何でもありの世の中になりはした。
しかし、殆どの人々は変わらない日常生活を求めるものだ。
混乱が一段落した時、以前と同じ生活を冨士夫と美咲は営む。
冨士夫も美咲もいつも通り働く。もっとも、冨士夫は自宅で仕事をしているらしい。
昨日の残り物のブリ大根が美味しいとか、そんな話題で盛り上がる。
この夫婦の間に初めて波乱が起きた。
美咲が妊娠したという。
10年間出来なかった子ども。
もし無事に産んでも、後3年の命でしかない。
おそらく優柔不断さでは誰にも負けない冨士夫はどう決断するのか?
美咲にどう言うのか。「産めか産むな」か?
実は私はこのシチュエーションと同じ映画を高校生の時に見た。
勿論主人公の設定は違うが、惑星の衝突、地球全滅の危機という怖いSF映画だった。
当時、アメリカとソ連が冷戦状態でそれなりに危ない世の中だった。
このように何が起こるかわからない時代に、惑星がジリジリと地球に近づくのは、非常にリアルな恐怖感で迫った。
惑星が肉眼で見える頃、地球は熱波に見舞われた。
人々は汗を流して恐怖に耐える。
惑星は醜い赤い地表まで見え、おぞましい。
まるでお化け屋敷に閉じ込められた感じだった。
しかし、危機一髪事態は一変し、惑星は軌道修正して地球から離れる。
ただ、このような事が現実になろうとも、太陽は永遠に存在するかのようだ。
太陽の美しい丸い輝きを伊坂幸太郎は太陽のシールと呼ぶのだ。
明るい太陽の下で、ごく普通の日常生活を送っていく為に、強くありたいと思う。
因みに、伊坂幸太郎がこの作品を上梓したのは、2004年5月である。
昨今の世情を見ると、作家とは多かれ少なかれ予知能力が優れた人と思える。
^o^
かってのSF映画について、1962年公開の東宝作品『妖星ゴラス』をネットで探し当てました。
読んでいただき心から感謝です。ポツンと押してもらえばもっと感謝です❣️
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