長閑な原村とは関係ありませから、スルーしていただいても何ら問題はありません。
急激な円高で日銀が円売り介入したとの報道で半年前の記事を先日アップした。
しかし、昨今の社会情勢の変化はすさまじい速さである。
半年も経つと記事も陳腐化してしまう。
そんな事もあり、そのニを書くことにした。
技術立国であると殆どの日本人が思っている日本のもの造りの技術。
それは既に廃れ始めていると書いたが、そんな生易しい段階ではなくなっている。
製造に拘る総てのものが日本で物を造ることを許容しない社会になってしまった。
工場を作るための初期投資。
土地代から建築資材・建築経費など総て。
電力料金などの高止まり。
企業にかかる税率も高止まりである。
一年間の民間企業の人件費が過去最大の下落幅といっても諸外国(アジア諸国)に比べたら高いこと。
そんなハンディーキャップを背負って企業は競争に打ち勝たねばならない。
そこに追い討ちをかけて来たのが今回の円高。
瀕死の病人に引導を渡すかの如くの円高である。
他の国が作る事が出来ない時代であれば問題には成らなかったこれらの諸問題も今では日本の技術が流出しているから問題である。
定年を迎えた高度の技術&頭脳を持った人々が中国、韓国へと労働の場を求めて移動している。
仕事がないから中国に技術を持って移動するのか、技術を持った日本人が労働の場を移動するから日本から仕事が流れるのか、ニワトリと卵の問題と同じである。
ただ、技術の移動は押し留める事が出来ないことは過去の歴史が証明している。
企業の技術提携でロイヤリティーを取っていた技術がいとも簡単に人の移動と言う安価な対価で達成できてしまう時代なのである。
少しお金を出せば、丸ごと潰れかけた日本の企業を買収してしまえば事済む。
仕事がないから、技術を持っていても存続できないでいる日本企業。
技術移転が完了すれば買収したその企業から給料の高い日本人は解雇されるのは明らかである。
解雇されない為にはその企業にとって有為な存在でなければならない。
または、買収された段階でその企業の賃金体系の中に組み入れられてしまう。
以前であれば人も物の移動もそれほど簡単ではなかった。
それが今では、いとも簡単に人も物もお金も知識も情報も移動してしまう。
そのグローバルな経済の中にあって黒船到来の時のような時代錯誤の日本人が沢山存在する。
FTAが当たり前の事は明白なのに、今回のTPPにすらおよび腰の日本政府である。
企業を誘致する為に地方自治体が優遇処置を行い、地域の雇用を確保する事がある。
工業団地など。
早い話、国家間で企業の分捕り合戦が始っているのと同じ事である。
税率が安く、勤勉で技術水準が一定でその他の諸条件が良ければ適地に企業は移動するのは自明の理である。
なのに、法人税の税率引き下げにすら反対する政党が存在する。
営利企業である株式会社も雇用の場を創出している大切な存在である事を忘れ去っている。
何度も述べて来ているが、能力の無い企業と能力の無い人間だけが残る日本にしてはいけないのである。
以前は新聞紙上などマスメディアに取り上げられた技能オリンピック(通称)がある。
旋盤部門でタイの青年が金メダルを獲得した。
彼の弁に依ると「他の誰にも負けない技術を自分は持っている。」と自信をのぞかせていた。
ホンノ10年前までには考えられない事である。
しかし、技術は確実に移転しているし、反対に日本からは技術の場が無くなって行っているのである。
20年、いや10年もすれば旋盤工すら日本からは消えてしまうかもしれない。
仕事が無い所には技術の伝承はありえない。
趣味として旋盤技術の向上はありえない。
旋盤を例えとして挙げたが、物造り全般に亘って言える事である。
仕事のない所に技術の向上はありえないし、伝承もありえない。
伝承していける環境づくりを急がねばならないのである。
携帯デジタルオーディオを以前に買ったが、その時iPodにするかウォークマンにするか迷った末に音質や日本メーカとの事でウォークマン(A846)を購入した。
値段や周辺機器の充実しているiPodに未練もあったが国産品愛用と言う事でソニー製品を買ったが、製造国はマレーシアであった。
既に日本国内では製造していない。
勿論、iPodも製造企画立案と販売のみアップル社がアメリカで手がけて製造は中国などアジア諸国でおこなっているのだろう。
国産品が欲しくても、既にショウーウンドーには並んでいないのが現実。
技術がデジタル化して外国へ簡単に技術が移転してしまうのである。
日本メーカーの製品をアジアの国々で造り、その取り扱い説明書ですら日本で印刷する必要などない。
日本語が分からない国の人でも自動化された印刷機で簡単に印刷できたしまう。
文字として読めなくても関係ない。
デジタル回線に乗って印原稿の情報は瞬時に外国に転送できるのである。
それ程技術の流失は早いのである。
18歳になった前途有為な青年達に「日本の社会はあなた方を必要としています。」と、言う事が出来る社会を創りださねば成らない。
産業形態も変化していかなければいけないのは勿論である。
金融センターの地として、エネルギー産業の地として、デジタル産業の地として、観光の地として、農業の生産の地として、アニメや映画・芸術の地として。
産業の変化に対応した政治の方向付けも重要であり、善処するなどの時間稼ぎの悠長対応は許されないのである。
画像はメード・イン・マレイシアのウォークマン。
今、聴いているWestlife です。
今朝、この記事の為に撮影。
そのうち、その三を。