行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

アベノミクスが分配論を言い出した

2016-01-26 22:16:40 | Weblog

先日の安倍首相の施政方針演説で、成長の果実を社会政策に分配する「成長と分配の好循環」をつくり「内需を押し上げていく」とした。また5月にまとめる「ニッポン一億総活躍プラン」で、派遣労働者と正社員の賃金や待遇の格差を是正する「同一労働同一賃金の実現に踏み込む」とも言及、具体策には触れなかったがアベノミクスが壁にぶち当たり、ついに分配論から格差是正に踏み込んだ。

年初からの円高、株価下落はアベノミクスの唯一の成果を危うくするものだ。アベノミクスはトリクルダウン(円安と金融緩和で企業が儲かり、設備投資と従業員の賃金が改善し、消費が活発し、経済が成長するという流れ)が信条だ。これに対し、アホノミクスと揶揄する浜矩子氏は分配政策が先だと主張する。今回の施政方針演説では成長と分配論を強調した背景には、トリクルダウンの流れが上手く行かず、所得の向上が遅々として進まないどころか消費者が財布の紐を締めてしまっていることに危機感を深めたのだろう。事実、耐久消費財の代表白物家電製品は訪日外国人が買う電気釜などを除く冷蔵庫(10%減)、洗濯機(12%減)などは二桁売上げ減におちいっている。

成長と分配の好循環のためには、昨年の2月18日のブログで書いたように消費税は日本に合わないことがはっきりした。そして所得税の累進課税を以前に戻し、最高所得者層には7割ぐらいの課税で再配分機能を復活し、少子化対策にもなる子ども手当の大幅アップも必要だ。「多様な働き方が可能な社会への変革」などと言って非正規労働者を増やすことは、派遣事業者を喜ばすだけでむしろ正社員を望む非正規労働者への支援を強化することだ。同一労働同一賃金を施政方針に入れたことは評価するが、総労働条件で重きをなす均衡・均等待遇を実現して貰いたい。


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