本日は川上弘美の口福を紹介しましょう。
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「そのスイッチは気温が28度以上になると」オンになるのです。
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作家だけあって、この方描写が非常にうまい。
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基本的に料理嫌いと言う作者の手にかかると、とっても美味しいお料理に思えます。
この『そのスイッチ』って一体何のスイッチか?
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「そのスイッチは気温が28度以上になると」オンになるのです。
つまり、季節の変化に合わせて食事の支度時間が変わるスイッチの事。
冬場は(私好きなんですが)じっくりと煮込む料理を作っても、夏が近くなると「いっぺんに炒める」「いっぺんに炊き上げる」だけの料理になる。
川上さんのレパートリーによれば簡単ポテトサラダ、鶏肉とトマトを一緒に焼いたもの、etc.となります。
ところが、、ジリジリと陽が照りつける夏は、ただ切る並べるに変化しちゃう。
例えばきゅうりの叩き(叩いて豆板醤と醤油かける)、ひや奴(置いた)etc.という事になります。
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作家だけあって、この方描写が非常にうまい。
紹介されたお料理がとっても美味しそうに感じてしまうのです。
極め付けが家族のいない時の一人料理。
バター醤油ご飯、茹でたブロッコリー、じゃっと焼いた豚肉。
を食卓に肘をつき隣の空いた椅子に両足を載せて、食べながら小説を読む。
だって。
「やってみたい❣️」
私は年中一人だからやれる!と思ったのですが、諸事情を考えて(本や衣服を汚す。ババア故椅子から落ちる危険性もある)のでやめます。
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基本的に料理嫌いと言う作者の手にかかると、とっても美味しいお料理に思えます。
自作の料理を載せるのはこの際やめます。多分同じ料理を作っても写真では美味しく見えないと思う。
事ほどさように、作家は言葉の魔術師だと感じました。
恋の喜びとか別離の苦しみ、理不尽な怒り、とか深刻な世の中の様相だけでなく、決して画像で伝えられない「美味しさ」や「幸せ感」も作家は伝えられるのですね^_^