東野圭吾の著者の内、Amazon の統計で現在売れ筋ランキング第一位が『さまよう刃』でした。
少し前迄のランキングでは『容疑者Xの献身』が一位、私の好きな『白夜行』が二位だった筈です。
コロナ禍の今、どんな点が人気の秘密か、興味を持って本を購入致しました。
読了後、ちょっと喜べない思いになります。
勿論、お話として面白く、ハラハラする展開に引き込まれていくものがあります。
しかし、このテーマはかなり重いもので、単に「面白い」と片付けられないものがあります。
一言で言えば、妻の死後男手一つで育てた愛娘を、暴漢に惨殺された男の復讐劇です。
若干15歳の命を散らされた娘はいかにも愛らしく成長しました。その愛らしさが災いして不良少年達に計画的に襲われてしまいます。
彼らは強姦の常習犯で被害者を無理矢理拉致して、一室に連れ込み覚醒剤を打ち、肉欲を満たす為責め苛みます。
更にこの強姦シーンを一人一人ビデオに撮っておくのです。
その娘は覚醒剤と強姦のショックで襲われてる最中に急死します。死体はモノでも扱う様に捨てられたのです。
このビデオを観てしまった父親は嘆き以上に激しい憎悪に駆られました。未成年である犯人は捕まったとしても軽い罪で社会復帰するだろう。
それは彼にとって、決して許されない事なのです。
そこで彼は何もかも投げ打って、猟銃を持って犯人を追い求める旅に出ます。
その一方、犯人側は自分の罪について何の痛痒も感じていません。
ただ罪を隠して楽に生き延びたいだけです。
現代社会において、発覚しなければ悪事をしても許されると勘違いしてる輩はかなり多い様です。悪事とも思ってないのかも知れません。
このことで、傷ついた人も多いのではないでしょうか?
荒れた世の中にこの本が売れるのに怖いものがあるというのは考え過ぎでしょうかね?
散歩の途中見つけた昼顔。
忘れない草、ささやかな思い出を愛しみたい気持ちになります。和んだ気持ちでふと気づきます。
バーチャルの世界、物語の世界で、危ない事を想像するのは、多分防波堤になるのでしょうね。