その日から、花壇のダリアは引っこ抜かれ、車に傷がつけられ、死にかけた子猫が玄関ポストに入れられる。
恐怖と怒りに震える一家を、名無しさんが毒々しい笑いを浮かべて脅す訳だ。
池井戸潤はこのようなゲームを繰り返す現代を批判している。
時は夏、「ただの暑さではない、化学反応でも起こしたような暑さ」と作者は倉田に言わせる。
倉田は銀行員で定年前に部品の製造会社に出向している。
社長には煙たがられ、仕事を精密にこなそうとすると、スネに傷持つ役員から文句をつけられる。
物語は、倉田という目立たない男が、日常生活と仕事場で見つけた真実を口にした事によって、試練を負わされていく展開だ。
極めて今日的な恐怖が次々と提示される。
ピッキング、盗聴、隠しカメラ。
ああ、やはり有るんだなと教えられた。
読んでいただき心から感謝です。ポツンと押してもらえばもっと感謝です❣️
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