韓国ドラマは哲学的感性を刺激する

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情報流出の根本問題~ウイニー事件に思う

2006-03-21 05:00:00 | 情報セキュリティ
 ここのところ連日ウイニーによる情報流出事件を取り上げています。その過程でこれほどまでの大きな騒ぎになってしまう、問題の本質について考えてみました。

 答えは簡単です。情報がすべて1と0に還元されたデジタルデータの形式だったからです。だからコンピュータネットワークを通じて外部へいとも簡単に流れ出していったのです。

 もし、自宅の家計簿を手でつけているとします。それをコピーするには、コピー機を使ったとしても人間の手作業を経なければなりません。数十から百ページくらいの文書をコピーする作業は、コンピュータでファイルを一つコピーするのに比べればはるかに労力を要します。

 また、コピーした家計簿を世間にばらまくといっても、またそれを数十、数百とコピーするには一定の手間と費用がかかります。コピーする部数が多くなればなるほど手間と費用がかかります。

 それに、物理的なノートという形式の家計簿を外部に持ち出してコピーするには、たとえ内部の人間の手引きがあったとしても一定のリスクが存在します。家計簿の持ち主に気づかれないように外部に持ち出してコピーしてまた元の位置に戻しておいて気づかれないようにすることは、いろいろと細かいことを考えると結構たいへんなことなのです。

 しかし、主婦が家計簿をPCでつけていて、そのコンピュータがインターネットにつながっているとします。そこへ、ウイニーをインストールして、ウイルスに感染させれば家計簿のファイルは勝手に世界中に流出していって誰にでも閲覧可能な状態になってしまいます。物理的なノートの形式の家計簿のコピーを作成してそれを街中で配布するよりもよほど簡単です。

 こんな理屈は、コンピュータの基礎的な知識がある人にとって理解するのは容易なことで、退屈な議論になってしまったかもしれません。しかし、ここにおいて、まさに情報流出事件の本質的な部分が表現されているのです。

 従来、情報を正確に伝達するには紙に書き留める、印刷するしか方法がありませんでした。しかし、データとしてデジタル化されれば、いろいろな電子媒体(フロッピー、CD、DVD、フラッシュメモリ)に記録して持ち運べますし、ネットワークを使えば、媒体さえ使用することなく情報を瞬時に目的地に送ることができるようになりました。

 これらを可能にしたのはなんといっても情報のデジタル化、このことに尽きます。情報デジタル化とは、この世界のありとあらゆるものを1と0の数字で表現しようということなのです。

 われわれはもはや日常において、コンピュータの使用に関して慣れきったしまった観がありますが、しかしこのように根本に立ち帰って考えてみるといろいろと考えさせられることが出てくるはずです。

 1と0に還元された数字の羅列に再び意味を与えるのも人間なのです。サイバースペースに流出した1と0のデータは二度と持ち主のもとに帰ってくることはありません。正確にいうと、帰るという言葉は使えません。流出したコピーのデータをすべてこの世から消し去ることはできないのです。このことが情報流出問題の救いようのない事実なのです。

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