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ある日、平凡な女子社員、梨恵子が勇気を奮って探偵事務所を訪れる所から始まる。
調査の目的は、彼女が毎晩決まって見る夢の正体を暴く事である。
いわゆる夢判断ではなくて、彼女は、その夢の背後にある真実を追跡を知りたい。
それは彼女にとって、とても大事な事に思えた。
彼女が、実生活で時折陥るめまいの様な混乱状態を解決する唯一の方法に思えた。
大切な呼び戻したい過去を梨恵子は忘れている。
それを再現したいのだ。
見るからに頼りになる探偵は、突拍子もない依頼を嫌がりもせず引き受けた。
実は、そこから悲劇が始まるのである。
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彼女の依頼は惨い現実を突きつける事に繋がった。
ずっと待ち続けた町や人の正体が分かった途端に全てが消失していくのだ。
苦悩の中で彼女は叫ぶ。
「だから、死んでほしくなかったから、彼を呼び止めたのだ。
運命を変えてはいけないなんて、戯言だ。それじゃ生きる価値もない」
宮部みゆきの文章を読むと、私自身が時空を超えて会いたかった人に会える気がする。
不思議な、魅力的な小説である。