ラグビーと銀行の二つの世界を描く良質の評伝
投稿者歯職人2015年11月29日
ふとしたきっかけから、本書を手にしました。
日本のラグビー界に一つの時代を刻み、バブルとバブル崩壊後の都市銀行を支え、二つの世界で共に役割を果たした宿澤広朗さんを描いたノンフィクション作家・加藤仁さんの一冊です。
宿澤広朗さん、加藤仁さん共に存知上げなく、表紙の宿澤広朗さんの写真から、テレビニュースでの試合の解説をする姿の記憶が蘇った、そんな読者です。
本書は、今は休刊した総合月刊誌『月刊現代』（講談社発行)に2007年1月号～4月号の連載に加筆の上、単行本化されたものです。
プロ化(オープン化)の渦中にあったラグビーの世界とバブル経済とその崩壊の後始末の時代の銀行業界の二つの世界を生きた宿澤さんの人生を加藤さんが丁寧な取材により描きます。
ニクソンショック、イトマン事件、松下興産、森喜朗、銀行再編等々取材に困難が伴い、扱い難い素材抜きには語れない宿澤の人生を、加藤さんが数多くの関係者の証言もとに、サラリーマンの人生に引き寄せて淡々と描きます。
副題を「運を支配した男」と置き、「運」を準備し引き寄せたと思わせる宿澤の人となりに焦点を当てます。取材者、編集者等により良く整理され、行き届いた良質の評伝です。
http://www.amazon.co.jp/%E5%AE%BF%E6%BE%A4%E5%BA%83%E6%9C%97%E3%80%80%E9%81%8B%E3%82%92%E6%94%AF%E9%85%8D%E3%81%97%E3%81%9F%E7%94%B7-%E5%8A%A0%E8%97%A4%E4%BB%81-ebook/dp/B00JQYYCMI/ref=la_B001JOSHI8_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1448774378&sr=1-1
宿澤広朗―運を支配した男
加藤 仁【著】
講談社（2007/06発売）
サイズ B6判／ページ数 246p／高さ 20cm
商品コード 9784062140669
NDC分類 289.1
内容説明
サラリーマンとして、男として、頂点をきわめる寸前で急逝した宿澤広朗の、知られざる苦闘の生涯。天才ラガーにして名監督。巨大銀行専務取締役。
目次
神々の嫉妬
伝説の男
文武両道
二足のわらじ
全戦全勝のディーラー
空中戦と地上戦
取締役への道
書斎なき家庭人
突然の解任
松下電器との攻防
最後のプロジェクト
著者紹介
加藤仁［カトウヒトシ］
１９４７年、愛知県生まれ。１９７２年早稲田大学政治経済学部卒業。出版社勤務を経て、ノンフィクション作家として独立。以来、評伝、ドキュメント、ルポルタージュなどを手がけ、生活者の視点から取材執筆活動をつづける（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
