悲しい気分になるより、元気になれるハッピーエンドが一番という子供じみた理由です(笑)。
でもこのミュージカルバージョンでは、主人公二人の死後、二人は残された家族や街の人々の胸の中に生き続け、不毛な対立と抗争にも終止符が打たれるという結末が強調されているので、希望がありますね。
とくにそれはフランス版で強く感じました。観終わってある種の爽快感さえある「ロミオとジュリエット」でした。

今回は二役を7人が演じる大幅な役替わりアリ公演になっていますが、私たちの観た配役はAチームで以下の通りです。これがほぼベストな配役だと思いました。

ロミオ          柚希 礼音
ジュリエット       夢咲 ねね
       
キャピュレット卿   一樹 千尋
ロレンス神父     英真 なおき
モンタギュー卿    美稀 千種
乳母           美城 れん
ヴェローナ大公    十輝 いりす
モンタギュー夫人   花愛 瑞穂
キャピュレット夫人  音花 ゆり
愛             鶴美 舞夕
ティボルト        紅 ゆずる
マーキューシオ    壱城 あずさ
パリス          天寿 光希
ピーター         真月 咲
死             真風 涼帆
ジョン           輝咲 玲央
ベンヴォーリオ    礼 真琴

余談ですが、本当に役替わりさせられる生徒は大変ですね。
プログラムによれば、今回小池センセイは再度オーディションを行ったとのことですが、それなら役替わりなどせず、彼の判断でベストな配役を決めて、それぞれの役に専念させ、生徒のエネルギーを浪費しないほうがいいのにと思いますね。
営業サイドの意向もあるかもしれませんが。

さてようやく感想ですが(いつものことながらマクラ長過ぎですね)、まずトップ二人から。


柚希礼音はひたすらロミオになりきっています
プログラム表紙より


一途に恋に恋焦がれる純粋でひたむきな青年を演じています。恋にあこがれてはいても誰でもよかったのではなく、偶然出会ったジュリエットに一目で自分の理想とする女性像を見出して、そのまま絶望的な恋に落ちて行くこともためらわない主人公を丁寧に演じていました。歌もさらに完成度が高く、強い説得力がありました。若さとジュリエットに対する純粋な愛、繊細な感情がよく表現されていて感心しました。
再演のほうがなまじ形が出来上がっているだけに、逆に役作りが難しいと彼女は言っていましたが、頑張って新しいロミオをよく作りあげていたと思いました。


対するジュリエットの夢咲ねね

まず気が付いたのは歌です。安定感があり、聞かせてくれます。以前感じたやや心もとない部分(笑)もなくなり、安心して聞いていられます。容姿に見合った歌の成長が見て取れました。

演技も成長が見られました。
夢咲ねね自身、プログラムの中で、
「今回もう一度冷静に作品と向き合い、すべての面でブラッシュアップしていきたいです。<中略>16歳という年齢や外見の可愛らしさだけを意識するのではなく、早く大人になりたくて背伸びをしているジュリエットの本質をきちっと描き出したいですね」
と語っているように、微妙な年頃にあって、両親の歪んだ生活を反面教師にして、心から真実の愛を求め続けているジュリエットを前回以上に巧みに演じていました。

なんともゴージャスで似合いのカップルです。


観劇していて気が付いたのですが、これまでの私の宝塚版「ロミオとジュリエット」のイメージはまず「場面転換の速さ」だったのですが、単純にそうとは言えませんね。アップテンポなフランス版の後なのでそう思い込んでいただけかもしれませんが、結婚式の場面まではむしろ丹念に丁寧に話を追っている感じです。
ヴエローナの名門二家の対立と抗争の歴史、とくにキャピュレット家の、当主夫妻とティボルトを巡る歪んだ家庭事情と破たんした一家の財政などを細かく描くことで、話が単なる主人公二人の若さゆえの恋の暴走とそれによる悲劇という話にならないようにしています。

次に目立ったのがオープニングで登場する「死」の真風涼帆



いつも彼女を見るたびに「水夏希の再来」などと思ってしまいますが、決定的に違う点があります。水夏希よりはるかに歌がうまい!(笑) 
これはごく最近、スカステで役替わり公演のニュースで初めて知ったのですが、歌唱力、大したものです。ニュースを見ていたヨメさんと思わず顔を見合わせました。(でも今回の観劇ではそれが聞けず残念でしたが。)
これまでの評価は一新です。(笑)

舞台では不吉な死の雰囲気を濃厚に漂わせていました。それで登場した場面では思わず「縁起でもない、あっちへ行け!」と言いたくなりましたね。(殴) 

オープニングのヴェローナ広場での立役者の一人が十輝いりすの「ヴェローナ大公」。風格さえ感じさせる偉丈夫ぶりです。声が若くてちょっと不釣り合いなのと、もう少し歌が‥と思いますが、こう思うのはこれまたフランス版大公が余りにもウマすぎだったせいかもしれません。でも十輝いりすも似合いの役でした。


今回私が一番注目したのはやはり「ティボルト」の紅ゆずる。ニュース以来すっかりハマっています(笑)。舞台化粧は特に遠目だとプチ強すぎる感じで気になりますが、オペラで見れば全くノープロブレム。

尻軽なキャピュレット夫人(音花ゆり)が道ならぬ愛で迫ってくるのも無理からぬ美形だと思うのですが、ヨメさんは同意しませんね。(笑)
ティボルト、歌も進化し続けていて、またよくなっていました。紅ゆずるが漂わせる存在感というか独特の落ち着きはどこから来ているのでしょうか。
で、今回は紅ゆずるをずっと追っていましたが、最後に「フィナーレの歌手」として、白い晴れやかな衣装で満面の笑みを浮かべて舞台下手に出てきたのはちよっと意表を突かれた感じで良かったですねぇ。満足しました。

あと、芝居の途中でバラの花を塔?の上に投げ返すシーンが今回のツボですね。
投げるほうもストライクなら、受け取る音花ゆりもナイスキャッチ!これ、けっこう高低差があるのによく失敗しないものですね。やはりこの二人、怪しい仲だ!(笑)

前後しますが、前回と同じ役の両家の夫人たちが良かったです。
まずは怪しい音花ゆり(笑)。
言わずと知れた歌唱力ですが、演技も甥のティボルトを追いかける困った伯母さんぶり全開。歌ってはキャピュレット卿を演じる一樹千尋の歌唱力とピッタリで、いい組み合わせでした。可愛らしい顔に不似合いな力のある歌は大したものです。


対するモンタギュー夫人の花愛瑞穂もいい感じですね。前回初めて存在を知って驚きましたが、しっとりとした情感を漂わせていて、キャピュレット夫人と好対照です。
美人だと思いますね。オペラで見ているとあれ十朱幸代?と思ったりしましたが(笑)、この公演で退団とか。本当に残念ですね。
ずっと星組だったとかですが、もっと早く知っていたらと悔やんでいます。「王家‥」のときはどういう役だったのでしょうか。
この残念感、ドンカルロスのフアナ・涼花リサさんと共通するものがあります

またまた前後しましたが、好演で気を吐いたのがキャピュレット卿の一樹千尋。まさにいぶし銀の存在です。

私などはどの公演でも、この人の名が配役に入っているだけで安心してしますね。今回も前回同様、娘を家の再興の手段と考える腹黒い、でも娘に対する思いも残しているキャピュレット卿を過不足なく自然な演技で演じていました。この人はもう現在の宝塚の至宝といってもいい存在だと思いますね。歌も思った以上に音域が広く見事でした。

専科といえばもう一人、ロレンス神父役の英真なおきも、見事な歌と変わらぬ味のある演技で場面を締めていました。特に星組公演にはなくてはならない人ですね。組長当時のこの人のあいさつも懐かしいです。いつも飾らぬ温かさが伝わってきました。



あと、今回ならではの収穫が乳母の美城れんです。

まあピッタリの配役で、何で早くこの人を持ってこなかったのかと思うほどの適役でした。歌は高音域のゆとりがもう少しあればと思ったりしましたが、それ以外は完璧。
柔らかな包み込むような歌声が見事でした。セリフも上出来。ジュリエットをわが子同様に育ててきて、その幸せのためにはどんなことも厭わないという役どころを嫌味なく演じていて感心しました。

歴代乳母では月組の美穂圭子が一番と思っていましたが、今回の美城れんはトータルな評価ではそれ以上だと思います。
美城れんはスカイステージのトーク番組で私たちにもおなじみの人でしたが、今公演で認識を新たにしましたね。

はじめにほぼベストの配役と書きましたが、残念だったのはマーキューシオとパリスの配役。これは逆パターンのほうがいいと思いました。壱城あずさはがんばっていましたが、歌が課題ですね。天寿光希のマーキューシオが観たかったので、「ほぼベスト」になりました。
ベンヴォーリオは前回の涼紫央と同じヘアスタイルなのが面白かったですが、歌は段違いで今回の礼真琴が適役。抜擢にこたえて頑張っていましたが、ちよっと小柄な感じですね。その分今後演技でスケール感が出せればと思いました。

最後にかな~り物足りなかったのが組長さんのフラメンコ。もっと見せてほしかったですね~。短すぎ!

公演の最後が豪華なフィナーレ。これはもうトップ二人の独壇場(二人ですが(笑))。
若い二人が大人のカップルになってその魅力を見せてくれました。デュエットダンスはもうただただ見惚れるばかりです。





ロリっぽい表情だった夢咲ねねがショートカット+透ける衣装(小池センセイの指示だそうです)で、恵まれた肢体を存分に生かして踊る姿は圧巻です。キリッとした表情は別人の感があります。官能的で耽美的なダンス、必見の絶品です。

柚希礼音も大人の男の精悍さを前面に出したダイナミックな踊りを堪能させてくれました。




この二人、今の宝塚を代表するトップコンビといって過言ではないですね。
プログラムより


観劇の最後の感想ですが、今や宝塚の定番出し物となったこのロミジュリ、ほとんど音楽とダンスだけのシンプルの極致・フランス版元祖ロミジュリをよく宝塚バージョンに仕立て直したものだと、改めて小池センセイの力量に感じ入っています。
ミュージカルとしての完成度の高さでは、全く別物といっていい出来だと思いますね。

充実の星組と小池センセイが、来年の100周年公演で何を見せてくれるのか、今から楽しみです。

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星組「ロミオとジュリエット」初日のタカラヅカニュースを見て

2013年06月10日 | 宝塚

前回のタカラヅカ観劇はモンテクリストだったので、もう幾星霜も経たかのような隔絶の感があります。
次の観劇予定は星組のロミジュリ。今月(6月)27日観劇ですが、もう今禁断症状出まくりです。本当になが~いブランクです。

で、その間は観劇はまだでもスカイステージのニュースで初日の模様が放送されるのを心待ちにしていました。

でも見て大失敗!

ますます飢餓状態になってしまいました。(笑)
カメラワークもうまく、断片的なダイジェスト場面を見ただけでもいやおうなしに期待感が高まってきます。
以下の映像、いつものとおりニュース画面のデジカメ画像をリサイズしていますのでボケボケです。

私が最初に観たロミジュリが梅芸での星組「ロミオとジュリエット」。これがなんともインパクトがありましたね。ダイナミックでパワフル、しかも柚希礼音の打って変った見るからに青年っぽい演技と夢咲ねねの初々しく少女っぽい演技にびっくりでした。以後タカラヅカ版ロミジュリといえばこれが標準です。

その当時の主な配役と出演者です↓

 ロミオ        柚希 礼音
 ジュリエット    夢咲 ねね
 ティボルト     凰稀 かなめ
      
 キャピュレット卿  一樹 千尋
 ロレンス神父    英真 なおき
 モンタギュー卿   にしき 愛
 ベンヴォーリオ   涼 紫央
 ピーター       美城れん
 モンタギュー夫人 花愛 瑞穂
 キャピュレット夫人 音花 ゆり
 ヴェローナ大公   水輝 涼
 マーキューシオ   紅 ゆずる
 乳母         白華 れみ
 パリス        天寿 光希
 死           真風 涼帆
 愛           礼 真琴

今回は↓のとおり。主役二人と専科のお二人、夫人たち以外はかなり変わっています。おまけに今回は大幅な役替わりがあります。役替わりさせられる生徒は大変です。

ロミオ         柚希 礼音
ジュリエット     夢咲 ねね
       
キャピュレット卿  一樹 千尋
ロレンス神父    英真 なおき
モンタギュー卿    美稀 千種
乳母          美城 れん
ヴェローナ大公    十輝 いりす
モンタギュー夫人   花愛 瑞穂
キャピュレット夫人  音花 ゆり
愛            鶴美 舞夕/礼 真琴
ティボルト       紅 ゆずる/真風 涼帆
マーキューシオ   壱城 あずさ/天寿 光希
パリス         天寿 光希/壱城 あずさ
ピーター        真月 咲
死            真風 涼帆/麻央 侑希
ジョン          輝咲 玲央
ベンヴォーリオ    礼 真琴/紅 ゆずる

それと、今回の組長あいさつでもあったように、前回は40名ですが、今回はフルメンバー71名なので大幅にボリュームアップ。
さらにニュースで小池センセイが語っていたように、今回の公演に当たってまたいろいろ手が入ったとのこと。本当に楽しみです。

それではニュース映像ですが、↓最初からなかなかの迫力です!


みんながヴェローナで盛り上がっているときに礼音はタンポポなど吹いています↓


小道具さん、なかなかそれらしく作っています。


ところで、実は私は柚希礼音的な容貌はあまり好みではありません。(←今さら言うな!)

頬骨が高くて、ちょっと越路吹雪みたいで、魅力はあまり感じないのですが、そんなことはすぐ馴れます。(笑)
表情が豊かで動物でいうとリスみたいなかわいらしさもあるし。(殴)

何と言っても今のタカラヅカを代表する安定した実力がありますね。間違いなく100周年を飾るにふさわしいスターであると思います。
演技も歌も文句なし。とくに演技力、もっと言えば眼に比類ないチカラがあります。
それを駆使した芸のダイナミックレンジが広く、今回のような若い青年役から、スカピンで見せた憎々しい敵役まで演じて見事です。
で、今回のロミオ。本当に若いです。




でもフィナーレでは一変して精悍な男に。今回はフィナーレが見ものですね。
初めはゴールドな衣装から



粋な黒の衣装で

羽根を背負ってごあいさつです。しかし、滝のような汗が首筋から‥。(^^;)


デュエットダンスでは夢咲ねねが見せてくれますね。手足が長い!



ゴージャスな二人です

ジュリエットももちろんハマっています↓


礼音を見守る表情がいいです




今回重点チェックしたいのが乳母役になった美城れん。この人、最近スカイステージでもよく見かけて、私的には雰囲気だけでも好感度大ですが、歌がうまいですねー。
短い映像紹介でも実力が垣間見えました。演技も表情豊かでよさそう。楽しみです。




ニュースを見ていて思わず「紅ゆずる、きれいやね」と言ったらすかさずヨメさんに「どこが?」と返され絶句。(笑)
でもいいですよね。
基本的に美人顔だと思うのですが。細い目などタカラヅカ化粧でどうにでもなるし。(殴)
スカステ番組の会話でよく見る意表を突いたボソッが絶品です。



公演後のスカステのインタビューで↓


あと印象に残ったのは、専科のお二人です。無くてはならない存在ですね。




いかにも大公なのが十輝いりす。貫録あります。歌がもっとよくなれば満点です。


公演後のインタビューでは、当日観劇していたロミジュリの作詞と作曲を手がけ、演出家でもあるジェラール・プレスギュルヴィック氏と小池センセイを交えたインタビューも収録されていました。

小池センセイ、いつもより小ざっぱりとしていますね。(笑)


プレスギュルヴィック氏は「世界で20か国以上でこの作品が上演されているが、タカラヅカは別格」みたいなことを言っていました。
それに対して小池センセイも「なんだ、前と同じかといわれないようにいろいろ工夫して手を入れた」と応えていました。
本当に楽しみです。




続く星組生だけのトークでは、再演ならではの難しさ・形は出来上がっているので、いかに中身を作っていくのかが課題だったとか、それぞれのツボ場面などを披露していました。





早く観劇の日が来るよう指折り数える日々が続きます。
これもまた完全にビョーキですね。

みなさん、強い感染性のあるタカラヅカ、くれぐれも観すぎにご注意です。(といってもこんなブログまで見ているようではもう手遅れか)(殴)

それにしても、本家フランス版もよかったなぁ。




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再び宝塚宙組公演『モンテ・クリスト伯』『Amour de 99!!-99年の愛-』を観て

2013年04月07日 | 宝塚

二度目の観劇はドンカルロス以来。やはり話がドラマチックでハッピーエンドなのがなによりです。(笑)

金曜日の観劇は久しぶりですが、この日はヨメさんの診察が入っていたのでまず近くのクリニックへ。終わったのが10時。そのまま大劇場に出発しました。前回と違って全く渋滞なしに到着。まだ花の道の桜は残っていました。

また写真を撮ってから大劇場へ。桜を2度楽しめたのは初めての経験ですね。

昼食はまた親子丼です。(笑)やっぱり絶妙の卵の加減がおいしかったですね。そして係員のみなさんの親身のサービスもありがたかったです。何より安くて、エンゲル係数ならぬ演劇係数の高い私たちの家計にやさしいのがうれしいです。


この日は前回より4列前の14列の上手側80番台での観劇でした。客席の入りについては、けっこう空席がありました。いい舞台だと思うのですが、残念でした。

今回は前回のオペラ忘れで見られなかった出演者の表情とか、主役以外の小芝居にも注意してみました。まず気づいたのが、冒頭の結婚発表の場で逮捕されるシーンでの凰稀かなめの表情。
メルセデスに土産の貝殻のネックレスを渡して喜び一色だったのに↓、

一転して連れて行かれることになったダンテスの悲痛な、絶望感にあふれた表情が胸を打ちました。
その後の獄中での絶望の姿もリアルでした。


それと対照的なのは、その結婚の発表の場に居合わせた悠未ひろ朝夏まなとの表情。結婚発表を祝うめでたい席の片隅で、それぞれ嫉妬に怒り狂っていました。(笑)

そして貴族のメンツをつぶされて怒ったフェルナンは、メルセデスに偽りのダンテスの死亡話を告げて、まんまと結婚までこぎつけます。でもすぐ不仲に、というかフェルナンが放蕩生活を再開します。原作ではフェルナンとメルセデスは従兄妹どおしだとか。

何度見てもフェルナンが一番性格の悪い奴です。
それにしても朝夏まなとの眼の大きいこと。これでは朝夏まなこです。(殴)

それに比べたら、悠未ひろのダングラールのほうは従犯に近いです。でも自分が船長になれなかったからこの怒りの表情。

疑問なのは、ダンテスは一等航海士なので船長になるのは当然ですが、ダングラールは会計士です。だから二重帳簿をつけて横領していたりしますが、それで船長になりたいというのは、どう考えても無理筋な話。実際に後で銀行の頭取になっていますから、船長になりたいなどというのはよくわからないところです。まあ海運会社で出世が遅れていた不満からダンテスに怒りを向けたということでしょうか。

蓮水ゆうやのヴィルフォール検事は、出世と保身に汲々とする小役人ですが、最初は釈放するつもりが自分に火の粉が降りかかることがわかってダンテスに罪をかぶせるずるがしこい人物ぶりがよかったです。(笑)


今回の舞台、全体に石田先生らしい台詞がウケていましたね。グーグルマップだとかiPad戸塚ヨットスクール還付金詐欺よろこび組、「わすレモン」とかいろいろ笑わせてくれます。マルキ・ド・サド侯爵がつながれていた監獄だとか、ファリア司祭のハンムラビ法典についての解説も勉強になります。(笑)
挿入されたエピソードでも、銀行の取付騒ぎとか、キプロス危機を連想してしまいました。

今回観ていて気づいた最大の収穫は、ルイジ・ヴァンパ(密輸船のボス)の配役がなんとジョニー・デップ!に変わっていた(笑)ことです。
ええ、まんま「パイレーツ・オブ・カリビアン」でした。七海ひろき、完全になりきっていましたね。面白かったです。
ルイジ・ヴァンパの手下が鹿児島弁なのも正体がわかりやすいです。オーシャンズのみっちゃんといい、今鹿児島弁が宝塚のトレンディでしょうか。

さて、今回の観劇の一番のお目当て・メルセデス役の実咲凜音です。一番私がオペラで見たかったのは彼女の役ぶりの変化でした。前回も書きましたが、やはり役に入りきっていますね。大したものです。
顔が見えないショットが多いですが↓




母親の声と顔になっていました↓






今回の歌は、彼女の声とキーがあっていないのか、全体にか細い印象でしたが、初めて見せてくれた決闘前夜の立ち回り、けっこうサマになっています。


ところで決闘ですが、メルセデスが息子とダンテスの決闘をやめさせようとダンテスに頼みに行くところがプチ疑問。
いくら頼んでも聞き入れてくれないため、最後には自ら剣を取ってダンテスに挑みますが、ここで「アルベールはあなたの息子よ、だからやめて!」といえば済む話じゃないかと。
実際に彼女は翌日の決闘シーンではそう言うのですから、1日前でもそう変わらないと思うのですが。
でもそれだとせっかくのクライマックスがなくなってしまいますね。(笑)

もひとつ説明不足で腑に落ちないのが、メルセデスがフェルナンに撃たれて倒れる場面。
私は、「あ~あ撃たれた、もう死ぬのか」とがっかりしましたが、そのあと彼女は立ち上がり、全然怪我したそぶりもなくピンピンしているのが不満です。
ここも、誰でもいいから倒れたメルセデスを抱き起しながら、「大丈夫だ、ちょっとかすっただけだ」と言ってくれたら納得するのですが。(笑)

ショーはなんといっても「リオのリズム」の場面がダイナミックで一番でした。
派手な中にもセンスのいい色彩の衣装で踊るカーニバルが大迫力。その中でもやはりパイナップルですね。何とも驚きの脚線美。すごいものをみました。



「アルジェの男」の蒼乃夕妃のダンスといい勝負です。(笑)

あとは「愛の宝石」(カゲソロの純矢ちとせがいいです。この人のエロイーズ役も悪女ですが個性的な美貌が印象的でした)から「シャンゴ」に続く場面もダイナミックで迫力があります。

エピローグのリフトもきれいでした。


そうそう、ショーの中で凰稀かなめが歌う「Amour de 99!!」では「愛に満ちた要となれ」という歌詞があったりして、藤井先生も遊んでいましたね。

今回も凰稀かなめが最前列のお客さんに赤いバラを渡していました。貰えた人、ラッキーでしたね。


というわけで、リアルタイムで見ていなかった私でも楽しめるショーだったと再認識でした。






私たちが2回も見てしまったほど出来がいいと思ったこの公演ですが、ベルばらを除く最近の公演と同様、あまりお客さんの入りはよくなかったですね。今回も後方の空席が気になりました。

でも、テンポよく展開される物語の面白さをたっぷりと堪能できるいい芝居でした。

ぜひ皆さんも、空前絶後の不気味なポスター(笑)に惑わされることなく、ご覧になってください。おすすめです。




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