◆図書館というところには常連さんがいて、毎日朝一番からいつも同じ席に腰掛け静かに本を読んでいたりする。今日も来ているのだなと思うとこちらも妙に落ち着く。
一時期、本を連続して借り、かなりの量を読んでいたことがある。この時ほんとに腹が立ったのが、書き込み、だ。読んでいて興ざめするのだ。また自分はここまで読んだとこれ見よがしに感じることもある。どこの誰か分からないが、鉛筆、ボールペンなどで文字の横に線を引いてあったり、数文字の書き込みをしてあったりした。薄くヒョロヒョロの字で・・・。だぶん10代くらいの人間ではないかと想像する。何を考えているのだ。大体そういうことをするヤツは決まっているだろうから、一人か二人くらいのものだろう。このときは景気も悪く、関係はないかもしれないが人々の気持にもどこか投げやりだったリ荒れた感じを受けたりした時期である。気のせいか図書館にもそれが感じられた。もっとひどいのは子供向けの書籍に対する書き込みだった。鉛筆書きの線もこれ以上ないくらい強く、いたるところに引きまくられていて、子供向けの楽しげなクイズの本などは、答えの試行錯誤が殴り書きで書き込まれているのだった。クイズになりゃしない!
さすがに図書館側も業を煮やしたらしく、図書館の入り口に、注意の貼り紙とともにそれら書籍を展示し、来館者全員に起きていることを知らせるに及んで、やっと止んだようだった。図書館で借りた本は自分のものだとでも親から教えられているのか。しかし、こういうことでも言うと、もっとビシビシ言ってくれなくちゃとばかりにますます図に乗ってやる馬鹿がいたりするのだ。
最近、図書館へはあまり行かなくなった。
(追記:誤解のないように付け加えておきたいと思いました。当時、そういった書き込みをされた書籍は数冊の単位ではなく、私が借りたものだけでも、その片っ端から何十冊にも及びました。見るのも嫌になって借りるのを一時中断したくらいです。図書館全体ではどれぐらいの数になったかは想像はつきません。盗難に合い、どこかで売り飛ばされる本も急増していると聞きました。)
◆「行間を読め!」という声が聞こえる。(まあ、実際に聞こえるわけではない。たまたまラジオで話している男が、別の脈絡でそう言っているのがそこだけ強調されて耳に入っただけのこと)
それで丁度本を読んでいたので(もちろん私の本だ)、行間に目を凝らしてみるとそこには空白の白い紙の部分があるだけなのだ。なにも書いていないので読めない。それでも「行間を読め!」ということなので、諦めず次のページをめくると、なんと読めるのだった。
その行間には、グニャグニャの鉛筆書きの文字が実際に書かれてあったのだ。私のメモ書きだった。私は私のメモ書きに救われた。行間をも読めないやつ、と言われることもない。立派に行間を読める人間となった。
ピアノもいい
Take it Easy