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歯科技工士・岩澤 毅

誰も書かなかった日本医師会 (単行本) 水野 肇 (著)

2007年01月02日 | amazon.co.jp・リストマニア
誰も書かなかった日本医師会 (単行本)
水野 肇 (著)
単行本: 240ページ
出版社: 草思社 (2003/8/23)
ASIN: 4794212372
サイズ (cm): 19 x 13
評価定まらざる虚人―武見太郎, 2007/1/2

レビュアー: 歯職人

 本書は、医事評論家なる分野を開拓した水野肇による、日本医師会会長物語と読むことが出来る。
 時代の制約もあるのであろうが、医療を専門とするジャーナリストと成るのではなく、「医事評論家」として「業績」を重ね、政府及び各種の団体の審議会等の委員としてある種内部の密着した立場から、戦後の医療政策の形成過程に係わる経験を持つ著者のみが書き得る日本医師会会長物語である。
 あえてこの著作から水野が興味を注ぐ人物を四人を上げるとすれば、日本医師会会長として君臨し世にその姿を体現した武見太郎であり、時を経て1996年日本医師会会長になる坪井栄考、更に時代のズレはあるが厚生省側の吉村仁と岡光序治だろうか?
 水野の描く日本医師会会員像は、武見が喝破した「欲張り村の村長」と共通し、また前述の武見を除く三人の認識も共通すると思われる。
特に、日医総研を創設し「グランドデザイン」を描き、著書でその政策を世に問うた坪井栄考に対する、日本医師会会員の選択は、「欲張り村の村長」の限界を示すとともにその後の迷走を決定付けたとの疑念を持つ。
 戦後医療制度史、戦後医療保険制度史のサイドヒストリーとして押さえておきたい一冊である。

目次

プロローグ 日本医師会の五〇年
第1章 戦後医療行政のはじまり―武見太郎時代の幕開けへ
第2章 反官僚・反自民―武見政権の樹立と安定
第3章 欲張り村の村長たち―武見太郎の奮闘
第4章 医師優遇税制撤廃―武見時代の終わり
第5章 医療費亡国論―花岡堅而会長時代(1982~83)
第6章 老齢医療の問題―羽田春兔会長時代(1984~91)
第7章 「家庭医」構想をめぐって―村瀬敏郎会長時代(1992~95)
第8章 医療のグランドデザインへ―坪井栄孝会長時代(1996~)

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