そこそこ優秀で、名の知れた企業に勤めるが、小心者で、争いを好まず出世から程遠い男。
郊外に小さな一戸建てを持ち、妻と子どもとの暮らしを第一に考える生真面目な男。
池井戸潤はどこにもいそうな小市民を描くのが巧みである。
池井戸潤の作品は半ば自分に強いて読んだ。
彼自身の経験が反映された、仕事の中に生きる男性像に触れてみたいと思ったからだ。
もっとも、私も働く男の姿を外側から長く見てきた訳だ。
しかし、この作品に登場する会社員の手触りは、かなりいい加減な私の目とは遠く離れてて、面白かった。
横浜の洒落た住宅街に住む倉田は、決して声を荒げて人を注意する事は無かった。
50代の、まあまあの収入を持つ会社員だ。
その日の彼はどうかしてたのだろう。
帰宅ラッシュの代々木駅、若い娘を押しのけて列車の中に入ろうとする男の前に立ちふさがってきつく注意した。
そうしなくてはいけないという衝動が襲ったのである。
長髪の男は恐ろしい顔をして、倉田を睨みつけた。
そして、その晩から倉田は、そして平和だった家族は付け狙われるのである。
読んでいただき心から感謝です。ポツンと押してもらえばもっと感謝です❣️
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