福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

Blu-ray Audioで聴くベームの「ロマンティック」

2014-08-08 15:56:11 | レコード、オーディオ


ベーム&ウィーン・フィルの「ロマンティック」については、宇野先生が「器だけが立派」と散々に酷評されていたけれど、ボクははじめから好きで、学生時代は国内盤LPでよく聴いたものだ。

なんといっても、ベームの正攻法の音楽づくりとウィーン・フィルの音色や豊穣なサウンドが魅力ではないか。

その後、CD ~ 英オリジナル・アナログと聴き継いできたが、つい先日Blu-ray Audioとなっているのを知って入手。好きな演奏は色々なフォーマットで聴いてみたくなるもの。

第一印象は余り良くなかった。デジタルの冷たさを感じたのだ。しかし、本日、聴き直してみて評価を改めた。当然ながら、音の情報量はCDの比ではない。ある意味、レコードよりも制約のない伸び伸びしたサウンドで、それが天上の神に通ずるブルックナーに相応しいとも言えそうだ。

しかし、配信によるハイレゾ環境が日進月歩のいま、Blu-ray Audioという媒体は今後生き残れるのだろうか? ソフトの少なさが普及を妨げ、普及率の悪さが新譜の企画・販売を躊躇わせる、という悪循環は生じてはいないのだろうか?

容量、音質ともに抜群に優れた、可能性を秘めた媒体ゆえに、認知度の低さが惜しまれる。

フリッツ・ライナー 戦慄のバルトーク

2014-08-08 13:02:49 | レコード、オーディオ

 

Classic Records re-issue RCA Living Stereo,

LSC 1394 Fritz Reiner Bartok: Concerto for Orcestra45 rpm x 4 LPs, 180g

LSC 2374  Fritz Reiner Bartok: Music for Strings, Percussion & Celesta, Hungarian Sketch 45 rpm x 4 LPs, 180g


初出以来、名演・優秀録音として名高いフリッツ・ライナー&シカゴ響によるバルトーク・アルバム2点。

気が付くと、米Classic Records社の45回転復刻盤も、リリースから10余年を経て市場から姿を消す寸前の絶滅危惧種。オークションで見掛けても高騰してお手上げだったところ、根性で定価に近いショップを見探し出して、別々のお店から入手。ネット時代の恩恵だ。

ハンガリー生まれの2人、バルトークのストイックさとライナーの情け容赦のない完全無欠さが一体となった背筋の凍るような名演。

Classic Recordsによる復刻はここでも極上で、それに加えて45回転ならではの空間の大きさ、レンジの広さが際立っている。余りに生々しい音に、1950年代後半の録音ということが俄かに信じられないほど。

ここにきて、ボクの中でのライナーへの評価は、鰻登り。RCA LIVING STEREOでは、かつて人間味の溢れるミュンシュばかりを聴いてきたが、この超絶的な音響で聴くほどに、ライナーの凄みとシカゴ響の能力に圧倒される。

この2つのアルバムは、SACD(ハイブリッド)として1枚に纏められてリリースされている。こちらも、既に品薄の模様なので、興味のある方はお早めに!

バルトーク:
1.管弦楽のための協奏曲 Sz.116
2.弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽 Sz.106
3.5つのハンガリー・スケッチ Op.38
(1)村での夕べ 
(2)熊の踊り
(3)メロディ 
(4)ほろ酔い加減 
(5)豚飼いの踊り

シカゴ交響楽団
指揮:フリッツ・ライナー
録音:1955年10月22日(1)、1958年12月28ー29日(2&3)、シカゴ、オーケストラ・ホール
ステレオ録音