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歯科技工士・岩澤 毅

『日本歯技』2013年8月号 巻頭言 過去を振り返る月に、未来を思う

2013年07月29日 | 日本歯技


日本歯科技工士会 広報誌 『日本歯技』2013年8月号

巻頭言

過去を振り返る月に、未来を思う


 8月は私たちに、過去へ思いを巡らせ現在を考える機会を与える。1945年8月6日午前8時15分、広島市に原子爆弾が投下され、一瞬にして市街は壊滅し十数万人の命が奪われた。8月9日午前11時2分、長崎市に原子爆弾が投下され、7万数千人の命が奪われた。そして、広島と長崎の惨劇は、生命にも文化にも現在も様々な影響を与えている。例年8月6日は広島市で、8月9日は長崎市で、犠牲者の霊を慰め世界平和を祈念する式典が開催され、関連する様々な規模の催しも行われる。
 地域による相違がありながら、旧盆という習慣は「民族大移動」を伴い、日常の中ではなかなか顧みることが少ない先祖を意識させ、いのちの連なりを感じさせる。
 8月15日の終戦記念日は、この国の再建の出発点として、厳粛な一日となり、社会の在り方を考えさせ、私たちの精神を浄化する。

 本会は創立60周年の節目を2015年に迎える。先の第2回社員総会において、その記念行事を福岡県福岡市で開催することが発表された。中央段階での一般社団法人日本歯科技工学会等の諸団体との併催行事の調整等や、開催地の地域組織や地区ブロックの協力を得て、人間でいうところの還暦の行事が準備される。
 本会を、福岡伸一氏(青山学院大学教授)の説かれる動的平衡の一つの生命体と考えるならば、今日の本会は既に昨日の本会ではなく、明日もまた同様である。
 中長期総合計画検討委員会が提起した“日技新発展『7』プラン”は、タウンミーティング開催のステップへと進み、現在も順次開催中である。
 還暦を射程に捉えたこの時期、本会は「新発展」という、いわば再生と再建、新生のプロセスを歩みだした。60周年は、まさに中長期総合計画実行期間の中間年として迎えることとなる。読者一人ひとりの本会との関わりは、濃淡を持ち、強弱があることであろうが、歯科技工と歯科技工士の社会的価値を高め、所属する公益社団法人日本歯科技工士会を「国民に信頼され尊敬される組織にする」という目標は、共有可能なものと思う。
 本会の創立に苦闘された人々は、無から有を生み出した。我々は、既に60年に迫る組織活動の蓄積と教訓の上にある。関係諸団体や行政その他との関係性の歴史と信頼の上にある。
 我々が迎えるべき創立60周年の朝は、国民に信頼され尊敬される組織として、また強靭な歯科技工士のナショナルセンターとしての朝である。


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