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「死の都」鑑賞から帰宅すると、オークションの戦利品が届いていました。
まるで、ハードオフのジャンク品コーナーから拾ってきたような26枚もの薄汚れたLPレコードの束。コンディションも不明なまま落札した、一種の博打です。
お目当ては、ただの1枚。
「田中希代子ピアノリサイタル」
日本クラウン LW-5079
収録曲目は、ベートーヴェン「エリーゼのために」、パデレウスキー「メヌエット」、リスト「愛の夢」、ショパン「雨だれ」「幻想即興曲」、ウェーバー「舞踏への勧誘」、モーツァルト「トルコ行進曲」、メンデルスゾーン「紡ぎ歌」、ドビュッシー「亜麻色の髪の乙女」、シューベルト「即興曲」の10曲。
「1965年5月4日、イイノホールの新しいスタインウェイ・ピアノを使って、日本の生んだ国際的な演奏家田中希代子と、クラウン技術陣の協力によって、音楽的にも録音技術的にも最高のものを目標に作られました。」
とジャケット裏の解説に記されています。
コンディションは、心配したほど酷くもなかったが、最上ではなかった・・、といったところ。
開梱すると盤面は黴だらけでしたが、丹念に洗浄したところ、再生できる状態になりました。大きなキズのなかったのは幸いながら、残念ながら溝にダメージのあるトラックもあり。
まあ、なかなか見かけないレコードではありますので、再生できるだけでも御の字と思うほかありませんね。
演奏そのものは、言うまでもなく、超一級。美しいタッチ、造型美に加え、聴く者の魂を震わせる何かがあります。
演奏が素晴らしいほどに、さらに良いコンディションの盤を聴きたくなるのが人情。今後の出逢いに期待しましょう。
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