声に出す言葉絵本 「おっと合点 承知之助」 文:斎藤 孝 絵:つちだのぶこ ほるぷ出版
あとがき 「付け足し言葉は、言葉のロケット」
前略
付け足し言葉というのは、言葉の勢いが止まらずに、シャレで言葉を付け足したもののことです。
たとえば、「その手は桑名の焼き蛤」というのは、「その手は食わないよ」と言えば済むところを
勢い余って、「食わない」と地名の「桑名」をひっかけて、
桑名名物の焼き蛤を付け足したということです。
中略
付け足し言葉は、人に向かって調子よく言う言葉です。
相手との言葉のやりとりにつける、いわば潤滑油のような働きがあります。
たとえば、縁台で将棋を指しながら、相手と将棋だけでなく、
言葉のやりとりも付け足し言葉で楽しむわけです。
付け足し言葉の多くはまったく根拠がないというものではなく、何かのシャレになっていたり、
古典の引用になっていたりするものもあります。
「驚き桃の木山椒の木」や「あたりき車力」などは、私の小学校時代は皆が使っていたものです。
しかし今は、急速に廃れてきてしまい、古い付け足し言葉はあまり流行らなくなって
消え去ろうとしています。
おじいさんやおばあさんとのコミュニケーションが少なくなったこともその原因の一つかと思います。
そこで今回は、おじいさんとのコミュニケーションの中で自然に付け足し言葉が出てくるような
ストーリーをつちださんに考えてもらいました。
声に出してみることで、その言葉は自分に跳ね返ってきます。
そして、自分が出した声で自分が元気づけられるということもあります。
元気があるから、声に出すということもありますが、声に出すことで元気になって来るという側面が
言葉にはあります。
私は、最近の子どもたちともつきあう機会があるのですが、そこで感じるのは、
からだの「張り」の足りなさです。
子どもは相変わらず子どもらしい元気さを持ってはいますが、それでも昭和の子どもと比べると
エネルギーが外に発散される機会が少ないように、私自身も子育てをしてきて思います。
大きな声でエネルギーを外に出すことで、自分自身も元気になる。
そうした回路をつくってあげたいという気持ちが、この絵本には込められています。
そのときにできるだけ伝統のある日本語を声に出すことで、二重の効果があると考えているわけです。
ロケットに三段ロケットというものがあります。
発射してから二度ほどまた噴射して加速していくロケットです。
付け足し言葉はちょうどこのロケットのようなものです。
「その手は食わない」ではなく、「桑名」ということでひねりをきかして言葉を加速させ、
最後にもう一度「焼き蛤」と言うことでさらに加速します。
この場合は、焼き蛤を食わないというシャレも入っています。
こうした大した意味もない軽口は、話している相手との距離感をなくし、親しい雰囲気を盛り上げます。
つちださんの楽しい絵とストーリーが、付け足し言葉の言葉のロケットの効果を
よく表現してくれていると思います。
是非この絵本を通して、言葉を声に出してみることで元気になる感じを子どもたちに
味わってもらえればと願っています。
おはよう ごん左衛門
何か用か 九日十日
お茶の子さいさい 河童の屁
その手は桑名の 焼き蛤(はまぐり)
平気の 平左衛門(へいざえもん)
恐れ入谷の 鬼子母神(きしもじん)
結構毛だらけ 猫灰だらけ
しーらん ペッタンゴリラ
すいませんねん(千年) 亀は万年
嘘を築地の 御門跡(ごもんぜき)
驚き 桃の木 山椒の木
あたりき車力の コンコンチキ (あたりき車力よ 車曳き)
さよなら三角 また来て四角
ただいま帰って キタキツネ
あとがき 「付け足し言葉は、言葉のロケット」
前略
付け足し言葉というのは、言葉の勢いが止まらずに、シャレで言葉を付け足したもののことです。
たとえば、「その手は桑名の焼き蛤」というのは、「その手は食わないよ」と言えば済むところを
勢い余って、「食わない」と地名の「桑名」をひっかけて、
桑名名物の焼き蛤を付け足したということです。
中略
付け足し言葉は、人に向かって調子よく言う言葉です。
相手との言葉のやりとりにつける、いわば潤滑油のような働きがあります。
たとえば、縁台で将棋を指しながら、相手と将棋だけでなく、
言葉のやりとりも付け足し言葉で楽しむわけです。
付け足し言葉の多くはまったく根拠がないというものではなく、何かのシャレになっていたり、
古典の引用になっていたりするものもあります。
「驚き桃の木山椒の木」や「あたりき車力」などは、私の小学校時代は皆が使っていたものです。
しかし今は、急速に廃れてきてしまい、古い付け足し言葉はあまり流行らなくなって
消え去ろうとしています。
おじいさんやおばあさんとのコミュニケーションが少なくなったこともその原因の一つかと思います。
そこで今回は、おじいさんとのコミュニケーションの中で自然に付け足し言葉が出てくるような
ストーリーをつちださんに考えてもらいました。
声に出してみることで、その言葉は自分に跳ね返ってきます。
そして、自分が出した声で自分が元気づけられるということもあります。
元気があるから、声に出すということもありますが、声に出すことで元気になって来るという側面が
言葉にはあります。
私は、最近の子どもたちともつきあう機会があるのですが、そこで感じるのは、
からだの「張り」の足りなさです。
子どもは相変わらず子どもらしい元気さを持ってはいますが、それでも昭和の子どもと比べると
エネルギーが外に発散される機会が少ないように、私自身も子育てをしてきて思います。
大きな声でエネルギーを外に出すことで、自分自身も元気になる。
そうした回路をつくってあげたいという気持ちが、この絵本には込められています。
そのときにできるだけ伝統のある日本語を声に出すことで、二重の効果があると考えているわけです。
ロケットに三段ロケットというものがあります。
発射してから二度ほどまた噴射して加速していくロケットです。
付け足し言葉はちょうどこのロケットのようなものです。
「その手は食わない」ではなく、「桑名」ということでひねりをきかして言葉を加速させ、
最後にもう一度「焼き蛤」と言うことでさらに加速します。
この場合は、焼き蛤を食わないというシャレも入っています。
こうした大した意味もない軽口は、話している相手との距離感をなくし、親しい雰囲気を盛り上げます。
つちださんの楽しい絵とストーリーが、付け足し言葉の言葉のロケットの効果を
よく表現してくれていると思います。
是非この絵本を通して、言葉を声に出してみることで元気になる感じを子どもたちに
味わってもらえればと願っています。
おはよう ごん左衛門
何か用か 九日十日
お茶の子さいさい 河童の屁
その手は桑名の 焼き蛤(はまぐり)
平気の 平左衛門(へいざえもん)
恐れ入谷の 鬼子母神(きしもじん)
結構毛だらけ 猫灰だらけ
しーらん ペッタンゴリラ
すいませんねん(千年) 亀は万年
嘘を築地の 御門跡(ごもんぜき)
驚き 桃の木 山椒の木
あたりき車力の コンコンチキ (あたりき車力よ 車曳き)
さよなら三角 また来て四角
ただいま帰って キタキツネ
このあとがきが気になって、少し調べていました。
面白そうだったので、今度図書館で借りてみようと思います。
1年生くらいだと、こういうダジャレっぽい言葉を
自然と自分で作って口にしているんですよ。
クラスで流行ったらみんな口にしそう・・・
学校の図書館にあったら、ブックトークとかにも使えそうです。
そういえば、タイムボカンシリーズでしたっけ??
「驚き 桃の木 山椒の木 ブリキに狸に洗濯機 やってこいこい××」
みたいな呪文?がありましたよね。
あれも付け足し言葉か元になっていたのですね!
お笑い芸人も、こういうのを流行らせてくれると
日本の伝統的な遊び言葉を今の子供たちに伝えることができるのに・・・
といっても、これじゃ持ちネタにならないのかもしれませんが。
でも、面白い言葉で、今の子供たちも知ったら飛びつくと思うんですよね。
だって声に出すのが楽しいですもの。
今日いくつか息子に教えてあげようと思います!
知らなかったのでぐぐったらヤッターマンだったんですね。
私は寅さんで「ブリキにタヌキに蓄音機」で覚えていました。
この絵本の付け足し言葉はストーリー仕立てなので、
ちょっとムリがあるような。
はじめて聞いたのも半分近くあります。
子供は言葉に敏感ですね。
学童保育で落語の「ジュゲム」をやったら、
覚えた子供が何人かいました。
もっといろんなのがあるんだよと教えてあげたいです。
落語のじゅげむって、あの「じゅげむじゅげむごこうの・・・」ですよね?!
あれは小1の時に学習発表会でやったので覚えています。
響きで思い出したのですが、わらべうたの「ずいずいずっころばし」なんかも響きが楽しくてよく子ども達と歌っています。
あと、「じゅげむ」と違いますが「外郎売」もどことなく似た雰囲気があるなぁと思いました。
昔覚えたことがあるのですが、また覚えてみたいと思わせる文章です。
日本語って素敵ですね!
耳で聞く日本語をもっと大切にしたいなって思いました。
教育テレビの「日本語であそぼ」でやっているのかな?
「じゅげむ」はやっているみたいですね。
わたしはその番組みたことないんです。
「外郎売」はわたしが民話をはじめた時、
まず大事なのは声がとどくことだと思って、
発声についてずいぶん調べたんです。
そして「外郎売」を知り、これを覚えようと思いました。
覚えるのに半年くらいかかりました。
よく挫折しなかったなと自分でも感心しています。
人前で発表したこともあります。
今でも散歩のときに練習しているので忘れません。
じゅげむの話を息子にしたところ
「知っているよ!」と言われました。
図書館で見たことがあると・・・
おそらく川端誠さんの絵本だと思います。
今度図書館で借りて一緒に読んでみたいと思いました。
絵本を黙読するより、じゅげむは実際自分が子駑馬にした方が楽しいですね。
谷川俊太郎さんの『ことばあそびうた』も声に出すと楽しいのと似ていますね!
外郎売はもうすでに覚えていらっしゃるのですね。
akiraさんの外郎売はどんな感じなのか、興味があります。
私が初めて覚えたのは高校生の時で、その頃はかなりセールスの入った元気いっぱいの外郎売でしたが
今覚えなおしたら、違った外郎売になりそうな気がします。
またやってみたいです。
「覚えたい日本語」のカテゴリーは興味深い記事が多いですね!
昔の日本語はリズムが美しいなって思います。
それに、昔に書かれたことであっても、現代にも通用する内容もかなり多いので
英語も大事ですが、子ども達が古典などの日本語にもっと触れる機会が増えるといいなと思います。
芭蕉は大好きで、高校時代にハマっていました。
今思うと、少し変わった高校生だったかもしれません(笑)
外郎売でこうして話ができる人がいてうきうきしています。
もうだいぶ前のことだけど「外郎売」は、
江戸時代の言葉が使われているので、わからない言葉とか。
当時の風習とか、ずいぶん調べました。
江戸時代に興味を持つようになったのはそのことも大きいですね。
「外郎売」で検索すると一杯出てくるけど、
それらは全部目を通しました。
youtubeで動画がたくさん見れますね。
速さを競ってる動画が多いけど、
私はゆっくりやりたいです。
私の言ってることを、聞いてる人が、ひらがなでいいから、
一言一句聞き取れるようにやりたいと思っています。
発声から派生して朗読にも興味を持ったけど、
そこで出会ったのが幸田弘子さんです。
「朗読は演奏です」と言ってる人です。
幸田弘子さん、知っていますか?
樋口一葉の朗読で有名な人らしいです。
しかも本を見ないで暗記して朗読するとか。
「樋口一葉は最高の音楽」とも言っていますね。
ちなみに私の持ってるのは「朗読の楽しみ」という本です。
>一言一句聞き取れるようにやりたいと思っています。
いいですね!
外郎売は単なる早口言葉ではないと私も思っています。
akiraさんも外郎売の言葉を丁寧に語るようで嬉しいです。
高校生の時はパントマイムのようなものを入れながら外郎売を語ったのですが、これがきっかけで
言葉の意味をイメージするようになりました。
そうしたら一つ一つの言葉の意味がわかるようになってきたのです。
なので、また改めて読んでみたいと思いました。
幸田弘子さんは名前は何度も目にしているのですが
まだ朗読は聞いたことがないんです。
確か11月23日の一葉の命日に、一葉記念館で朗読とかをやっていたりすると思うのですが
その日に私は研究会の方へ出ているので、聞くチャンスがなくて・・・
けれど、最近は朗読にもとても興味があるので
以前のように作品分析の視点ばかりでなく、聞いても声に出しても心地いい活きた一葉作品を読んでみたいなと思うようになりました。
なので、幸田弘子さんの著書も読んでみたいです。
やっぱり声に出すことって素敵ですね!
文学は活字のイメージがありますが、声に出す&耳で聞く文学も大事にしたいなって思いました。
そのことはカテゴリー大道芸(口上)にアップしてあります。
私もなつかしくなって読み返してみました。
練習する機会はぐっと減ったけど、
たまに思い出して練習してみると忘れていないですね。
前に朗読のグループが5,6人で交代でこの外郎売を
やったのを聞いたことがあります。
ちょっと私の思い描いていたのと違ったかな。
ただ滑舌の練習のためだけにやってるみたいでした。