北アルプス 槍ヶ岳(3,180m)・笠ヶ岳(2,898m) ((2)のつづき)
横尾山荘から穂高岳へは立派な吊り橋・横尾大橋を渡って先に進みます。槍ヶ岳へは、穂高岳への道と分かれ、沢沿いの道をさらに北上します。
傾斜はまだ緩く、北アルプスでこれくらいゆったり歩ける登山道はなかなかありません。
流れるのは梓川で、その源流が槍ヶ岳です。川の名前よりも、特急列車で知られている名前だと思います。中央線の特急「あずさ」は、この川から名づけられています。
梓川は、下流では犀川、千曲川、最後は信濃川となって日本海へ至ります。
手塚宗求氏の『諸国名峰恋慕』(山と渓谷社)を読むと、槍ヶ岳に初登頂した播隆上人が初めて槍に向かった時には、
「~ 鍋冠山、大滝山、蝶ヶ岳を経由して槍沢に至っている。この時は登頂の機会をうかがっていたものの果たさなかったと伝えられている。 ~」
とあります。その後、初めて登頂されたのは1828年のことでした。
今から約200年前、このあたりの道はすでに歩かれていたことになります。
当時は山を越えなければここまで来ることはできませんでした。
今はバスが通じ楽に歩けますが、それでも横尾は山に囲まれた上高地最奥の地であることには変わりありません。
横尾山荘からおよそ30分の場所に、「槍見河原」の標識が立っていました。空が明る過ぎたせいか、槍ヶ岳の姿は見えませんでした。
(登頂:2013年9月上旬) (つづく)