昨日、第162回直木賞に川越宗一の『熱源』の受賞が決定しました。
この作品はオール讀物12月号の本屋が選ぶ時代小説大賞に選ばれた作品でもあります。
私は未だこの作品を読んではおりません。
直木賞受賞のニュースを見て、「ああ、あれだった」と本屋さんの対談の記事を読み直しただけです。
この作品は明治初期から昭和の終戦末期にかけて、あるアイヌ人とポーランド人の出会いを軸に少数民族がどのように生きぬいてきたかを、広い視野で描いたものだそうです。
これだけ聞くとかなり、読みづらくしんどい作品に感じます。
ただ、ここで大賞に決まった理由を知ると、かなり読みやすくグイグイ引き込む内容だと推察されます。
作者は「知られざる歴史を明らかにする気はなかった」
ただ「過去を描くことで、そのとき準備され、いま自分が生きている現代という世界について考えてみたい」と、時代小説大賞の受賞の言葉の中で述べています。
心打たれる一言です。
この文章だけでも、歴史小説家としての資質を持った人だと、おこがましい言い方ですが私には思えます。
デビュー二年目にして直木賞受賞という華やかさとは裏腹に、川越宗一さんは就職氷河期時代の41歳、ずっとニッセンのTwitterを書いていたとか。
失礼ながら、恵まれた世代とは言えません。
だからこそ、恵まれない立場の主人公が持つ、負の感情を吹き飛ばす情熱が心を打たれる形で描けるのでしょう。
私も読んでみたくなりました。