心が満ちる山歩き

美しい自然と、山に登れる健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山・街歩き・温泉・クラシック音楽‥‥

リスト・超絶技巧練習曲集 (2)”鬼火”

2017年05月16日 | 名演奏を聴いて思ったこと


(”雪あらし”の続き)

 ”雪あらし”の次は”鬼火”です。
 鬼火とは何でしょうか?辞書を引くと、「夜、しめった土地で燃える、青色の火。燐火。きつねび」(『三省堂国語辞典』第7版)とあります。
 鬼も火も、単独だと力強く激しい漢字なのに、熟語にすると軽やかな響きに変わる気がするから不思議です。
 マイナスとマイナスの数字を掛けるとプラスになりますが、その逆はありません。

 アリス=紗良・オットのピアノは、軽やかな響きから始まります。さながら、モーツァルトの”玉を転がすような”音で奏されています。
 (0:29)メインのテーマに入りますが、ここはメチャクチャ難しいはずです。
 (0:49)左手は、小さなかがり火がよちよち歩きをしているように聴こえます。
 (1:03)のリズムの「ため」も落ち着いています。

 
 もっとも、完全に理想的な”鬼火”ではありません。
 もし自分なら、(2:02)から(2:06)にかけては思い切りリタルダント(テンポを遅くする)をかけ、(2:26)では、さらに半分くらいの遅さに落としたいところです。そして(2:39)で一気にもとのテンポに戻して、クライマックスを作ったらどういう演奏になるだろうか?と思います。
 しかし、鬼火を弾くことは、自分にとっては難しすぎてまったく無理なことです。


 (3:12)柔らかい響きです。曲想は正反対でも、”雪あらし”と同じ魅力があります。テクニックの凄味から完全に解き放たれた演奏に驚きを覚えます。これこそ”超絶技巧”だと思わずにはいられない名演です。

 ”雪あらし”、”鬼火”以外では、第1番”前奏曲”が素晴らしいです。抑え気味の響きが上品な前奏曲を創り出しているからです。緩やかに進む、第3番”風景”や第9番”回想”の美しさも印象に残りました。

 (”夕べの調べ”・10番・”狩り”へ続く)



2 コメント

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コメントありがとうございます (Alpenjapan)
2020-04-06 01:37:08
桂蓮さま
コメントありがとうございます。
写真は、曲想に合いそうな山のものを選んで載せています。
鬼火はとても好きで、自分でも弾いてみたいですが、とてもかないません。
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Unknown (桂蓮Keiren)
2020-04-04 02:28:41
記事一つ一つ私へのメッセージのように、勝手に受け取ってしまいますね。
音楽の記事も山登りの記事のように

   空気が澄んで 
 
いますね。
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