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『こころ』は先生と呼ぶ高潔な知識人の謎に私が気付くところから始まる。
漱石の作品は、「何故?」と読者に思わせて興味を誘い、最後まで読ませる形が多い。
漱石らしく謎解きは論理的で答えは明確である。
展開は素晴らしく巧みである。
この巧みさを柴門ふみは「なんと上手、凄い」と評する。
あの柴門ふみさんが、ごく陳腐な表現を使わざるを得ない程凄いのだ。
やはり、漱石は100年後も残る文豪なのだ。
漱石の、良心とは裏腹の、功利的な恋の駆け引き、これを柴門ふみは自作に使った。
『東京ラブストーリー』をご存知の方はハハーンと思われるだろう。
つまり「人の恋人を奪いながらも純愛」なのである。
それはいかなるものか?
原作をお読みになる事を勧める。