公平は中堅企業の人事部長職を任されていた。特に為替に左右されやすい職種がこの
企業の弱みだ。そして、利益を圧迫するのは人件費であることは言うまでもない。
単独連続決算でも赤字を計上するたびにリストラをするのだが、
年功序列でいるだけでそれなりの高給をとる世代が真っ先に候補に挙がるのだ。
例えば会社内の先輩でも同僚でも、役員会で決まった事を当事者に伝えるのは
公平の仕事である。辞令というただの紙一枚が人の人生を左右する事も当然ある。
応じなければいわゆる窓際となり・・、地方に飛ばされる。割増の退職金だとしても、
50歳過ぎでは再就職は難しいと洋平も思うのだが上からの命令なので逆らえない
だから憎まれるのは公平なのだ。同情するような素振りをみせているが、
内心では「この会社の人事権を任されている部署で良かった」と思っている。
そもそもこの会社は、社長が一人で中堅企業にのし上げたのだ。だから、
良くも悪くものワンマンの会社なのだ。人事を任されるという事は
社長からの直接の指示なので、他の社員に比べれば会社の命運を任されていると
思う事がある。それにしてもこのところのリストラは、さすがにこれで良いのかと思う
位だで苦楽を共にしてきた社員の半分はいなくなった。新入社員も採らない。
退職金の支払い等がある為、単独決算はかつてない赤字となった。
そんな時に公平は社長からこれが最後のリストラだと辞令を渡された。
その辞令の一番上には公平の名前があった。目を疑ったがやはり自分の名前だ。
ー社長これは・・私もですか 声が震えいていた
ー君は嫌な役をさせてしまったが、これが最後の仕事だ。他の社員よりは退職金を
割り増ししてある。ま、そういうことだ。
人事部部長の自分も・・・自分の陣地は不調ってことか。
他人事(人ごと)部長 ではなかった。
おわり
会社に勤務した経験がないので 多分こういう感じかな?で書いてます