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読書の森

里見清一 『救命ボートの倫理(医の中の蛙)』改定版

今日は、2020年のblogを訂正して再度載せます




(2020年の)お盆休みの週刊誌、さむ〜いコラムが載っていました。

里見清一は現役の医師で救命現場の現状を熟知しています。
今回取り上げたのは、もしパンデミックが本格的になって重症感染者が激増した場合、現在の医療は全員を救えるかという問題です。

実際に全員の救命が不可能になったニューヨークやミラノでは「救える生存年数最大化」の目的が示された論文が出たそうです。

それは、「助かった時に長い年数を生きる人優先」、即ち「若い子優先」(!)という内容なのです(°▽°)
海の向こうで、命に優先順位をつける、誰を見捨てるのかという論題が真剣に議論されていたようです。
ここで、筆者は「年齢で一律に区切る事が最も平等で人道的」と言うのです。
(因みに著者は1961年生まれ)

この部分を読んで、高齢者の私はのけぞりました。この論理によると、私後回しにされるのでしょうか?
しかし、よく考えてみれば、全員が乗るとその重みで沈んでしまう救命ボートです。
これは救命ボートに限らず、助ける側に一定のキャパしか無い場合、誰かを後回しにしなければ、全員助けられない場合どうするかという問題が出てきますね。
後回しにされる誰かを決めなければならぬ、苦渋の選択が出てきた場合、どうするか?

この場合後回しの基準を「社会的に役立つ人か否か」にすると、能力や障害の有無で判断したり差別化する危険性が出ます。
故に、その識者は年齢で決めるのが公平と見る訳です。
今迄生きている時間が短い人(より若い人)はより長く生きる権利を持つと割り切る考えです。
勿論、里見清一はこのような事態を避けたいと結んでます。
ただし、救命ボートに乗ってから助かります様にと祈っても遅いと訴えているのです。

正直、このコラムを読んで、私は世の中の変化を感じずにはいられませんでした。
長寿を讃える風潮、年寄りを労るという道徳は、時代遅れみたいです。
ただ、これが現実なのだ、若い人にとって自分達が生き延びるだけでも精一杯の時代なのだと、十分理解出来ます。

それでも、それぞれ「諦めずに」工夫して生き延びたいですね!

追記:
現実には、我が国のワクチン接種は高齢者絶対優先ですよね。
しかし、別の視点で見ると世の中デジタルの時代です。接種の予約に限らずお金の管理や交通手段など全てデジタル知識を持った人が有利です。結果的に高齢者は他の知識がいくら豊かでも割が合わず命を護るツールにも疎くなります。なので、デジタルに強い高齢者になる事が命を守る必須条件になるかもね^_^


読んでいただき心から感謝です。ポツンと押してもらえばもっと感謝です❣️

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