第二次ブンド→党内闘争→地域医療→病院経営→介護保険→中医協→2006年診療報酬改定→, 2010/12/20
By 歯職人
本書を慶應義塾大学商学部権丈善一教授のHP上の短文から知り、購入した。
本書は、医師であり「運動家」であり、1956年以降の学生運動・新左翼運動の流れの一翼にあった語り手・石井暎禧の第二次ブンドとその周辺の昔語りである。特に石井氏が一定の影響力を保持した医学連、明治、中央、東京医科歯科の御茶ノ水周辺等の直接行動に傾斜しがちなブンド話は具体的でり、登場する「著名人」の行動と言説は記録する価値がある。
その後、地域医療の担い手として研究会等を組織し、病院建設・運営を経営側として過ごし、介護保険創設の制度設計に介入し、医療と介護の「コングロマリット」石心会等を形成し、現在は日本病院会常任理事や中医協(中央社会保険医療協議会)委員等々の公的「肩書」を持ち、その人生の大半を「国家と社会」に向き合ってきた石井暎禧の私的領域にも入り込んだ「夜話」的回顧録である。
特に、第二次ブンド内の情況/叛旗/遠方からの各グループについては、人脈的近さから、その生成と衰退等々詳しい。ブンドの「綱領要らず、現場あり」の体質が、石井氏の体質を受け継いだものとも読み取れる。石井氏は、「運動の産科医ならぬ産婆」であり、DNAの提供者か?
成田空港闘争の「始末のつけ方」としての官房副長官加藤紘一と青年行動隊島寛征・石井新二らを看板とした話し合い路線の画策と関係団体にまつわる裏話も盛り込まれている。
当時の関係者が鬼籍に入る頃となり、まだ余命があり「話し足りない」関係者には、確かな記憶があり、口の達者なうちに時代の証言を残すことを望みたい。
本書の後半を成す医療と介護を結ぶ新たな「政策戦線」への介入戦は、政治家、厚生労働省官僚、日本医師会、病院団体、医療経済学者、連合等々のプレーヤーと伍し「医学連・青医連」人脈等で現在進行形とのことである。
本書のカテゴリーは、「任侠物」としても良いのかもしれない。
本書に登場する人名:
(前半)三上治(味岡修)、神津陽(薬師神忠昭)、香山健一、森田実、島成郎、姫岡玲冶(青木昌彦)、清水丈夫、北小路敏、葉山岳夫、林道義、西部邁、加藤尚武、長崎浩、生田浩二(加藤明男)、唐牛健太郎、森田実、廣松渉、岩田弘、荒岱介、大下敦史、斎藤克彦、塩見孝也、花園紀男、松平直彦、松本礼二、さらぎ徳二(右田昌人)、蔵田計成、高橋良彦、篠原浩一郎、篠田邦雄、吉本隆明、山本義隆、宮崎学、他多数
(後半)二木立、徳田虎雄、今井澄、池澤康朗、青山英康、向井 承子、佐藤義夫、桝本純、滝上宋次郎、堀田力、樋口恵子、広井良典、横内正利、西村周三、立岩真也、大塚宣夫、池田省三、五島正規、倉田聡、河北博文、山本修三、秋山洋、中山耕作、奈良昌治、邉見公雄、他多数
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4792721083/ref=cm_cr_mts_prod_img
キキガキキブントイチダイ セイジトイリョウデジダイヲカケヌケル
聞書き「ブント」一代―政治と医療で時代をかけ抜ける
市田 良彦 石井 暎禧【著】
世界書院 (2010/10/25 出版)
383p / 19cm / B6判
ISBN: 9784792721084
NDC分類: 289.1
価格: ¥2,940 (税込)
詳細
戦後日本の「国家と社会」を横断する“わが闘争”。
第1章 前史としての六〇年安保
第2章 渡り鳥による「ブント」再建
第3章 はぐれ鳥「東京一派」が全共闘で一肌脱ぐ
第4章 「四人組」の政治、丹頂鶴の医療実践
第5章 地域医療という新舞台
第6章 全国「医療‐介護」戦線へ
著者紹介
市田良彦[イチダヨシヒコ]
1957年京都生まれ。京都大学大学院経済学研究科修了。現在、神戸大学国際文化学研究科教授。専攻、社会思想史
石井暎禧[イシイエイキ]
1937年東京生まれ。東京大学医学部卒業。現在、社会医療法人財団石心会理事長。60年安保闘争時に医学連書記長として参加。病院勤務のかたわら65年の第二次ブント再建時に政治局員。地域医療研究会世話人、日本病院会常任理事・医療制度委員長、中医協(中央社会保険医療協議会)委員などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
権丈善一HP
http://news.fbc.keio.ac.jp/~kenjoh/work/2010年12月1日より
「医療経済学の潮流」は、講座『医療経済・政策学 全6巻』の第1巻第1章という、僕がはじめて教科書的なことを書いた文章。他の執筆者の原稿が遅れて、出版は、2006年になったけどね(笑)。この本が出たときの書評らしきもの(?)を紹介しておきます。
池澤康郎日本病院会副会長「医療経済学の潮流を読んで」『週刊社会保障』
http://news.fbc.keio.ac.jp/~kenjoh/work/
評者の池澤先生は、先日読んだ『聞書きブント一代』の中で、60年安保時の有名な闘士として登場されていた!・・・今は、いつも蝶ネクタイスタイルの紳士然りの方なんだけど、いま僕が会っている医療関係のおじさんたちって、昔はみんな激しい性格の人たちだったんだろうなと思う今日この頃。彼らが若かった頃と比べると、僕なんかおとなしいと思うよ、ほんっと。。。(日本病院会の参与となった僕は、月に一度日本病院会の理事会で、理事の池澤先生や『聞書きブント一代』の石井先生と会っている。きっと彼ら安保闘争時の医学生たちが僕を推薦したんだろうと推測・・・)
石井 暎禧
いしい・えいき
http://www.arsvi.com/w/ie01.htm
http://out-of-date.info/blog/archives/entry/2008/001094.html
石心会グループ
http://www.sekishinkai.or.jp/index.html
By 歯職人
本書を慶應義塾大学商学部権丈善一教授のHP上の短文から知り、購入した。
本書は、医師であり「運動家」であり、1956年以降の学生運動・新左翼運動の流れの一翼にあった語り手・石井暎禧の第二次ブンドとその周辺の昔語りである。特に石井氏が一定の影響力を保持した医学連、明治、中央、東京医科歯科の御茶ノ水周辺等の直接行動に傾斜しがちなブンド話は具体的でり、登場する「著名人」の行動と言説は記録する価値がある。
その後、地域医療の担い手として研究会等を組織し、病院建設・運営を経営側として過ごし、介護保険創設の制度設計に介入し、医療と介護の「コングロマリット」石心会等を形成し、現在は日本病院会常任理事や中医協(中央社会保険医療協議会)委員等々の公的「肩書」を持ち、その人生の大半を「国家と社会」に向き合ってきた石井暎禧の私的領域にも入り込んだ「夜話」的回顧録である。
特に、第二次ブンド内の情況/叛旗/遠方からの各グループについては、人脈的近さから、その生成と衰退等々詳しい。ブンドの「綱領要らず、現場あり」の体質が、石井氏の体質を受け継いだものとも読み取れる。石井氏は、「運動の産科医ならぬ産婆」であり、DNAの提供者か?
成田空港闘争の「始末のつけ方」としての官房副長官加藤紘一と青年行動隊島寛征・石井新二らを看板とした話し合い路線の画策と関係団体にまつわる裏話も盛り込まれている。
当時の関係者が鬼籍に入る頃となり、まだ余命があり「話し足りない」関係者には、確かな記憶があり、口の達者なうちに時代の証言を残すことを望みたい。
本書の後半を成す医療と介護を結ぶ新たな「政策戦線」への介入戦は、政治家、厚生労働省官僚、日本医師会、病院団体、医療経済学者、連合等々のプレーヤーと伍し「医学連・青医連」人脈等で現在進行形とのことである。
本書のカテゴリーは、「任侠物」としても良いのかもしれない。
本書に登場する人名:
(前半)三上治(味岡修)、神津陽(薬師神忠昭)、香山健一、森田実、島成郎、姫岡玲冶(青木昌彦)、清水丈夫、北小路敏、葉山岳夫、林道義、西部邁、加藤尚武、長崎浩、生田浩二(加藤明男)、唐牛健太郎、森田実、廣松渉、岩田弘、荒岱介、大下敦史、斎藤克彦、塩見孝也、花園紀男、松平直彦、松本礼二、さらぎ徳二(右田昌人)、蔵田計成、高橋良彦、篠原浩一郎、篠田邦雄、吉本隆明、山本義隆、宮崎学、他多数
(後半)二木立、徳田虎雄、今井澄、池澤康朗、青山英康、向井 承子、佐藤義夫、桝本純、滝上宋次郎、堀田力、樋口恵子、広井良典、横内正利、西村周三、立岩真也、大塚宣夫、池田省三、五島正規、倉田聡、河北博文、山本修三、秋山洋、中山耕作、奈良昌治、邉見公雄、他多数
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4792721083/ref=cm_cr_mts_prod_img
キキガキキブントイチダイ セイジトイリョウデジダイヲカケヌケル
聞書き「ブント」一代―政治と医療で時代をかけ抜ける
市田 良彦 石井 暎禧【著】
世界書院 (2010/10/25 出版)
383p / 19cm / B6判
ISBN: 9784792721084
NDC分類: 289.1
価格: ¥2,940 (税込)
詳細
戦後日本の「国家と社会」を横断する“わが闘争”。
第1章 前史としての六〇年安保
第2章 渡り鳥による「ブント」再建
第3章 はぐれ鳥「東京一派」が全共闘で一肌脱ぐ
第4章 「四人組」の政治、丹頂鶴の医療実践
第5章 地域医療という新舞台
第6章 全国「医療‐介護」戦線へ
著者紹介
市田良彦[イチダヨシヒコ]
1957年京都生まれ。京都大学大学院経済学研究科修了。現在、神戸大学国際文化学研究科教授。専攻、社会思想史
石井暎禧[イシイエイキ]
1937年東京生まれ。東京大学医学部卒業。現在、社会医療法人財団石心会理事長。60年安保闘争時に医学連書記長として参加。病院勤務のかたわら65年の第二次ブント再建時に政治局員。地域医療研究会世話人、日本病院会常任理事・医療制度委員長、中医協(中央社会保険医療協議会)委員などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
権丈善一HP
http://news.fbc.keio.ac.jp/~kenjoh/work/2010年12月1日より
「医療経済学の潮流」は、講座『医療経済・政策学 全6巻』の第1巻第1章という、僕がはじめて教科書的なことを書いた文章。他の執筆者の原稿が遅れて、出版は、2006年になったけどね(笑)。この本が出たときの書評らしきもの(?)を紹介しておきます。
池澤康郎日本病院会副会長「医療経済学の潮流を読んで」『週刊社会保障』
http://news.fbc.keio.ac.jp/~kenjoh/work/
評者の池澤先生は、先日読んだ『聞書きブント一代』の中で、60年安保時の有名な闘士として登場されていた!・・・今は、いつも蝶ネクタイスタイルの紳士然りの方なんだけど、いま僕が会っている医療関係のおじさんたちって、昔はみんな激しい性格の人たちだったんだろうなと思う今日この頃。彼らが若かった頃と比べると、僕なんかおとなしいと思うよ、ほんっと。。。(日本病院会の参与となった僕は、月に一度日本病院会の理事会で、理事の池澤先生や『聞書きブント一代』の石井先生と会っている。きっと彼ら安保闘争時の医学生たちが僕を推薦したんだろうと推測・・・)
石井 暎禧
いしい・えいき
http://www.arsvi.com/w/ie01.htm
http://out-of-date.info/blog/archives/entry/2008/001094.html
石心会グループ
http://www.sekishinkai.or.jp/index.html