(原 光訳 2000年、沖積舎 ) ダンテの「神曲 地獄」編 第16歌(カッコ内は筆子、その2)
◯そのとき苛酷な苦痛の雨を浴びて通り過ぎる、一群の中から三人の亡霊が一緒に走り出て、わたしらに近づきながら
めいめいに絶叫した、「立止まってくれ、服から察するとわたしらの邪悪な土地のものらしいそなたよ。」
ああ、なんといふ傷がその五体に見られたか、づきづき新しいのと古いのと火に焼かれ傷口が!思ひだすだけでも苦痛だ。(前回ここまで)
◯その絶叫を聞くとわたしの師は立止まり、わたしに顔を向けて、言つた、「待つがいい、このものたちには礼儀正しくふるまってほしい。
この場所の自然が射放つ火がなければ、わたしは言ふだらう、走り出すのはこのものたちよりもそなたにふさわしいと。」
わたしらが立止まるなり、三人はまたきりのない悲鳴を発しはじめ、わたしらのところに達すると、三人で一つの輪を作つた、(つづく)
◯本日、2017年2月19日の日本聖書協会「聖書愛読こよみ」の主題は「宝を天に」という。聖書の箇所はマルコ10・21、「イエスは彼を見つめ、
慈しんで言われた。「あなたに欠けているものが一つある。行って持っている物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に富を積むことになる。
それから、わたしに従いなさい。」と。ここに「天に富を」の「富(「セッサウロン」)」はせっせと蓄えられた「富」のことをいう。口語訳聖書は「天に宝を」という。
イエスがお答えになると、彼は、青年(マタイ)でありユダヤ議会の議員(ルカ)であったというから、その将来嘱望されていた人物かもしれない。22節、「気を
落とし、悲しみながら立ち去った」と。なぜ、どうしてだろうか。大変難しい。
◯写真は2月17日、突然の暖かい陽気のために満開になった店先の梅鉢。春日浦のHIヒロセにおいて。