福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

重役出勤なのだ!

2014-03-16 13:52:31 | コンサート


先週の今頃は、みなとみらいホール前でマーラー8の当日券発売を待っていたところだが、今日は自宅でノンビリ、パンと珈琲を頂いて、ようやく電車に乗り込んだところ。

今日は、同じくインバル&都響によるマーラー9。
みなとみらいの大ホールは、どうにも音響が冴えない印象が強いのだけれど、スケジュール的に今日しか行けないのでやむなし。はじめて座る3階センター席の音響の良いことを祈るばかり。

さあて、どんなパフォーマンスを繰り広げてくれるか、楽しみだ。

田中希代子ピアノリサイタル 1965年のレコード

2014-03-15 22:58:34 | コーラス、オーケストラ


「死の都」鑑賞から帰宅すると、オークションの戦利品が届いていました。

まるで、ハードオフのジャンク品コーナーから拾ってきたような26枚もの薄汚れたLPレコードの束。コンディションも不明なまま落札した、一種の博打です。

お目当ては、ただの1枚。
「田中希代子ピアノリサイタル」
日本クラウン LW-5079

収録曲目は、ベートーヴェン「エリーゼのために」、パデレウスキー「メヌエット」、リスト「愛の夢」、ショパン「雨だれ」「幻想即興曲」、ウェーバー「舞踏への勧誘」、モーツァルト「トルコ行進曲」、メンデルスゾーン「紡ぎ歌」、ドビュッシー「亜麻色の髪の乙女」、シューベルト「即興曲」の10曲。

「1965年5月4日、イイノホールの新しいスタインウェイ・ピアノを使って、日本の生んだ国際的な演奏家田中希代子と、クラウン技術陣の協力によって、音楽的にも録音技術的にも最高のものを目標に作られました。」
とジャケット裏の解説に記されています。

コンディションは、心配したほど酷くもなかったが、最上ではなかった・・、といったところ。
開梱すると盤面は黴だらけでしたが、丹念に洗浄したところ、再生できる状態になりました。大きなキズのなかったのは幸いながら、残念ながら溝にダメージのあるトラックもあり。
まあ、なかなか見かけないレコードではありますので、再生できるだけでも御の字と思うほかありませんね。

演奏そのものは、言うまでもなく、超一級。美しいタッチ、造型美に加え、聴く者の魂を震わせる何かがあります。

演奏が素晴らしいほどに、さらに良いコンディションの盤を聴きたくなるのが人情。今後の出逢いに期待しましょう。


ロマンスカーの乗って、死の都へ

2014-03-15 13:01:30 | コンサート




ロマンスカーVSE号に乗って、死の都へ!

「マタイ受難曲」厚木支部のレッスンを終え、新国のコルンゴルド作曲「死の都」公演第2日目を目指しております。





時間節約のため、ランチは車内で。
町田で途中下車し、小田急デパート地下で選んだのは、大分・なつま屋のとり天弁当。大分産のお米使用が決め手。
天つゆではなく、ポン酢と辛子で頂く「とり天」が乙なお味でした。鶏飯も噛むほどに味わい深く、満足満足。

開演は14時。
眠気のこないことを祈りましょう。



クレンペラー 1960年ウィーン芸術週間ライヴ!

2014-03-14 23:33:55 | レコード、オーディオ



クレンペラー&フィルハーモニア管によるベートーヴェン交響曲全集 1960年ウィーン芸術週間ライヴ アナログ・ボックス。

待望の到着!

演奏も音質も最高。
キングインターナショナルさんによるアナログ・シリーズでは、最も成功しているのではないか?

詳細は後日。
取り急ぎのご報告まで。



はじめてのクナッパーツブッシュ

2014-03-12 13:41:39 | コーラス、オーケストラ
今朝、クナッパーツブッシュの生誕126年を祝うために選んだレコードはこれ。



ブルックナー 交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(改訂版)
ウィーン・フィル
英Decca LXT 5066
オレンジ・ゴールド・レーベル(2LP 3面、第4面は「ジークフリート牧歌」)

39年前、はじめて聴いたクナッパーツブッシュの演奏だ。もちろん、当時は銀色ジャケット、定価1,200円の国内廉価盤だ。
そういえば、宇野功芳先生のライナーノートをはじめて読んだのもこのレコード。シューリヒト、マタチッチの名を知ったのもこのとき。たしか、表記がまだクナッペルツブッシュだった。宇野先生の文章は、中学1年生の僕には、刺激が強すぎた(笑)。それで、人生間違えたことは確実。

久々に針をおろしたが、良い演奏だなぁ。当時のウィーン・フィル、物凄い音がしてる。
基本的には速めのテンポ。
陶酔的な弦の魅惑を振りまきながら、鄙びた木管が色とりどりの花を添え、高い音圧の金管群が要所を締める。自由な感興の中にも一本の太い柱があって、その雄々しさが堪えられない。

使用楽譜は、例によって、意味不明のカット(スケルツォ)や悪趣味な編曲を含む改訂版。
なぜ、クナッパーツブッシュが改訂版を終生使い続けたかは永遠の謎だが、もしかすると、ナチスの御用学者的存在であったハースへの反感が、そうさせたのではないか? などと、想像してみたりしている。





クナッパーツブッシュ生誕126年!

2014-03-12 00:33:51 | レコード、オーディオ
3月12日といえば、クナッパーツブッシュの誕生日。
1888年、エルバーフェルトの生まれというから、今日が126回目の誕生日と言うことになる。

もう夜も更けたので、朝目覚めたら、何かクナのレコードをかけることとしよう。




あれから3年

2014-03-11 12:53:03 | 日記
震災から3年が経った。
あのとき、たまたま一家4人が在宅しており、大学入学を控えた長女の入学式のためのスーツを見に行こうと玄関を出たところで揺れに見舞われた。

その後は、テレビに映し出される津波の被害を、ただ放心状態で眺めるのみ。

3日後の3月14日、午前11時01分、フクイチ3号機の爆発する映像をみて全身が震えた。核爆発を心配した私は即座に家族を招集し、車に水、食料ほか、思い付くものを乗せて、とにかく西へ逃げた。

辿り着いた地は、静岡の清水。
港を見下ろすホテルの9階に宿泊。そして、翌日の夜、次の宿泊先を検討している最中、静岡東部地震に遭遇。富士宮では震度6、清水は震度4とのことだったが、9階なので体感としては恐ろしい揺れであった。

ここで、家内にも娘2人にも帰りたいと懇願され、自宅に戻った。家内は病み上がりで長旅には耐えられる身体でなく、中学三年生の次女は部活の送別会と卒業式を目前に控えており、情に負けたのだ。
爆発後の数日間、東京の放射線量がとんでもなかったと知ったのは随分後のこと。あと1週間でも避難を続けていれば、最低限の被曝は避けられたのに、と思っても後の祭りである。

先日、その次女が先日高校の卒業式を迎えた。壇上で卒業生代表の挨拶をしたのが、双葉町の出身者。被災直後の上京、そして、今も戻れぬ自宅。その生の声が大きく胸に迫った。











一夜明けて

2014-03-10 10:58:02 | コンサート
福島章恭HP http://www.akiyasuf.com

インバルのマーラー8番から一夜明けた。

いま、蘇るのは、神秘のコーラス。

「神秘」のピアニシシモからフォルティシシモの頂点に昇りつめたとき、3階席に陣取ったバンダが高らかにファンファーレを奏するのだが、
その3階席へ向けて半身を向けたインバルから発せられるエネルギーがただ事ではなかった。
あの厚い胸板から、赤い気の塊のような球が生まれ出でては、それが会場中に発散された。
第1部の終結こそ、バンダとステージ上のタイミングが合わず、インバルの指揮にも無念が滲んでいたように見えたが、第2部は凄まじい気迫で会場中を圧倒したのである。

この瞬間に立ち会えたことは、大きな財産である。
やはり、指揮は人なのだ。
このような会場の空気を支配する熱いエネルギーを持たずして、どんな小手先のテクニックを磨いたところで何にもならない。

もちろん、綿密なアナリーゼがあり、理にかなったリハーサルがあり、作品への愛があった上での話ではあるが、最後には人なのである。

私も、演奏家の端くれとして、まだまだ力不足ながら、バッハやブルックナーを指揮する相応しい人間に一歩でも近づかなければならぬ、と心に誓った次第である。



インバル&都響のマーラー8番

2014-03-09 20:05:40 | コンサート
福島章恭HP http://www.akiyasuf.com



帰宅して、食事をしたら、ぐったり疲れが出て、このまま床に就きたい気持ちなのだが、
チケット獲得までにあれだけ大騒ぎして、肝心のコンサートの感想もないではお叱りを受けそうなので、覚え書き程度には残しておこう。

我が座席は、1階席センター14列目24番、即ちセンター・ブロックの一番右の通路寄りであった。
視界はまことに良好。
インバル、コンマスのみならず、ステージ上のほぼ全てが視界に収まり、視覚的なストレスはない。
ただ、事前に危惧したとおり、音はいまひとつ。
特に、弦楽器の音が頭の遙か上をを通過していって、熱演の割に聴こえてこないのが難点。
音のバランスだけを言えば、会場のモニターから聞こえてきたGPの方が良かったくらい。
従って、もし、2階の良席で聴けていたなら、以下の感想も違うものとなっていたかも知れないことを、予め、お断りしておく。



まず、演奏全体を眺めたとき、素晴らしいパフォーマンスであったことは疑いない。
インバルの優れた構成力によって、長大なマーラー「8番」の造型が気持ちよく見通すことができた。
ただの熱演ではない、知に裏付けられていたことを賞賛したい。

個人的には、もっとカンタービレの欲しいところ、もっと官能的であって欲しい場面もあったが、縦の線をしっかりと明示し、グイグイと音楽を推進させる力は非凡であったと思う。
第2部に入ると、弦も鳴りがよくなってきて、第1部よりもオーケストラの訴える力の強まったのを感じた。
冒頭の山峡の自然、その密度の濃いサウンドは今も耳に残る。
そして、なんと言っても、ラストの「神秘のコーラス」の美しさから大団円に至る迫力は申し分なし。
第1部ラストで遅れまくってしまった客席後方に陣取るバンダも、第2部では見事に修正してきた。

賞賛すべきは晋友会合唱団。
なんと全曲を暗譜で臨んだ!
その心意気に拍手。
歌いこなすだけでも大変なこの作品を、憶えた上に、余裕を持って、破綻のない音程とアンサンブルで歌いきった力量には感服する。
関屋先生亡き後のこのコーラスを聴くのは初めてであったが、若い団員も少なくなく、高いレベルを保ちつづけているのは素晴らしい。
さらに深い発声、さらにドイツ語的な発音も求められるかも知れないが、それはかなり高い次元でのお話。
また、東京少年少女合唱隊も素晴らしく訓練されており、その清澄な歌声が作品に相応しかった。

独唱陣で光っていたのは、テノールの福井敬。
その声は輝きに満ち、マリアを崇める博士では音楽を高みに引き上げる力を備えていた。
一方、バリトンの歌う恍惚の神父は、数小節のフライングをした上、その動揺を引き摺ってしまったのか、歌い始めても走りっぱなしでアンサンブルを乱していた。
つづく、バスの深淵の神父も力不足か・・・。
女声陣については、取り敢えず、今日は、書くのを控えることにしよう。

繰り返すが、もっと音に打ちのめされるような良い座席で聴いていれば、印象は違っていただろう。
みなとみらい大ホールにも、サントリーホールのような天井から吊り下げる反響板が欲しい。
もしかしたら、オルガンの見栄えを考慮して、敢えて付けていないのかも知れないが・・・。
遠い音響ゆえに、ついつい、冷静、かつ客観的に聴いてしまったわけだが、それでも、大きな感銘を受けたには違いないし、
今後の自分の音楽活動へのヒントも与えられたわけで、十年に一度の早起きも無駄ではなかった。
とにかく、今は満ち足りた気分でいる。



追記
ところで、16日のマーラー9番は、3階センター席。
自分としては初めての3階席。
今日より、音響の良いことを祈るばかり。