北氏に氏の研究者になりたいという厚かましい手紙を送ったところまでを書いた。
若気の至れりつくせり・・・・で手紙を出してから航海して、いや後悔していたのだったが、出してしまった以上
回収するわけには行かないのが郵便である。
しばらくして北氏から返信が届いた。おそるおそるあけてみた。もちろんそんな事はさすがに無理だろうと
想いながら・・・。
手紙には
ー(前略)私の研究者はひとり居ります、でも研究は結構ですが現在小生うつ状態なのですぐにお返事できない
事もありますのでお許しください(中後略)ー
と書かれていた。これしか書かないが、「結構」の解釈がどっちの結構なのだか少しくわからなかった。
文脈からすれば「いいですよ」( 嗚呼これもわかりにくい日本語だ。)
研究者になってくれても良いというお返事に解釈できた。
これまでの数々のご厚情からすれば99パーセントは「どうぞ」というお返事だと解釈して良い気がした。
躁でも鬱でもご自身である程度はコントロールしているというころは、氏の自身の私感からも推測できた。
ただ、それども鬱が進むと原稿も書けない時もあり、それでも一行程度のお返事を頂いていた。
ということはとてもありがたく思えたのだが、心の隅に「手紙を書いてしまうことでお仕事の邪魔をしては
いまいか」とも想っていた。
それ位律儀にお返事をかいてくださったのだが、私が調子にのっているのかもしれないとも考えるように
なっていた。
ありがたい文面であり、いつもならすぐに「では、先生の公認研究者としてまい進いたします」などと
書いて送っていたに違いないのだが、かなりの期間子のお返事に対しての返事を書くことをためらっていた。
氏の鬱病はさらにおもくなっていった時期でもある。
どうしよう・・・?という想いのまま日にちが過ぎていくばかりであったのだ。
つづく
注)一連の北氏からのお返事は全て現存していますが、私簡であることから抜粋と原文の意味をそこなわない
程度に言葉を変えてある部分もあります