医療制度の選択を国民が考える材料を提示する手堅い一冊
投稿者 歯職人 投稿日 2015/1/3
戦後、先進国の一員として国民皆保険制度を整えてきた日本が、高齢社会の到来と人口減少、医療の進歩に伴う費用の増大、国家財政に占める国債依存度の増加の中、誰もが利用する医療・医療制度に対する選択の岐路にある。
本書は、現在、独立行政法人国立病院機構理事長の職にある桐野高明氏による、「選択」の背景にある歴史と思想を解き明かしながら、「選択肢」の提示と選択の先にある世界の示唆を含む一冊となっている。
おおよそ2000年以降の医療に係る時事問題も取り入れながら、身近な話題を取り入れ平易な叙述により、身近な問題、「あなたの問題」としての医療制度の選択があり、それはどんな社会、どんな国を作るかと近似した問題であることを解き明かす。
本書により、医療制度が、それぞれの社会、文化、歴史、国の在り方に規定された発達を遂げものであり、単なる人工的な移植、接ぎ木細工では立ちいかないものであることが明白となる。
「医療の選択」を、国民自身が行うために手にしたい一冊です。
http://www.amazon.co.jp/%E5%8C%BB%E7%99%82%E3%81%AE%E9%81%B8%E6%8A%9E-%E5%B2%A9%E6%B3%A2%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E6%A1%90%E9%87%8E-%E9%AB%98%E6%98%8E/dp/4004314925/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1420274286&sr=1-1&keywords=%E5%8C%BB%E7%99%82%E3%81%AE%E9%81%B8%E6%8A%9E
岩波新書
医療の選択
桐野 高明【著】
価格 \842(本体\780)
岩波書店(2014/07発売)
サイズ 新書判/ページ数 228,/高さ 18cm
商品コード 9784004314929
NDC分類 498.021
内容説明
日本の医療の未来は、国民の選択にかかっている。より良い医療を維持発展させていくために求められる条件とは何か。現在、日本の医療が直面する問題について、医療費、国民皆保険制度、超高齢社会、薬剤、治療法など、さまざまな角度から論点を示し、その選択の道を考える。国民ひとり一人が未来の指針を得るための一冊。
目次
第1章 二つの選択肢(アメリカで起きていること;イギリスの失敗 ほか)
第2章 危うい国民皆保険制度(沢内村の挑戦;医療費はタダがよいのか ほか)
第3章 超高齢社会に立ち向かう(超高齢社会の到来;老いるということ ほか)
第4章 新しい治療法を目指して(新しい治療法を受け入れる;薬が変える病気の治療 ほか)
終章 医療の選択(医療のあり方を選択すること;医療のあり方を改革すること ほか)
著者紹介
桐野高明[キリノタカアキ]
1946年佐賀県生まれ。1972年東京大学医学部卒業。東京大学大学院医学系研究科脳神経外科学教授、同研究科長・医学部長、東京大学副学長、独立行政法人国立国際医療研究センター総長などをへて現在、独立行政法人国立病院機構理事長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)