川端は大正10年9月に、岐阜で暮らす初代と再会し、将来を誓う。
初代は「幸福ですわ」と含羞む。
実父の承諾を得て、結婚を許して貰うのだ。
友達はこぞって幸薄かった二人の結婚を応援する。
彼は新居を見つけ菊池寛を訪ねて仕事も見つけた。
ところが、その11月優しい文面の手紙ばかり寄越した初代から突如別れを告げられるのである。
「私には非常がある」という他は彼の健康を祈る言葉ばかりであった。
こうして川端康成は人生最初の恋と失恋を同時に味わう。
もしこの恋が成就していたら、川端康成という文豪は誕生しなかったかも知れない。
彼の愛の欠乏が、切ない文学へと昇華したのではないか。
そしてこの恋で味わった女性の情緒や心の流れが、後年の作品で生きている。
彼の真骨頂はリアルな私小説より、夢ともうつつともつかぬ物語にあると思う。
読んでいただき心から感謝です。ポツンと押してもらえばもっと感謝です❣️
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